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【テイラー】いくら
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「あなた方は皇帝の番であることを、いい縁談、妾なので縁談ではありませんね。いい話だと思った。でもあの頃のアイルーンは、どのような気持ちでいたか覚えていますか?」
「落ち込んでいた、と思う」
マークとの婚約、結婚式が急になくなって、私たちの前で泣き喚いたりはしなかったが、酷く落ち込み、笑っている姿も減っていた。
「ええ、前向きな気持ちではなかったのです」
「ああ…」
「同時に抗う術はなかったでしょう。アイルーンも分かっていたから、口には出さなかった。ですが言わなかったから、受け入れて喜んでいたわけではないのですよ?」
「それは…」
おそらく、浮かれていたのは私たちだけだったのだろう。これで結婚が出来る、相手が番なら大事にしてくれる。亡くなった妻も喜んでいると思っていた。
「母親も喜んでいるなどと、雁字搦めにして」
「っ」
「まあ、そこまで親に求めるのも酷というものですわよね…アイルーンは竜帝国で大人しく過ごしておりました。それは、奪われたアイルーンが、今度は奪う側になったような気持ちになったからです」
「…あっ」
ルーベルトは、そのように考えたことは一度もなかった。
だが、妃のいる皇帝に嫁ぐということは、妃か婚約者かの違いで、そのように考えてもおかしくはなかった。
「私が寵妃だったら、私のことは見たくない。私は番を忌々しく思ったせいで、こんな目に遭っているのかもしれないとも考えたこともありました」
「そんなことは…だが、言ってくれれば」
「伝えようもないのに?」
「いや、最初に嫌だと言ってくれていたら…」
流石にどうしても嫌だという娘の話は、いくらルーベルトでもきちんと聞いたはずだと思った。
「抗えましたか?おそらく国王陛下に伝えても国のためになる、番なのだから喜んで、嫁がせるように言われていたでしょう」
「そのような憶測で物を言うな!失礼じゃないか!」
ギリシスは怒鳴り付けたが、一国の王でもテイラーは怯える様子もなかった。
「そうでしょうか?竜帝国はまた私を番だからという理由で、嫁ぐ?いえ、引き渡すように行って来たら、アイルーンを殺した国だからと、責任を持って断っていただけるのですか?」
「それはだな、結果を見て」
答えられない質問であった。実際、また番が見付かったということで、良かった。これでまた繋がりが出来ると思っていた。
アイルーンが生きて、せめてあの子どもさえ生まれていれば、ミリオン王国の血筋であるために、優遇して貰えたのにとすら思ったこともあった。
「最初に入室された際に、『番が見付かったというの誠か?めでたいな』とおっしゃったではありませんか」
「そ、それはアイルーン嬢のことは知らなかったからで」
「では、守っていただけるのですか?私は侯爵令嬢ですら、子爵令嬢ですらない、平民ですよ?」
「そんなもの、戻せばいい」
「ほら、強制するつもりではありませんか。それも私のためではなく、竜帝国のために戻したいだけではありませんか?」
「そんなことはないと言っているだろう!」
熱くなるギリシスに、恐ろしいほど淡々としたテイラーに、息子であるエレサーレすら、なんて度胸なのだと感じていた。
「結果を残せなかったアイルーンを、恨んだこともあったのではありませんか?」
「そのようなことはない!」
「折角、竜帝国と繋がりが出来たのに、病死するなんてと思ったのではありませんか?優遇して貰えたのに、せめて子どもが生きていたら、違ったのにと、死ぬなら子どもを産んでからにしてくれたらと思ったのではありませんか?」
ギリシスは濃いレッドブラウンの瞳に、まるで心を読まれたのではないかと思うほど、息苦しくなり、言葉に詰まった。
「そ、そのようなことを考えるはずがないであろう」
「では陛下は、竜帝国からいくら貰ったのですか?」
「何を言っている」
「落ち込んでいた、と思う」
マークとの婚約、結婚式が急になくなって、私たちの前で泣き喚いたりはしなかったが、酷く落ち込み、笑っている姿も減っていた。
「ええ、前向きな気持ちではなかったのです」
「ああ…」
「同時に抗う術はなかったでしょう。アイルーンも分かっていたから、口には出さなかった。ですが言わなかったから、受け入れて喜んでいたわけではないのですよ?」
「それは…」
おそらく、浮かれていたのは私たちだけだったのだろう。これで結婚が出来る、相手が番なら大事にしてくれる。亡くなった妻も喜んでいると思っていた。
「母親も喜んでいるなどと、雁字搦めにして」
「っ」
「まあ、そこまで親に求めるのも酷というものですわよね…アイルーンは竜帝国で大人しく過ごしておりました。それは、奪われたアイルーンが、今度は奪う側になったような気持ちになったからです」
「…あっ」
ルーベルトは、そのように考えたことは一度もなかった。
だが、妃のいる皇帝に嫁ぐということは、妃か婚約者かの違いで、そのように考えてもおかしくはなかった。
「私が寵妃だったら、私のことは見たくない。私は番を忌々しく思ったせいで、こんな目に遭っているのかもしれないとも考えたこともありました」
「そんなことは…だが、言ってくれれば」
「伝えようもないのに?」
「いや、最初に嫌だと言ってくれていたら…」
流石にどうしても嫌だという娘の話は、いくらルーベルトでもきちんと聞いたはずだと思った。
「抗えましたか?おそらく国王陛下に伝えても国のためになる、番なのだから喜んで、嫁がせるように言われていたでしょう」
「そのような憶測で物を言うな!失礼じゃないか!」
ギリシスは怒鳴り付けたが、一国の王でもテイラーは怯える様子もなかった。
「そうでしょうか?竜帝国はまた私を番だからという理由で、嫁ぐ?いえ、引き渡すように行って来たら、アイルーンを殺した国だからと、責任を持って断っていただけるのですか?」
「それはだな、結果を見て」
答えられない質問であった。実際、また番が見付かったということで、良かった。これでまた繋がりが出来ると思っていた。
アイルーンが生きて、せめてあの子どもさえ生まれていれば、ミリオン王国の血筋であるために、優遇して貰えたのにとすら思ったこともあった。
「最初に入室された際に、『番が見付かったというの誠か?めでたいな』とおっしゃったではありませんか」
「そ、それはアイルーン嬢のことは知らなかったからで」
「では、守っていただけるのですか?私は侯爵令嬢ですら、子爵令嬢ですらない、平民ですよ?」
「そんなもの、戻せばいい」
「ほら、強制するつもりではありませんか。それも私のためではなく、竜帝国のために戻したいだけではありませんか?」
「そんなことはないと言っているだろう!」
熱くなるギリシスに、恐ろしいほど淡々としたテイラーに、息子であるエレサーレすら、なんて度胸なのだと感じていた。
「結果を残せなかったアイルーンを、恨んだこともあったのではありませんか?」
「そのようなことはない!」
「折角、竜帝国と繋がりが出来たのに、病死するなんてと思ったのではありませんか?優遇して貰えたのに、せめて子どもが生きていたら、違ったのにと、死ぬなら子どもを産んでからにしてくれたらと思ったのではありませんか?」
ギリシスは濃いレッドブラウンの瞳に、まるで心を読まれたのではないかと思うほど、息苦しくなり、言葉に詰まった。
「そ、そのようなことを考えるはずがないであろう」
「では陛下は、竜帝国からいくら貰ったのですか?」
「何を言っている」
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