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第8話
お引き取り願います7
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「あなた何者なの?」
「それは知らない方がいいわ、最初に言った通り、あなたは私のことを話すことは出来ないのです。眠っている者たちも、何があったかすら分からない。話そうとすれば喉が締まり、息が出来なくなり、書こうとすれば腕が折れるようになっております。無理に続ければ、分かりますわよね?」
「っ!マージナル様はご存知なのですね、だから怖くてあなたに縛られている」
マージナル様と別れたいと言いながら、別れてくれないという優越感に浸っているのだ。やっぱり無理やり結婚させられたのだ。だから報復が怖くて、別れられない。それならば私を拒否する理由に説明が付く。私を傷付けないためなのだ。
「ふふふ、マージナル様は知りませんよ。あれは今のところ私の夫であるだけです」
「えっ、そんなはずないわ」
「どうして?」
「だから自分を拒否したのだと思っているの?私だから良かったものの、あなたは既婚者に言い寄ったのですよ?それなのに自分のため?都合のいいお話ですわね?恥ずかしくないの?」
「っ!でも眠らせたみたいに、言うことを聞かせているだけでしょう!」
「は?そんなことしないわ、最低の行為じゃない」
セナリアンは精神を操る術も使えるが、最も嫌っているため、余程でない限り使わない。いくら愚かでも考えを干渉すべきではないと考えている。
「でも!私が選んであげたのよ?私に相応しい人間なんて限られるの、それなのに」
「仕方ないこともあるものではないかしら?好きな相手でも結婚できないとか、好きな相手に別に好きな相手がいるとか、そんなこともあるでしょう?」
「私を皆が、美しいと言うのよ!だから、どんな相手だって喜ぶはずなの」
「事実ならマージナル様は喜んだはずよね?」
「だからそれがおかしいのよ!だから私に選ばれることは特別なの!」
「自分を特別っていうのは危険よ。もし、明日そのご自慢の顔が爛れたらどうするの?」
「そんなことはならないわ」
「特別だから?そんなこと分からないじゃない、爛れても、変わっても、一緒にいたいと思ってくれる人の方がいいと思わない?」
「それは…」
「まあ、いいわ。最後に一つだけ。私は夫のためにあなたを牽制した訳ではないの、お互いの国の民のためよ、分かってらっしゃるわよね?その高い自尊心で、国を揺るがされてはたまらないの」
先程の映像が思い出された。最後の私は汚い格好で、お前のせいでとゴミを投げつけられ、蹴られて、お前が死ねば良かったんだと言われて、泣くことしか出来なかった。でも諦められない気持ちもある。だって、私はずっと求められてきた側の人間なのだから。
「だったら、最後にもう一度だけマージナル様に会わせてください」
「ええ、どうぞ。頑張って頂戴」
指をパチンと鳴らし、大臣たちも動いており、どうやら術を終えたようだった。
「殿下、最後にマージナル様とお話する時間を与えてあげてください」
「どういうことだい?」
「想いを伝えたいそうよ、伝わっていないと思ってらっしゃるみたい」
「洗脳したりしていないだろうな」
「そんな無粋なことはしないわ」
大臣と侍女と護衛は何も無かったのように、そろそろ戻りましょうと話し掛けて来る。どういうことなのか、聞きたいがどうしてか声が出ない。
王女たちが部屋に戻り、二人きりとなったセナリアンとリスルート。映像は頭に流し込んだので、何が起こったのかは分からなかったため、セナリアンが流し込んだ未来を説明した。
「これは加虐だから、実際に起きたら、民を助けるわよ?」
「できてしまうということだな」
「おそらくね。一応、夫の後始末したということになるんでしょうね」
「マージナルはなんだろうな?」
「ええ、そんなにいいのかしら?それとも何かあるのかしら?」
「昔から人気はあったが…セナリアンはカルバンの方がいいかい?」
「ええ、間違いなくカルバン様がいいですわね」
セナリアンお気に入り殿下の側近であるカルバン・ロゾート。
「カルバンも優秀ではあるが」
「ええ、字もとても美しくて、所作がよろしいですわよね」
「字?どこで見たんだ?」
「ふふふ、カルバン様の奥様とね、仲良しなんですのよ?」
「そうだったのか、ならば心配はいらなかったんだな」
「どこぞの王女みたいに既婚者を奪うことはしませんわよ、素敵だと思うことくらいいいでしょう?あのくるくるとした髪の毛も愛らしいですわ」
カルバンは髪色は珍しくはないブラウンなのだが、くせ毛でくるくるとしており、本人は毎日違う、一度も髪型が決まったことがないというほどである。
「あんな美形がいるのに?」
「像にするにはいい顔立ちではありましたね」
「評価が酷い!」
「ふふふ、そうですわね、我が家は彫の深い顔立ちではないでしょう?私は領地にいることが多かったので、ルージエ家の顔立ちに好感を抱くのかもしれませんね」
「なるほど!カルバンは同じ系統だな、そうなるとマージナルは正反対だな」
「ええ、そうでしょう」
笑うと柔らかい子犬のような顔立ちのルージエ家(タヌキも含む)、猛禽類のようなキリリとした顔立ちのグロー家、相反する顔立ちである。
「とりあえず、王女殿下には早々にお引き取り願おうか」
「ええ、あとは陛下に忠告していただきましょう」
「それは知らない方がいいわ、最初に言った通り、あなたは私のことを話すことは出来ないのです。眠っている者たちも、何があったかすら分からない。話そうとすれば喉が締まり、息が出来なくなり、書こうとすれば腕が折れるようになっております。無理に続ければ、分かりますわよね?」
「っ!マージナル様はご存知なのですね、だから怖くてあなたに縛られている」
マージナル様と別れたいと言いながら、別れてくれないという優越感に浸っているのだ。やっぱり無理やり結婚させられたのだ。だから報復が怖くて、別れられない。それならば私を拒否する理由に説明が付く。私を傷付けないためなのだ。
「ふふふ、マージナル様は知りませんよ。あれは今のところ私の夫であるだけです」
「えっ、そんなはずないわ」
「どうして?」
「だから自分を拒否したのだと思っているの?私だから良かったものの、あなたは既婚者に言い寄ったのですよ?それなのに自分のため?都合のいいお話ですわね?恥ずかしくないの?」
「っ!でも眠らせたみたいに、言うことを聞かせているだけでしょう!」
「は?そんなことしないわ、最低の行為じゃない」
セナリアンは精神を操る術も使えるが、最も嫌っているため、余程でない限り使わない。いくら愚かでも考えを干渉すべきではないと考えている。
「でも!私が選んであげたのよ?私に相応しい人間なんて限られるの、それなのに」
「仕方ないこともあるものではないかしら?好きな相手でも結婚できないとか、好きな相手に別に好きな相手がいるとか、そんなこともあるでしょう?」
「私を皆が、美しいと言うのよ!だから、どんな相手だって喜ぶはずなの」
「事実ならマージナル様は喜んだはずよね?」
「だからそれがおかしいのよ!だから私に選ばれることは特別なの!」
「自分を特別っていうのは危険よ。もし、明日そのご自慢の顔が爛れたらどうするの?」
「そんなことはならないわ」
「特別だから?そんなこと分からないじゃない、爛れても、変わっても、一緒にいたいと思ってくれる人の方がいいと思わない?」
「それは…」
「まあ、いいわ。最後に一つだけ。私は夫のためにあなたを牽制した訳ではないの、お互いの国の民のためよ、分かってらっしゃるわよね?その高い自尊心で、国を揺るがされてはたまらないの」
先程の映像が思い出された。最後の私は汚い格好で、お前のせいでとゴミを投げつけられ、蹴られて、お前が死ねば良かったんだと言われて、泣くことしか出来なかった。でも諦められない気持ちもある。だって、私はずっと求められてきた側の人間なのだから。
「だったら、最後にもう一度だけマージナル様に会わせてください」
「ええ、どうぞ。頑張って頂戴」
指をパチンと鳴らし、大臣たちも動いており、どうやら術を終えたようだった。
「殿下、最後にマージナル様とお話する時間を与えてあげてください」
「どういうことだい?」
「想いを伝えたいそうよ、伝わっていないと思ってらっしゃるみたい」
「洗脳したりしていないだろうな」
「そんな無粋なことはしないわ」
大臣と侍女と護衛は何も無かったのように、そろそろ戻りましょうと話し掛けて来る。どういうことなのか、聞きたいがどうしてか声が出ない。
王女たちが部屋に戻り、二人きりとなったセナリアンとリスルート。映像は頭に流し込んだので、何が起こったのかは分からなかったため、セナリアンが流し込んだ未来を説明した。
「これは加虐だから、実際に起きたら、民を助けるわよ?」
「できてしまうということだな」
「おそらくね。一応、夫の後始末したということになるんでしょうね」
「マージナルはなんだろうな?」
「ええ、そんなにいいのかしら?それとも何かあるのかしら?」
「昔から人気はあったが…セナリアンはカルバンの方がいいかい?」
「ええ、間違いなくカルバン様がいいですわね」
セナリアンお気に入り殿下の側近であるカルバン・ロゾート。
「カルバンも優秀ではあるが」
「ええ、字もとても美しくて、所作がよろしいですわよね」
「字?どこで見たんだ?」
「ふふふ、カルバン様の奥様とね、仲良しなんですのよ?」
「そうだったのか、ならば心配はいらなかったんだな」
「どこぞの王女みたいに既婚者を奪うことはしませんわよ、素敵だと思うことくらいいいでしょう?あのくるくるとした髪の毛も愛らしいですわ」
カルバンは髪色は珍しくはないブラウンなのだが、くせ毛でくるくるとしており、本人は毎日違う、一度も髪型が決まったことがないというほどである。
「あんな美形がいるのに?」
「像にするにはいい顔立ちではありましたね」
「評価が酷い!」
「ふふふ、そうですわね、我が家は彫の深い顔立ちではないでしょう?私は領地にいることが多かったので、ルージエ家の顔立ちに好感を抱くのかもしれませんね」
「なるほど!カルバンは同じ系統だな、そうなるとマージナルは正反対だな」
「ええ、そうでしょう」
笑うと柔らかい子犬のような顔立ちのルージエ家(タヌキも含む)、猛禽類のようなキリリとした顔立ちのグロー家、相反する顔立ちである。
「とりあえず、王女殿下には早々にお引き取り願おうか」
「ええ、あとは陛下に忠告していただきましょう」
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