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番外編1
ミサモエス・ラーダ11
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「こちらが届きました」
ディールズは翌日、クオス伯爵家に行き、伯爵とソースルに通達を見せた。伯爵は言葉を失ってしまい、返答したのはソースルだけであった。
「っな、これは…ジースト伯爵家ではなく、ミサモエスだけですか」
「はい、ミサモエスはしていないと言っていましたが、どうなんでしょうか」
「王家にこちらから確認を取らせてもらってもいいでしょうか、確認をして、事実をお伝えすることをお約束します」
「分かりました」
クオス伯爵は王太子殿下に通達の件の理由を伺いたいと文を出し、日時を指定されて会うことになった。クオス伯爵と嫡男ソースルが向かうことになった。
「通達の理由をお伺いしたく、参りました」
「書いてあったままだが?」
「詳細を教えてはいただけませんでしょうか」
「不敬な発言があったため、外した。それ以外に何かあるのか」
殿下は全く顔色を変えずに言い切った、一体どんな発言をしたのだろうか。王太子妃になりたいとでも言ったのか、言っていそうだとソースルは思っていた。だが、父は核心を突いた発言をした。
「恐れながら、不貞行為のことであれば、失礼ですが、殿下の責任でもあるのではないでしょうか」
「把握していたのだな。だが、この不敬は私へのものではない」
「え」
「サリーへだ」
「そんな…ミサモエスが妃殿下に不敬を働いたというのでしょうか」
「ああ、そうだ。暴言を吐いている、一回二回ではない。クリコット、渡してやれ」
側近のクリコットが、それぞれに最後まで黙ってお読みくださいと渡した紙には、娼婦のような発言や、とち狂ったような暴言が書かれていた。
『殿下とはとても相性がいいの。子どもが出来たらどうしよう。でも可愛い私との子どもだから、とびきり可愛いと思うの』
『爵位の下の者に奪われるなんて私なら恥ずかしくてもう外を歩けませんわ』
『殿下を時間を持てるように、あなたが調整しなさい』
伯爵は白目を剥きそうになりながらも、読み進めていたが、ソースルは吐き気がしていた。
「これをミサモエスが?」「申し訳ございません…何てことを…」
「私が最低なのは分かっている。両陛下も了承済みだ」
伯爵もソースルも予想だにしないことにたじろぎ、両陛下にも知られていることに絶望するしかなかった。確かに招待から外すということは陛下の承認がいる、王太子だけの力では出来ない。
「そっ、そうですか…ですが、あの子は更生しました」
「いつだ?数ヶ月前とでもいうのではあるまいな?」
「いいえ!殿下が結婚されて、しばらくしてからです」
「それはおかしいな、ちゃんと発言の日付を見た方がいい。最後はつい半年前だ」
「っな」
ソースルが最後の文を見ると『あなたの顔を見ると、やっぱり私が相応しかったのにと思ってしまうわ。私の方が愛されるのに。能力なんて、補うことが出来るでしょう。愛されることは補えないのよ』と書かれており、日付は半年前である。
しかもまだ妃殿下をあなた呼ばわりしている、頭がおかしいのか、いや、頭がおかしいのだ。父も流石に顔を引き攣らせている。
「申し訳ございませんでした」「妃殿下に謝罪をさせて貰えませんか」
「断る、サリーは許す気はないから謝罪は要らないと言っている」
「そんな…」「ですが、このままというわけには」
「忙しいサリーに謝罪する時間をわざわざ与えなくてはならないとでもいうのか?」
「そのようなことは決して」
クオス伯爵は言葉をまた失ってしまい、呆然としている。ソースル一人で来ればよかったとすら思った。
「サリーは桁違いに記憶力がいい、これらを全て思い出せる程な、謝罪などで消えるものではない」
「…はい、このようなこと許されることではありません」
「本来なら何度も王太子妃に相応しいと発言していることから、サリーから王太子妃の代理の指名をされる予定であった。だが、もう出席者から外した方がサリーの手を煩わせないと私が判断した」
「王太子妃の代理に…あの子が?それでお許しいただけるのでしたら」「父上!」
ディールズは翌日、クオス伯爵家に行き、伯爵とソースルに通達を見せた。伯爵は言葉を失ってしまい、返答したのはソースルだけであった。
「っな、これは…ジースト伯爵家ではなく、ミサモエスだけですか」
「はい、ミサモエスはしていないと言っていましたが、どうなんでしょうか」
「王家にこちらから確認を取らせてもらってもいいでしょうか、確認をして、事実をお伝えすることをお約束します」
「分かりました」
クオス伯爵は王太子殿下に通達の件の理由を伺いたいと文を出し、日時を指定されて会うことになった。クオス伯爵と嫡男ソースルが向かうことになった。
「通達の理由をお伺いしたく、参りました」
「書いてあったままだが?」
「詳細を教えてはいただけませんでしょうか」
「不敬な発言があったため、外した。それ以外に何かあるのか」
殿下は全く顔色を変えずに言い切った、一体どんな発言をしたのだろうか。王太子妃になりたいとでも言ったのか、言っていそうだとソースルは思っていた。だが、父は核心を突いた発言をした。
「恐れながら、不貞行為のことであれば、失礼ですが、殿下の責任でもあるのではないでしょうか」
「把握していたのだな。だが、この不敬は私へのものではない」
「え」
「サリーへだ」
「そんな…ミサモエスが妃殿下に不敬を働いたというのでしょうか」
「ああ、そうだ。暴言を吐いている、一回二回ではない。クリコット、渡してやれ」
側近のクリコットが、それぞれに最後まで黙ってお読みくださいと渡した紙には、娼婦のような発言や、とち狂ったような暴言が書かれていた。
『殿下とはとても相性がいいの。子どもが出来たらどうしよう。でも可愛い私との子どもだから、とびきり可愛いと思うの』
『爵位の下の者に奪われるなんて私なら恥ずかしくてもう外を歩けませんわ』
『殿下を時間を持てるように、あなたが調整しなさい』
伯爵は白目を剥きそうになりながらも、読み進めていたが、ソースルは吐き気がしていた。
「これをミサモエスが?」「申し訳ございません…何てことを…」
「私が最低なのは分かっている。両陛下も了承済みだ」
伯爵もソースルも予想だにしないことにたじろぎ、両陛下にも知られていることに絶望するしかなかった。確かに招待から外すということは陛下の承認がいる、王太子だけの力では出来ない。
「そっ、そうですか…ですが、あの子は更生しました」
「いつだ?数ヶ月前とでもいうのではあるまいな?」
「いいえ!殿下が結婚されて、しばらくしてからです」
「それはおかしいな、ちゃんと発言の日付を見た方がいい。最後はつい半年前だ」
「っな」
ソースルが最後の文を見ると『あなたの顔を見ると、やっぱり私が相応しかったのにと思ってしまうわ。私の方が愛されるのに。能力なんて、補うことが出来るでしょう。愛されることは補えないのよ』と書かれており、日付は半年前である。
しかもまだ妃殿下をあなた呼ばわりしている、頭がおかしいのか、いや、頭がおかしいのだ。父も流石に顔を引き攣らせている。
「申し訳ございませんでした」「妃殿下に謝罪をさせて貰えませんか」
「断る、サリーは許す気はないから謝罪は要らないと言っている」
「そんな…」「ですが、このままというわけには」
「忙しいサリーに謝罪する時間をわざわざ与えなくてはならないとでもいうのか?」
「そのようなことは決して」
クオス伯爵は言葉をまた失ってしまい、呆然としている。ソースル一人で来ればよかったとすら思った。
「サリーは桁違いに記憶力がいい、これらを全て思い出せる程な、謝罪などで消えるものではない」
「…はい、このようなこと許されることではありません」
「本来なら何度も王太子妃に相応しいと発言していることから、サリーから王太子妃の代理の指名をされる予定であった。だが、もう出席者から外した方がサリーの手を煩わせないと私が判断した」
「王太子妃の代理に…あの子が?それでお許しいただけるのでしたら」「父上!」
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