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私の恋、あなたの愛
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シエルはルノーがマリオスと一緒にいることに釘付けになり、マイニーもマリオスよりもルノーに驚くことになった。
「大丈夫だったかい?」
「ええ、大丈夫だけど」
「シエル、久し振りだね」
「ええ、知り合いだったのね」
「ああ」
マリオスはマイニーを庇いながら、ラビンスを睨み付け、ラビンスにとってはショックな光景だろうと、シエルは思っていた。
「グルテ伯爵令嬢、もういい加減にしてくれ!」
「どうしてしまったの?」
「マリオン様、ラビンスは今でもあなたを想っています。別れたのだって、いつものことじゃないですか?番なんかでどうしてしまったのですか?今時、番なんて流行りませんよ」
「トオス伯爵令嬢、君に名前で呼ばれる筋合いはないし、意見される覚えもないが?」
マリオスとは親しくもないのに、マルガータはお節介が過ぎるような状態になっており、ますます危うさを感じていた。
「私はラビンスの友人で、ラビンスとサンドール侯爵令息様が結ばれるべきだと思って、発言しています」
「では、王家に番が見付かっても、君は流行らないと言えるんだな?」
「そ、それは…」
「番だろうが、なかろうが、君たちには関係ないだろう!そもそも、グルテ伯爵令嬢とは付き合ってくれないと死ぬと言われていたから、付き合っていたに過ぎない」
シエルはギョッとしたが、マイニーは聞いていたようで、表情は変わらない。だからマルガータは付いて来て、必死になっているのかと思った。おそらく、マリオスと一緒になれないなら、死にたいなどと言ったのだろう。
「ラビンスはあなたでないと駄目なんです。サンドール侯爵令息もそうでしょう?」
「私はマリオスじゃないと駄目なの…お願いよ、元に戻って頂戴」
「では、なぜ君は抑制剤を服用しないんだ?」
「え?」
「君と仕方なく付き合っていた時、君は抑制剤を服用していなかっただろう?」
いてもいなくても服用する人もいるが、恋人がいる場合は抑制剤を服用することがマナーである。ラビンスは優生者ではないため、服用をしていなかった。
「それは、もしかしたら、あなたの番になるかもしれないと思って」
「そんな訳ないだろう?いい年した女性が突然、番になるはずがない」
思春期を超えている年の女性が、急に番になることはない。
「自分も番に選ばれるかもしれないから、服用しなかったのだろう?」
「違うわ、そんなわけない」
「お金がないとでも言うのか?そうじゃないだろう?まあ、そういった女性もいるが、付き合って欲しいと言ったくせに、服用しないなんてあり得ない。マナーも分からないのか?」
「ちがっ、違うの!私に番が現れても、あなたを選ぶって言いたかったの」
「理解出来ない。グルテ伯爵家には再三、忠告をしたが、これで接近禁止にさせてもらう。もし、マイニーと結婚しなくても、君と結婚することはない!」
「…そんな」
崩れ落ちたラビンスと、マルガータを残して、4人は部屋を出た。
「大丈夫でしょうか?あの人」
「伯爵家には既に許可を取ってある。本人の問題だ、嫌な思いをさせてすまなかった。フロランツア侯爵令嬢も」
「いえ」
ラビンスやマルガータがシエルに何も言えなかったのは、フロランツア家が侯爵家であるからだった。
「2人は知り合いだったんですね、それに驚いちゃって」
「そうなんだ。フロランツア侯爵令嬢と知り合いだと言うから、連れて来たんだ」
シエルはルノーをじっと見ても、前のような苦しくなるような気持ちは、すっかりなくなったことを、実感することが出来た。
「そういえば、抑制剤って服用していないと分かるものなのですか?」
「ああ、鼻が詰まっていない限りは、優生者は分かると思う」
「服用していない人がいることに驚きました」
「本当に」
シエルとマイニーは図書館に行き、マリオスは名残惜しそうではあったが、ルノーと一緒にラビンスの処理をすると帰っていた。
「大丈夫だったかい?」
「ええ、大丈夫だけど」
「シエル、久し振りだね」
「ええ、知り合いだったのね」
「ああ」
マリオスはマイニーを庇いながら、ラビンスを睨み付け、ラビンスにとってはショックな光景だろうと、シエルは思っていた。
「グルテ伯爵令嬢、もういい加減にしてくれ!」
「どうしてしまったの?」
「マリオン様、ラビンスは今でもあなたを想っています。別れたのだって、いつものことじゃないですか?番なんかでどうしてしまったのですか?今時、番なんて流行りませんよ」
「トオス伯爵令嬢、君に名前で呼ばれる筋合いはないし、意見される覚えもないが?」
マリオスとは親しくもないのに、マルガータはお節介が過ぎるような状態になっており、ますます危うさを感じていた。
「私はラビンスの友人で、ラビンスとサンドール侯爵令息様が結ばれるべきだと思って、発言しています」
「では、王家に番が見付かっても、君は流行らないと言えるんだな?」
「そ、それは…」
「番だろうが、なかろうが、君たちには関係ないだろう!そもそも、グルテ伯爵令嬢とは付き合ってくれないと死ぬと言われていたから、付き合っていたに過ぎない」
シエルはギョッとしたが、マイニーは聞いていたようで、表情は変わらない。だからマルガータは付いて来て、必死になっているのかと思った。おそらく、マリオスと一緒になれないなら、死にたいなどと言ったのだろう。
「ラビンスはあなたでないと駄目なんです。サンドール侯爵令息もそうでしょう?」
「私はマリオスじゃないと駄目なの…お願いよ、元に戻って頂戴」
「では、なぜ君は抑制剤を服用しないんだ?」
「え?」
「君と仕方なく付き合っていた時、君は抑制剤を服用していなかっただろう?」
いてもいなくても服用する人もいるが、恋人がいる場合は抑制剤を服用することがマナーである。ラビンスは優生者ではないため、服用をしていなかった。
「それは、もしかしたら、あなたの番になるかもしれないと思って」
「そんな訳ないだろう?いい年した女性が突然、番になるはずがない」
思春期を超えている年の女性が、急に番になることはない。
「自分も番に選ばれるかもしれないから、服用しなかったのだろう?」
「違うわ、そんなわけない」
「お金がないとでも言うのか?そうじゃないだろう?まあ、そういった女性もいるが、付き合って欲しいと言ったくせに、服用しないなんてあり得ない。マナーも分からないのか?」
「ちがっ、違うの!私に番が現れても、あなたを選ぶって言いたかったの」
「理解出来ない。グルテ伯爵家には再三、忠告をしたが、これで接近禁止にさせてもらう。もし、マイニーと結婚しなくても、君と結婚することはない!」
「…そんな」
崩れ落ちたラビンスと、マルガータを残して、4人は部屋を出た。
「大丈夫でしょうか?あの人」
「伯爵家には既に許可を取ってある。本人の問題だ、嫌な思いをさせてすまなかった。フロランツア侯爵令嬢も」
「いえ」
ラビンスやマルガータがシエルに何も言えなかったのは、フロランツア家が侯爵家であるからだった。
「2人は知り合いだったんですね、それに驚いちゃって」
「そうなんだ。フロランツア侯爵令嬢と知り合いだと言うから、連れて来たんだ」
シエルはルノーをじっと見ても、前のような苦しくなるような気持ちは、すっかりなくなったことを、実感することが出来た。
「そういえば、抑制剤って服用していないと分かるものなのですか?」
「ああ、鼻が詰まっていない限りは、優生者は分かると思う」
「服用していない人がいることに驚きました」
「本当に」
シエルとマイニーは図書館に行き、マリオスは名残惜しそうではあったが、ルノーと一緒にラビンスの処理をすると帰っていた。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
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