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番外編2
レオ・ペルガメント6
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外出することも出来ず、仕事の関係者の知り合いはいても、友人のいない夫婦に、使用人が教えなければ、誰も教えてくれる者はなく、社交界に出るわけでもない。
サリーがさらに有名になっていることも、知ることはなかった。
唯一、医師に娘さんは本当に素晴らしいですねと言われたくらいで、もしサリーが生きていたらサインを頼んで欲しいなどと言われた可能性はあるが、貰えないことは分かっているので、頼まれることもない。
レオは『ミミとビビ』の発売日に本屋の前で待ち構えていた。売れ行きが悪いとは思っていないが、余裕があれば使用人に配ろうと思っていたが、全員、一人残らず、自分の給金で買うといい、受け取らないと宣言されてしまった。
仕方ないので、何人か連れて行き、購入して貰おうと思っていたが、店主が「サリー王太子妃殿下の最初で最後の小説が本日発売です」と声を上げれば、皆振り返って本屋に入っていく。
「サリーに見せたい…」
「本当に…」
心の熱くなる光景に言葉がなかった。使用人もいつのまにか走り込んでおり、買えましたと抱きしめて嬉しそうにしている。
ノーラ公爵家もそれぞれ違う本屋に張り付いているそうだ。
品切れになったことを見届けて、レオ達が邸に戻ると執事が駆け込んで来た。走る姿を見たのはサリーが亡くなった日だけだった。
「レオ様、絵が、おそらく絵が」
「どうした?」
「フィラビ・ロエン様から届いています」
「フィラビ?サリーの小説の?」
「はい、迎えを出そうかと思ったのですが、発売日も大事ですから、どうしようかと皆で相談していたところでして。執務室に運んであります」
執務室に行くと、大きな箱が置いてあり、確かに絵だろう大きさである。
「ねえ、早く」
開けられないでいると、ジェシカが欲しいと待っており、使用人も入り口にびっしり待ち構えている。
ゆっくりリボンを解き、箱を開けると、そこには若い頃のサリーの姿があった。おそらく王太子妃になる前のサリーだ。そしてその表情は、「お兄様」と嬉しそうに駆け寄って来る時のレオが見た、少し上目遣いの笑顔の肖像画だった。
「サリ―――――ッ!!」
レオは思わず、愛する妹の名前を叫んでいた。涙が零れ、今すぐサリーを抱きしめたい衝動に駆られるほどだった。
「サリー様」という声と、すすり泣く声がし、ジェシカは黙って涙を流していた。
「サリーが帰って来た」
「…うっ、最高の額縁を用意しなきゃ…お父様に頼んで来るわ」
「ああ、頼む」
ノーラ公爵家も一斉にやって来て、その愛らしい笑顔に皆が、泣きながらも釣られて笑顔になった。ミーラ殿下と同じで、私室ではなく、邸の皆が見ることの出来る場所に飾ることになった。
邸にはサリーがいる頃からの使用人も多い。
王太子宮にも財団にも、ルアース・ベルア氏の元にも届けられたことを知り、ルアース・ベルア氏のところは娘・サネリから聞いただけが、どうやら一番若いのがペルガメント侯爵家の肖像画であることが分かった。
リール殿下にもどうしても見せて欲しいと頼まれ、仕方がないので見せたが、リール殿下には見ることのない顔だろうと思えば、怒りも沈められた。
ミーラ殿下は私より若い母というのは、何だか変な気持ちだと言っていたが、子どもたちにも大きくなったら見せて欲しいと嬉しそうだった。
おそらくサリー・ペルガメントであった、最後のサリーなのだろうと結論になった。フィラビ・ロエン様はおそらく長い付き合いで、サリーを当時から知っていたのだろう。もしかしたら、貴族ではないのかもしれない。そんな風に思った。
それから、父の方が危ないと連絡を貰ったレオは、領地に向かった。
正直、間に合わなかったとしても、悲しくもないが、最後にもう一つくらい言ってやりたい気持ちはあった。
サリーがさらに有名になっていることも、知ることはなかった。
唯一、医師に娘さんは本当に素晴らしいですねと言われたくらいで、もしサリーが生きていたらサインを頼んで欲しいなどと言われた可能性はあるが、貰えないことは分かっているので、頼まれることもない。
レオは『ミミとビビ』の発売日に本屋の前で待ち構えていた。売れ行きが悪いとは思っていないが、余裕があれば使用人に配ろうと思っていたが、全員、一人残らず、自分の給金で買うといい、受け取らないと宣言されてしまった。
仕方ないので、何人か連れて行き、購入して貰おうと思っていたが、店主が「サリー王太子妃殿下の最初で最後の小説が本日発売です」と声を上げれば、皆振り返って本屋に入っていく。
「サリーに見せたい…」
「本当に…」
心の熱くなる光景に言葉がなかった。使用人もいつのまにか走り込んでおり、買えましたと抱きしめて嬉しそうにしている。
ノーラ公爵家もそれぞれ違う本屋に張り付いているそうだ。
品切れになったことを見届けて、レオ達が邸に戻ると執事が駆け込んで来た。走る姿を見たのはサリーが亡くなった日だけだった。
「レオ様、絵が、おそらく絵が」
「どうした?」
「フィラビ・ロエン様から届いています」
「フィラビ?サリーの小説の?」
「はい、迎えを出そうかと思ったのですが、発売日も大事ですから、どうしようかと皆で相談していたところでして。執務室に運んであります」
執務室に行くと、大きな箱が置いてあり、確かに絵だろう大きさである。
「ねえ、早く」
開けられないでいると、ジェシカが欲しいと待っており、使用人も入り口にびっしり待ち構えている。
ゆっくりリボンを解き、箱を開けると、そこには若い頃のサリーの姿があった。おそらく王太子妃になる前のサリーだ。そしてその表情は、「お兄様」と嬉しそうに駆け寄って来る時のレオが見た、少し上目遣いの笑顔の肖像画だった。
「サリ―――――ッ!!」
レオは思わず、愛する妹の名前を叫んでいた。涙が零れ、今すぐサリーを抱きしめたい衝動に駆られるほどだった。
「サリー様」という声と、すすり泣く声がし、ジェシカは黙って涙を流していた。
「サリーが帰って来た」
「…うっ、最高の額縁を用意しなきゃ…お父様に頼んで来るわ」
「ああ、頼む」
ノーラ公爵家も一斉にやって来て、その愛らしい笑顔に皆が、泣きながらも釣られて笑顔になった。ミーラ殿下と同じで、私室ではなく、邸の皆が見ることの出来る場所に飾ることになった。
邸にはサリーがいる頃からの使用人も多い。
王太子宮にも財団にも、ルアース・ベルア氏の元にも届けられたことを知り、ルアース・ベルア氏のところは娘・サネリから聞いただけが、どうやら一番若いのがペルガメント侯爵家の肖像画であることが分かった。
リール殿下にもどうしても見せて欲しいと頼まれ、仕方がないので見せたが、リール殿下には見ることのない顔だろうと思えば、怒りも沈められた。
ミーラ殿下は私より若い母というのは、何だか変な気持ちだと言っていたが、子どもたちにも大きくなったら見せて欲しいと嬉しそうだった。
おそらくサリー・ペルガメントであった、最後のサリーなのだろうと結論になった。フィラビ・ロエン様はおそらく長い付き合いで、サリーを当時から知っていたのだろう。もしかしたら、貴族ではないのかもしれない。そんな風に思った。
それから、父の方が危ないと連絡を貰ったレオは、領地に向かった。
正直、間に合わなかったとしても、悲しくもないが、最後にもう一つくらい言ってやりたい気持ちはあった。
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