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愛してはいけない人
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「あなたに無理を強いているのは分かっているわ、でも婚約者がいなかったり、結婚していない令嬢は皆、嫁いでいるのは事実ね」
「そうでしたか、でもお断りします。私と結婚してやっていけるはずがありません。私は狂っているのですよ?」
「望むように過ごして貰って構わない」
クノルは共にいてくれるのなら、無理強いをするつもりは一切ない。穏やかに邸で過ごしてくれさえすればいい。
「国からも何か願いを聞いて貰うように頼むわ」
フルヴィア王女は宰相を見て頷き、宰相も可能だと頷いた。
「キア皇国も支援を約束する」
エルカンもクノルの気持ちは痛いほど分かる。いくら抑制剤を飲んでも、想いが消えるわけではない。フルヴィア王女は大切にしたいと思うが、欲する欲望はない。だが、皇族として、皇帝になるにはその方がいいかもしれないと、思えている。
「私は危害を加える相手かもしれないのに、引き入れるのですか?」
「恨んでも当然だ。君の望む暮らしはクノルが保証する」
レイラは黙り込んでしまった、その表情は不機嫌なのか、悩んでいるのか、汲み取れなかった。
「何か希望があるのだろうか」
「ええ、そうですね、母のようなことが起こらないように、レンバー伯爵領を守っていただけますか」
「勿論だ」「勿論よ」
「未来永劫守っていただけるのならば、嫁いでも構いません」
「本当か」
正直、難しいと思っていたが、まさか一度目で了承するとは思わなかった。
「レンバー伯爵家の幸せを…でも私は様々な決まりがあります」
「何でも言って欲しい、出来る限り叶える」
レンバー伯爵家はこれまで通り、社交は自由参加、獣人を伯爵領には住まわせない、連れ去りなどが起きた場合は国が迅速に対応する。フォッド公爵と王家から支度金が支払われ、レンバー伯爵家は持参金は不要。
だが、ルビーナも夫・キオトも反対した。
「お姉様が犠牲になることはないわ」
「そうです、お金にも困っていません」
「これで何かあった時に、お母様のようなことにはならないの」
「でも王女殿下が嫁がれるのだから、いいじゃない」
「強固なものにしたいのよ、私は被害者家族だから特にね。修道院に行くと思ったらいいじゃない」
「修道院だって反対なのよ」
「そうです、一生こちらにいらしてください」
ルビーナとキオトは修道院も反対していたが、もう疲れてしまったというレイラの気持ちを汲んで、無理やり納得したのだ。
留まってるのは二人の結婚式に参加するためで、出て行く日は刻一刻を迫っていた。それがまさか結婚、しかも獣人だなんて、受け入れられなかった。
「もうお母様のような方を出したくないの。ルビーナもそうでしょう?キオトくんだって、分かってくれているはずよ」
「それは、そうだけど」
「そ、そうですが」
「大丈夫よ、希望は受け入れてくれるそうよ」
ルビーナの結婚式もあるため、結婚式まで婚約期間として、嫁ぐことになった。領民にも心配されたが、レイラはお母様のような方を出さない、これでレンバー伯爵領は守られると言えば、何も言えなかった。
止められるとすれば、父親であるレンバー伯爵。もういないのだ。
ルビーナの結婚式を見届けてから、レイラはキア皇国に向かうことになり、邸の者、領民に涙ながらに見送られ、メイドはついて行くと言ったが、残ってレンバー伯爵家を守って欲しいと、旅立っていった。
迎えに来たクノルに一番の古参のメイド長・ノイアは、お嬢様の食事や注意事項が書かれておりますと、手紙を差し出した。
メイドは常時付かず、必要な時のみ。急に触れられることに恐怖、憎悪を感じることがあるため、着替えは手伝わないこと、通常の服はひとりで簡単に脱ぎ着が出来るものを用意すること、トイレ・お風呂もひとりで入ること、杖は定期的にメンテナンスを行うことなどが書かれていた。
食事は毎食パンとスープ。茶は飲むが、菓子は不要。そして、もう一通…。
「そうでしたか、でもお断りします。私と結婚してやっていけるはずがありません。私は狂っているのですよ?」
「望むように過ごして貰って構わない」
クノルは共にいてくれるのなら、無理強いをするつもりは一切ない。穏やかに邸で過ごしてくれさえすればいい。
「国からも何か願いを聞いて貰うように頼むわ」
フルヴィア王女は宰相を見て頷き、宰相も可能だと頷いた。
「キア皇国も支援を約束する」
エルカンもクノルの気持ちは痛いほど分かる。いくら抑制剤を飲んでも、想いが消えるわけではない。フルヴィア王女は大切にしたいと思うが、欲する欲望はない。だが、皇族として、皇帝になるにはその方がいいかもしれないと、思えている。
「私は危害を加える相手かもしれないのに、引き入れるのですか?」
「恨んでも当然だ。君の望む暮らしはクノルが保証する」
レイラは黙り込んでしまった、その表情は不機嫌なのか、悩んでいるのか、汲み取れなかった。
「何か希望があるのだろうか」
「ええ、そうですね、母のようなことが起こらないように、レンバー伯爵領を守っていただけますか」
「勿論だ」「勿論よ」
「未来永劫守っていただけるのならば、嫁いでも構いません」
「本当か」
正直、難しいと思っていたが、まさか一度目で了承するとは思わなかった。
「レンバー伯爵家の幸せを…でも私は様々な決まりがあります」
「何でも言って欲しい、出来る限り叶える」
レンバー伯爵家はこれまで通り、社交は自由参加、獣人を伯爵領には住まわせない、連れ去りなどが起きた場合は国が迅速に対応する。フォッド公爵と王家から支度金が支払われ、レンバー伯爵家は持参金は不要。
だが、ルビーナも夫・キオトも反対した。
「お姉様が犠牲になることはないわ」
「そうです、お金にも困っていません」
「これで何かあった時に、お母様のようなことにはならないの」
「でも王女殿下が嫁がれるのだから、いいじゃない」
「強固なものにしたいのよ、私は被害者家族だから特にね。修道院に行くと思ったらいいじゃない」
「修道院だって反対なのよ」
「そうです、一生こちらにいらしてください」
ルビーナとキオトは修道院も反対していたが、もう疲れてしまったというレイラの気持ちを汲んで、無理やり納得したのだ。
留まってるのは二人の結婚式に参加するためで、出て行く日は刻一刻を迫っていた。それがまさか結婚、しかも獣人だなんて、受け入れられなかった。
「もうお母様のような方を出したくないの。ルビーナもそうでしょう?キオトくんだって、分かってくれているはずよ」
「それは、そうだけど」
「そ、そうですが」
「大丈夫よ、希望は受け入れてくれるそうよ」
ルビーナの結婚式もあるため、結婚式まで婚約期間として、嫁ぐことになった。領民にも心配されたが、レイラはお母様のような方を出さない、これでレンバー伯爵領は守られると言えば、何も言えなかった。
止められるとすれば、父親であるレンバー伯爵。もういないのだ。
ルビーナの結婚式を見届けてから、レイラはキア皇国に向かうことになり、邸の者、領民に涙ながらに見送られ、メイドはついて行くと言ったが、残ってレンバー伯爵家を守って欲しいと、旅立っていった。
迎えに来たクノルに一番の古参のメイド長・ノイアは、お嬢様の食事や注意事項が書かれておりますと、手紙を差し出した。
メイドは常時付かず、必要な時のみ。急に触れられることに恐怖、憎悪を感じることがあるため、着替えは手伝わないこと、通常の服はひとりで簡単に脱ぎ着が出来るものを用意すること、トイレ・お風呂もひとりで入ること、杖は定期的にメンテナンスを行うことなどが書かれていた。
食事は毎食パンとスープ。茶は飲むが、菓子は不要。そして、もう一通…。
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