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番外編1
エマ・ネイリー10
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王太子妃教育の担当から試験を受けたことで、現実味を帯び、お呼びがかかるのを待っていたが、何の連絡もなく、縁談が来たので、仕方なく会うことにした。
爵位の高い人の方がいずれ、王太子妃になった時に、役に立ってくれると思ったからだ。殿下も縁談相手と言えば、嫉妬してくれるかもしれないと思った。
殿下と会う時はドレスよりも男装の麗人の方を好んでくれていたので、好みに合わせて会いに行っていたが、縁談は私の好みのドレスを着て向かった。
一人目の侯爵家の方は、緊張しているのか、あまり話が弾まなかった。そして、言語のことをしきりに聞きたがった。
「言語は何がお得意ですか」
「ええと、ノワンナ語なら少し」
『日常会話くらいですか?(ノワンナ語)』
「へ?あの、コンチハ」
『発音すら出来ないのか?(ノワンナ語)』
「確か、オイシイとか」
『分からないということか、やっぱり嘘だったのか、確認できたから良しとするか、しかし、この女、ドレスが異常に似合わないな。鎧のようだ。騎士にでもなればいいのに(ノワンナ語)』
「あの、早口で聞き取れません」
「…そうですか」
お茶を一杯飲むまで、席にはいたが早々に帰ることとなった。彼は戻ってすぐ、両親にノワンナ語すら話せないことを報告し、なかったことにした。
次の伯爵家の縁談相手も緊張しているようで、彼は男装の麗人に興味があるようだった。もしかしたらフリフリのドレスを纏い、媚びを売るような女性が苦手なのかもしれない。殿下もそのような節があり、私といる時は肩の力を抜いていた。
「男装が似合うそうですね」
「私はそうは思いませんが、周りにそう言われます」
「訓練などはされているのですか」
「訓練?ですか」
「剣や体術など」
「いいえ、女性は男性に守ってもらうものですから」
「そうですか…てっきり、男装の麗人のように振舞ってらっしゃるので、興味があるのかと思ったのですが」
「守って貰えない女性はそうだと思いますが、私は違いますから」
「…そうですか」
彼も引き気味で戻って、すぐになかったことにして欲しいと両親に願い出た。女性が苦手なのではなく、騎士家系の彼は、騎士の気持ちを理解してくれる女性で、妃殿下の評判を聞いて、縁談を申し込んでいた。
語学も彼は苦手だったので、妻が達者ならば有難い。だが、いくら女性は守って貰うことが多い存在でも、女性騎士も少ないながらいるのに、当たり前のように口にするような人は、ちょっとどうかなと、早々に見切りをつけることになった。
エマは断れても、何とも思わなかった。折角ドレスを着て行ってあげたのに、褒めることも知らない男性は論外だと判断していた。
だが縁談が纏まらなかったことで、世間体が悪いのか、両親に領地に行くように言われて、その間に二人は結婚してしまった。
殿下が私の姿を見ることで、長年の婚約の末の結婚が駄目になると、周りが思って遠ざけてしまったのだろう。
サリー様が妊娠したという話を聞かないまま、側妃を娶ったと聞いて驚いた。なぜ私ではないのか、サリー様は子どもを産めなかった、いくら優秀だと言われても、子どもを産める女に価値がある。その点、私はまだ誰のものにもなっておらず、純潔で、気高く、側妃に相応しいはずだ。
全く知らないレベッカ・ウィンダムという伯爵令嬢が、私の場所に立っていると思うと怒りを覚えた。その頃には王都に戻っており、新聞などにもレベッカの姿が載っており、子どもの産めないサリー様は可哀想だから、怒りを持つことはなかったが、レベッカ様は不快で仕方なかった。
クリコット様に連絡を取って、問いただそうとしたが、私が望んだのではなく、望まれただけなのに、選ばれるはずもないと勘違いをしており、信じて貰おうと思ったが、何を言っても信じて貰えなかった。
側近なのに、殿下が私に好意を持っていることを知らないなんて、失格じゃないかとすら思うほどだった。
爵位の高い人の方がいずれ、王太子妃になった時に、役に立ってくれると思ったからだ。殿下も縁談相手と言えば、嫉妬してくれるかもしれないと思った。
殿下と会う時はドレスよりも男装の麗人の方を好んでくれていたので、好みに合わせて会いに行っていたが、縁談は私の好みのドレスを着て向かった。
一人目の侯爵家の方は、緊張しているのか、あまり話が弾まなかった。そして、言語のことをしきりに聞きたがった。
「言語は何がお得意ですか」
「ええと、ノワンナ語なら少し」
『日常会話くらいですか?(ノワンナ語)』
「へ?あの、コンチハ」
『発音すら出来ないのか?(ノワンナ語)』
「確か、オイシイとか」
『分からないということか、やっぱり嘘だったのか、確認できたから良しとするか、しかし、この女、ドレスが異常に似合わないな。鎧のようだ。騎士にでもなればいいのに(ノワンナ語)』
「あの、早口で聞き取れません」
「…そうですか」
お茶を一杯飲むまで、席にはいたが早々に帰ることとなった。彼は戻ってすぐ、両親にノワンナ語すら話せないことを報告し、なかったことにした。
次の伯爵家の縁談相手も緊張しているようで、彼は男装の麗人に興味があるようだった。もしかしたらフリフリのドレスを纏い、媚びを売るような女性が苦手なのかもしれない。殿下もそのような節があり、私といる時は肩の力を抜いていた。
「男装が似合うそうですね」
「私はそうは思いませんが、周りにそう言われます」
「訓練などはされているのですか」
「訓練?ですか」
「剣や体術など」
「いいえ、女性は男性に守ってもらうものですから」
「そうですか…てっきり、男装の麗人のように振舞ってらっしゃるので、興味があるのかと思ったのですが」
「守って貰えない女性はそうだと思いますが、私は違いますから」
「…そうですか」
彼も引き気味で戻って、すぐになかったことにして欲しいと両親に願い出た。女性が苦手なのではなく、騎士家系の彼は、騎士の気持ちを理解してくれる女性で、妃殿下の評判を聞いて、縁談を申し込んでいた。
語学も彼は苦手だったので、妻が達者ならば有難い。だが、いくら女性は守って貰うことが多い存在でも、女性騎士も少ないながらいるのに、当たり前のように口にするような人は、ちょっとどうかなと、早々に見切りをつけることになった。
エマは断れても、何とも思わなかった。折角ドレスを着て行ってあげたのに、褒めることも知らない男性は論外だと判断していた。
だが縁談が纏まらなかったことで、世間体が悪いのか、両親に領地に行くように言われて、その間に二人は結婚してしまった。
殿下が私の姿を見ることで、長年の婚約の末の結婚が駄目になると、周りが思って遠ざけてしまったのだろう。
サリー様が妊娠したという話を聞かないまま、側妃を娶ったと聞いて驚いた。なぜ私ではないのか、サリー様は子どもを産めなかった、いくら優秀だと言われても、子どもを産める女に価値がある。その点、私はまだ誰のものにもなっておらず、純潔で、気高く、側妃に相応しいはずだ。
全く知らないレベッカ・ウィンダムという伯爵令嬢が、私の場所に立っていると思うと怒りを覚えた。その頃には王都に戻っており、新聞などにもレベッカの姿が載っており、子どもの産めないサリー様は可哀想だから、怒りを持つことはなかったが、レベッカ様は不快で仕方なかった。
クリコット様に連絡を取って、問いただそうとしたが、私が望んだのではなく、望まれただけなのに、選ばれるはずもないと勘違いをしており、信じて貰おうと思ったが、何を言っても信じて貰えなかった。
側近なのに、殿下が私に好意を持っていることを知らないなんて、失格じゃないかとすら思うほどだった。
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