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お花畑だった家族の真実5
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「誰が対応をしたのですか」
「私と、王妃陛下が侍女を貸してくださいまして、同席して貰いました」
「それは良い判断だったと思います。どうやら、男好きだが、相手にされないという状態のようですから、言い寄られる可能性があります」
「ランバートは慣れているからな」
「慣れたくありませんよ」
ランバートは好きな女の子に好きになって貰えたので良かったが、それ以外に関しては、苦労の方が多いので、自身の風貌を自慢に思ったことはない。
「しかし、ロクでもない娘だな…」
「大丈夫ですよ、今、妙な男に引っ掛かっているようですから」
「そうなのか?」
ミラビット公爵は驚き、ランバートも渋い顔をした。
「ええ、自称オマー王国の人間で、色々な国を見るために、外遊していると言っているマックスという男です」
「自称ということは事実ではないのか」
「いえ、監視はしていますが、そこまで調べる理由がないのですよ」
次期にリオードとジュリがついにやって来る日が迫っており、ソアリ伯爵家の監視は続けていた。
だからと言って、もし詐欺や困ったことになっていても助ける気はない。本当にただ監視されているだけである。
「確かにそうだな。事実であろうが、事実ではなかろうが、万が一、どこかのお忍び高位貴族や王族だったとしても、キャリーヌは何も持っていない。欲しいなら持って行けばいいが、こちらは関与しないとすべきかもしれないな」
「はい…」
関わって道連れにされる方が、問題になるとしか思えない。お金もなければ、領地も既にほとんどなく、オーバス侯爵に慰謝料を待って貰っている状態である。
「男と遊んでいる場合ではないと思うが…全く理解不能だな。金持ちなら、払って貰えるかもしれないか?」
「すでに関係を持っているようですから、王族や高位貴族ということはないでしょう。子どもでも出来たら、面倒ですからね」
間違いなく、責任を取ってくれと迫って来るだろう。
「喘息だから、子どもは産めないと言っていなかったか?」
「あの娘は両親に言われて、両親は悪化することを危惧して、そう言っていただけようです。病弱売りの阿婆擦れと呼ばれていたようですが、今となっては病弱売りも出来ませんからね。ただの阿婆擦れですよ」
ミラビット公爵は、はあぁと大きく溜息を付いた。
「両親だけは、生活のために働いているようだが…」
「そうすべきだったことを、今更やっているだけですよ」
「追い込まれないと、自身の状態が見えないのだろうな。オーバス侯爵も、払えなかったら、あの娘に払わせるようにしたそうだから、両親も諦めざる得ない状況を待っているのかもしれないな」
これまでキャリーヌを優遇して来たが、自分たちを犠牲にしてまで、助けられる状況ではなくなっているのかもしれない。
「今回のことで、さらに首を絞めることになりそうですしね」
まだ誰が書いたかは分からない状態だが、ベルアンジュが書いた物ではない以上、ソアリ伯爵家が好転することはない。
ベルアンジュが書いていても、好転することはない。
そんな物を持って来たことに、キャリーヌはおそらく気付いてもいないと、ランバートは思っていた。
頼みの綱と言えば、そのマックスという男だろう。
キャリーヌを本当に気に入り、連れて逃げるのは慰謝料があるので不味いが、お金を払ってくれるならば、助かるかもしれない。
「ああ、調べてから、ソアリ伯爵家を呼び出す」
「はい、お願いします」
「そちらには報告だけでいいか?」
「はい、それで構いません」
どうなったかによって、マリクワン侯爵家の警戒をするくらいである。
「私と、王妃陛下が侍女を貸してくださいまして、同席して貰いました」
「それは良い判断だったと思います。どうやら、男好きだが、相手にされないという状態のようですから、言い寄られる可能性があります」
「ランバートは慣れているからな」
「慣れたくありませんよ」
ランバートは好きな女の子に好きになって貰えたので良かったが、それ以外に関しては、苦労の方が多いので、自身の風貌を自慢に思ったことはない。
「しかし、ロクでもない娘だな…」
「大丈夫ですよ、今、妙な男に引っ掛かっているようですから」
「そうなのか?」
ミラビット公爵は驚き、ランバートも渋い顔をした。
「ええ、自称オマー王国の人間で、色々な国を見るために、外遊していると言っているマックスという男です」
「自称ということは事実ではないのか」
「いえ、監視はしていますが、そこまで調べる理由がないのですよ」
次期にリオードとジュリがついにやって来る日が迫っており、ソアリ伯爵家の監視は続けていた。
だからと言って、もし詐欺や困ったことになっていても助ける気はない。本当にただ監視されているだけである。
「確かにそうだな。事実であろうが、事実ではなかろうが、万が一、どこかのお忍び高位貴族や王族だったとしても、キャリーヌは何も持っていない。欲しいなら持って行けばいいが、こちらは関与しないとすべきかもしれないな」
「はい…」
関わって道連れにされる方が、問題になるとしか思えない。お金もなければ、領地も既にほとんどなく、オーバス侯爵に慰謝料を待って貰っている状態である。
「男と遊んでいる場合ではないと思うが…全く理解不能だな。金持ちなら、払って貰えるかもしれないか?」
「すでに関係を持っているようですから、王族や高位貴族ということはないでしょう。子どもでも出来たら、面倒ですからね」
間違いなく、責任を取ってくれと迫って来るだろう。
「喘息だから、子どもは産めないと言っていなかったか?」
「あの娘は両親に言われて、両親は悪化することを危惧して、そう言っていただけようです。病弱売りの阿婆擦れと呼ばれていたようですが、今となっては病弱売りも出来ませんからね。ただの阿婆擦れですよ」
ミラビット公爵は、はあぁと大きく溜息を付いた。
「両親だけは、生活のために働いているようだが…」
「そうすべきだったことを、今更やっているだけですよ」
「追い込まれないと、自身の状態が見えないのだろうな。オーバス侯爵も、払えなかったら、あの娘に払わせるようにしたそうだから、両親も諦めざる得ない状況を待っているのかもしれないな」
これまでキャリーヌを優遇して来たが、自分たちを犠牲にしてまで、助けられる状況ではなくなっているのかもしれない。
「今回のことで、さらに首を絞めることになりそうですしね」
まだ誰が書いたかは分からない状態だが、ベルアンジュが書いた物ではない以上、ソアリ伯爵家が好転することはない。
ベルアンジュが書いていても、好転することはない。
そんな物を持って来たことに、キャリーヌはおそらく気付いてもいないと、ランバートは思っていた。
頼みの綱と言えば、そのマックスという男だろう。
キャリーヌを本当に気に入り、連れて逃げるのは慰謝料があるので不味いが、お金を払ってくれるならば、助かるかもしれない。
「ああ、調べてから、ソアリ伯爵家を呼び出す」
「はい、お願いします」
「そちらには報告だけでいいか?」
「はい、それで構いません」
どうなったかによって、マリクワン侯爵家の警戒をするくらいである。
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