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番外編1
エマ・ネイリー12
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今後は近付くことも出来ないと言われたが、大袈裟だと取り合わなかったが、領地で三ヵ国語を勉強をするように言われ、教師も雇ってくれて、やっぱりお父様は願っているのだと思い、頑張ろうと思った。
『こんにちは、私はエマ・ネイリーです(ノワンナ語)』
「コンチハ、ワタスハ、エマ・ネイリーダス」
『お会いできて光栄です(ノワンナ語)』
「オハイデズデ、ゴウファイダス」
『こちらをお読みください(ノワンナ語)』
「コチ、ヨミクダサク」
『ありがとうございます(ノワンナ語)』
「アリガトゥゴジェリマス」
厳しい先生ではなかったが、会話の際は話す度に眉間に皺を寄せて、首を傾げられ、気まずくなって、一人で勉強することにした。
サリー様が妊娠されたと聞き、ようやく出来たのねと、嫉妬よりも良かったじゃないという気持ちが勝っていた。そして、これで殿下も自由になれるのではないかと、もう一度、勉強を頑張ろうという気持ちになれた。
教師が置いて行ったノワンナ語のドリルのテストで、ノワンナ語マスターになったことで、クリコット様はノワンナ語だけで側近をしていると言ったことを思い出し、ならば私も側近になって、日中は側近として、夜は愛妾になればずっと一緒にいられると思った。
ようやく、殿下と結ばれる…長い道のりだった。
子どもは欲しいけど、王位継承権など難しいこともあるようだから、ひとます諦めてもいいと思った。王子や王女になれないけど、物語に王族の庶子という存在がいるのは、秘密裏に産むことは可能だからだろう。私はなんて健気で、欲がないのだろうかと自分でも思って笑ってしまった。
そして、ようやく子どもが生まれて、機嫌がいいだろうサリー様に会いに行った。
サリー様も望んでいたのだから、側近としてでも、なると言えば喜ぶだろう。愛妾も見習いになってはしまったけど側妃が既にいたのだから、許すに違いない。癇癪を起されたら、殿下に諫めて貰えばいい。
殿下もこれだけ待ってくれて、地盤を作った私を褒めて、ありがとう、やっぱり君が必要だと言ってくれると思っていた。
だが、サリー様は王子を生んだ安堵からなのか、優雅で落ち着き払っており、なぜかレベッカ様が一緒におり、いがみ合っているはずなのに、どうしてなのだろうと思ったが、これならば愛妾は簡単に受け入れるだろうと考えることにした。
そしてやっと殿下に会うことが出来た…何年振りだろうか、遠目では見ていたが、大人の色気も持ち、さらに格好良くなっている。
私がノワンナ語を出してしまったために、ノワンナ語で話されてしまい、早口で付いていけなかった。だから、トワイ語に戻そうとしたが、皆、ノワンナ語で話していて、仲間外れにする。
さらに側妃見習いごときに馬鹿にされて、両親に迎えに来られて、母に引っ叩かれた。私は邸ではなく、ここに住むのだと伝えても理解してくれず、今度は腹を殴られて、あまりの痛さに従うしかなかった。
そして、今、検定に落ちてここにいる。自身でもどうしてこうなったのかが分からなかった。
何の連絡もないということは、もう殿下との未来は叶わないのだと思った。悲しいことだが、子爵令嬢は結局は高位貴族に勝てないのだ。
セイルさんの言葉で、殿下が立場に負けて、私は傷付けられたのだと知った。私は悲しんで良かったのだ、健気に待って、何をしていたのだろうと思った。
ならば、こんなところにいるよりも、男爵家だけど、セイルさんと一緒になるのもいいかもしれない。エマはそんな風に考えるようになっていった。
エマの勝手な解釈で、皮肉にも殿下の思った通りの展開となっていた。
だが、二回に一回は会えていたのに、外出してもセイルに会えない日々が続いた。セイルはその頃、王都にいた。
『こんにちは、私はエマ・ネイリーです(ノワンナ語)』
「コンチハ、ワタスハ、エマ・ネイリーダス」
『お会いできて光栄です(ノワンナ語)』
「オハイデズデ、ゴウファイダス」
『こちらをお読みください(ノワンナ語)』
「コチ、ヨミクダサク」
『ありがとうございます(ノワンナ語)』
「アリガトゥゴジェリマス」
厳しい先生ではなかったが、会話の際は話す度に眉間に皺を寄せて、首を傾げられ、気まずくなって、一人で勉強することにした。
サリー様が妊娠されたと聞き、ようやく出来たのねと、嫉妬よりも良かったじゃないという気持ちが勝っていた。そして、これで殿下も自由になれるのではないかと、もう一度、勉強を頑張ろうという気持ちになれた。
教師が置いて行ったノワンナ語のドリルのテストで、ノワンナ語マスターになったことで、クリコット様はノワンナ語だけで側近をしていると言ったことを思い出し、ならば私も側近になって、日中は側近として、夜は愛妾になればずっと一緒にいられると思った。
ようやく、殿下と結ばれる…長い道のりだった。
子どもは欲しいけど、王位継承権など難しいこともあるようだから、ひとます諦めてもいいと思った。王子や王女になれないけど、物語に王族の庶子という存在がいるのは、秘密裏に産むことは可能だからだろう。私はなんて健気で、欲がないのだろうかと自分でも思って笑ってしまった。
そして、ようやく子どもが生まれて、機嫌がいいだろうサリー様に会いに行った。
サリー様も望んでいたのだから、側近としてでも、なると言えば喜ぶだろう。愛妾も見習いになってはしまったけど側妃が既にいたのだから、許すに違いない。癇癪を起されたら、殿下に諫めて貰えばいい。
殿下もこれだけ待ってくれて、地盤を作った私を褒めて、ありがとう、やっぱり君が必要だと言ってくれると思っていた。
だが、サリー様は王子を生んだ安堵からなのか、優雅で落ち着き払っており、なぜかレベッカ様が一緒におり、いがみ合っているはずなのに、どうしてなのだろうと思ったが、これならば愛妾は簡単に受け入れるだろうと考えることにした。
そしてやっと殿下に会うことが出来た…何年振りだろうか、遠目では見ていたが、大人の色気も持ち、さらに格好良くなっている。
私がノワンナ語を出してしまったために、ノワンナ語で話されてしまい、早口で付いていけなかった。だから、トワイ語に戻そうとしたが、皆、ノワンナ語で話していて、仲間外れにする。
さらに側妃見習いごときに馬鹿にされて、両親に迎えに来られて、母に引っ叩かれた。私は邸ではなく、ここに住むのだと伝えても理解してくれず、今度は腹を殴られて、あまりの痛さに従うしかなかった。
そして、今、検定に落ちてここにいる。自身でもどうしてこうなったのかが分からなかった。
何の連絡もないということは、もう殿下との未来は叶わないのだと思った。悲しいことだが、子爵令嬢は結局は高位貴族に勝てないのだ。
セイルさんの言葉で、殿下が立場に負けて、私は傷付けられたのだと知った。私は悲しんで良かったのだ、健気に待って、何をしていたのだろうと思った。
ならば、こんなところにいるよりも、男爵家だけど、セイルさんと一緒になるのもいいかもしれない。エマはそんな風に考えるようになっていった。
エマの勝手な解釈で、皮肉にも殿下の思った通りの展開となっていた。
だが、二回に一回は会えていたのに、外出してもセイルに会えない日々が続いた。セイルはその頃、王都にいた。
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