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番外編2
クオン・パトラー6
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ペルガメント侯爵邸に着き、レオの妻・ジェシカ夫人の両親・ノーラ公爵夫妻、嫡男夫妻にも届けに行く予定だったが、一緒に待っていると連絡を貰っていた。
「お待ちしていました!出来たのでしょうか」
「はい、お待たせしました」
皆、待ちきれないと言わんばかりに玄関に集まっていた。さあさあと応接室に通され、レオとジェシカの息子と娘もおり、期待度が高いことが、窺い知れる。
「はい、こちらです」
誰に最初に渡せばいいか分からず、机に置くと皆が釘付けになっており、何だか神々しく光っているようにも感じた。
「サリーの名前が…」
「ああ、なんてこと…」
ジェシカ夫人は口元を押さえて、ボロボロと泣き始めて、レオもその様子にもらい泣きしたようで、涙を拭っていた。
「サリー様」「素晴らしいな」「凄いな…」「感動するわ」
「叔母上…」「サリー叔母様」
皆も感動で言葉にならないようで、本を見ては目を熱くしている。
「皆様に文を預かっております」
そう言うと、皆家族というべきか、声を失ったように止まってしまった。
「サリーから?」
「はい、こちらにいる皆様と、ポーラ夫人にはいかがしましょうか。送った方がよろしいでしょうか」
ポーラ夫人はジェシカの姉で、フアラ王国の公爵家に嫁いでいる。
「いえ、来週に戻るはずだから、私が預かります」
「お母様、黙っていないと飛んで来るわよ」
「そうね、皆で黙って驚かせましょう」
「来週のミーラ殿下の誕生日に発売しますので、丁度いいかもしれませんね」
「ミーラ殿下の誕生日に。母から最期の贈り物か…」
とは言っても、既に渡してしまったので、誕生日の贈り物とも思えないかもしれないが、気持ちの問題だ。
「私が勝手にそうしたのですが」
「ああ、なるほど!サリーはそういったことは疎いから、とてもいい考えだね、ありがとう」
「いえ、恐れ入ります」
クオンはまた皆に授与式の様に文を渡し、ペルガメント侯爵邸を後にした。きっとあの家は今日は泣きながらのお祭り騒ぎだろうと思った。
そして、次は側妃見習いを辞めたレベッカ・ウィンダム。現在は完全にウィンダム伯爵家に戻っており、サリー財団の理事に就任している。クリンピア公爵家の使われていなかった邸を財団にして、使っている。
「お時間を取っていただき、ありがとうございます」
「あなたも財団の身内のような者でしょう?」
これからサリー様の財産や印税などはこの財団に預けられて、必要なところに支援をしていく。
「勿体ない言葉です」
「いえ、あなたがいてこそでもあるわ。今日はどうしたの?」
「こちらを、サリー様からです」
「は?」
机に小説と文を置くと、何これ、嘘でしょう、名前がと言いながら、泣くまいと堪えているようだった。
「本?書いてたの?」
「はい」
「知らなかった、私、本を読まないから…でもこれは読むわ、絶対。文まで…私なんかに」
「売りますよ!とりあえず五ヶ国語発売されますから、潤わせて、この本を孤児院に寄付しましょう!サリー様は喜びます」
「待って、五ヶ国語って何?まさかサリー様が訳していたの?」
「そうです、二十四ヶ国語あります」
「はあ?またとんでもないことを…無理したんじゃない、いや、これは失礼だわ。私なんかに言う資格なんてないわ。聞かなかったことにして」
「私も実は思いました、無理をされたんじゃないかと、無理をさせたのではないかと、でも私も言いません!サリー様は望みませんから」
実はリール殿下に話した際に、無理をしたのではないかと言われると思っていた。でも殿下は思っていたが、サリー様の意を汲んで言わなかったのだと思う。
「ええ、そうよね。孤児院に是非、配りたいわ」
「マリーヌ様にも預かっているのですが、今は辺境ですか」
「今、ちょうど王都に向かっているのよ。私が渡しておくわ、泣いて喜ぶと思うわ」
「では、お願いします」
「これからもよろしくお願いしますわね、私はこの財団に命を捧げる覚悟ですから」
「私も残り十九ヶ国語を発売を成し遂げます!」
二人はがっしり握手を交わし、クオンは財団を後にした。
クオンが最後に向かったのはアズラー侯爵邸。ティファナ・アズラーだった。
「お待ちしていました!出来たのでしょうか」
「はい、お待たせしました」
皆、待ちきれないと言わんばかりに玄関に集まっていた。さあさあと応接室に通され、レオとジェシカの息子と娘もおり、期待度が高いことが、窺い知れる。
「はい、こちらです」
誰に最初に渡せばいいか分からず、机に置くと皆が釘付けになっており、何だか神々しく光っているようにも感じた。
「サリーの名前が…」
「ああ、なんてこと…」
ジェシカ夫人は口元を押さえて、ボロボロと泣き始めて、レオもその様子にもらい泣きしたようで、涙を拭っていた。
「サリー様」「素晴らしいな」「凄いな…」「感動するわ」
「叔母上…」「サリー叔母様」
皆も感動で言葉にならないようで、本を見ては目を熱くしている。
「皆様に文を預かっております」
そう言うと、皆家族というべきか、声を失ったように止まってしまった。
「サリーから?」
「はい、こちらにいる皆様と、ポーラ夫人にはいかがしましょうか。送った方がよろしいでしょうか」
ポーラ夫人はジェシカの姉で、フアラ王国の公爵家に嫁いでいる。
「いえ、来週に戻るはずだから、私が預かります」
「お母様、黙っていないと飛んで来るわよ」
「そうね、皆で黙って驚かせましょう」
「来週のミーラ殿下の誕生日に発売しますので、丁度いいかもしれませんね」
「ミーラ殿下の誕生日に。母から最期の贈り物か…」
とは言っても、既に渡してしまったので、誕生日の贈り物とも思えないかもしれないが、気持ちの問題だ。
「私が勝手にそうしたのですが」
「ああ、なるほど!サリーはそういったことは疎いから、とてもいい考えだね、ありがとう」
「いえ、恐れ入ります」
クオンはまた皆に授与式の様に文を渡し、ペルガメント侯爵邸を後にした。きっとあの家は今日は泣きながらのお祭り騒ぎだろうと思った。
そして、次は側妃見習いを辞めたレベッカ・ウィンダム。現在は完全にウィンダム伯爵家に戻っており、サリー財団の理事に就任している。クリンピア公爵家の使われていなかった邸を財団にして、使っている。
「お時間を取っていただき、ありがとうございます」
「あなたも財団の身内のような者でしょう?」
これからサリー様の財産や印税などはこの財団に預けられて、必要なところに支援をしていく。
「勿体ない言葉です」
「いえ、あなたがいてこそでもあるわ。今日はどうしたの?」
「こちらを、サリー様からです」
「は?」
机に小説と文を置くと、何これ、嘘でしょう、名前がと言いながら、泣くまいと堪えているようだった。
「本?書いてたの?」
「はい」
「知らなかった、私、本を読まないから…でもこれは読むわ、絶対。文まで…私なんかに」
「売りますよ!とりあえず五ヶ国語発売されますから、潤わせて、この本を孤児院に寄付しましょう!サリー様は喜びます」
「待って、五ヶ国語って何?まさかサリー様が訳していたの?」
「そうです、二十四ヶ国語あります」
「はあ?またとんでもないことを…無理したんじゃない、いや、これは失礼だわ。私なんかに言う資格なんてないわ。聞かなかったことにして」
「私も実は思いました、無理をされたんじゃないかと、無理をさせたのではないかと、でも私も言いません!サリー様は望みませんから」
実はリール殿下に話した際に、無理をしたのではないかと言われると思っていた。でも殿下は思っていたが、サリー様の意を汲んで言わなかったのだと思う。
「ええ、そうよね。孤児院に是非、配りたいわ」
「マリーヌ様にも預かっているのですが、今は辺境ですか」
「今、ちょうど王都に向かっているのよ。私が渡しておくわ、泣いて喜ぶと思うわ」
「では、お願いします」
「これからもよろしくお願いしますわね、私はこの財団に命を捧げる覚悟ですから」
「私も残り十九ヶ国語を発売を成し遂げます!」
二人はがっしり握手を交わし、クオンは財団を後にした。
クオンが最後に向かったのはアズラー侯爵邸。ティファナ・アズラーだった。
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