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無力感
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「正直、絵姿の方が魅力的で美しい」
「っな!それは絵だからで」
「だから、誰もあの絵姿のシトリンを、彼女がモデルだなんて認めていないということだよ」
「っな」
モデルではないことは良いことだが、絵姿よりも劣っていると言われると、シルヴァルは不愉快な気持ちになった。
「ん?誰もとはどういう意味だ?」
「彼女があの絵姿に似ていると噂にはなっていたそうだ」
「噂に?だから、アビルが…」
「アビル?」
「あの絵姿はアビルから貰ったんだ。私を馬鹿にするために持って来たようだが」
「アビルも知っているのか?」
「学園で親しくしていたのは、見られていたようだ」
一時の遊びにしては長いと思っていたが、学園の頃から付き合いがあったのか。
ジラードも同級生ではあるが、記憶にもない相手だった。
「同級生か?」
「いや、二つ年上だ…」
「年上だったのか…」
チェルシーは年下か、訳アリの年上だと考えていたが、実は訳アリの年上の方であった。チェルシーとシルヴァルとジラードは24の年だが、キャローズだけは26の年であった。
ジラードは見た目が若いとは思っていなかったが、拙さで若いのだろうと判断していた。
「お前に勝ち目はない。似ているけど違うという判断だった。私もそう思った」
「だが!あんな姿で、モデルではないのなら失礼じゃないか!」
「万が一にもモデルにしていたとしても、本人ではない。殿下にしてみれば、会ったこともない平民だろう?殿下相手にモデルだと証明が出来るのか?」
「それは…」
「出来ないだろう?似ている?だから何だ?で、終わりなら良い方だぞ」
「だが、殿下がなぜあんなことを」
オディオンルイ殿下が、あのような商売をする理由がない。
「面白いからじゃないか、禁止されているようなことではないし、絵姿ではないか。間違っても人に言うなよ?」
「分かっている」
「似ていただけだろう?」
ジラードはそういえばと、引っ掛かりを感じた。
「待てよ、彼女はモデルをしていたと言っていたのだよな?」
「ああ」
「だが、モデルなどいない。殿下には会ったこともないだろう?ならば、何のモデルをしているんだ?その姿を見たのかもしれないな」
「怖くて…何も聞いていない」
シルヴァルにとって、キャローズは控えめで、弁えた女性であった。だからこそ、裏ではあんな仕事をしていたのかと、怖くなったのである。
「モデルに知り合いがいるから、聞いてみよう」
「ああ…」
「これからも、愛人にして置くのか?」
「いや、あんな仕事をしているのならと思っていたが…」
「ちゃんと考えた方がいい。シルヴァルは私とは違うのだから」
また連絡するとジラードは、シルヴァルを見送った。
ジラードはキャローズの名前を改めて聞き、絵姿からモデルの知り合いをあったが、誰も見たこともないと言う。
モデルから仕事が少ないなら、事務所に聞いた方がいいのではないかと言われて、キャローズの登録しているベアーラのモデル事務所に辿り着くことが出来た。
そこでキャローズが、登録だけしているが、仕事は一度もまだないという話を聞くことになった。
「仕事は一度もしていないのだな?」
「ええ、指名がありませんので…ですが、本人は自信があるようでした」
ジラードは絵姿に似ていると、多少噂になったこと、そしてシトリンの初期の服を着ている絵姿を見せると、ベアーラは頷いた。
「何度もモデルに間違われていると言っておりましたが、絵姿に似ていたのですね…」
ベアーラはキャローズの姿に手を止める者もいたが、もしかしたらそういう理由だったのかもしれないと考えた。
「似ていると思うか?」
「顔だけは似てはいますね。このことは、本人は知らないのですよね?」
「ああ、まだ言わないでくれるか」
シルヴァルがキャローズとどうするかによっては、面倒事を起こし兼ねないために、まだ知らせない方がいいだろうと判断した。
「っな!それは絵だからで」
「だから、誰もあの絵姿のシトリンを、彼女がモデルだなんて認めていないということだよ」
「っな」
モデルではないことは良いことだが、絵姿よりも劣っていると言われると、シルヴァルは不愉快な気持ちになった。
「ん?誰もとはどういう意味だ?」
「彼女があの絵姿に似ていると噂にはなっていたそうだ」
「噂に?だから、アビルが…」
「アビル?」
「あの絵姿はアビルから貰ったんだ。私を馬鹿にするために持って来たようだが」
「アビルも知っているのか?」
「学園で親しくしていたのは、見られていたようだ」
一時の遊びにしては長いと思っていたが、学園の頃から付き合いがあったのか。
ジラードも同級生ではあるが、記憶にもない相手だった。
「同級生か?」
「いや、二つ年上だ…」
「年上だったのか…」
チェルシーは年下か、訳アリの年上だと考えていたが、実は訳アリの年上の方であった。チェルシーとシルヴァルとジラードは24の年だが、キャローズだけは26の年であった。
ジラードは見た目が若いとは思っていなかったが、拙さで若いのだろうと判断していた。
「お前に勝ち目はない。似ているけど違うという判断だった。私もそう思った」
「だが!あんな姿で、モデルではないのなら失礼じゃないか!」
「万が一にもモデルにしていたとしても、本人ではない。殿下にしてみれば、会ったこともない平民だろう?殿下相手にモデルだと証明が出来るのか?」
「それは…」
「出来ないだろう?似ている?だから何だ?で、終わりなら良い方だぞ」
「だが、殿下がなぜあんなことを」
オディオンルイ殿下が、あのような商売をする理由がない。
「面白いからじゃないか、禁止されているようなことではないし、絵姿ではないか。間違っても人に言うなよ?」
「分かっている」
「似ていただけだろう?」
ジラードはそういえばと、引っ掛かりを感じた。
「待てよ、彼女はモデルをしていたと言っていたのだよな?」
「ああ」
「だが、モデルなどいない。殿下には会ったこともないだろう?ならば、何のモデルをしているんだ?その姿を見たのかもしれないな」
「怖くて…何も聞いていない」
シルヴァルにとって、キャローズは控えめで、弁えた女性であった。だからこそ、裏ではあんな仕事をしていたのかと、怖くなったのである。
「モデルに知り合いがいるから、聞いてみよう」
「ああ…」
「これからも、愛人にして置くのか?」
「いや、あんな仕事をしているのならと思っていたが…」
「ちゃんと考えた方がいい。シルヴァルは私とは違うのだから」
また連絡するとジラードは、シルヴァルを見送った。
ジラードはキャローズの名前を改めて聞き、絵姿からモデルの知り合いをあったが、誰も見たこともないと言う。
モデルから仕事が少ないなら、事務所に聞いた方がいいのではないかと言われて、キャローズの登録しているベアーラのモデル事務所に辿り着くことが出来た。
そこでキャローズが、登録だけしているが、仕事は一度もまだないという話を聞くことになった。
「仕事は一度もしていないのだな?」
「ええ、指名がありませんので…ですが、本人は自信があるようでした」
ジラードは絵姿に似ていると、多少噂になったこと、そしてシトリンの初期の服を着ている絵姿を見せると、ベアーラは頷いた。
「何度もモデルに間違われていると言っておりましたが、絵姿に似ていたのですね…」
ベアーラはキャローズの姿に手を止める者もいたが、もしかしたらそういう理由だったのかもしれないと考えた。
「似ていると思うか?」
「顔だけは似てはいますね。このことは、本人は知らないのですよね?」
「ああ、まだ言わないでくれるか」
シルヴァルがキャローズとどうするかによっては、面倒事を起こし兼ねないために、まだ知らせない方がいいだろうと判断した。
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