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私の恋、あなたの愛

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「どうだった?」
「うーん、断ることも視野に入ったかな」
「え?」
「やっぱり働くのは良くても、看護となると異性に触れるっていうのが嫌なんだって。でも君が望むなら我慢するよって、でも子どもが出来たら辞めて欲しいって。妊娠させて、辞めさせようとする魂胆が見え見えで」
「尊重ではなく我慢ね」

 番という質は仕事であっても、そういった考えになるらしい。これまで頑張って来たことを、活かせなくなるマイニーの気持ちも痛いほど分かる。

「そう、あちらの都合もあるのだろうけど、うちの両親も同調してわざわざ働くことないなんて言い出して、冷めたというか。これで断ったら私には番はもういないということも分かるわけだし、それもいいかなって、パーティーの食事は残念だけど」
「でも、しっかり考えた方がいいんじゃない?」
「そこは考える。でも断るなら、情が移る前に答えを出すわ」
「うん…」

 爵位のこともあるので、非難されることになるかもしれないが、ヴィオス子爵家はお金には困っていないため、売り渡すようなことはしないだろう。同調したのはおそらく良い相手だと判断したからこそだろう。

 しかし、さすが侯爵家と言うべきか、断られるという選択肢はなかったようで、家同士で勝手に婚約者にされてしまっており、マイニーの彼への好意はどんどん下がっていくようになってしまった。

「会うのも嫌になって来た…昨日も勉強だって言っているのに、少しくらいって…勉強なんてしなくてもいいのにって思っているって顔に書いてあるの。言わなければいいと思っているのかと思っているのよ」
「ああ…」
「ちょっと限界だって言ったの」
「言ったの?」
「そうしたら、一緒に暮らせばいいんじゃないかって」
「はあ?」
「はあ、でしょう?勉強もあるし、一人で考えたいからって言ったの。情はあるけど、やっていける自信はない。私が好きになったわけでもないのに、嫌味を言われるのもね…」
「まだ言われているの?」

 二人が婚約した際はどうしてマイニーなのかと言われて、マリオスが番が見付かったと言ったものだから、選ばれたのではなく、番だっただけの女と嫌味を言われて、マリオスが苦情を入れているようだが、今でも言われているらしい。

 サンドール侯爵家はマリオスの姉が継ぐことにはなっているが、もしかしたらマリオスが継ぐ可能性もあると思っているからこそ、人気も高かったようで、婚約者がマイニーだから継げないとまで言われたそうだ。

「こそこそとね、もう慣れちゃったけど」
「誰なの?」
「元恋人の友人でしょうね」
「あの付き合ったり別れたりしていたっていう?」

 マリオスはある一人の令嬢と付き合ったが上手くいかずに別れたが、また彼女に迫られて付き合って、別れてを繰り返していたらしい。

「そうそう、彼女にしてみたら、別れたけど、また付き合うだろうみたいに思っていたそうよ」
「でもパーティーの時は別れていたんでしょう?」
「そうよ、でないとさすがに参加しないでしょう?でも伯爵令嬢なのよね…」
「婚約はしていなかったのよね?」
「そうなの、彼女の方は婚約者みたいなものだと思っていたそうだけど」

 元恋人の方は婚約したかったが、マリオスは上手くいくとは思えず、婚約はしていなかった。相手が侯爵家ということもあって、伯爵家からは言い出せなかったということになっているそうだ。

「それもあって、凄く疲れてしまって…」
「大変な渦に巻き込まれた感じはするわね」
「パーティーに行かなければ良かったとさえ思っているわ」
「ああ…」

 疲れ切ったマイニーに前に、その元恋人がやって来るのであった。
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