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番外編1
エマ・ネイリー27
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自分は傷付けた側だと認識したエマは、修道院に置いてあった荷物を邸で乗せて、そのまま西の修道院に両親に連れられて旅立った。
弟・ルオはたった一言しか声を掛けなかった。
「さようなら」
冷たい視線に弟にも迷惑を掛けたのだと悟り、エマは黙ったまま、頭を下げた。
「迷惑を掛けてすみませんでした」
「ようやく分かったんだな」
「妃殿下に子どもが産めないなどと…どうして言えたの?」
「あの時は、側妃に選ばれるのは私なのに、妃殿下のことを子どもの産めない女だと、馬鹿にしていました」
クリコット様もあの時に説明してくださったのに、どうして信じてしまっていたのだろうか。セイルさんが言ったように、男性に言葉にされたことはなく、自分勝手に思っただけだった。
「…女性として最低だわ、自分だって産める証拠もないのに。調子に乗っているのだと思っていたけど、性根も腐っていたのね」
「申し訳ありません」
「それで、どこにいたの?」
「ホテルにいました。馬車を乗り換えて、王都まで来て、どこに行けばいいか調べたりしていました」
勝手に出て行ったとはいえ、事故や事件に巻き込まれたのではないかと思っていたが、無駄な心配だったようだ。
エマは東の修道院からお金と着替えを持ち出して外出し、殿下に会う機会があるかもしれないからと、持って来ていた騎士のような服に着替えて馬車に乗った。
髪もさほど長くはなかったが、束ねていたので、男性に見えたのか、女性に見えても襲ったりする者がいなかっただけか、無事に王都に辿り着いた。
手持ちで払える安いホテルに滞在して、ピンクのワンピースを自身で選んで購入して、髪のセットと化粧をして貰い、セイルに会いに行ったのだ。
「あなたは恋をしてはいけないのかと言いましたね?」
「はい…」
「それなのに、どうして結婚を受け入れようなんて言ったの?好きだから来たと言えば良かったでしょう?」
「…それは」
「あなたは何か努力したことがあった?」
エマは努力をしない子だった、勉強も運動も、騎士だって強く勧めたわけではない。それなのにやらせようとしたと思い込み、過剰に反応していた。
「努力もせずに、人を見下す立場にあると思っていたんでしょう?見下していいのは妃殿下の様に努力をしたような方だけよ。いつからなの?」
「そんなこと、ないと…いつから?」
「殿下と出会ってからじゃない?殿下と一緒にいたからって、殿下や妃殿下と同じ立場になれるわけじゃないのよ?分からなかったの?」
「そう、そうだったのね…私は勘違いしていた、のね…」
ようやく話が出来た母は、最後にまともに話が出来た時が、思い出せないほどだった。それほどまでに拗れ続けていた証拠であった。
「ルオもお前のせいで周りから嫌がらせを受けていたんだ」
「ルオが…」
「友人に恵まれたから大丈夫だと笑っていたが、お前の殻弾みな言動で、辛い思いをして来たんだ」
「ごめんなさい…」
「ようやく分かってくれたのなら、良かった」
父ももっと早く分かってくれていたらとは思えなかった、既に何度もきっかけはあったのに、理解が出来なかったのだ。
そして、西の修道院に着いた。高い壁に囲まれた、城の様であった。入り口で名前を確認されて、両親とは別れることになった。
「さようなら」「さようなら」
「お世話になりました」
エマは両親に初めて頭を下げて、修道院に入って行き、前に修道院に送った時とは違って、二度と会うことはないだろうと思い、少しばかり胸が痛んだが、その痛みはおそらく良いものだと思い、二人は邸に戻った。
事実、エマと両親は二度と会うことはなかった。
エマは説明を受けて、部屋に案内された。中は東の修道院のように温かい雰囲気はないが、噂に聞く、監獄とは思えなかった。
弟・ルオはたった一言しか声を掛けなかった。
「さようなら」
冷たい視線に弟にも迷惑を掛けたのだと悟り、エマは黙ったまま、頭を下げた。
「迷惑を掛けてすみませんでした」
「ようやく分かったんだな」
「妃殿下に子どもが産めないなどと…どうして言えたの?」
「あの時は、側妃に選ばれるのは私なのに、妃殿下のことを子どもの産めない女だと、馬鹿にしていました」
クリコット様もあの時に説明してくださったのに、どうして信じてしまっていたのだろうか。セイルさんが言ったように、男性に言葉にされたことはなく、自分勝手に思っただけだった。
「…女性として最低だわ、自分だって産める証拠もないのに。調子に乗っているのだと思っていたけど、性根も腐っていたのね」
「申し訳ありません」
「それで、どこにいたの?」
「ホテルにいました。馬車を乗り換えて、王都まで来て、どこに行けばいいか調べたりしていました」
勝手に出て行ったとはいえ、事故や事件に巻き込まれたのではないかと思っていたが、無駄な心配だったようだ。
エマは東の修道院からお金と着替えを持ち出して外出し、殿下に会う機会があるかもしれないからと、持って来ていた騎士のような服に着替えて馬車に乗った。
髪もさほど長くはなかったが、束ねていたので、男性に見えたのか、女性に見えても襲ったりする者がいなかっただけか、無事に王都に辿り着いた。
手持ちで払える安いホテルに滞在して、ピンクのワンピースを自身で選んで購入して、髪のセットと化粧をして貰い、セイルに会いに行ったのだ。
「あなたは恋をしてはいけないのかと言いましたね?」
「はい…」
「それなのに、どうして結婚を受け入れようなんて言ったの?好きだから来たと言えば良かったでしょう?」
「…それは」
「あなたは何か努力したことがあった?」
エマは努力をしない子だった、勉強も運動も、騎士だって強く勧めたわけではない。それなのにやらせようとしたと思い込み、過剰に反応していた。
「努力もせずに、人を見下す立場にあると思っていたんでしょう?見下していいのは妃殿下の様に努力をしたような方だけよ。いつからなの?」
「そんなこと、ないと…いつから?」
「殿下と出会ってからじゃない?殿下と一緒にいたからって、殿下や妃殿下と同じ立場になれるわけじゃないのよ?分からなかったの?」
「そう、そうだったのね…私は勘違いしていた、のね…」
ようやく話が出来た母は、最後にまともに話が出来た時が、思い出せないほどだった。それほどまでに拗れ続けていた証拠であった。
「ルオもお前のせいで周りから嫌がらせを受けていたんだ」
「ルオが…」
「友人に恵まれたから大丈夫だと笑っていたが、お前の殻弾みな言動で、辛い思いをして来たんだ」
「ごめんなさい…」
「ようやく分かってくれたのなら、良かった」
父ももっと早く分かってくれていたらとは思えなかった、既に何度もきっかけはあったのに、理解が出来なかったのだ。
そして、西の修道院に着いた。高い壁に囲まれた、城の様であった。入り口で名前を確認されて、両親とは別れることになった。
「さようなら」「さようなら」
「お世話になりました」
エマは両親に初めて頭を下げて、修道院に入って行き、前に修道院に送った時とは違って、二度と会うことはないだろうと思い、少しばかり胸が痛んだが、その痛みはおそらく良いものだと思い、二人は邸に戻った。
事実、エマと両親は二度と会うことはなかった。
エマは説明を受けて、部屋に案内された。中は東の修道院のように温かい雰囲気はないが、噂に聞く、監獄とは思えなかった。
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