148 / 203
番外編1
エマ・ネイリー14
しおりを挟む
「でも次男だそうで…」
爵位がないのか。騎士ということは家の手伝いをしているわけではないだろう。結婚に二の足を踏んでいるのも、それが原因かもしれない。
「爵位がないと許さないって親もいるものね」
「やはりそうでしょうか」
「うーん、高位貴族の方なら、いくつか爵位を持ってらっしゃるでしょうけど、子爵男爵辺りはまず持ってはいないでしょうね」
「そうですか…」
「でも男爵家を出ることはないんじゃないかしら、騎士として貴族籍は必要でしょうから」
「そうですね、もう少し考えてみます」
「私で良かったら相談してね」
ソフィアは自身の結婚は考えられないが、ここにいる人たちが幸せな結婚が出来るなら、嬉しいと思うほど、東の修道院に愛着を感じている。
そのことがソフィアを暴走させてしまった。
ある日、あまり外出はしないソフィアだが、二人の修道女たちと一緒に買い物に出掛けた。そこで一緒にいたイーサが、あの方が前にエマと一緒にいた騎士だと教えてくれたのだ。
エマは考えると言っていたが、向こうの話も聞いてみたいとお節介心を出してしまい、二人にちょっと本を選びたいから、しばらく別行動をしたいと言い、待ち合わせをすることにした。そして、セイルに話し掛けた。ソフィアは男性が怖いというわけではないので、話すことは問題ない。
「あの、エマ・ネイリーと一緒にいた方ですよね」
「一緒にいたというのは語弊がありますが、騎士として何度かお声掛けをしたことはあります」
「あなたが好意を持ってらっしゃる方ではないの?」
「いいえ、私ではありません。どなたかと間違えてらっしゃいませんか?」
確かにイーサが見た時はこの人だったけど、あまり外出のない修道女がいう男性が、同一人物だったとは限らないことに気付いた。
「えっ、そうなのですか…失礼しました。てっきりあなたかと」
「彼女は騎士とお付き合いしてらっしゃるのですか」
「お付き合いまでは分かりませんが、好意を寄せられていると…」
「そうですか…私ではないことは確かです」
「失礼しました」
しっかり確認もせずに、行動力がありすぎると兄に諫められたことを思い出して、恥ずかしくなってしまった。
「いえ、気にされないください。失礼ですが、わざわざ話し掛けて来るぐらいですから、ネイリーさんとは親しいのですか?」
「特別親しいわけではありませんが、幸せになって欲しいとは思っていまして。元々、お顔だけは存じていたものですから」
「そうでしたか、その騎士が誰なのかご存じありませんか」
なぜそのようなことを聞くのだろうか、修道女に好意を抱くことは、褒められることではないのは分かるが、咎められることなのだろうか。
「騎士団の中にいるならば、私もどういうつもりか聞いてみましょう」
「えっと…名前は知りませんが、男爵家の次男だと伺いました」
「男爵家の次男ですか…多いですね」
セイルは自身もであるが、男爵家の次男は騎士団にもたくさんいる。最初にエマにぶつかっていたヒースも男爵家の次男だ。聞いて回るわけにもいかないが、忠告はしなくてはいけない。
「一つだけ申し上げておきます。もし好意を持っている者がいたとしても、私は反対します」
「っな!修道女だからというのですか!」
やっぱり男は馬鹿にして、ふざけるなと思った瞬間だった。
「違います。修道女以前の話です、顔を知っていたのなら、彼女が何をしたかご存知ないのですか?事実を確認することをお勧めします」
「…えっ」
「私のことは信じなくても構いません、失礼な物言いを申し訳ありませんでした。私は二度とネイリーさんに関わることはありません」
セイルは王都から戻っていたが、エマ・ネイリーとは会わないようにしていたのだ。セイルは王都で偶然、同期に会い、ある話を聞いていた。
爵位がないのか。騎士ということは家の手伝いをしているわけではないだろう。結婚に二の足を踏んでいるのも、それが原因かもしれない。
「爵位がないと許さないって親もいるものね」
「やはりそうでしょうか」
「うーん、高位貴族の方なら、いくつか爵位を持ってらっしゃるでしょうけど、子爵男爵辺りはまず持ってはいないでしょうね」
「そうですか…」
「でも男爵家を出ることはないんじゃないかしら、騎士として貴族籍は必要でしょうから」
「そうですね、もう少し考えてみます」
「私で良かったら相談してね」
ソフィアは自身の結婚は考えられないが、ここにいる人たちが幸せな結婚が出来るなら、嬉しいと思うほど、東の修道院に愛着を感じている。
そのことがソフィアを暴走させてしまった。
ある日、あまり外出はしないソフィアだが、二人の修道女たちと一緒に買い物に出掛けた。そこで一緒にいたイーサが、あの方が前にエマと一緒にいた騎士だと教えてくれたのだ。
エマは考えると言っていたが、向こうの話も聞いてみたいとお節介心を出してしまい、二人にちょっと本を選びたいから、しばらく別行動をしたいと言い、待ち合わせをすることにした。そして、セイルに話し掛けた。ソフィアは男性が怖いというわけではないので、話すことは問題ない。
「あの、エマ・ネイリーと一緒にいた方ですよね」
「一緒にいたというのは語弊がありますが、騎士として何度かお声掛けをしたことはあります」
「あなたが好意を持ってらっしゃる方ではないの?」
「いいえ、私ではありません。どなたかと間違えてらっしゃいませんか?」
確かにイーサが見た時はこの人だったけど、あまり外出のない修道女がいう男性が、同一人物だったとは限らないことに気付いた。
「えっ、そうなのですか…失礼しました。てっきりあなたかと」
「彼女は騎士とお付き合いしてらっしゃるのですか」
「お付き合いまでは分かりませんが、好意を寄せられていると…」
「そうですか…私ではないことは確かです」
「失礼しました」
しっかり確認もせずに、行動力がありすぎると兄に諫められたことを思い出して、恥ずかしくなってしまった。
「いえ、気にされないください。失礼ですが、わざわざ話し掛けて来るぐらいですから、ネイリーさんとは親しいのですか?」
「特別親しいわけではありませんが、幸せになって欲しいとは思っていまして。元々、お顔だけは存じていたものですから」
「そうでしたか、その騎士が誰なのかご存じありませんか」
なぜそのようなことを聞くのだろうか、修道女に好意を抱くことは、褒められることではないのは分かるが、咎められることなのだろうか。
「騎士団の中にいるならば、私もどういうつもりか聞いてみましょう」
「えっと…名前は知りませんが、男爵家の次男だと伺いました」
「男爵家の次男ですか…多いですね」
セイルは自身もであるが、男爵家の次男は騎士団にもたくさんいる。最初にエマにぶつかっていたヒースも男爵家の次男だ。聞いて回るわけにもいかないが、忠告はしなくてはいけない。
「一つだけ申し上げておきます。もし好意を持っている者がいたとしても、私は反対します」
「っな!修道女だからというのですか!」
やっぱり男は馬鹿にして、ふざけるなと思った瞬間だった。
「違います。修道女以前の話です、顔を知っていたのなら、彼女が何をしたかご存知ないのですか?事実を確認することをお勧めします」
「…えっ」
「私のことは信じなくても構いません、失礼な物言いを申し訳ありませんでした。私は二度とネイリーさんに関わることはありません」
セイルは王都から戻っていたが、エマ・ネイリーとは会わないようにしていたのだ。セイルは王都で偶然、同期に会い、ある話を聞いていた。
応援ありがとうございます!
115
お気に入りに追加
6,662
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる