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番外編2
レオ・ペルガメント5
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「婚約を解消を願っても叶えなかった人たちが?」
「あれは誤解だったじゃないか」
「そうよ」
「王太子殿下は事故や、体の関係までは持っていない者もおりましたが、六人と不貞を犯しています。あとは娼婦もいましたね。ご存知でしたよね?特に母上は」
「っな、一国の王太子なのだから、そのくらいは」
「そうよ、そんなの王太子妃になるんだから、黙って見過ごせばいいよ」
当時もそのようなことを言ったと書かれていた、本当に何も変わっていない。
「サリーはな、その女たちに嫌がらせを受けていたんだ。確かに発端は王太子だ、だが親だというなら味方になってやるべきではありませんか?」
「そのくらい」
「怪我もさせられている」
「何ですって」
「誰だ!そんな奴がいたのか!」
傷付けられたことを怒っているように見せているが、抗議が出来なかったことを怒っているのだ。前は気付かれていなかったが、今は周りも気付いている。
「婚約解消を願った時に領地に戻ったのだって、怪我をさせられたからですよ?」
「な!なぜ言わなかった…」
「そうよ、そんなこと聞いていないわ」
「不貞には黙って、怪我は許せないですか?相手が王太子だから?傷付けられたのはどちらも同じですよ!」
「王家に言えるわけないだろう、だが貴族なら」
「そうよ、私だって」
相手が王家であれば、何も言わず、サリーを抑えつける。相手が王家でなければ、痛めつけようと考える。なんて浅ましい。
「それが嫌だったそうですよ、慰謝料を懐に入れるつもりだったからでしょう?何に変わったんでしょうね?調度品?宝石?サリーはそれが嫌で言わなかったのです」
「っな、そういうことはきちんと言うべきだ!今からでも抗議してやる」
「そうよ、どこの家?」
「教えませんよ、既にサリーが報復しています。あなた方は何も知らないんですよ、そうでしょう?」
「サリーが、何かしたのか」
「あの子が?」
二人は信じられない様子で、顔を見合わせていたが、答えに辿り着くことはないだろう。しかも既に全員、社交界にはいない。ジェシカたちによって、さらに消えて行く者もいるだろう。いや、確実にいる。
「ええ、サリーがサリーの力で、いえ、サリーにしか出来ない方法で、報復しています。そもそも報復する権利はサリーにしかありませんよね?それとも娘の不幸を金にするつもりでしたか?」
「そんなこと、するはずないだろう」
「そうよ」
「あなたたちにとって、一番いい方法じゃないですか?自分たちは痛みもしない、だけどお金を奪えるなんて」
「おまっ」
私が生きている間は許すことはない。サリーを傷付けて、平気で笑っている者など両親を含めて人ではない。
「もういいです。サリーはこれから、さらに有名になるはずです」
「あの子は死んだんだぞ」
「そうよ…もういないじゃない」
「分からないお二人は、どうぞ死ぬまでそうしていてください」
レオも二人が今さら反省するなどとは思っていない。だが、今日聞いたことで、少しでも苦しめることが出来たらラッキーくらいである。
息子にも娘にも、嫁にも婿にも、孫にも嫌われている二人。もうお互いしか残っていないのだから、意見を変えることはないだろう。
レオが去って、ミーラ殿下の誕生日が過ぎ、領地でも『ミミトビビ』がようやく店頭に並ぶようになった。前公爵夫妻を慕う古参の高齢の使用人は既に退職している。現在の使用人は慕って仕えているわけではなく、レオを頼りにし、仕事として割り切っているだけである。
「これが?」
「まだ売ってた?」
「いいえ、私も何とか買えたくらいで、でも予約は出来るそうですよ!」
「じゃあ帰りに予約して来るわ」
使用人の間でも、尊敬すべき王太子妃で、ペルガメント侯爵家の誇りであるサリーの書いた小説だと、こぞって買い求められていた。だが領地であるため、数も時間も掛かるので、なかなか手に入らない。
「何の話をしていた?」
「ハンカチの話です」
「そうか」
前侯爵に問われた使用人は、悪びれることなく嘘を付く。
「あれは誤解だったじゃないか」
「そうよ」
「王太子殿下は事故や、体の関係までは持っていない者もおりましたが、六人と不貞を犯しています。あとは娼婦もいましたね。ご存知でしたよね?特に母上は」
「っな、一国の王太子なのだから、そのくらいは」
「そうよ、そんなの王太子妃になるんだから、黙って見過ごせばいいよ」
当時もそのようなことを言ったと書かれていた、本当に何も変わっていない。
「サリーはな、その女たちに嫌がらせを受けていたんだ。確かに発端は王太子だ、だが親だというなら味方になってやるべきではありませんか?」
「そのくらい」
「怪我もさせられている」
「何ですって」
「誰だ!そんな奴がいたのか!」
傷付けられたことを怒っているように見せているが、抗議が出来なかったことを怒っているのだ。前は気付かれていなかったが、今は周りも気付いている。
「婚約解消を願った時に領地に戻ったのだって、怪我をさせられたからですよ?」
「な!なぜ言わなかった…」
「そうよ、そんなこと聞いていないわ」
「不貞には黙って、怪我は許せないですか?相手が王太子だから?傷付けられたのはどちらも同じですよ!」
「王家に言えるわけないだろう、だが貴族なら」
「そうよ、私だって」
相手が王家であれば、何も言わず、サリーを抑えつける。相手が王家でなければ、痛めつけようと考える。なんて浅ましい。
「それが嫌だったそうですよ、慰謝料を懐に入れるつもりだったからでしょう?何に変わったんでしょうね?調度品?宝石?サリーはそれが嫌で言わなかったのです」
「っな、そういうことはきちんと言うべきだ!今からでも抗議してやる」
「そうよ、どこの家?」
「教えませんよ、既にサリーが報復しています。あなた方は何も知らないんですよ、そうでしょう?」
「サリーが、何かしたのか」
「あの子が?」
二人は信じられない様子で、顔を見合わせていたが、答えに辿り着くことはないだろう。しかも既に全員、社交界にはいない。ジェシカたちによって、さらに消えて行く者もいるだろう。いや、確実にいる。
「ええ、サリーがサリーの力で、いえ、サリーにしか出来ない方法で、報復しています。そもそも報復する権利はサリーにしかありませんよね?それとも娘の不幸を金にするつもりでしたか?」
「そんなこと、するはずないだろう」
「そうよ」
「あなたたちにとって、一番いい方法じゃないですか?自分たちは痛みもしない、だけどお金を奪えるなんて」
「おまっ」
私が生きている間は許すことはない。サリーを傷付けて、平気で笑っている者など両親を含めて人ではない。
「もういいです。サリーはこれから、さらに有名になるはずです」
「あの子は死んだんだぞ」
「そうよ…もういないじゃない」
「分からないお二人は、どうぞ死ぬまでそうしていてください」
レオも二人が今さら反省するなどとは思っていない。だが、今日聞いたことで、少しでも苦しめることが出来たらラッキーくらいである。
息子にも娘にも、嫁にも婿にも、孫にも嫌われている二人。もうお互いしか残っていないのだから、意見を変えることはないだろう。
レオが去って、ミーラ殿下の誕生日が過ぎ、領地でも『ミミトビビ』がようやく店頭に並ぶようになった。前公爵夫妻を慕う古参の高齢の使用人は既に退職している。現在の使用人は慕って仕えているわけではなく、レオを頼りにし、仕事として割り切っているだけである。
「これが?」
「まだ売ってた?」
「いいえ、私も何とか買えたくらいで、でも予約は出来るそうですよ!」
「じゃあ帰りに予約して来るわ」
使用人の間でも、尊敬すべき王太子妃で、ペルガメント侯爵家の誇りであるサリーの書いた小説だと、こぞって買い求められていた。だが領地であるため、数も時間も掛かるので、なかなか手に入らない。
「何の話をしていた?」
「ハンカチの話です」
「そうか」
前侯爵に問われた使用人は、悪びれることなく嘘を付く。
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