28 / 103
私の恋、あなたの愛
5
しおりを挟む
「どうだった?」
「うーん、断ることも視野に入ったかな」
「え?」
「やっぱり働くのは良くても、看護となると異性に触れるっていうのが嫌なんだって。でも君が望むなら我慢するよって、でも子どもが出来たら辞めて欲しいって。妊娠させて、辞めさせようとする魂胆が見え見えで」
「尊重ではなく我慢ね」
番という質は仕事であっても、そういった考えになるらしい。これまで頑張って来たことを、活かせなくなるマイニーの気持ちも痛いほど分かる。
「そう、あちらの都合もあるのだろうけど、うちの両親も同調してわざわざ働くことないなんて言い出して、冷めたというか。これで断ったら私には番はもういないということも分かるわけだし、それもいいかなって、パーティーの食事は残念だけど」
「でも、しっかり考えた方がいいんじゃない?」
「そこは考える。でも断るなら、情が移る前に答えを出すわ」
「うん…」
爵位のこともあるので、非難されることになるかもしれないが、ヴィオス子爵家はお金には困っていないため、売り渡すようなことはしないだろう。同調したのはおそらく良い相手だと判断したからこそだろう。
しかし、さすが侯爵家と言うべきか、断られるという選択肢はなかったようで、家同士で勝手に婚約者にされてしまっており、マイニーの彼への好意はどんどん下がっていくようになってしまった。
「会うのも嫌になって来た…昨日も勉強だって言っているのに、少しくらいって…勉強なんてしなくてもいいのにって思っているって顔に書いてあるの。言わなければいいと思っているのかと思っているのよ」
「ああ…」
「ちょっと限界だって言ったの」
「言ったの?」
「そうしたら、一緒に暮らせばいいんじゃないかって」
「はあ?」
「はあ、でしょう?勉強もあるし、一人で考えたいからって言ったの。情はあるけど、やっていける自信はない。私が好きになったわけでもないのに、嫌味を言われるのもね…」
「まだ言われているの?」
二人が婚約した際はどうしてマイニーなのかと言われて、マリオスが番が見付かったと言ったものだから、選ばれたのではなく、番だっただけの女と嫌味を言われて、マリオスが苦情を入れているようだが、今でも言われているらしい。
サンドール侯爵家はマリオスの姉が継ぐことにはなっているが、もしかしたらマリオスが継ぐ可能性もあると思っているからこそ、人気も高かったようで、婚約者がマイニーだから継げないとまで言われたそうだ。
「こそこそとね、もう慣れちゃったけど」
「誰なの?」
「元恋人の友人でしょうね」
「あの付き合ったり別れたりしていたっていう?」
マリオスはある一人の令嬢と付き合ったが上手くいかずに別れたが、また彼女に迫られて付き合って、別れてを繰り返していたらしい。
「そうそう、彼女にしてみたら、別れたけど、また付き合うだろうみたいに思っていたそうよ」
「でもパーティーの時は別れていたんでしょう?」
「そうよ、でないとさすがに参加しないでしょう?でも伯爵令嬢なのよね…」
「婚約はしていなかったのよね?」
「そうなの、彼女の方は婚約者みたいなものだと思っていたそうだけど」
元恋人の方は婚約したかったが、マリオスは上手くいくとは思えず、婚約はしていなかった。相手が侯爵家ということもあって、伯爵家からは言い出せなかったということになっているそうだ。
「それもあって、凄く疲れてしまって…」
「大変な渦に巻き込まれた感じはするわね」
「パーティーに行かなければ良かったとさえ思っているわ」
「ああ…」
疲れ切ったマイニーに前に、その元恋人がやって来るのであった。
「うーん、断ることも視野に入ったかな」
「え?」
「やっぱり働くのは良くても、看護となると異性に触れるっていうのが嫌なんだって。でも君が望むなら我慢するよって、でも子どもが出来たら辞めて欲しいって。妊娠させて、辞めさせようとする魂胆が見え見えで」
「尊重ではなく我慢ね」
番という質は仕事であっても、そういった考えになるらしい。これまで頑張って来たことを、活かせなくなるマイニーの気持ちも痛いほど分かる。
「そう、あちらの都合もあるのだろうけど、うちの両親も同調してわざわざ働くことないなんて言い出して、冷めたというか。これで断ったら私には番はもういないということも分かるわけだし、それもいいかなって、パーティーの食事は残念だけど」
「でも、しっかり考えた方がいいんじゃない?」
「そこは考える。でも断るなら、情が移る前に答えを出すわ」
「うん…」
爵位のこともあるので、非難されることになるかもしれないが、ヴィオス子爵家はお金には困っていないため、売り渡すようなことはしないだろう。同調したのはおそらく良い相手だと判断したからこそだろう。
しかし、さすが侯爵家と言うべきか、断られるという選択肢はなかったようで、家同士で勝手に婚約者にされてしまっており、マイニーの彼への好意はどんどん下がっていくようになってしまった。
「会うのも嫌になって来た…昨日も勉強だって言っているのに、少しくらいって…勉強なんてしなくてもいいのにって思っているって顔に書いてあるの。言わなければいいと思っているのかと思っているのよ」
「ああ…」
「ちょっと限界だって言ったの」
「言ったの?」
「そうしたら、一緒に暮らせばいいんじゃないかって」
「はあ?」
「はあ、でしょう?勉強もあるし、一人で考えたいからって言ったの。情はあるけど、やっていける自信はない。私が好きになったわけでもないのに、嫌味を言われるのもね…」
「まだ言われているの?」
二人が婚約した際はどうしてマイニーなのかと言われて、マリオスが番が見付かったと言ったものだから、選ばれたのではなく、番だっただけの女と嫌味を言われて、マリオスが苦情を入れているようだが、今でも言われているらしい。
サンドール侯爵家はマリオスの姉が継ぐことにはなっているが、もしかしたらマリオスが継ぐ可能性もあると思っているからこそ、人気も高かったようで、婚約者がマイニーだから継げないとまで言われたそうだ。
「こそこそとね、もう慣れちゃったけど」
「誰なの?」
「元恋人の友人でしょうね」
「あの付き合ったり別れたりしていたっていう?」
マリオスはある一人の令嬢と付き合ったが上手くいかずに別れたが、また彼女に迫られて付き合って、別れてを繰り返していたらしい。
「そうそう、彼女にしてみたら、別れたけど、また付き合うだろうみたいに思っていたそうよ」
「でもパーティーの時は別れていたんでしょう?」
「そうよ、でないとさすがに参加しないでしょう?でも伯爵令嬢なのよね…」
「婚約はしていなかったのよね?」
「そうなの、彼女の方は婚約者みたいなものだと思っていたそうだけど」
元恋人の方は婚約したかったが、マリオスは上手くいくとは思えず、婚約はしていなかった。相手が侯爵家ということもあって、伯爵家からは言い出せなかったということになっているそうだ。
「それもあって、凄く疲れてしまって…」
「大変な渦に巻き込まれた感じはするわね」
「パーティーに行かなければ良かったとさえ思っているわ」
「ああ…」
疲れ切ったマイニーに前に、その元恋人がやって来るのであった。
409
お気に入りに追加
1,872
あなたにおすすめの小説
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
離縁してくださいと言ったら、大騒ぎになったのですが?
ネコ
恋愛
子爵令嬢レイラは北の領主グレアムと政略結婚をするも、彼が愛しているのは幼い頃から世話してきた従姉妹らしい。夫婦生活らしい交流すらなく、仕事と家事を押し付けられるばかり。ある日、従姉妹とグレアムの微妙な関係を目撃し、全てを諦める。
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。
[完結連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ/ちゃんこまめ・エブリスタ投
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を
川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」
とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。
これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。
だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。
これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。
完結まで執筆済み、毎日更新
もう少しだけお付き合いください
第22回書き出し祭り参加作品
2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます
愛のない結婚を後悔しても遅い
空橋彩
恋愛
「僕は君を望んでいない。環境が整い次第離縁させてもらうつもりだ。余計なことはしないで、大人しく控えて過ごしてほしい。」
病弱な妹の代わりに受けた縁談で嫁いだ先の公爵家は、優秀な文官を輩出している名門だった。
その中でも、近年稀に見る天才、シリル・トラティリアの元へ嫁ぐことになった。
勉強ができるだけで、人の心のわからないシリル・トラティリア冷たく心無い態度ばかりをとる。
そんな彼の心を溶かしていく…
なんて都合のいいことあるわけがない。
そうですか、そうきますか。
やられたらやり返す、それが私シーラ・ブライトン。妹は優しく穏やかだが、私はそうじゃない。そっちがその気ならこちらもやらせていただきます。
トラティリア公爵は妹が優しーく穏やかーに息子を立て直してくれると思っていたようですが、甘いですね。
は?準備が整わない?しりません。
は?私の力が必要?しりません。
お金がない?働きなさい。
子どもおじさんのシリル・トラティリアを改心させたい両親から頼みこまれたとも知らない旦那様を、いい男に育て上げます。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる