【完結】あの子の代わり

野村にれ

文字の大きさ
24 / 73

同居する両親

しおりを挟む
 ベルーナにも、両親にも結婚したことを知らせ、父・イサードと母・マイルダが、こちらの邸に住んでもいいかとまで言い出した。

 しかも、二人が並んで座っていることにルイフォードは驚いた。いつの間にやら、夫婦仲まで良くなっていたのか?

「ルイフォードがいない間に、何かあったらいけないでしょう?」
「そうだ、私たちも何かしたいんだ」
「猫に会いたいと言っていたから、一緒に連れて来るわ」

 マイルダがベルアンジュに邸に猫が2匹いるのだと話し、盛り上がっていたことを思い出した。

「あちらはどうするんだ?」
「必要な時は、向こうに行くこともあるだろうから、そのままにしておくよ。私たちがいても居なくても、やることはそう変わりないからな」

 誰も住まないということは出来ないので、使用人はおり、掃除だって行われている。いないことで楽になるのは二人分の洗濯や食事くらいだろう。

「ベルアンジュに聞いてみて、いいと言うのなら…私はいいですが」
「それならもう許可を貰っているわ」
「は?」

 息子の方が後だったのか、ベルアンジュに直接聞けば、嫌だと言えるわけないじゃないか。

「猫ちゃんたちはは邸が変わって、大丈夫かしらって心配していたわ」

 すっかり猫に会えることを楽しみにしてしまっているではないか、許可するしかないではないか。

「分かったよ…」
「じゃあ、明日には必要な荷物を運んで来るよ」
「明日は忙しくなるわね、ベルアンジュに挨拶して、今日はもう帰るわ」

 手際がいいというか、既に手配しているではないか。

 翌日には意気揚々と運んで来て、家具などはないので、大掛かりというほどではないが、それなりの量はあった。

 ベルアンジュは猫じゃらしを片手に、邸を散策する2匹の猫に夢中になっている。

「ルル~ベベ~」

 ルルが白黒、ベベが白茶の猫である。

 ルイフォードも嬉しそうなベルアンジュの姿に、両親ではなく、猫だけで良かったのではないかとすら思った。

 マイルダが微笑みながら、見守っているルイフォードに声を掛けた。

「ルイフォード、運命だと思わない?」
「何が?」
「ルルとベベ、二人の名前の頭文字じゃない」
「あ、ああ…そうだな」
「こんなことは言いたくないけど、子どもの名前は…どうするの?」
「ベルアンジュに考えてもらいたいと思っているんだが」

 ルイフォードはちらりと、マイルダを見た。

「もしかして、私たちが反対するとでも思っているの?」
「口は出したいかと思って」
「二人に任せるわ、私たちは後方支援なんだから。遅いけど、シュリーはわざわざ知らせてはいないけど、出入り禁止にしたから、ごめんなさい…本当に」

 シュリーはルイフォードを襲った従妹である、当時13歳だったルイフォードに、服を脱ぎながら迫って来る17歳のシュリーは恐ろしかった。

 まだ背が伸びていなかったルイフォードには、体が強張ってしまい、シュリーを躱すことは出来なかった。身体を舐められたりはしたが、そこで使用人が気付いて止めてくれたので、事なきを得た。

 使用人は今でもシュリーを痴女と呼んでいる。

「もういいよ、ベルアンジュに出会うためだったと思えば、何だっていい」

 ベルアンジュは座り込んで、猫じゃらしを振っており、2匹が一生懸命、捕まえようとしている。楽しそうで何よりである。

 その夕食時は、いつも以上に賑やかであった。親子でこんなに明るい食事は初めてであった。ベルアンジュは、動物のいる生活は初めてで、とても楽しかった、明日も遊んでくれるかしらと嬉しそうに話していた。

 そして、ルイフォードは日課である、ベルアンジュにおやすみの挨拶に行った際に、子どもの名前のことを話すことにした。

 先延ばしにしている時間で後悔したくない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

mios
恋愛
「さあ、侯爵家に関係のない方は出て行ってくださる?」 父の死後、すぐに私は後妻とその娘を追い出した。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...