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番外編1
ミサモエス・ラーダ21
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ミサモエスはまだ自身が子どもの立場が強く、息子よりも夫に愛して貰いたい気持ちも大きく、エールトは可愛いが、自身の方がもっと可愛かっただけで、境遇を考えるばかりですっかりエールトへの意識は失われていた。
「申し訳ございません」
「いえ、今となってはこれで良かったと思います」
「万が一にも母親のことが足枷になることがないようにと思っておりますが、何かあればご連絡をください」
「エールトには機会を見て、きちんと話をします」
ソースルは申し訳ございませんでした、よろしくお願いいたしますと、ただただ頭を下げることしか出来なかった。
リビアナ・ゾーイが言ったように、ミサモエスのことは聞かれたが、王家からお咎めもなければ、嫌がらせのようなことも一切なかった。
ソースルも全てを片付けてから、家族を呼び戻し、第二子も無事生まれ、一度は諦めた家族に喜びは涙が出るほどであった。
マリスアルもユアラノンも嫁ぎ先に戻り、家族とこれまで通り、暮らしているが、罪を忘れたことは一日もなかった。驕ることなく、気を引き締めて生きていた。
そして、ミサモエスが更生施設に入って、三年が経っていた。
始めは周りとも関わりたくないと思っていたが、洗濯を教えて貰ったりする内に、互いの境遇を話すようになり、ミサモエスは相手は伏せて、不敬でこちらに入れられたと話していた。
よく話すのは不貞を犯したリナ、婚約者がいるのに他の相手を好きになったリリ、素行が悪くて入れられたプラン、ミサモエスが一番年上だった。訳ありだから、それぞれ身分は明かさないでおこうと、渾名で呼び合っている。
「卒業出来たら、皆はどうなるか決まっているの?」
言い出したのは不貞を犯したリナだった、政略結婚で夫に相手にされないことから、不貞を犯していた。
「私は縁談があれば嫁がされるか、修道院かしら」
婚約者がいるのに他の相手を好きになったリリである、婚約自体は白紙になったのだが、両親にここへ入れられたそうだ。
「私は縁も切られているから、出られたらひとりで生きて行かなきゃいけない」
素行の悪いプランは男性の友人が多く、誤解を招き、令嬢の立ち振る舞いも苦手だったそうだ。既に縁は切られているが、学び直してからひとりで生きて行けということで、ここに入って来たのだ。
「ミサさんは?」
「私はまずは更生施設に入れと言われて、その後は聞いていないわ。リナさんは?」
「私は子どもを産む道具にさせられるか、どこかの後妻にでもされるんじゃないかしら?絶対、碌な相手ではないわ」
「子ども…」
ミサモエスはひとりになってようやく、エールトのことを思い出して、会いたいと思った。ジースト伯爵はもう愛してくれないことは理解したが、エールトは唯一の家族だと思い、酷く悲しい気持ちになった。
「ああ、ミサさんはお子さんがいらっしゃったのよね。会いたいわよね?」
「でも憶えていないでしょうね…」
「でも、私みたいに不貞を犯したわけではないんだから、裏切りよりかマシなんじゃないかしら」
「お得意の自虐ね」
リナはミサモエスとは違って、説得力のある美しさと豊満な身体を持っている。だからこそ誘われることも多く、不貞を犯してしまったのだ。
「だってもう散々、阿婆擦れだの、股の緩い女だの、ありとあらゆる罵詈雑言を聞いたもの。いくら相手に不満があっても、不貞はした方が悪い。人殺しと一緒よ、恨んでも殺したらお終い」
「経験者が言うと説得力があります」
「リリは不貞ではないものね?」
「心の不貞だそうですけどね。どの道、上手くいかなかったと思うので、私はこれで良かったと思っています」
「ここへ来たって、未来は明るいわけではないものね」
「私は今後生活していくのに役立ちそうだから、まあ良かったかな」
「プランは性に合ってそうよね。どれがいいかなんて、生きてみないと分からないわよね…」
ミサモエスは三人の話を聞かず、初めてここを出てからのことを考えるようになっていった。
「申し訳ございません」
「いえ、今となってはこれで良かったと思います」
「万が一にも母親のことが足枷になることがないようにと思っておりますが、何かあればご連絡をください」
「エールトには機会を見て、きちんと話をします」
ソースルは申し訳ございませんでした、よろしくお願いいたしますと、ただただ頭を下げることしか出来なかった。
リビアナ・ゾーイが言ったように、ミサモエスのことは聞かれたが、王家からお咎めもなければ、嫌がらせのようなことも一切なかった。
ソースルも全てを片付けてから、家族を呼び戻し、第二子も無事生まれ、一度は諦めた家族に喜びは涙が出るほどであった。
マリスアルもユアラノンも嫁ぎ先に戻り、家族とこれまで通り、暮らしているが、罪を忘れたことは一日もなかった。驕ることなく、気を引き締めて生きていた。
そして、ミサモエスが更生施設に入って、三年が経っていた。
始めは周りとも関わりたくないと思っていたが、洗濯を教えて貰ったりする内に、互いの境遇を話すようになり、ミサモエスは相手は伏せて、不敬でこちらに入れられたと話していた。
よく話すのは不貞を犯したリナ、婚約者がいるのに他の相手を好きになったリリ、素行が悪くて入れられたプラン、ミサモエスが一番年上だった。訳ありだから、それぞれ身分は明かさないでおこうと、渾名で呼び合っている。
「卒業出来たら、皆はどうなるか決まっているの?」
言い出したのは不貞を犯したリナだった、政略結婚で夫に相手にされないことから、不貞を犯していた。
「私は縁談があれば嫁がされるか、修道院かしら」
婚約者がいるのに他の相手を好きになったリリである、婚約自体は白紙になったのだが、両親にここへ入れられたそうだ。
「私は縁も切られているから、出られたらひとりで生きて行かなきゃいけない」
素行の悪いプランは男性の友人が多く、誤解を招き、令嬢の立ち振る舞いも苦手だったそうだ。既に縁は切られているが、学び直してからひとりで生きて行けということで、ここに入って来たのだ。
「ミサさんは?」
「私はまずは更生施設に入れと言われて、その後は聞いていないわ。リナさんは?」
「私は子どもを産む道具にさせられるか、どこかの後妻にでもされるんじゃないかしら?絶対、碌な相手ではないわ」
「子ども…」
ミサモエスはひとりになってようやく、エールトのことを思い出して、会いたいと思った。ジースト伯爵はもう愛してくれないことは理解したが、エールトは唯一の家族だと思い、酷く悲しい気持ちになった。
「ああ、ミサさんはお子さんがいらっしゃったのよね。会いたいわよね?」
「でも憶えていないでしょうね…」
「でも、私みたいに不貞を犯したわけではないんだから、裏切りよりかマシなんじゃないかしら」
「お得意の自虐ね」
リナはミサモエスとは違って、説得力のある美しさと豊満な身体を持っている。だからこそ誘われることも多く、不貞を犯してしまったのだ。
「だってもう散々、阿婆擦れだの、股の緩い女だの、ありとあらゆる罵詈雑言を聞いたもの。いくら相手に不満があっても、不貞はした方が悪い。人殺しと一緒よ、恨んでも殺したらお終い」
「経験者が言うと説得力があります」
「リリは不貞ではないものね?」
「心の不貞だそうですけどね。どの道、上手くいかなかったと思うので、私はこれで良かったと思っています」
「ここへ来たって、未来は明るいわけではないものね」
「私は今後生活していくのに役立ちそうだから、まあ良かったかな」
「プランは性に合ってそうよね。どれがいいかなんて、生きてみないと分からないわよね…」
ミサモエスは三人の話を聞かず、初めてここを出てからのことを考えるようになっていった。
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