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私の恋、あなたの愛
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ルノーは力にはなれないと、ルーカンとマリアを追い返そうとしたが、シエルは子どもたちはフロランツア侯爵家に行っている時だったので、見届けてあげましょうと招き入れた。
カッカしている二人にお茶を出すと、シエルはルノーに詰め寄る二人の視線から外れる席に座った。
「お前には分からないだろうが、ソフィーを説得して欲しい」
「そうよ、母親でしょう?」
「なぜ私がしなければならないのですか?」
「私たちは仲良くやっていたのよ!」「そうだ」
答えにすらなっていない、こんな話を出来る相手がおらず、子どもにまで頼って来たのだろう。
「だったら、どうしてこんなことになったのですか?」
「あ、あなたが番と結婚しないからよ!」「そうだ」
マリアの腰巾着のようなルーカンが父親だと思うと、恥ずかしくなった。
「私が番と結婚していたら、母は言い出さなかったと言いたいのですか?」
「そうよ!当たり前じゃない、番と言うのは一生なの!崇高で尊い存在なの!」
マリアは番をよく崇高で尊い存在だと言っていたことを思い出した。この人はあの頃から、良くも悪くも、何も変わっていないのだろう。
「ルリアーナもそうではありませんか」
「あの子は頑固だから」
マリアはルリアーナを説得どころか、きっと話も聞いて貰えなかったのだろう。気色の悪い母親だとよく言っていた。
「母が自分が受け入れれば纏まるからと、我慢していたとは思わないのですか?」
「はあ?そんなことあり得ないわ、子どもだっているのよ!」
「子どもも納得していると聞いています」
「そ、それは…」
娘も理解してくれていると、母が話していたのだろう。娘に関しては、この二人は完全に部外者である。
「私も好きにすればいいというか、今まで好きにして来たのはあなたたちの方ではありませんか?今さら、頼って来られても困ります」
自分たちを正当化して、ここまで生きて来たのだから、これからも自分たちで責任を取ればいい。
好き合っていても、別れるということはあることだろう。番はそれが当てはまらないと思っているのは、間違いではないか。
「デビットが可哀想じゃない」
「マリア夫人が、サンドール侯爵と父を愛してあげればいいのでは?」
「はあ?」「何を言っている!」
ルーカンは立ち上がってまで怒鳴り、番っぽいなと冷めた目で見つめた。
「あの時、母が受け入れなかったら、そうなっていたかもしれないじゃないですか」
「っな」
「違いますか?母は受け入れられないから、父とは離縁するけど、サンドール侯爵とは結婚しない。そうなっていたら?どうなっていたと思いますか?」
「そんなことあり得ないのだから、考えたこともないわ」「そうだ」
もしかしたらだが、母は四人の中で一番爵位も低いため、成り立つように誘導、いや、脅されたのかもしれない。
「では考えて、答えてください」
「…お互いが離縁したでしょうね、それで私はルーカンと結婚して、デビットは…辛い思いをしたでしょうね」
「そうですね、そして、あなたたちは結婚は出来ても、貴族ではなくなった」
「っあ、それは…」
それが四人で成り立たせようとした、一番の理由だろう。
「私はお二人が平民になって、サンドール侯爵は辛いかもしれないが、侯爵家に残り、ルリアーナとマリオスを育て、後を継ぎ、母は離縁はしたが、後継者の私を育てるために、そのままウィロー伯爵家に残る。この方が余程、良かったと思います」
サンドール侯爵家は、侯爵が長い間体調を崩しており、デビットをサンドール侯爵と呼んではいるが、まだルリアーナが継いでいないだけで、正確には侯爵代理の状態である。そして、近い内にルリアーナに代わることだろう。
二人は言い返す言葉がないのか、黙ったまま、渋い顔をしていた。
「今、その時が来たのですよ。もういいじゃないですか」
「シ、シエルさんは」
マリアはちょうど目の合った、シエルに助けを求めようとした。一番求めていけない相手であることを、忘れているのか。
しかも、ルノーを訪ねたと知ったソフィーがやって来た。
カッカしている二人にお茶を出すと、シエルはルノーに詰め寄る二人の視線から外れる席に座った。
「お前には分からないだろうが、ソフィーを説得して欲しい」
「そうよ、母親でしょう?」
「なぜ私がしなければならないのですか?」
「私たちは仲良くやっていたのよ!」「そうだ」
答えにすらなっていない、こんな話を出来る相手がおらず、子どもにまで頼って来たのだろう。
「だったら、どうしてこんなことになったのですか?」
「あ、あなたが番と結婚しないからよ!」「そうだ」
マリアの腰巾着のようなルーカンが父親だと思うと、恥ずかしくなった。
「私が番と結婚していたら、母は言い出さなかったと言いたいのですか?」
「そうよ!当たり前じゃない、番と言うのは一生なの!崇高で尊い存在なの!」
マリアは番をよく崇高で尊い存在だと言っていたことを思い出した。この人はあの頃から、良くも悪くも、何も変わっていないのだろう。
「ルリアーナもそうではありませんか」
「あの子は頑固だから」
マリアはルリアーナを説得どころか、きっと話も聞いて貰えなかったのだろう。気色の悪い母親だとよく言っていた。
「母が自分が受け入れれば纏まるからと、我慢していたとは思わないのですか?」
「はあ?そんなことあり得ないわ、子どもだっているのよ!」
「子どもも納得していると聞いています」
「そ、それは…」
娘も理解してくれていると、母が話していたのだろう。娘に関しては、この二人は完全に部外者である。
「私も好きにすればいいというか、今まで好きにして来たのはあなたたちの方ではありませんか?今さら、頼って来られても困ります」
自分たちを正当化して、ここまで生きて来たのだから、これからも自分たちで責任を取ればいい。
好き合っていても、別れるということはあることだろう。番はそれが当てはまらないと思っているのは、間違いではないか。
「デビットが可哀想じゃない」
「マリア夫人が、サンドール侯爵と父を愛してあげればいいのでは?」
「はあ?」「何を言っている!」
ルーカンは立ち上がってまで怒鳴り、番っぽいなと冷めた目で見つめた。
「あの時、母が受け入れなかったら、そうなっていたかもしれないじゃないですか」
「っな」
「違いますか?母は受け入れられないから、父とは離縁するけど、サンドール侯爵とは結婚しない。そうなっていたら?どうなっていたと思いますか?」
「そんなことあり得ないのだから、考えたこともないわ」「そうだ」
もしかしたらだが、母は四人の中で一番爵位も低いため、成り立つように誘導、いや、脅されたのかもしれない。
「では考えて、答えてください」
「…お互いが離縁したでしょうね、それで私はルーカンと結婚して、デビットは…辛い思いをしたでしょうね」
「そうですね、そして、あなたたちは結婚は出来ても、貴族ではなくなった」
「っあ、それは…」
それが四人で成り立たせようとした、一番の理由だろう。
「私はお二人が平民になって、サンドール侯爵は辛いかもしれないが、侯爵家に残り、ルリアーナとマリオスを育て、後を継ぎ、母は離縁はしたが、後継者の私を育てるために、そのままウィロー伯爵家に残る。この方が余程、良かったと思います」
サンドール侯爵家は、侯爵が長い間体調を崩しており、デビットをサンドール侯爵と呼んではいるが、まだルリアーナが継いでいないだけで、正確には侯爵代理の状態である。そして、近い内にルリアーナに代わることだろう。
二人は言い返す言葉がないのか、黙ったまま、渋い顔をしていた。
「今、その時が来たのですよ。もういいじゃないですか」
「シ、シエルさんは」
マリアはちょうど目の合った、シエルに助けを求めようとした。一番求めていけない相手であることを、忘れているのか。
しかも、ルノーを訪ねたと知ったソフィーがやって来た。
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