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愛してはいけない人
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「弟君は…」
「怪我のせいで、亡くなりました」
やり切れない沈黙が流れた。レイラは7歳、弟はまだ4歳だった。
「会わせては貰えないだろうか、話をするだけでいい」
「難しいと思っていただきたい。レンバー家でなければ、このようなことは言いません。亡くなった伯爵とレイラ嬢は、憎悪の対象としているのです」
「無理も、ないと思います」
「ただ友好的になることは、良いことだと言ってくれてはいます。守られることも多いですからね」
隣国ということもあって、連れ去りが昔は起こり易かった。それでも話し合いを続けて、連れ去りは厳罰化され、理性を保つ道具や薬もあるため、抑止になった。
だが、そうでない者、それがアリナリアを番だとグラウス・オルダック。
アリナリアとレイラと、弟・リーレックと出掛けていた。もちろん、護衛も付いていた。だが獣人の力には敵わず、アリナリアを邸に連れて帰った。
レンバー伯爵は連れ去りを報告したが、グラウスは抵抗するアリナリアを言うことを利かせようとする余り、殺してしまった。
既にグラウスは処刑されており、一族も廃位されて、平民となっている。
「話はしてみますが、期待はしないでください」
「分かりました」
クノルはエルカン皇太子とフルヴィア王女にも事情を話した。
「レイラ・レンバー伯爵令嬢でしたか…先に聞いておけば良かったですね」
「いえ、正式にと思っておりましたので」
番が見付かったとは話したが、下手に手を回されるよりも、正式に申し込むべきだと思い、詳細は言わなかった。
「微力ながら、私も会っていただけるようにお力添えはしますわ」
「ありがとうございます」
宰相とフルヴィア王女がレイラの妹・ルビーナに話をしたが、レイラには伝えないまま、絶対に会わせられないと言ったが、話を聞きつけたレイラは機嫌を損ねたら困るからと、会うことになった。ルビーナは最後まで反対していた。
クノルの前に現れたレイラは杖をつき、男性に支えられながら入って来て、その様子に苛立ったが、怒る資格はないと耐えた。
部屋にはクノル、レイラ、エルカン皇太子、フルヴィア王女、宰相だけとなった。
「わざわざ来てもらってすまない」
クノルが訪問することも出来たが、レンバー伯爵家に入れることは出来ないと言われたそうで、王宮の応接室で会うことになった。
口火を切ったのはエルカン皇太子だった。
「クノルの番があなただと分かったのだ。御母上のことも、ご家族のことも我が国が100%悪い、険悪な状況も我が国が100%悪い、だがどうか結婚を考えてはもらえないだろうか」
「お断りします」
「どうか私と共に架け橋になってくださらないかしら」
フルヴィア王女は自身と、獣人の被害者家族であるレイラが嫁げば、またとない友好の印となると考えた。
勿論、レンバー伯爵家のことは知っている。辛いこともあっただろうが、傷付けた獣人ではなく、正式に申し込んでくれた相手である。公爵家ならば、不自由な足も使用人が支えてくれる、浮気や捨てられて、見放されることもない。修道院で人生を終えるより余程いいはずだ。
「恐れながら、架け橋になれるとは思えません。血は差し上げます。そういう契約ではありませんか」
番が見付かるも、添い遂げることが出来ない場合は、番の血液で抑制剤を作ることになっている。他の方法もあるが、一番強い抑制となる。それで獣人は番への強行を抑えられ、番も家庭を壊されることはない。
「私は、自他ともに認める、病んでいる状態です。急に人を殺めたい衝動に駆られる可能性もあります」
「レイラ嬢っ!」
何てことを言うのだと、叫んだのはフルヴィア王女であった。
「怪我のせいで、亡くなりました」
やり切れない沈黙が流れた。レイラは7歳、弟はまだ4歳だった。
「会わせては貰えないだろうか、話をするだけでいい」
「難しいと思っていただきたい。レンバー家でなければ、このようなことは言いません。亡くなった伯爵とレイラ嬢は、憎悪の対象としているのです」
「無理も、ないと思います」
「ただ友好的になることは、良いことだと言ってくれてはいます。守られることも多いですからね」
隣国ということもあって、連れ去りが昔は起こり易かった。それでも話し合いを続けて、連れ去りは厳罰化され、理性を保つ道具や薬もあるため、抑止になった。
だが、そうでない者、それがアリナリアを番だとグラウス・オルダック。
アリナリアとレイラと、弟・リーレックと出掛けていた。もちろん、護衛も付いていた。だが獣人の力には敵わず、アリナリアを邸に連れて帰った。
レンバー伯爵は連れ去りを報告したが、グラウスは抵抗するアリナリアを言うことを利かせようとする余り、殺してしまった。
既にグラウスは処刑されており、一族も廃位されて、平民となっている。
「話はしてみますが、期待はしないでください」
「分かりました」
クノルはエルカン皇太子とフルヴィア王女にも事情を話した。
「レイラ・レンバー伯爵令嬢でしたか…先に聞いておけば良かったですね」
「いえ、正式にと思っておりましたので」
番が見付かったとは話したが、下手に手を回されるよりも、正式に申し込むべきだと思い、詳細は言わなかった。
「微力ながら、私も会っていただけるようにお力添えはしますわ」
「ありがとうございます」
宰相とフルヴィア王女がレイラの妹・ルビーナに話をしたが、レイラには伝えないまま、絶対に会わせられないと言ったが、話を聞きつけたレイラは機嫌を損ねたら困るからと、会うことになった。ルビーナは最後まで反対していた。
クノルの前に現れたレイラは杖をつき、男性に支えられながら入って来て、その様子に苛立ったが、怒る資格はないと耐えた。
部屋にはクノル、レイラ、エルカン皇太子、フルヴィア王女、宰相だけとなった。
「わざわざ来てもらってすまない」
クノルが訪問することも出来たが、レンバー伯爵家に入れることは出来ないと言われたそうで、王宮の応接室で会うことになった。
口火を切ったのはエルカン皇太子だった。
「クノルの番があなただと分かったのだ。御母上のことも、ご家族のことも我が国が100%悪い、険悪な状況も我が国が100%悪い、だがどうか結婚を考えてはもらえないだろうか」
「お断りします」
「どうか私と共に架け橋になってくださらないかしら」
フルヴィア王女は自身と、獣人の被害者家族であるレイラが嫁げば、またとない友好の印となると考えた。
勿論、レンバー伯爵家のことは知っている。辛いこともあっただろうが、傷付けた獣人ではなく、正式に申し込んでくれた相手である。公爵家ならば、不自由な足も使用人が支えてくれる、浮気や捨てられて、見放されることもない。修道院で人生を終えるより余程いいはずだ。
「恐れながら、架け橋になれるとは思えません。血は差し上げます。そういう契約ではありませんか」
番が見付かるも、添い遂げることが出来ない場合は、番の血液で抑制剤を作ることになっている。他の方法もあるが、一番強い抑制となる。それで獣人は番への強行を抑えられ、番も家庭を壊されることはない。
「私は、自他ともに認める、病んでいる状態です。急に人を殺めたい衝動に駆られる可能性もあります」
「レイラ嬢っ!」
何てことを言うのだと、叫んだのはフルヴィア王女であった。
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