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理解不能な縁談
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両親から呼ばれて聞かされた話は、結婚を控えていた、従姉妹であるベルーナ・バスチャン伯爵令嬢が病気になり、療養しているという。
病気だとは聞いたことがなかったので、素直に驚いた。
ベルーナは父の妹の娘に当たる。
昔は親族がよく集まっていたので親しくしていたが、現在は私の母とベルーナの母の相性が悪いせいで、あまり顔を見る機会すらない状態だった。
結婚を前に病気になるとは可哀想だとは思ったが、ただその次に発せられた言葉は、いつも理不尽な両親だが、それを加味しても意味不明な言葉であった。
「だから、ベルーナの代わりに嫁ぐんだ」
「はい?」
「2人は同い年で、よく似ているし、ベルーナとベルアンジュと名前も似ている」
「結婚を伸ばせば、いいではないですか」
従姉は私と同じ17歳だが、結婚を待てない理由にはならないのではないか。病気だからと切り捨てる方が問題ではないか。
「伸ばすことは出来ないそうだ」
「病気なんですよね?それなのに待てないんですか?」
「お相手のルイフォード・マリクワン侯爵令息は、結婚の際に爵位を譲渡することになっているそうだ」
「結婚だけして療養すればいいじゃないですか、情けもないのですか」
どのような病気かは分からないが、もしも妹の婚約者だったならば、両親は結婚して療養させて欲しいと、絶対にそう言っただろう。
そこまで非常な人間なのだろうか、だから妹ではなく、私を婚約者にということなのかもしれない。
「ベルーナは深刻な病気なのですか?」
「詳しくは教えて貰っていないが、療養というのだからすぐに治るものではないのだろう。可哀想だがな、だからお前は大人しく嫁げばいい」
「そもそもお相手は納得しているのですか?婚約していたのでしょう?それが別人に変わってどうなるのです、ベルーナも納得しないでしょう」
「ベルーナもマリクワン侯爵令息も納得しているから大丈夫だ」
誰でもいいからということなのか、余程早く爵位を継ぎたいのか、そんな相手ならベルーナは結婚しなくて正解だったのかもしれない。
それとも親族に療養するような相手では、駄目だと言われたのかもしれない。
「療養は長く掛かるのですか?」
「知らんと言っているんだろう!お前は健康だから、そんなことが言えるんだ!だからキャリーヌにも優しく出来ぬのであろう」
言っていることが支離滅裂であるが、これはいつも通りである。
キャリーヌはベルアンジュの妹で、体が弱いためにキャリーヌの都合で、全てが決まると言っても過言ではない家庭が出来上がっている。嫡男である兄もいるが同様にキャリーヌを庇う。
「なぜキャリーヌのことが出て来るのです」
「お前はそうやって」
「あなたには勿体ないほどの、よい縁談なのですよ。ベルーナも辛いことなんですから、どうして分かってあげられないの?」
そう言いながらも、母はベルーナの婚約がなくなって、ベルーナの母に勝った気にでもなっているのだろう。
「いつなのですか、結婚は」
「一年後だ。お前なんかが、ありがたいと思って嫁げばいい」
「分かりました…」
最近はベルーナに会うことはなかった。婚約したことも知らなかったくらいだ。
私に婚約者がいないのもキャリーヌのためであった。
両親の理由としては、キャリーヌは縁談が持ち込まれても、病弱で婚約を結べないのに、私にだけ婚約者がいたら悲しむだろうということらしい。
同様に学園にも、兄は通ったのに、キャリーヌは通うことは出来ないだろうから、可哀想だろうと通わせて貰えなかった。
しかし今回は受けざる得なかったのだろう。我が家はキャリーヌの治療費のことで、ベルーナのバスチャン伯爵家に援助をして貰っている。おそらくそのことで、何らかの取引があったのだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
またも酷い親に、姉妹格差のお話ですが、
あまり長くならない予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
病気だとは聞いたことがなかったので、素直に驚いた。
ベルーナは父の妹の娘に当たる。
昔は親族がよく集まっていたので親しくしていたが、現在は私の母とベルーナの母の相性が悪いせいで、あまり顔を見る機会すらない状態だった。
結婚を前に病気になるとは可哀想だとは思ったが、ただその次に発せられた言葉は、いつも理不尽な両親だが、それを加味しても意味不明な言葉であった。
「だから、ベルーナの代わりに嫁ぐんだ」
「はい?」
「2人は同い年で、よく似ているし、ベルーナとベルアンジュと名前も似ている」
「結婚を伸ばせば、いいではないですか」
従姉は私と同じ17歳だが、結婚を待てない理由にはならないのではないか。病気だからと切り捨てる方が問題ではないか。
「伸ばすことは出来ないそうだ」
「病気なんですよね?それなのに待てないんですか?」
「お相手のルイフォード・マリクワン侯爵令息は、結婚の際に爵位を譲渡することになっているそうだ」
「結婚だけして療養すればいいじゃないですか、情けもないのですか」
どのような病気かは分からないが、もしも妹の婚約者だったならば、両親は結婚して療養させて欲しいと、絶対にそう言っただろう。
そこまで非常な人間なのだろうか、だから妹ではなく、私を婚約者にということなのかもしれない。
「ベルーナは深刻な病気なのですか?」
「詳しくは教えて貰っていないが、療養というのだからすぐに治るものではないのだろう。可哀想だがな、だからお前は大人しく嫁げばいい」
「そもそもお相手は納得しているのですか?婚約していたのでしょう?それが別人に変わってどうなるのです、ベルーナも納得しないでしょう」
「ベルーナもマリクワン侯爵令息も納得しているから大丈夫だ」
誰でもいいからということなのか、余程早く爵位を継ぎたいのか、そんな相手ならベルーナは結婚しなくて正解だったのかもしれない。
それとも親族に療養するような相手では、駄目だと言われたのかもしれない。
「療養は長く掛かるのですか?」
「知らんと言っているんだろう!お前は健康だから、そんなことが言えるんだ!だからキャリーヌにも優しく出来ぬのであろう」
言っていることが支離滅裂であるが、これはいつも通りである。
キャリーヌはベルアンジュの妹で、体が弱いためにキャリーヌの都合で、全てが決まると言っても過言ではない家庭が出来上がっている。嫡男である兄もいるが同様にキャリーヌを庇う。
「なぜキャリーヌのことが出て来るのです」
「お前はそうやって」
「あなたには勿体ないほどの、よい縁談なのですよ。ベルーナも辛いことなんですから、どうして分かってあげられないの?」
そう言いながらも、母はベルーナの婚約がなくなって、ベルーナの母に勝った気にでもなっているのだろう。
「いつなのですか、結婚は」
「一年後だ。お前なんかが、ありがたいと思って嫁げばいい」
「分かりました…」
最近はベルーナに会うことはなかった。婚約したことも知らなかったくらいだ。
私に婚約者がいないのもキャリーヌのためであった。
両親の理由としては、キャリーヌは縁談が持ち込まれても、病弱で婚約を結べないのに、私にだけ婚約者がいたら悲しむだろうということらしい。
同様に学園にも、兄は通ったのに、キャリーヌは通うことは出来ないだろうから、可哀想だろうと通わせて貰えなかった。
しかし今回は受けざる得なかったのだろう。我が家はキャリーヌの治療費のことで、ベルーナのバスチャン伯爵家に援助をして貰っている。おそらくそのことで、何らかの取引があったのだろう。
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お読みいただきありがとうございます。
またも酷い親に、姉妹格差のお話ですが、
あまり長くならない予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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