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番外編2
ルアース・ベルア5
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『でもサリーはあなたが似ていないことに文句を言っているけど、どう言えば正解なのか分からないって文に書いてあったわ(ビアロ語)』
『正解はありません、顔はどうにもなりません。叔母様の仕事は困ったわねという顔を私に向けることくらいです(ビアロ語)』
『ははは!サリーが面白い子だと言っていたけど、気に入った(ビアロ語)』
サリー正解はなかったそうよと教えてあげたいくらいだ、サネリはその困った顔を見て満足していたのだろう。
『良かったです、叔母様がルアース・ベルア様はきっとあなたを気に入るから、変に着飾らずに、ありのままでいなさいと(ビアロ語)』
『確かにその通りだ。ビアロ語も流石だ、先生がいいからか?(ビアロ語)』
『はい、根気強く教えてくださいました。でも私には三ヶ国語と、ビアロ語で精一杯です。もう伸びしろはないと思います(ビアロ語)』
『そんなことはないわ、十分素晴らしい。私なんてビアロ語一筋よ(ビアロ語)』
『先生はビアロ語に誇りを持ってください!後は多少は、いとこたちの助けにはなれるかなとは思います(ビアロ語)』
サネリはミーラ王子、ルミナ王子妃とは両方いとことなる。関係は良好で、ノワンナ語、アペラ語、カベリ語、そしてビアロ語を取得しており、王太子妃のためではなく、翻訳家になるためである。
『コルボリット』はサリーの後任ということで、荷が重いかとも思ったが、敵わないなりに頑張りますとしっかり努めてくれた。読者にもサリーの指導とサリーの姪という肩書も良かったのか、好意的に受け入れられてホッとした。
その後の『コルボリット』にもサリー・オールソンの名前を残し続け、『ミミとビビ』は二十四ヶ国語の出版を達成し、サリーは作家としても名を遺すことになった。クオン・パトラーも満足そうであった。
体調を崩したこともあり、ようやく八年後、ついに『コルボリット』の最終巻が発売された。最後に読者への感謝と、携わった者への感謝と、家族への感謝、そしてサリー・オールソンへの感謝を綴った。
発売日に再び、フィラビ・ロエンから大きな箱が届いた。今度は一体何が描かれているのか、再び夫と緊張の面持ちで開封を行った。
そこには、ルアースとサリーが最後に会った頃の姿で身を寄せて、少女の様に笑い合い姿、その周りには挿絵などで紹介されたコルボリットのキャラクターが描かれていた。息を呑むと同時に、涙が零れた。
そして、完結おめでとうございます―――という文字が書かれていた。
「一体、何者なのかしら…」
「いい絵だな、二人の関係をよく知っている人なんだろうな」
まるで二人がお喋りする瞬間を切り取ったような、瑞々しい笑顔だった。
「きっとサリーが生きていたら、喜んでくれたでしょうね」
「ああ、ルアもよく頑張ったね、お疲れ様」
その後は、エッセイを発表しながら、ゆっくりと過ごしていた。孫と出掛けたり、コルボリットの記念館も建てられることになった。
体調を崩し、旅立つ時を迎えた。残されるのは嫌だから、夫より先に死にたいと思っていたが、本当に先に逝くことになってしまった。
「先に逝くのは僕だろう?サリーと一緒に君を待っていようと思ったのに」
「私の方が待つようになりそうね、サリーとゆっくりあなたを待っているわ」
そして、ルアース・ベルアは亡くなった。『コルボリット』は完結していたが、それでも世界中のファンがその死を悲しんだ。
亡くなった後、サリーの肖像画はそのままベルア伯爵家に、二人の絵はコルボリット記念館に飾られることになり、一番多くの人が目にすることになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
これにてルアース・ベルア編、終了です。
次は最後のあの人です。
よろしくお願いいたします。
『正解はありません、顔はどうにもなりません。叔母様の仕事は困ったわねという顔を私に向けることくらいです(ビアロ語)』
『ははは!サリーが面白い子だと言っていたけど、気に入った(ビアロ語)』
サリー正解はなかったそうよと教えてあげたいくらいだ、サネリはその困った顔を見て満足していたのだろう。
『良かったです、叔母様がルアース・ベルア様はきっとあなたを気に入るから、変に着飾らずに、ありのままでいなさいと(ビアロ語)』
『確かにその通りだ。ビアロ語も流石だ、先生がいいからか?(ビアロ語)』
『はい、根気強く教えてくださいました。でも私には三ヶ国語と、ビアロ語で精一杯です。もう伸びしろはないと思います(ビアロ語)』
『そんなことはないわ、十分素晴らしい。私なんてビアロ語一筋よ(ビアロ語)』
『先生はビアロ語に誇りを持ってください!後は多少は、いとこたちの助けにはなれるかなとは思います(ビアロ語)』
サネリはミーラ王子、ルミナ王子妃とは両方いとことなる。関係は良好で、ノワンナ語、アペラ語、カベリ語、そしてビアロ語を取得しており、王太子妃のためではなく、翻訳家になるためである。
『コルボリット』はサリーの後任ということで、荷が重いかとも思ったが、敵わないなりに頑張りますとしっかり努めてくれた。読者にもサリーの指導とサリーの姪という肩書も良かったのか、好意的に受け入れられてホッとした。
その後の『コルボリット』にもサリー・オールソンの名前を残し続け、『ミミとビビ』は二十四ヶ国語の出版を達成し、サリーは作家としても名を遺すことになった。クオン・パトラーも満足そうであった。
体調を崩したこともあり、ようやく八年後、ついに『コルボリット』の最終巻が発売された。最後に読者への感謝と、携わった者への感謝と、家族への感謝、そしてサリー・オールソンへの感謝を綴った。
発売日に再び、フィラビ・ロエンから大きな箱が届いた。今度は一体何が描かれているのか、再び夫と緊張の面持ちで開封を行った。
そこには、ルアースとサリーが最後に会った頃の姿で身を寄せて、少女の様に笑い合い姿、その周りには挿絵などで紹介されたコルボリットのキャラクターが描かれていた。息を呑むと同時に、涙が零れた。
そして、完結おめでとうございます―――という文字が書かれていた。
「一体、何者なのかしら…」
「いい絵だな、二人の関係をよく知っている人なんだろうな」
まるで二人がお喋りする瞬間を切り取ったような、瑞々しい笑顔だった。
「きっとサリーが生きていたら、喜んでくれたでしょうね」
「ああ、ルアもよく頑張ったね、お疲れ様」
その後は、エッセイを発表しながら、ゆっくりと過ごしていた。孫と出掛けたり、コルボリットの記念館も建てられることになった。
体調を崩し、旅立つ時を迎えた。残されるのは嫌だから、夫より先に死にたいと思っていたが、本当に先に逝くことになってしまった。
「先に逝くのは僕だろう?サリーと一緒に君を待っていようと思ったのに」
「私の方が待つようになりそうね、サリーとゆっくりあなたを待っているわ」
そして、ルアース・ベルアは亡くなった。『コルボリット』は完結していたが、それでも世界中のファンがその死を悲しんだ。
亡くなった後、サリーの肖像画はそのままベルア伯爵家に、二人の絵はコルボリット記念館に飾られることになり、一番多くの人が目にすることになった。
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お読みいただきありがとうございます。
これにてルアース・ベルア編、終了です。
次は最後のあの人です。
よろしくお願いいたします。
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