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両親への提案1
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「子どもなんて、あの時の不快感が甦って、考えるだけでも嫌だった。でもベルアンジュとなら、嬉しい気持ちになれた」
「本当に後継者を降りるのですか?」
「ああ、そのつもりだよ。私は他の誰かと結婚して、子どもを作るなんて…もう考えられない。親戚に譲るつもりだよ」
ベルアンジュもマリクワン侯爵家には、子どもがルイフォードしかいないことを知っている。
「あなたの本当に未来になるのですか?」
「ああ…だが、君が嫌ならそれでいい」
「でも、ご両親は?ベルーナはどうなるのです?」
「それについては説得する」
「誰も傷付かず、皆が納得するのならば、私は了承します」
感傷的になっているとしても、誰も傷付かず、皆が納得するなんてことが、出来るはずはないという意味を込めて伝えた。
「分かった」
ルイフォードは、両親に先触れを出して、話をしに向かい、ベルーナはそのままホテルに滞在することになった。
人として間違っているのも、分かっている。
ベルアンジュとの子どもが欲しいという気持ちも勿論あるが、ベルアンジュの希望になって、一日でも長く生きたい、生きていたいと思って欲しかった。
そのためなら何でもしたい。
私は上手くいってもいかなくても、両親に全てを話そうと決めた。ルイフォードとは、別の邸に住む両親。
「何かあったのか?」
「どうしたの?」
当たり前の様に別のソファに座る、両親であるマリックスとオリーラ。隣にいるのはパーティーの時だけだろう。
「お二人は後継者が必要だと思っているのですよね?」
「ああ、勿論だ。血を繋ぐことが貴族の義務だからな」
「ベルアンジュはNN病です」
「っな」
「本当なの?」
ルイフォードに興味もなければ、ベルアンジュにも興味のなさそうだった両親も驚きを隠せなかった。
「私は最期まで婚約者でいようと思っています」
「それはいいが…その後は新しい人を迎えなければならないぞ」
「それは出来ません」
「それは通らない。後継者が必要だとお前も言っただろう?」
「私は13歳の時、従姉のシュリーに襲われそうになりました」
「何ですって!」
シュリーは母の妹の娘である。当時、17歳であった。
「使用人が気付いてくれたことで、助かりましたが…女性が苦手になりました。パーソナルスペースに入るだけで、体が構えてしまう。当時は怖いという感情でしたが、成長してからは嫌悪に変わりました」
「どうして言わなかったの…」
「二人に話して、蔑まれたら、お前にも隙があったなどと言われたら、耐えられないと思ったからです」
用事がある時にしか関わりのない、両親に13歳だったこともあり、恥ずかしい気持ちもあったが、寄り添ってくれるとも思えなかった。
「そんなこと言うわけないじゃない!シュリーは許さないわ」
シュリーは一度嫁いだが、不貞で出戻っている。
「私にとって、二人は信用の置ける相手ではなかった。使用人に事情を話して、黙っていてもらいました。お金で手引きをした使用人は追い出しましたが」
「それはトラウマになったかもしれないが、後継者とは話が別だ」
「同じです。私は後継者は降ります。養子でも迎えてください」
「っな」
「ただ、一つ提案があります」
「言ってみなさい」
ルイフォードは馬鹿ではない、何か意味があるのだろうと思った。
「元婚約者、ベルーナが体外受精で、ベルアンジュと私の子どもを産みたいと言ってくれています」
「はあ?」
「体外受精ですって?」
マリックスは流石に予想すら出来なかった。てっきり、結婚だけはさせて欲しいとでも言うのかと思った。
「そんなこと許可できない」
「ベルアンジュは死ぬことを待っているだけの状態です。したいことも、会いたい人も、欲しい物も、食べたい物もない。何もないのです。私は…彼女に生きていて良かったと思って欲しいのです」
「本当に後継者を降りるのですか?」
「ああ、そのつもりだよ。私は他の誰かと結婚して、子どもを作るなんて…もう考えられない。親戚に譲るつもりだよ」
ベルアンジュもマリクワン侯爵家には、子どもがルイフォードしかいないことを知っている。
「あなたの本当に未来になるのですか?」
「ああ…だが、君が嫌ならそれでいい」
「でも、ご両親は?ベルーナはどうなるのです?」
「それについては説得する」
「誰も傷付かず、皆が納得するのならば、私は了承します」
感傷的になっているとしても、誰も傷付かず、皆が納得するなんてことが、出来るはずはないという意味を込めて伝えた。
「分かった」
ルイフォードは、両親に先触れを出して、話をしに向かい、ベルーナはそのままホテルに滞在することになった。
人として間違っているのも、分かっている。
ベルアンジュとの子どもが欲しいという気持ちも勿論あるが、ベルアンジュの希望になって、一日でも長く生きたい、生きていたいと思って欲しかった。
そのためなら何でもしたい。
私は上手くいってもいかなくても、両親に全てを話そうと決めた。ルイフォードとは、別の邸に住む両親。
「何かあったのか?」
「どうしたの?」
当たり前の様に別のソファに座る、両親であるマリックスとオリーラ。隣にいるのはパーティーの時だけだろう。
「お二人は後継者が必要だと思っているのですよね?」
「ああ、勿論だ。血を繋ぐことが貴族の義務だからな」
「ベルアンジュはNN病です」
「っな」
「本当なの?」
ルイフォードに興味もなければ、ベルアンジュにも興味のなさそうだった両親も驚きを隠せなかった。
「私は最期まで婚約者でいようと思っています」
「それはいいが…その後は新しい人を迎えなければならないぞ」
「それは出来ません」
「それは通らない。後継者が必要だとお前も言っただろう?」
「私は13歳の時、従姉のシュリーに襲われそうになりました」
「何ですって!」
シュリーは母の妹の娘である。当時、17歳であった。
「使用人が気付いてくれたことで、助かりましたが…女性が苦手になりました。パーソナルスペースに入るだけで、体が構えてしまう。当時は怖いという感情でしたが、成長してからは嫌悪に変わりました」
「どうして言わなかったの…」
「二人に話して、蔑まれたら、お前にも隙があったなどと言われたら、耐えられないと思ったからです」
用事がある時にしか関わりのない、両親に13歳だったこともあり、恥ずかしい気持ちもあったが、寄り添ってくれるとも思えなかった。
「そんなこと言うわけないじゃない!シュリーは許さないわ」
シュリーは一度嫁いだが、不貞で出戻っている。
「私にとって、二人は信用の置ける相手ではなかった。使用人に事情を話して、黙っていてもらいました。お金で手引きをした使用人は追い出しましたが」
「それはトラウマになったかもしれないが、後継者とは話が別だ」
「同じです。私は後継者は降ります。養子でも迎えてください」
「っな」
「ただ、一つ提案があります」
「言ってみなさい」
ルイフォードは馬鹿ではない、何か意味があるのだろうと思った。
「元婚約者、ベルーナが体外受精で、ベルアンジュと私の子どもを産みたいと言ってくれています」
「はあ?」
「体外受精ですって?」
マリックスは流石に予想すら出来なかった。てっきり、結婚だけはさせて欲しいとでも言うのかと思った。
「そんなこと許可できない」
「ベルアンジュは死ぬことを待っているだけの状態です。したいことも、会いたい人も、欲しい物も、食べたい物もない。何もないのです。私は…彼女に生きていて良かったと思って欲しいのです」
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