131 / 203
番外編1
ミサモエス・ラーダ24
しおりを挟む
クオス伯爵家にいたのはマリスアルとソースル。ユアラノンは不参加であるが、ユアラノンの関係者も参加している。ソースルの妻は妊娠中であるため、胎教に悪いと、子どもたちもミサモエスとは接触させる気はない。
ミサモエスにドレスを選ばせて着せたが、ガーデンパーティーの参加者は事情を知っている関係者だけを集めているが、ミサモエスが気付くことはない。だから、粗相は大目に見られるが、容赦なく何でも言っていいと言ってある。
「茶会に参加したいと言うから参加させるけど、大人しくしていること、更生施設でマナーもきちんと学んだのだから出来るわね?」
「ええ、勿論よ」
「出来なかったらその場で帰らせます、いいわね?」
「分かっているわ」
ミサモエスは久しぶりに男女が行きかう華やかな空間に高揚した。ミサモエスは無意識に男性に目をやるが、男性は妻や母親という女性と一緒に参加させているため、フリーの男性はいない。
仕方がないので、同じ年代ではなく、母親と一緒にいる男性に声を掛けることにした。一番若く端正な顔立ちの男性だった。
「ごきげんよう、ミサモエス・クオスと申します」
「ああ、この子が?」「ああ…」
「更生施設はいかがでしたか?どのようなことをするのかしら?」
「えっ、あの」
「教えてくださらない?」「私も聞いてみたいです」
「あの、えっと、勉強とか運動とかです…」
どうしてそんなことを聞くのだろうか、意地悪がしたいのだろうか。でもそんなことを言ってはならない。
「そう、マナーの学ぶのよね?」
「はい、そうです」
「もう忘れてしまったの?私は侯爵家の人間ですよ?」
これまではミサモエスはパーティーでは爵位など関係なく声を掛け、兄や姉に何度も怒られて、謝らせていた。
『爵位の上に方には自分から声を掛けてなりません』
マナーの講師が言っていた。でも顔を見ただけでは分からないと問うと、憶えてから出席するに決まっている、それが礼儀で、急なことであれば自らは声を掛けなければいいと言われていた。
「申し訳ございません」
「はあ、もう結構です。行きましょう」「はい」
声を掛けなくては始まらないのにと思いながら歩いていると、目が合ったのは同級生だった子爵令嬢だった。何度か話したことはあったが、親しい間柄ではない。私の友人は爵位の高い令嬢ばかりだったからだ。
「あなた、更生施設に入ったのではなくて?」
「そ、卒業しました」
「へえ、そうなの。離縁されて更生施設ってなかなかですわよね」
どうして子爵令嬢にそこまで言われなくてはいけないのかと思ったが、それよりもなぜ侯爵夫人も、更生施設に入ったことを知っているのだろうか。
「どうして皆、知っているの?」
「当たり前じゃない。一応、ジースト伯爵夫人だったんだから」
「そうよね…」
伯爵夫人だったから、話題になって当然なのだ。皆、私のことを気にしているのだと、ポジティブに捉えていた。
「前に男漁りしていたのも有名だったけど」
「っな、そんなことしてないわ」
「してたじゃない!皆知っているわよ、最初はご主人が亡くなって可哀想だと思っていたけど、ただの男好きじゃないかって言われていたそうよ」
「そんな酷い言い方しなくてもいいじゃない」
「事実じゃない、可哀想だから相手にしてやったけど、大したことなかったって言われていたそうよ。二度目はなかったでしょう?」
「そんなことあり得ないわ!私は伯爵令嬢よ!」
「はあ?前からおかしいと思っていたけど、かなりおかしかったのね」
「失礼よ!」
「もういいわ」
怪訝な顔をしたまま去って行ったが、何て酷い令嬢なのだ、信じられないと怒りに満ち溢れてしまった。でも折角のガーデンパーティーなのにと思って、周りを見渡すと、一人の女性が目に付いた。
誰に声を掛けていいか分からないため、マリスアルに近付き、彼女のことを聞くことにした。
「ああ、男爵家に嫁いだ方ね」
「そうなのですか」
彼女を見たのは更生施設だ。一年で出て行ったが、真面目に静かに暮らしていて、一度も話すことはなかった。
そのまま、声を掛けられても、どうして離縁したのか、更生施設ではどんなことをするのかを何人かに聞かれながら過ごした。
ミサモエスにドレスを選ばせて着せたが、ガーデンパーティーの参加者は事情を知っている関係者だけを集めているが、ミサモエスが気付くことはない。だから、粗相は大目に見られるが、容赦なく何でも言っていいと言ってある。
「茶会に参加したいと言うから参加させるけど、大人しくしていること、更生施設でマナーもきちんと学んだのだから出来るわね?」
「ええ、勿論よ」
「出来なかったらその場で帰らせます、いいわね?」
「分かっているわ」
ミサモエスは久しぶりに男女が行きかう華やかな空間に高揚した。ミサモエスは無意識に男性に目をやるが、男性は妻や母親という女性と一緒に参加させているため、フリーの男性はいない。
仕方がないので、同じ年代ではなく、母親と一緒にいる男性に声を掛けることにした。一番若く端正な顔立ちの男性だった。
「ごきげんよう、ミサモエス・クオスと申します」
「ああ、この子が?」「ああ…」
「更生施設はいかがでしたか?どのようなことをするのかしら?」
「えっ、あの」
「教えてくださらない?」「私も聞いてみたいです」
「あの、えっと、勉強とか運動とかです…」
どうしてそんなことを聞くのだろうか、意地悪がしたいのだろうか。でもそんなことを言ってはならない。
「そう、マナーの学ぶのよね?」
「はい、そうです」
「もう忘れてしまったの?私は侯爵家の人間ですよ?」
これまではミサモエスはパーティーでは爵位など関係なく声を掛け、兄や姉に何度も怒られて、謝らせていた。
『爵位の上に方には自分から声を掛けてなりません』
マナーの講師が言っていた。でも顔を見ただけでは分からないと問うと、憶えてから出席するに決まっている、それが礼儀で、急なことであれば自らは声を掛けなければいいと言われていた。
「申し訳ございません」
「はあ、もう結構です。行きましょう」「はい」
声を掛けなくては始まらないのにと思いながら歩いていると、目が合ったのは同級生だった子爵令嬢だった。何度か話したことはあったが、親しい間柄ではない。私の友人は爵位の高い令嬢ばかりだったからだ。
「あなた、更生施設に入ったのではなくて?」
「そ、卒業しました」
「へえ、そうなの。離縁されて更生施設ってなかなかですわよね」
どうして子爵令嬢にそこまで言われなくてはいけないのかと思ったが、それよりもなぜ侯爵夫人も、更生施設に入ったことを知っているのだろうか。
「どうして皆、知っているの?」
「当たり前じゃない。一応、ジースト伯爵夫人だったんだから」
「そうよね…」
伯爵夫人だったから、話題になって当然なのだ。皆、私のことを気にしているのだと、ポジティブに捉えていた。
「前に男漁りしていたのも有名だったけど」
「っな、そんなことしてないわ」
「してたじゃない!皆知っているわよ、最初はご主人が亡くなって可哀想だと思っていたけど、ただの男好きじゃないかって言われていたそうよ」
「そんな酷い言い方しなくてもいいじゃない」
「事実じゃない、可哀想だから相手にしてやったけど、大したことなかったって言われていたそうよ。二度目はなかったでしょう?」
「そんなことあり得ないわ!私は伯爵令嬢よ!」
「はあ?前からおかしいと思っていたけど、かなりおかしかったのね」
「失礼よ!」
「もういいわ」
怪訝な顔をしたまま去って行ったが、何て酷い令嬢なのだ、信じられないと怒りに満ち溢れてしまった。でも折角のガーデンパーティーなのにと思って、周りを見渡すと、一人の女性が目に付いた。
誰に声を掛けていいか分からないため、マリスアルに近付き、彼女のことを聞くことにした。
「ああ、男爵家に嫁いだ方ね」
「そうなのですか」
彼女を見たのは更生施設だ。一年で出て行ったが、真面目に静かに暮らしていて、一度も話すことはなかった。
そのまま、声を掛けられても、どうして離縁したのか、更生施設ではどんなことをするのかを何人かに聞かれながら過ごした。
応援ありがとうございます!
121
お気に入りに追加
6,665
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる