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番外編1
ミサモエス・ラーダ7
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「おい、アバズレ未亡人!」
「ユア姉様っ!そんな言い方しないで」
ようやく到着したユアラノンはこれまでの話を聞いて、頭から火が噴いているのではなかというほど真っ赤になって怒った。マリスアルが殺しては駄目よと、宥めていたほどだ。
ユアラノンはこの家で一番殺傷力の高い言葉を使い、辺境で夫と共に騎士もしているので、心身ともに強い人物である。
「事実でしょう?アバズレ未亡人に誘われたって男性が沢山いたぞ?簡単に関係を持てるお手軽未亡人だってさ」
ソースルは把握するために恥を忍んで、ミサモエスと関係を持った相手を突き止めて欲しいと依頼をしていた。全員ではないかもしれないが、それでも数人の男性と関係を持っていることが分かった。
「そんなことないわ」
「『夫を亡くして寂しいの。慰めてくれませんか』って貧相な顔で、瞳を潤ませて誘うんだってな。気持ち悪いな」
どうして知っているの、誰かが話したのね。口が軽すぎるわ。家族に知られるのは恥ずかしいじゃない。
「周りを見れば気付くと思って、可哀想だから言わなかったが、お前の顔は褒められるほど可愛くない、もちろん美人でもない」
ユアラノンは三姉妹の内で傍から見れば一番美人である。ユアラノンはマリスアルが一番美人だと思っている。この二人は父と祖母に似ていて、美人と呼ばれる人種である。ソースルは祖父に似ており、精悍な顔立ちである。
ミサモエスは、母に似ている。母は凹凸のない顔立ちをしており、父は幼なじみということもあって、夫婦の関係はいいのだが、三人に比べると明らかに顔立ちが違う。ゆえに母親は過剰に可愛がり、父も末っ子の可愛さで可愛がってしまった。
「どうしてそんな酷いことを言うの!」
「そろそろ現実を伝えておいた方がいいと思ってな。一番よく言っても素朴、悪く言えば貧相だ。周りを見て思わなかったのか?可愛いと言われる令嬢、美しいと言われる令嬢を」
「私が劣っているというの!」
「そうだよ、両親、私たちの友人以外で誰かに可愛いと言われたか?」
思い返せばそんな人はいない、だけど認めるわけにはいかない。
「当たり前じゃない!」
「そんな相手がいたならどうしてその者と懇意にしなかったんだ?貴重だったぞ」
「私が好みじゃなかったの!」
「選り好みしている場合じゃなかっただろう」
「そんなことないわ」
私が可愛くないなんて認めない、素朴だなんて言われたこともない。いや、一人いた…殿下に可愛いかと問うと、素朴な顔立ちだと言っていた。そんなに控えめに言わなくてもと思ったが、事実を述べただけだっていうの?
「まあ、お前の顔などどうでもいい。私はお前を修道院に入れるべきだと進言する」
「はあ?どうして私がそんなところに」
「当たり前だろう、こんな馬鹿を野放しには出来ない。それとも殺されたいか?護衛は付けないから、自分の身は自分で守れ」
「私が死んでもいいというの!妹なのよ!」
「もう妹とは思わない…同じ両親から生まれた馬鹿でアバズレ未亡人だ」
死別してから男性と関係を持ったけど、そんな風に何度も言わなくてもいいじゃない。みんな喜んでいたわ。
「っな、どうしてよ…」
「馬鹿な望みを口にしたからだ」
「…殿下を諦めればいいの?」
「そうだな、諦めるなら監視は付くがこの家で暮らせる。愚かな真似をすれば、すぐ修道院に入って貰う」
「分かったわ、どうせ王太子妃にはなれないんだもの」
三ヶ国語以上なんて絶対に無理だ。正妃にも側妃にもなれないなんて意味がない。殿下を誘って、たまに相手をしてあげるくらいがいい。
「暇なんだから、次は婚家の役に立てるように勉強しなさい。もし縁談があっても、ラーダ侯爵家のようにはいかないわよ。役に立たない適齢期を過ぎた女なんて、貴族相手なら価値が一つもないわ」
「か「可愛いはもう止めなさい、言えば言うだけ自分が見えていないと宣伝しているようなものだ」」
「んん!」
「ユア姉様っ!そんな言い方しないで」
ようやく到着したユアラノンはこれまでの話を聞いて、頭から火が噴いているのではなかというほど真っ赤になって怒った。マリスアルが殺しては駄目よと、宥めていたほどだ。
ユアラノンはこの家で一番殺傷力の高い言葉を使い、辺境で夫と共に騎士もしているので、心身ともに強い人物である。
「事実でしょう?アバズレ未亡人に誘われたって男性が沢山いたぞ?簡単に関係を持てるお手軽未亡人だってさ」
ソースルは把握するために恥を忍んで、ミサモエスと関係を持った相手を突き止めて欲しいと依頼をしていた。全員ではないかもしれないが、それでも数人の男性と関係を持っていることが分かった。
「そんなことないわ」
「『夫を亡くして寂しいの。慰めてくれませんか』って貧相な顔で、瞳を潤ませて誘うんだってな。気持ち悪いな」
どうして知っているの、誰かが話したのね。口が軽すぎるわ。家族に知られるのは恥ずかしいじゃない。
「周りを見れば気付くと思って、可哀想だから言わなかったが、お前の顔は褒められるほど可愛くない、もちろん美人でもない」
ユアラノンは三姉妹の内で傍から見れば一番美人である。ユアラノンはマリスアルが一番美人だと思っている。この二人は父と祖母に似ていて、美人と呼ばれる人種である。ソースルは祖父に似ており、精悍な顔立ちである。
ミサモエスは、母に似ている。母は凹凸のない顔立ちをしており、父は幼なじみということもあって、夫婦の関係はいいのだが、三人に比べると明らかに顔立ちが違う。ゆえに母親は過剰に可愛がり、父も末っ子の可愛さで可愛がってしまった。
「どうしてそんな酷いことを言うの!」
「そろそろ現実を伝えておいた方がいいと思ってな。一番よく言っても素朴、悪く言えば貧相だ。周りを見て思わなかったのか?可愛いと言われる令嬢、美しいと言われる令嬢を」
「私が劣っているというの!」
「そうだよ、両親、私たちの友人以外で誰かに可愛いと言われたか?」
思い返せばそんな人はいない、だけど認めるわけにはいかない。
「当たり前じゃない!」
「そんな相手がいたならどうしてその者と懇意にしなかったんだ?貴重だったぞ」
「私が好みじゃなかったの!」
「選り好みしている場合じゃなかっただろう」
「そんなことないわ」
私が可愛くないなんて認めない、素朴だなんて言われたこともない。いや、一人いた…殿下に可愛いかと問うと、素朴な顔立ちだと言っていた。そんなに控えめに言わなくてもと思ったが、事実を述べただけだっていうの?
「まあ、お前の顔などどうでもいい。私はお前を修道院に入れるべきだと進言する」
「はあ?どうして私がそんなところに」
「当たり前だろう、こんな馬鹿を野放しには出来ない。それとも殺されたいか?護衛は付けないから、自分の身は自分で守れ」
「私が死んでもいいというの!妹なのよ!」
「もう妹とは思わない…同じ両親から生まれた馬鹿でアバズレ未亡人だ」
死別してから男性と関係を持ったけど、そんな風に何度も言わなくてもいいじゃない。みんな喜んでいたわ。
「っな、どうしてよ…」
「馬鹿な望みを口にしたからだ」
「…殿下を諦めればいいの?」
「そうだな、諦めるなら監視は付くがこの家で暮らせる。愚かな真似をすれば、すぐ修道院に入って貰う」
「分かったわ、どうせ王太子妃にはなれないんだもの」
三ヶ国語以上なんて絶対に無理だ。正妃にも側妃にもなれないなんて意味がない。殿下を誘って、たまに相手をしてあげるくらいがいい。
「暇なんだから、次は婚家の役に立てるように勉強しなさい。もし縁談があっても、ラーダ侯爵家のようにはいかないわよ。役に立たない適齢期を過ぎた女なんて、貴族相手なら価値が一つもないわ」
「か「可愛いはもう止めなさい、言えば言うだけ自分が見えていないと宣伝しているようなものだ」」
「んん!」
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