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番外編1
エマ・ネイリー7
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結果は想定通りの不合格であった。
通知はエマ本人に開けさせ、結果を見させた。見ていなさいと言わんばかりに、すました表情をしていたが、一気に崩れた。
「嘘よ!どうして…」
子ども用のドリルしかやっていない者が簡単に合格出来るはずがない。
「残念だけど、約束を守って貰うわよ」
「待って、お願いよ。何かの間違いよ!私は出来たの!筆記だって埋めることが出来たし、会話もにこやかに聞いてらしたのよ」
「合格には至っていないってことでしょう」
「明後日には修道院に移って貰う。約束だからな」
「そんな…たかが試験で」
両親はいい加減にしろと怒鳴りたくなる気持ちを抑えて、最後くらいは冷静に話そうと心に決めていた。
「服や下着、あと筆記用具や五冊までなら本も持って行っていいそうよ。きちんと準備しておきなさい」
「修道院だなんて…」
「それほどのことをしたのだ、しっかり自分を見つめ直しなさい」
「…」
腑に落ちず、不機嫌なままのエマは東の修道院に母と共に旅立った。父はその姿を見送りながら、身の丈に合った結婚をすることも出来ただろう、でもエマは満足できなかったのかもしれない。そう思った。
不貞腐れたままのエマは母に声を掛けられても、無視して修道院に入っていった。それでも肩の荷が下りた母は、晴れやかな気持ちで邸に戻ることが出来た。
エマは修道院の規則やどう過ごすかを聞かされるも、納得出来なかった。でも逃げたりしなかったのは、殿下に伝わっているということで、約束を破って殿下に嫌われたくなかったからである。
言われたことは渋々行っていたが、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのかと、日に日に思いを募らせるようになった。入ったばかりの者は一人部屋であるため、エマは『どうして、私の何がいけなかったの』『好きになられて、好きになることは悪いことなの』と、ぶつぶつと独り言を言うしかなかった。
「あなた、エマ・ネイリー?どうしてここにいるの?ああ、ごめんなさい。話したこともなかったわよね」
「私を知っているの?」
「ええ、あの災害支援金の不正を暴いた方でしょう?」
「ええ」
エマは男装で一部で注目を集め、殿下と一緒にいることで注目を集めたが、その後は王太子夫妻の不仲の原因とされて、遠巻きにされ、その後はあの時の…くらいの認識となっていた。
「確か、男装の麗人とも呼ばれていたわね。私は一つ年上で、ソフィア・ハシーよ。ああ、もうハシーじゃなかったわ」
「除籍されたのですか」
「いえ、離縁したの。子どもが出来なくて、それなのに夫は愛人を作って、子どもまで作って、私の子になっているからって。相手は平民だったのよ」
「酷い…」
自身も子どもが出来ないとサリーを可哀想だと見下し、結婚している殿下に愛妾にして欲しいと言ったこととは、同じだとは理解出来ず、素直に同情した。
「そうでしょう?でも私もさすがに爆発して、わざとではなかったのだけど、怪我させちゃったのよ。夫と子どもにね。それで離縁して、ここに入ることになったんだけど、その前に子どもは私の子ではなく、平民女の子どもだって提出してから、ここに入ったから、あちらも大変なことになっていると思うわ」
貴族が養子とすることは出来るが、出生の偽ることは重い罪となる。元夫は後継者を外され、平民女は子どもとお金はどうするのか、私は愛人で良かったのに、どうしてこんなことになったのかと嘆いている。誰かに似ているが、気付けるはずもない。
「そんな私的なことを聞いて良かったんでしょうか」
「いいの、私は清々しい気持ちでここにいるから、あなたの事情は聞くつもりはないから安心して。生きていれば色々あるものね」
「はい…」
「ここは外にも出れるけど、気を付けてね」
「どういうことですか」
「男性もいるってことよ!私はもうこりごりだけど、お邪魔したわね、じゃあ」
ソフィアは颯爽と去って行ったが、エマには言われた意味が分からなかった。
通知はエマ本人に開けさせ、結果を見させた。見ていなさいと言わんばかりに、すました表情をしていたが、一気に崩れた。
「嘘よ!どうして…」
子ども用のドリルしかやっていない者が簡単に合格出来るはずがない。
「残念だけど、約束を守って貰うわよ」
「待って、お願いよ。何かの間違いよ!私は出来たの!筆記だって埋めることが出来たし、会話もにこやかに聞いてらしたのよ」
「合格には至っていないってことでしょう」
「明後日には修道院に移って貰う。約束だからな」
「そんな…たかが試験で」
両親はいい加減にしろと怒鳴りたくなる気持ちを抑えて、最後くらいは冷静に話そうと心に決めていた。
「服や下着、あと筆記用具や五冊までなら本も持って行っていいそうよ。きちんと準備しておきなさい」
「修道院だなんて…」
「それほどのことをしたのだ、しっかり自分を見つめ直しなさい」
「…」
腑に落ちず、不機嫌なままのエマは東の修道院に母と共に旅立った。父はその姿を見送りながら、身の丈に合った結婚をすることも出来ただろう、でもエマは満足できなかったのかもしれない。そう思った。
不貞腐れたままのエマは母に声を掛けられても、無視して修道院に入っていった。それでも肩の荷が下りた母は、晴れやかな気持ちで邸に戻ることが出来た。
エマは修道院の規則やどう過ごすかを聞かされるも、納得出来なかった。でも逃げたりしなかったのは、殿下に伝わっているということで、約束を破って殿下に嫌われたくなかったからである。
言われたことは渋々行っていたが、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのかと、日に日に思いを募らせるようになった。入ったばかりの者は一人部屋であるため、エマは『どうして、私の何がいけなかったの』『好きになられて、好きになることは悪いことなの』と、ぶつぶつと独り言を言うしかなかった。
「あなた、エマ・ネイリー?どうしてここにいるの?ああ、ごめんなさい。話したこともなかったわよね」
「私を知っているの?」
「ええ、あの災害支援金の不正を暴いた方でしょう?」
「ええ」
エマは男装で一部で注目を集め、殿下と一緒にいることで注目を集めたが、その後は王太子夫妻の不仲の原因とされて、遠巻きにされ、その後はあの時の…くらいの認識となっていた。
「確か、男装の麗人とも呼ばれていたわね。私は一つ年上で、ソフィア・ハシーよ。ああ、もうハシーじゃなかったわ」
「除籍されたのですか」
「いえ、離縁したの。子どもが出来なくて、それなのに夫は愛人を作って、子どもまで作って、私の子になっているからって。相手は平民だったのよ」
「酷い…」
自身も子どもが出来ないとサリーを可哀想だと見下し、結婚している殿下に愛妾にして欲しいと言ったこととは、同じだとは理解出来ず、素直に同情した。
「そうでしょう?でも私もさすがに爆発して、わざとではなかったのだけど、怪我させちゃったのよ。夫と子どもにね。それで離縁して、ここに入ることになったんだけど、その前に子どもは私の子ではなく、平民女の子どもだって提出してから、ここに入ったから、あちらも大変なことになっていると思うわ」
貴族が養子とすることは出来るが、出生の偽ることは重い罪となる。元夫は後継者を外され、平民女は子どもとお金はどうするのか、私は愛人で良かったのに、どうしてこんなことになったのかと嘆いている。誰かに似ているが、気付けるはずもない。
「そんな私的なことを聞いて良かったんでしょうか」
「いいの、私は清々しい気持ちでここにいるから、あなたの事情は聞くつもりはないから安心して。生きていれば色々あるものね」
「はい…」
「ここは外にも出れるけど、気を付けてね」
「どういうことですか」
「男性もいるってことよ!私はもうこりごりだけど、お邪魔したわね、じゃあ」
ソフィアは颯爽と去って行ったが、エマには言われた意味が分からなかった。
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