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私の恋、あなたの愛
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シエルとマイニーが授業を終え、図書室に向かっていると、マリオスの元恋人であるラビンス・グルテ伯爵令嬢に声を掛けられた。
「マイニー・ヴィオスさんね?お話したいことがありますの」
「サンドール侯爵令息様のことでしたら、侯爵家にお願いします」
マイニーはマリオスから、何か言われたら、サンドール侯爵家にというように言われている。
「マリオスのことを、サンドール侯爵令息様なんて呼んでらっしゃるの?ふふっ、他人行儀なのね、他人ですものね」
「呼ばせてもらえないのではなくて?」
一緒にいるのは、マルガータ・トオス伯爵令嬢。
「では、失礼します」
答える気がない様子なので、先を行こうと思ったが、ラビンスは丸く愛嬌のある顔を歪ませて叫んだ。
「待ちなさい!お話があると言ったでしょう?子爵令嬢の癖に」
「サンドール侯爵令息様のお話ではないのですね?もしサンドール侯爵家に関わる話であれば、伯爵家に抗議が入るようになっているそうですが、違いますか?」
「サンドール侯爵家の話では、ないわ」
「では構いませんが、もしサンドール侯爵家の話が出たら、席を立ちますが、よろしいですね?」
「ええ、良くてよ」
「では、行きましょう。シエル、先に行ってて」
シエルは黙っていたが、マルガータも当たり前のように、一緒について行こうとしており、シエルは待ったを掛けた。
「トオス伯爵令嬢、あなたもなぜ一緒に行かれるのです?」
「友人だからに決まっているじゃない!」
「では、私も同席してよろしいのですね?」
「っな」
マルガータは何か言いたそうな顔はしていたが、シエルは静かに付いて行った。
どうやらラビンスは個室を借りていたようで、マイニーはシエルに仕切りにごめんねと謝っていた。4人が席に着くと、ラビンスが話し始めた。
「お話なんだけど、婚約はなかったことにしてもらいたいの」
「どなたの話ですか?サンドール侯爵家の話ではありませんよね?」
「っ、ええ、それは」
「ラビンス!言ってしまいなさい!ラビンスがこの子に話って、マリオス様の話しかないじゃない!」
「約束が違います、サンドール侯爵家の話ならサンドール侯爵家にお願いします」
マイニーは立ち上がるが、ラビンスはお構いなしに話し始める。
「私たちは別れたと言っても、いつものことなの。だからその間に番が見付かるなんて、今のマリオスはおかしくなっているだけなの」
「そうよ!マリオス様はラビンスじゃないと駄目なのよ!」
マルガータは噛み付きそうな顔で、援護射撃をするために一緒に来たようだ。
「それはサンドール侯爵家に言ってください」
「だから、マリオスは今聞く耳を持っていないの。だからあなたに言っているんじゃない。どうして分からないの?」
「2人が想い合っている間に私が入っていると言いたいのですか?」
「それ以外ないじゃない」
「そうよ!2人が付き合って、別れるのはいつものことなの。それで愛が深まっていくんだから」
シエルとマイニーは何だその理屈はと思いながらも、シエルとマイニーは18歳だが、前のラビンスとマルガータはマイオスと同い年であるため、23歳である。
こんな真似をして、マルガータには婚約者はいないのだろうか?
ルル王国の女性は学園を出てすぐの18歳で結婚する者もいるが、24歳くらいまでに結婚するのが一般的である。ゆえにラビンスは後がない状態であることは分かる、だがマイニーに言われても困るだけである。
「では、特にサンドール侯爵家に言ってください。あなたのおっしゃることが正しいのならば、婚約は解消されるはずです。そうですよね?」
「そうなのだけど、もう婚約を済ませているって言うから」
バン!というドアが開く音がして、入って来たのはマリオスと、久しぶりに見るルノーであった。
「マイニー!!」
「マイニー・ヴィオスさんね?お話したいことがありますの」
「サンドール侯爵令息様のことでしたら、侯爵家にお願いします」
マイニーはマリオスから、何か言われたら、サンドール侯爵家にというように言われている。
「マリオスのことを、サンドール侯爵令息様なんて呼んでらっしゃるの?ふふっ、他人行儀なのね、他人ですものね」
「呼ばせてもらえないのではなくて?」
一緒にいるのは、マルガータ・トオス伯爵令嬢。
「では、失礼します」
答える気がない様子なので、先を行こうと思ったが、ラビンスは丸く愛嬌のある顔を歪ませて叫んだ。
「待ちなさい!お話があると言ったでしょう?子爵令嬢の癖に」
「サンドール侯爵令息様のお話ではないのですね?もしサンドール侯爵家に関わる話であれば、伯爵家に抗議が入るようになっているそうですが、違いますか?」
「サンドール侯爵家の話では、ないわ」
「では構いませんが、もしサンドール侯爵家の話が出たら、席を立ちますが、よろしいですね?」
「ええ、良くてよ」
「では、行きましょう。シエル、先に行ってて」
シエルは黙っていたが、マルガータも当たり前のように、一緒について行こうとしており、シエルは待ったを掛けた。
「トオス伯爵令嬢、あなたもなぜ一緒に行かれるのです?」
「友人だからに決まっているじゃない!」
「では、私も同席してよろしいのですね?」
「っな」
マルガータは何か言いたそうな顔はしていたが、シエルは静かに付いて行った。
どうやらラビンスは個室を借りていたようで、マイニーはシエルに仕切りにごめんねと謝っていた。4人が席に着くと、ラビンスが話し始めた。
「お話なんだけど、婚約はなかったことにしてもらいたいの」
「どなたの話ですか?サンドール侯爵家の話ではありませんよね?」
「っ、ええ、それは」
「ラビンス!言ってしまいなさい!ラビンスがこの子に話って、マリオス様の話しかないじゃない!」
「約束が違います、サンドール侯爵家の話ならサンドール侯爵家にお願いします」
マイニーは立ち上がるが、ラビンスはお構いなしに話し始める。
「私たちは別れたと言っても、いつものことなの。だからその間に番が見付かるなんて、今のマリオスはおかしくなっているだけなの」
「そうよ!マリオス様はラビンスじゃないと駄目なのよ!」
マルガータは噛み付きそうな顔で、援護射撃をするために一緒に来たようだ。
「それはサンドール侯爵家に言ってください」
「だから、マリオスは今聞く耳を持っていないの。だからあなたに言っているんじゃない。どうして分からないの?」
「2人が想い合っている間に私が入っていると言いたいのですか?」
「それ以外ないじゃない」
「そうよ!2人が付き合って、別れるのはいつものことなの。それで愛が深まっていくんだから」
シエルとマイニーは何だその理屈はと思いながらも、シエルとマイニーは18歳だが、前のラビンスとマルガータはマイオスと同い年であるため、23歳である。
こんな真似をして、マルガータには婚約者はいないのだろうか?
ルル王国の女性は学園を出てすぐの18歳で結婚する者もいるが、24歳くらいまでに結婚するのが一般的である。ゆえにラビンスは後がない状態であることは分かる、だがマイニーに言われても困るだけである。
「では、特にサンドール侯爵家に言ってください。あなたのおっしゃることが正しいのならば、婚約は解消されるはずです。そうですよね?」
「そうなのだけど、もう婚約を済ませているって言うから」
バン!というドアが開く音がして、入って来たのはマリオスと、久しぶりに見るルノーであった。
「マイニー!!」
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