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第3話
身勝手な想いは暴力となる2(ヨバス王国)
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翌日、イリジム陛下はリザコット伯爵を呼び出し、念のためケイティ嬢の側には王宮医と騎士を側に付かせた。
「やっと決まりましたか」
リザコット伯爵は野心家ではない。我が娘を王太子妃になどと一度も考えたことはなかった。しかし妊娠したとなれば別である、いくら婚前交渉でも、王族の子を妊娠していることは誇らしかった。
陛下に直談判はしたが、周りに吹聴したり、騒ぎ立てたりはせず、婚前交渉が不利にならないように、動いてくれていると信じて待ち続けた。
「そなたらに憚った罰を与えなばならぬ。どうしてこのようなことをしたのだ?」
「仰っている意味が分かりません。経緯はどうであれ、娘のお腹には王太子殿下のお子がおるのですよ」
「本当にそうか、リザコット伯爵令嬢よ」
「本当です、あの夜、王太子殿下とそういう関係になったのです…」
「妊娠三ヶ月と聞いておるが」
「はい、そうです」
「間違いだったそうだ、のう?」
陛下は王宮医に目配せをした。
「えっ?」
側にいた王宮医が立ち上がり、一礼した。
「リザコット伯爵令嬢は現在、妊娠五ヶ月でございます」
「そんなはずはありません」
「いや、そなたは腹が出にくい質らしい。二ヶ月も誤差があるなど、本人は分かっておったのだろう?別の男の子を王太子の子だと憚ったと言うしかない」
「憚ってなどおりません、五ヶ月が間違いなのです」
「いや、確かな筋に調べてもらった。二ヶ月前に王太子と何かあったとしても、既に妊娠しておった。記憶の混濁も酷かった、王太子に何か飲ませたのだろう?」
「ケイティ?」
リザコット伯爵はまさかという気持ちになっていた。前提として、娘は初めての経験で妊娠したと思っていたからである。それが違うとしたら。娘に向かって、初めてだったのかと聞くことはなかった。
大人しく、真面目。それがケイティだったはずなのに。
「そもそもおかしいと思わぬか?護衛がいたのにも関わらず、部屋で一人で寝ていたはずが、起きたら一緒に寝ているなど」
「王太子殿下に誘われて、こっそり入ったと」
「違うであろう?王太子の部屋に勝手に忍び込んで、ずっと隠れておったのであろう?従者も護衛もそこまでは調べなかった」
「ケイティ?」
これはセナリアンの答えだった。見ていないのなら、ずっと殿下が来るまで部屋に忍び込んで、隠れていたのではないか。陛下はそれを聞いて、背筋が寒くなった。
ケイティは顔が上げられず、両手を握りしめながら、下を向いたまま震えていた。
「それが答えじゃの。父親も誰か分かっておる」
「誰なんですか」
「手当たり次第では無いのなら、本人が分かっておるだろう!本人に聞け」
「ケイティ!誰なんだ!」
「…」
「処罰は追って下す、下がれ」
「やっと決まりましたか」
リザコット伯爵は野心家ではない。我が娘を王太子妃になどと一度も考えたことはなかった。しかし妊娠したとなれば別である、いくら婚前交渉でも、王族の子を妊娠していることは誇らしかった。
陛下に直談判はしたが、周りに吹聴したり、騒ぎ立てたりはせず、婚前交渉が不利にならないように、動いてくれていると信じて待ち続けた。
「そなたらに憚った罰を与えなばならぬ。どうしてこのようなことをしたのだ?」
「仰っている意味が分かりません。経緯はどうであれ、娘のお腹には王太子殿下のお子がおるのですよ」
「本当にそうか、リザコット伯爵令嬢よ」
「本当です、あの夜、王太子殿下とそういう関係になったのです…」
「妊娠三ヶ月と聞いておるが」
「はい、そうです」
「間違いだったそうだ、のう?」
陛下は王宮医に目配せをした。
「えっ?」
側にいた王宮医が立ち上がり、一礼した。
「リザコット伯爵令嬢は現在、妊娠五ヶ月でございます」
「そんなはずはありません」
「いや、そなたは腹が出にくい質らしい。二ヶ月も誤差があるなど、本人は分かっておったのだろう?別の男の子を王太子の子だと憚ったと言うしかない」
「憚ってなどおりません、五ヶ月が間違いなのです」
「いや、確かな筋に調べてもらった。二ヶ月前に王太子と何かあったとしても、既に妊娠しておった。記憶の混濁も酷かった、王太子に何か飲ませたのだろう?」
「ケイティ?」
リザコット伯爵はまさかという気持ちになっていた。前提として、娘は初めての経験で妊娠したと思っていたからである。それが違うとしたら。娘に向かって、初めてだったのかと聞くことはなかった。
大人しく、真面目。それがケイティだったはずなのに。
「そもそもおかしいと思わぬか?護衛がいたのにも関わらず、部屋で一人で寝ていたはずが、起きたら一緒に寝ているなど」
「王太子殿下に誘われて、こっそり入ったと」
「違うであろう?王太子の部屋に勝手に忍び込んで、ずっと隠れておったのであろう?従者も護衛もそこまでは調べなかった」
「ケイティ?」
これはセナリアンの答えだった。見ていないのなら、ずっと殿下が来るまで部屋に忍び込んで、隠れていたのではないか。陛下はそれを聞いて、背筋が寒くなった。
ケイティは顔が上げられず、両手を握りしめながら、下を向いたまま震えていた。
「それが答えじゃの。父親も誰か分かっておる」
「誰なんですか」
「手当たり次第では無いのなら、本人が分かっておるだろう!本人に聞け」
「ケイティ!誰なんだ!」
「…」
「処罰は追って下す、下がれ」
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