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お花畑だった家族の真実10
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両手を縛られたキャリーヌが連行され、両親の姿を見付けて叫んだが、絶望した両親はキャリーヌの顔を冷静に見れなかった。
「っ…キャリーヌ…」
「キャリーヌ…」
キャリーヌを椅子に座らせて、国王夫妻が入室されると、一気に緊張感が高まった。キャリーヌもこのように近くで、国王夫妻を見るのは初めてである。
「国王陛下、誤解なんです!」
「黙れ、お前はマナーも出来ないことは分かっている。これ以上、罪が重たくなりたくなければ、話していいと言うまで黙っていろ」
ミラビット公爵がキャリーヌを睨み付けて、言い放った。
「っな」
「重くしたいか?」
キャリーヌは唇を噛み締めて、黙ることにした。
「キャリーヌ・ソアリは、私への虚偽により、偽証罪とする。実刑とし、オーバス侯爵家の慰謝料もあるそうだから、支払いが終わるまで労働刑とする」
「っな、お待ちください。私は病気で、労働なんて…無理です」
黙れと言われたはずのキャリーヌは、ここぞとばかりに声を上げた。
「薬を服用すればいいと、ソアリ伯爵家の侍医からも聞いているが?」
「そ、それは…でも発作が出たら」
「発作が出たら、休めばいいだろう。薬は伯爵夫妻が用意するか、自分で働いたお金で支払いなさい。働かなければ刑は終わらぬぞ」
「え…」
キャリーヌは、具合が悪いと言い続ければいいのではないかと思ったが、そうなれば刑が終わらないだけである。
「以上だ、何か質問はあるか?」
「…嫌です。私は両親を、家を守ろうと思って」
「だから、亡くなった姉を貶めてもいいと?」
「姉は、きっと喜んでくれると思います」
「そんなわけないだろう」
王妃は陛下の怒鳴るわけでもなく、冷え冷えした声に、相当怒っていると思いながら、こんな家で過ごしていたら、まともな人間が、まともではない感覚になるのではないかと思った。だが、皆、ベルアンジュは穏やかだったという。
死ぬことが怖くなかった、だから死期が迫っても、穏やかでいられたのかもしれない…そんな思いをさせていたなんて、私の責任でもあると、奥歯を噛み締めた。
「そんなこと、姉に聞いてみないと分からないじゃないですか」
「どうやって聞く?」
「私は妹だから、姉の気持ちが分かるから、そう思って書いただけなんです」
「お前は姉のことなら何でもわかるんだな?」
「勿論です」
「姉の亡くなった原因となった病名はなんだ?」
「…えっと、それは…」
キャリーヌは思わず両親を見たが、両親は陛下に盾突くキャリーヌをこんなに愚かだったのかと、呆然しており、放心状態であった。
キャリーヌにとって、国王陛下という名前の年上の男性という感覚しかなかった。
「何でも分かるというのも虚偽か?」
「えっと、それは…教えて貰っていなくて」
「興味もなく、聞く気もなかったのだろう?それが気持ちが分かる?喜んでくれる?ふざけるな!」
「っひぃぃ」
殺気立つ陛下に、さすがのキャリーヌも、震え上がった。
「刑は明日には執行する」
両陛下は蔑むような目で見つめた後で、部屋から出て行った。
残されたのは、キャリーヌ、チェイス、ノーマ、連行して来た騎士たち、そしてミラビット公爵となった。
「お父様!お母様!どうして助けてくれないの!」
両手を縛られているので、近付くことは出来ないので、大きな声で叫んだ。
「キャリーヌ…どうにもならない、きちんと罪を償いなさい」
「薬はしっかり服用するのよ」
ノーマは何もしてやれないが、せめて薬だけは送ろうと思った。
「どうにかならないの!お金、お金を払えば…」
「お金を払って、どうにかなる話ではない」
チェイスもノーマも、陛下から罰金ではなく、実刑となったことから、覆せるようなことではないことは理解している。
「そんな…でも払えば少しは…私は家のためにやったのよ!」
「親にまで嘘を付くな!男だろう!その男も、消えたがな」
「え…どういうことなの!」
「っ…キャリーヌ…」
「キャリーヌ…」
キャリーヌを椅子に座らせて、国王夫妻が入室されると、一気に緊張感が高まった。キャリーヌもこのように近くで、国王夫妻を見るのは初めてである。
「国王陛下、誤解なんです!」
「黙れ、お前はマナーも出来ないことは分かっている。これ以上、罪が重たくなりたくなければ、話していいと言うまで黙っていろ」
ミラビット公爵がキャリーヌを睨み付けて、言い放った。
「っな」
「重くしたいか?」
キャリーヌは唇を噛み締めて、黙ることにした。
「キャリーヌ・ソアリは、私への虚偽により、偽証罪とする。実刑とし、オーバス侯爵家の慰謝料もあるそうだから、支払いが終わるまで労働刑とする」
「っな、お待ちください。私は病気で、労働なんて…無理です」
黙れと言われたはずのキャリーヌは、ここぞとばかりに声を上げた。
「薬を服用すればいいと、ソアリ伯爵家の侍医からも聞いているが?」
「そ、それは…でも発作が出たら」
「発作が出たら、休めばいいだろう。薬は伯爵夫妻が用意するか、自分で働いたお金で支払いなさい。働かなければ刑は終わらぬぞ」
「え…」
キャリーヌは、具合が悪いと言い続ければいいのではないかと思ったが、そうなれば刑が終わらないだけである。
「以上だ、何か質問はあるか?」
「…嫌です。私は両親を、家を守ろうと思って」
「だから、亡くなった姉を貶めてもいいと?」
「姉は、きっと喜んでくれると思います」
「そんなわけないだろう」
王妃は陛下の怒鳴るわけでもなく、冷え冷えした声に、相当怒っていると思いながら、こんな家で過ごしていたら、まともな人間が、まともではない感覚になるのではないかと思った。だが、皆、ベルアンジュは穏やかだったという。
死ぬことが怖くなかった、だから死期が迫っても、穏やかでいられたのかもしれない…そんな思いをさせていたなんて、私の責任でもあると、奥歯を噛み締めた。
「そんなこと、姉に聞いてみないと分からないじゃないですか」
「どうやって聞く?」
「私は妹だから、姉の気持ちが分かるから、そう思って書いただけなんです」
「お前は姉のことなら何でもわかるんだな?」
「勿論です」
「姉の亡くなった原因となった病名はなんだ?」
「…えっと、それは…」
キャリーヌは思わず両親を見たが、両親は陛下に盾突くキャリーヌをこんなに愚かだったのかと、呆然しており、放心状態であった。
キャリーヌにとって、国王陛下という名前の年上の男性という感覚しかなかった。
「何でも分かるというのも虚偽か?」
「えっと、それは…教えて貰っていなくて」
「興味もなく、聞く気もなかったのだろう?それが気持ちが分かる?喜んでくれる?ふざけるな!」
「っひぃぃ」
殺気立つ陛下に、さすがのキャリーヌも、震え上がった。
「刑は明日には執行する」
両陛下は蔑むような目で見つめた後で、部屋から出て行った。
残されたのは、キャリーヌ、チェイス、ノーマ、連行して来た騎士たち、そしてミラビット公爵となった。
「お父様!お母様!どうして助けてくれないの!」
両手を縛られているので、近付くことは出来ないので、大きな声で叫んだ。
「キャリーヌ…どうにもならない、きちんと罪を償いなさい」
「薬はしっかり服用するのよ」
ノーマは何もしてやれないが、せめて薬だけは送ろうと思った。
「どうにかならないの!お金、お金を払えば…」
「お金を払って、どうにかなる話ではない」
チェイスもノーマも、陛下から罰金ではなく、実刑となったことから、覆せるようなことではないことは理解している。
「そんな…でも払えば少しは…私は家のためにやったのよ!」
「親にまで嘘を付くな!男だろう!その男も、消えたがな」
「え…どういうことなの!」
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