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番外編2
ルアース・ベルア2
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私はカベリ語は学校では習ったが、話せるというレベルではなく、ビアロ語しか話せない。ビアロ語は世界的には一般的とは言えず、だからと言ってちょっとビアロ語が出来るからという者にどうしても、私の大事な『コルボリット』を任せることは出来ないと思い、翻訳の打診はいつもお断りしていた。
そして出会ったのがサリー・ペルガメント。ビアロ語を『コルボリット』を読むために覚えたという才女。後から聞くと、この時点で七ヶ国語は出来ていたという。
ただ国自体の規模は同じくらいであっても、侯爵令嬢で、王太子殿下の婚約者だと言われて、おいそれと会える者ではないと言ったが、あちらが是非会いたいと言っていると言い、会うことになった。
通訳は要らないと言われていたが、本当に一切要らなかった。完璧というよりは、母国語ではないのかというレベルだった。
そして『コルボリット』の話を始めて、一言一句言葉を間違えないことに驚いた。凄まじい記憶力の持ち主であった。朧気ということがないそうだ。
『翻訳をして貰えないでしょうか(ビアロ語)』
『嬉しいですが、私は機微が私では表現しきれません。でもやってみたい、沢山の方に読んで貰って、話がしてみたい気持ちと、私でいいのかという疑問と、色んな気持ちがせめぎ合っています(ビアロ語)』
子どもの様に無邪気に話すサリーに、苦労していないなどとは思わなかったが、王太子の婚約者なら当たり前ではあるのかもしれないが、彼女の境遇は思った以上に、貴族らしい縛られた世界であったことは、その後に分かった。
『私はコルボリットを愛してくれる、あなたしかいないと思いました。出来れば、あなたが出来る言語で、翻訳版に問題がないか確認も貰いたい(ビアロ語)』
『こんなに嬉しい言葉はありません。でも、翻訳はきちんと判断をして貰いたいです(ビアロ語)』
『分かりました、トワイ語を分かる者をこちらで探して、読んで貰いましょう(ビアロ語)』
『私のことは公の場以外では是非、サリーと呼んでください(ビアロ語)』
『はい、サリー(ビアロ語)』
公にはサリー様、妃殿下と呼んでいたが、二人の時はサリーと呼ぶようになった。私には息子しかいないが、娘とも違い、妹もいないが…一番近いのは妹だろうかなどと思っていた。
私と会う時のサリーは先生と話すのが一番楽しい時間だと、いつも笑っていて、自分の境遇はほとんど語らなかった。
話したくなかったのではなく、迷惑を掛けることを恐れて言わなかったのだろう。耳に入ることはあったが、私もサリーを問いただすようなことはしなかった。
それから翻訳版の出版に向けて、サリーは王家にも承認を取って、翻訳作業に入ったが、さすがこれまでも学術書を訳していただけあって、早かったが、いくつか表現に関して、こちらの方がいいかという疑問点もきちんと提示し、その辺りは相談をしながら、トワイ語版が出来上がった。
誰が訳したとは言わずにビアロ語とトワイ語に分かる者に読ませたが、合格だと評価を得た。そして、ビアロ語しか分からない私では、どう訳されているか分からないので、サリーが分かる言語だけで翻訳の出版も決まった。
ゴッサムブラン語に関しては、ギリーズマラス王国の大臣夫妻がわざわざやって来たくらいだ。
「どうやら、サリー様がゴッサムブラン語を取得されたそうで」
「そういえば、文に書いてあったわ。どこの国かと思って、調べたわよ。全く知らない言語に挑戦したかったと書いてあったけど」
「妃殿下っぽいですね。前から打診はあった国でしたので、小躍りしたでしょうね」
そんな日々を過ごし、先に逝くのは間違いなく私だと思っていたが、サリーからの文が届き、どうしてなのかと運命を呪いたくなった。
そして出会ったのがサリー・ペルガメント。ビアロ語を『コルボリット』を読むために覚えたという才女。後から聞くと、この時点で七ヶ国語は出来ていたという。
ただ国自体の規模は同じくらいであっても、侯爵令嬢で、王太子殿下の婚約者だと言われて、おいそれと会える者ではないと言ったが、あちらが是非会いたいと言っていると言い、会うことになった。
通訳は要らないと言われていたが、本当に一切要らなかった。完璧というよりは、母国語ではないのかというレベルだった。
そして『コルボリット』の話を始めて、一言一句言葉を間違えないことに驚いた。凄まじい記憶力の持ち主であった。朧気ということがないそうだ。
『翻訳をして貰えないでしょうか(ビアロ語)』
『嬉しいですが、私は機微が私では表現しきれません。でもやってみたい、沢山の方に読んで貰って、話がしてみたい気持ちと、私でいいのかという疑問と、色んな気持ちがせめぎ合っています(ビアロ語)』
子どもの様に無邪気に話すサリーに、苦労していないなどとは思わなかったが、王太子の婚約者なら当たり前ではあるのかもしれないが、彼女の境遇は思った以上に、貴族らしい縛られた世界であったことは、その後に分かった。
『私はコルボリットを愛してくれる、あなたしかいないと思いました。出来れば、あなたが出来る言語で、翻訳版に問題がないか確認も貰いたい(ビアロ語)』
『こんなに嬉しい言葉はありません。でも、翻訳はきちんと判断をして貰いたいです(ビアロ語)』
『分かりました、トワイ語を分かる者をこちらで探して、読んで貰いましょう(ビアロ語)』
『私のことは公の場以外では是非、サリーと呼んでください(ビアロ語)』
『はい、サリー(ビアロ語)』
公にはサリー様、妃殿下と呼んでいたが、二人の時はサリーと呼ぶようになった。私には息子しかいないが、娘とも違い、妹もいないが…一番近いのは妹だろうかなどと思っていた。
私と会う時のサリーは先生と話すのが一番楽しい時間だと、いつも笑っていて、自分の境遇はほとんど語らなかった。
話したくなかったのではなく、迷惑を掛けることを恐れて言わなかったのだろう。耳に入ることはあったが、私もサリーを問いただすようなことはしなかった。
それから翻訳版の出版に向けて、サリーは王家にも承認を取って、翻訳作業に入ったが、さすがこれまでも学術書を訳していただけあって、早かったが、いくつか表現に関して、こちらの方がいいかという疑問点もきちんと提示し、その辺りは相談をしながら、トワイ語版が出来上がった。
誰が訳したとは言わずにビアロ語とトワイ語に分かる者に読ませたが、合格だと評価を得た。そして、ビアロ語しか分からない私では、どう訳されているか分からないので、サリーが分かる言語だけで翻訳の出版も決まった。
ゴッサムブラン語に関しては、ギリーズマラス王国の大臣夫妻がわざわざやって来たくらいだ。
「どうやら、サリー様がゴッサムブラン語を取得されたそうで」
「そういえば、文に書いてあったわ。どこの国かと思って、調べたわよ。全く知らない言語に挑戦したかったと書いてあったけど」
「妃殿下っぽいですね。前から打診はあった国でしたので、小躍りしたでしょうね」
そんな日々を過ごし、先に逝くのは間違いなく私だと思っていたが、サリーからの文が届き、どうしてなのかと運命を呪いたくなった。
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