【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】尋問

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 エレアンジューラソーレ竜王国に戻った、ディオエル、イオリク、ライシード。

 ディオエルは目に余る態度だったイオリクの顔を見たくなかったために、帰りは一人で考えたいことがあると、イオリクはずっとディオエルを気にしていたが、話をすることもなかった。

 アイルーンは番でもあったが、若い令嬢であったために、死因はきちんと調べ、何も問題なかったことから、今日の今日まで殺されたとは疑いもしなかった。

 だが、殺されたという事実があるなら、疑わしい相手はいる。

 アイルーンの死後、ディオエルのことを心配する者は溢れていたが、アイルーンのことを悲しむ者はいたにはいたが、本心だったかは分からない。

 だが、既に17年が経っており、まず証拠は残されていない。

 ならば、どうするかは犯人を自白させるしかない。それをおそらく、テイラー嬢は分かっていて言っているのだと感じた。

 番だと、あの日アイルーンに出会った時と亡くなった時に心臓を掴まれた感覚を、テイラー嬢に感じた。

 記憶があることは、まさかとは思ったが、納得もした。

 アイルーンの記憶のせいか、番は酷く威勢のいい女性になっていた。だが、殺されたのだとしたら、恨むのも当然だろう。

 とにかく、先のことは何も考えずに、犯人を見付けなくてはいけない。

「まずは当時いた妃を呼んで、尋問する」

 アイルーンと話をしているところを見たこともなければ、関わりがあったようなことは聞いていないが、最有力候補である妃を呼ぶことにした。

 帰国を到着を歓迎する臣下や使用人を無視して、ディオエルはライシードとイオリクに告げた。部下や使用人もディオエルのピリピリした様子に、何かあったのだと静かに頭を下げて、話し掛けることはしなかった。

「承知いたしました」
「ディオエル様、本気ですか?あの方が番であることは間違いないのでしょうけども、病死したのに恨みに思って、復讐のために言っているだけではありませんか?」

 イオリクもずっと考えていたが、導き出した答えは番だと言われたのに、愛されることがなかったことによる逆恨みであった。

「復讐されるようなことがあった、ということだろう?」
「それは…」
「お前も犯人の一人だな?お前が殺したのか!」

 ディオエルはイオリクに、強い殺気を当てた。

「ちっ、ちっ、違います。私が、妊娠、している、番を、殺すわけ、ない、ではありませんか」

 殺気に身体をビクビクさせながら、イオリクは答えた。

「お前が殺すなら、産ませてからだろうな!お前は監視対象だ!全て見張らせて貰う。ライシード、手配を」
「は!」

 再び殺気を当てられて、イオリクはさすがに膝を付いた。だが、ディオエルはその様子を気にすることもなく、執務室に向かった。

 イオリクが殺していないことは、ディオエルも理解していた。だが、理由はディオエルの子を妊娠中の番を殺すわけがないということも、理解していた。

 ライシードは妃を順番に呼んで、尋問を行う準備を進めていた。

「準備が整いました。一人目はハウニー妃です」
「そうか、今行く」

 ハウニー妃は、黒目黒髪の美しく、気品のある筆頭侯爵家の令嬢で、ディオエルが40歳までは番を探したが、見付からずに40歳で強制的に妃を娶ることになり、一番最初に選ばれた妃であった。

 妃になった当時は16歳、アイルーンが来た頃は40歳だったが、現在は59歳になっている。

 侯爵家も少なからず皇帝の竜族系の血筋があるために、見た目は40代くらいに見える。平均寿命も、竜の魂を持つ者の300歳まではいかないが、110~120歳くらいが平均である。

 妊娠出産も、厳しい年頃になっている。新しい妃が入ってくる度に、降嫁することも出来るのだが、ハウニーは希望していない。

「皇帝陛下、ご無事のお戻りに安心いたしました」
「ああ、君に聞きたいことがある」
「はい、何でございましょうか」
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