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お花畑に居座る妹
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パーティーに参加したキャリーヌは、今日も可愛い私とお話が出来る幸運な人たちに、声を掛けようかしらと、ウキウキであった。
「お話しましょうよ~」
「触れないでくれ」
「お話しませんかぁ~」
「触るな!向こうに行ってくれ」
腕にしがみついて、貧相な身体を擦り付けて来るので、気付かない内にどんどん距離を取る人が増えていった。
主催者もまた来た…と嫌な顔をするくらいである。
「んもう!男性は恥ずかしいがり屋、ばっかりねっ」
キャリーヌは勝手にルイフォードと結婚する気とはいえ、他の令息とも親しくなりたい気持ちを持っている。いわゆる、男好きと言っていいタイプだった。
だが、結局好みの令息に相手にされないキャリーヌは、見掛けることのあった令嬢たちの輪に、飛び込んだ。ここでも歓迎されていないのだが、騒いでも仕方ないので、皆もまたかと思うばかりだった。
「ルイフォード様は来ていないの?」
「お知り合いなの?」
「ええ、そうよ。皆様はお知り合いじゃないの?」
「えっ、ええ」
「そうなんだ~今日は来てないのかしら?」
病弱売りのくせに、身持ちが悪そうな令嬢だと言われ、知り合いでもないのだが、キャリーヌは自分だけが知り合いだという優越感に浸っていた。
ベルアンジュとの婚約は、ルイフォードの周りは知っているが、公にはまだ発表されていなかったので、知らない者も多い。
「私たちは知らないわ、お知り合いならご存知なのではなくて?」
その言葉にキャリーヌは、イラっとしたが、私は心の狭い女ではなくてよと穏やかに言い返すことにした。
「最近は会えていないから」
「え?もしかして、ルイフォード様と婚約されるのですか?」
「まだ言えないわよ~!でも私に優しくして、敬って置くべきだとは言えるわね」
「ああ…そうなのですね」
「後から後悔したくないでしょう?私は優しいから話したのよ?」
ふふんと言いながら、また別の令息の元へと向かって行った。残された4人の令嬢たちは、どういうことなのかと口々に言い出した。
「妄想じゃないの?」
「でも相手はマリクワン侯爵家よ?そんなこと言っていいの?」
「婚約は解消されたのは事実だそうだけど」
「でもわざわざ彼女を選ぶ理由がないでしょう?」
「あれでも病弱ですしね」
「私はもし婚約したとしても、仲良くしたくないわ」
「ええ、女性をあれだけ相手にしないのに、好みが彼女だったら、ルイフォード様の趣味を疑うわよね…」
「その通りよ、でも妄想か、都合のいい思い込みじゃない?」
間違いだろうと言うことで、答えを出した令嬢たちは、突撃しては怒られているキャリーヌを、いつも通り顔の筋肉を引き攣らせて見ていた。
「あれはないわ…」
皆で頷き合い、改めて気持ちを一致させた。
そんなことを思われているとは知らないキャリーヌは、令嬢ばかりで固まって恥ずかしい人たちと思っており、どうして令息と話さないのか疑問で仕方なかった。
待っていたら令息が声を掛けてくれると思っているのかしら、あの顔で?なんて思っているくらいだった。
キャリーヌは、怒られて、拒まれても、話したとカウントしており、酷い場合は知り合いだと思い込んでいる。
最初はどうして話してくれないのかと思っていたが、両親にキャリーヌに声を掛けられたら、嬉しくて照れてしまうのだよという言葉を信じているからである。
本来ならパーティーになど出席するべきではないのだが、キャリーヌも普通の令嬢のようなことをしたいということで、招待状がなくても参加が出来るパーティーにだけ参加している。
その時点で誘われていないということになるが、誰も誘いたくないとは両親も兄も分かっていない。
「お話しましょうよ~」
「触れないでくれ」
「お話しませんかぁ~」
「触るな!向こうに行ってくれ」
腕にしがみついて、貧相な身体を擦り付けて来るので、気付かない内にどんどん距離を取る人が増えていった。
主催者もまた来た…と嫌な顔をするくらいである。
「んもう!男性は恥ずかしいがり屋、ばっかりねっ」
キャリーヌは勝手にルイフォードと結婚する気とはいえ、他の令息とも親しくなりたい気持ちを持っている。いわゆる、男好きと言っていいタイプだった。
だが、結局好みの令息に相手にされないキャリーヌは、見掛けることのあった令嬢たちの輪に、飛び込んだ。ここでも歓迎されていないのだが、騒いでも仕方ないので、皆もまたかと思うばかりだった。
「ルイフォード様は来ていないの?」
「お知り合いなの?」
「ええ、そうよ。皆様はお知り合いじゃないの?」
「えっ、ええ」
「そうなんだ~今日は来てないのかしら?」
病弱売りのくせに、身持ちが悪そうな令嬢だと言われ、知り合いでもないのだが、キャリーヌは自分だけが知り合いだという優越感に浸っていた。
ベルアンジュとの婚約は、ルイフォードの周りは知っているが、公にはまだ発表されていなかったので、知らない者も多い。
「私たちは知らないわ、お知り合いならご存知なのではなくて?」
その言葉にキャリーヌは、イラっとしたが、私は心の狭い女ではなくてよと穏やかに言い返すことにした。
「最近は会えていないから」
「え?もしかして、ルイフォード様と婚約されるのですか?」
「まだ言えないわよ~!でも私に優しくして、敬って置くべきだとは言えるわね」
「ああ…そうなのですね」
「後から後悔したくないでしょう?私は優しいから話したのよ?」
ふふんと言いながら、また別の令息の元へと向かって行った。残された4人の令嬢たちは、どういうことなのかと口々に言い出した。
「妄想じゃないの?」
「でも相手はマリクワン侯爵家よ?そんなこと言っていいの?」
「婚約は解消されたのは事実だそうだけど」
「でもわざわざ彼女を選ぶ理由がないでしょう?」
「あれでも病弱ですしね」
「私はもし婚約したとしても、仲良くしたくないわ」
「ええ、女性をあれだけ相手にしないのに、好みが彼女だったら、ルイフォード様の趣味を疑うわよね…」
「その通りよ、でも妄想か、都合のいい思い込みじゃない?」
間違いだろうと言うことで、答えを出した令嬢たちは、突撃しては怒られているキャリーヌを、いつも通り顔の筋肉を引き攣らせて見ていた。
「あれはないわ…」
皆で頷き合い、改めて気持ちを一致させた。
そんなことを思われているとは知らないキャリーヌは、令嬢ばかりで固まって恥ずかしい人たちと思っており、どうして令息と話さないのか疑問で仕方なかった。
待っていたら令息が声を掛けてくれると思っているのかしら、あの顔で?なんて思っているくらいだった。
キャリーヌは、怒られて、拒まれても、話したとカウントしており、酷い場合は知り合いだと思い込んでいる。
最初はどうして話してくれないのかと思っていたが、両親にキャリーヌに声を掛けられたら、嬉しくて照れてしまうのだよという言葉を信じているからである。
本来ならパーティーになど出席するべきではないのだが、キャリーヌも普通の令嬢のようなことをしたいということで、招待状がなくても参加が出来るパーティーにだけ参加している。
その時点で誘われていないということになるが、誰も誘いたくないとは両親も兄も分かっていない。
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