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私の恋、あなたの愛

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「どうしたいんだ?付き合いたいかも分からず、番だとは言いたくないんじゃないのか?ただ分かっているのは、他の男に取られたくないだけか?」
「そうだな、正直、彼女に触れている男に怒りを持つことはある」
「あーあ、番だと認識しているから、もう抑制剤も関係ないんだろうな」
「そうだな…」

 さすがに抱いてしまったことは言えない。なかったことにしたいと言われたのだから、シエルも誰にも言っていないだろう。

「それでも一度会っておいた方がいい、それで決めたらいい」
「そうかな…ところで何で異動が分かったんだ?」

 リリオンは家の仕事をしているので、医院の情報まで入って来るはずがない。

「ああ、それが知り合った子がね、結婚していない看護師が一年後には地方に行くようになるんだと教えてくれてね。それで医者の知り合いに聞いたら、独身の看護師は少ないから行くようになるはずだと」
「決定ではないのか?」
「まあそうではあるけど、それで王都に残りたい人は慌てて結婚する人もいるって話らしいんだよ。だからこのままだと確実だ」
「そういうことか、一度会いに行ってみるよ」
「ああ、そうしろ。何も考えずに行け、考えたらどんどん歪んでいくだけだぞ」

 それでも、なかなか決心が付かず会いに行くまでに三ヶ月も経過していた。あの時は何も言っていなかったが、恋人が出来ていたら、それはそれで諦めることが出来るとすら思っていた。

「シエル」
「え?ウィローさん?え?」

 リリオンに日勤であれば、この辺りを通ると言われた場所に待っていた。シエルをかなり驚かせてしまったようで、狼狽しているのが分かった。

「すまない、時間があれば話がしたくて待っていたんだ」
「ああ…そうなんだ」
「約束があるなら、またでいい」
「ああ、そうだね。どこに行く?学園ってわけにもいかないものね」
「邸は嫌だろうか?使用人はいるけど、近付けない様にする、いた方が良いなら居させることも出来る」
「ええ、じゃあそうしましょうか」

 シエルと他愛ない話をしながら邸に行き、執事には友人だと紹介した。軽い食事と、簡単に摘まめるような物、酒ではない方がいいだろうと、お茶とジュースを用意してもらい、使用人は下がらせた。

「何か話があるの?」
「あのまま別れたから、一度話をしたいと思って」
「なかったことにしたじゃない、誰にも話してないわ」
「俺も話していない」
「俺って言うのね?」
「っあ、いつもは僕って言っているんだけど」
「まあいいわ、番が見付かりでもした?」
「え?な、んで?」

 どうして番なんて話になるんだ?リリオンが話すはずがないし、シエルが気付くことはないはず。

「探しているんじゃないの?」
「どうして?」
「番探しのパーティーに行っているでしょう?」

 そういうことか、マイニー嬢から聞いていたのだろう。

「あれは親に言われて、行っているんだ」
「そうなんだ…てっきり番探しをしているから、恋人を作らないんだと思っていたわ。違ったのね、ごめんなさい」
「違う」

 違うとも今では強く言えないが、必死に番探しをしていたわけではない。

「後から何か言って来るなよ的なことを言われるのかと思ったわ」
「そんなこと言わないよ」
「気にしないでって言ったら何だけど…それだけよね?」
「え?どういう意味?」
「わざわざ会いに来るぐらいだから、何かあるのかと思って。割り切った相手じゃなかったから、フォローしておかないとってところ?」
「いや、そうじゃないよ」

 馬車の中でも思っていたが、シエルは抑制剤を服用しているだろうから、香りはしないのだが、別の香りがするのはなぜなのだろう。

 まさか…だが、言わないつもりじゃないか。

「妊娠しているのか…?」
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