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番外編1

エマ・ネイリー6

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 クリコットから返事を貰った、母は東の修道院に連絡を取り、入る手続きを行って、エマに伝えた。

「エマ、ノワンナ語の検定を受け、落ちたら修道院に行ってもらいます。これは殿下も認めた罰です。いいですね?」
「…そんな」
「殿下もお認めになったのですから、受け入れますね?」
「受かればいいということですよね?」
「ええ、受かれば仕事もあるかもしれないと言ったじゃない」

 受かった時のことは考えていなかったが、受かった時はここに監視しながら、住まわせるしかないかと一応は思った。

「側近は…」
「側近はいらっしゃるのだから」
「クリコット様より優秀だと認められればいいということ?」
「はあ…(あらぬ疑いを掛けられては困るから、女性は取らないと言っても納得しないでしょうね)殿下はバーンズ様を信頼されているのだから、難しいわ」
「私だって」
「長さが違うでしょう、もう何年も一緒にいらっしゃるのよ。とにかく受かってから考えればいいわ、二ヶ月後に検定があるそうだから、しっかり勉強しなさい」
「分かりました」

 ノワンナ語の検定は頻繁にあるわけではなかったが、丁度学生で受ける者が多く、特別に行われることになった検定に参加出来ることになった。王都であるため、逃げぬように連れて行き、連れ帰る予定だ。

 エマは勉強をしてはいるようだが、寝る間を惜しむようなことはなく、検定を甘く見ているのだろう。だが、わざわざ忠告することはない。

 そして、ついに検定の日が迫り、王都へと向かった。最後かもしれないからと王都の邸で、皆で食事をすることにした。最後だと思えば、エマの言動も聞き流せる。

「緊張するけど、大丈夫よ。妃殿下は検定を十一個も持っていると言っていました。難しくないはずです」
「「「十一個?」」」

 素晴らしいとは聞いていたが、人間のなせる業なのだろうかという言語力である。母国語しか喋れない人にとっては、別の世界の話のように感じる。

「言葉までは憶えていないけど、記憶力がいいのは分かるけど、そんなに合格できるなら、一つくらい簡単ってことでしょう?」
「…自信があるのね」
「当たり前じゃない、会話は難しかったけど、検定ですから」

 一応、検定対策という教本も与えたが、読んでいないのか、危機感を持っていない。合格率は一番覚えやすいとされるノワンナ語で一、二割だと聞いている。

 頑張ってと送り届けたが、おそらく難しかった、出来なかったと落胆して戻って来るだろう。不合格と自覚すれば、逃げる可能性を考えなくてはならない。母はいつも以上に気を引き締めた。

 検定試験は一日目は筆記、二日目は実技(会話)となる。

 一日目が終わり迎えに行くと、エマは出来なかったという表情ではなかった。

「どうだった?」
「難しかったけど、結構答えられたと思います」
「そう、良かったわね」
「はい、明日も頑張ります」

 二日目は誤魔化しの利かない会話となるため、さすがに身に染みただろうと思ったが、またも出来なかったという表情ではなかった。

「合格通知は二週間後だそうです」
「そう、手応えはあったの?」
「当たり前ではありませんか」

 母は一瞬不安に駆られたが、受かっているとは思えない。合否ではなく、合格通知と言ったところにも引っかかった。受かっていると思っているということか。落ちていたら、何かの間違いだと言い出しかねないが、あと少しの辛抱だと思った。

 合否は領地の方に届くようにしており、母とエマは領地の邸に戻ることになった。父は合否の発表の頃に領地に来る予定となっている。

 そして、通知が届く。
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