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番外編1
ルアンナ・アズラー12
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ルアンナは使うことがなかったお金と服などをトランクに入れて、飛び出して行った。ローサムとティファナは先回りするために戻り、クリジアン公爵家に事情を話すと、ルイソードも現実を見た方がいいと、任せて欲しいと言った。そして、ついにルアンナをアズラー侯爵家の籍から外した。
ようやく何十年振りかに王都に辿り着いたルアンナは、まず友人を訪ねることにした。身綺麗にして、シュリアとルイソードに会いたかったからである。
だがステファ―に会おうと侯爵家を訪ねたが、ステファ―はいないと言われてしまった。次に伯爵家にミンアを訪ねるも同じであった。
次にカトレアに会いに子爵家に行くと、ようやく会うことが出来た。だが、案内されたのは離れにある小さな邸の方であった。子爵家だから仕方ないわねと思いながらも、友人との再会に心を躍らせた。
「久し振りね、会いたかったわ。手紙も書けなくて」
「私は後悔していますわ」
「もしかしてサリーのこと?もう大丈夫よ」
「え?」
「死んだんだから、もう終わりでしょう。私も王都に戻って来たの」
「そうなのですか」
「ええ、それで娘に会いに行くところで、メイドを貸して欲しいのだけど」
辺りを見渡しても、メイドの姿はない。お菓子はおろか、お茶すら出て来ず、カトレア自身が淹れてくれていた。
「私では難しいです」
「そう…でもステファ―もミンアも留守だったの」
「え?ご存知ないのですか?ステファ―は離縁はされていませんが、療養所にいます。ミンアは離縁されて、生家に戻っています」
「そうだったの…」
「何も知らないんですね、ステファ―は夫が愛人を作って、息子は義両親に奪われて、精神がおかしくなって療養所にいるそうです」
「そ、そうなの…」
「ミンアは子どもが出来ないことで離縁されたと言われていますけど、そう仕向けられたのだと思います」
ミンアはあの時点で、まだ子どもがいなかった。夫は結婚を継続するより、離縁してしまえばいいと思ったのだろう。再婚して、もう関係ないと示したかったのだろうが、状況は変わらない。
これは周りがそう仕向けているのであって、サリーが意図したものではない。いくらルアンナが反省していなくとも、監視している家の者の方が、待遇はいい方であり、アズラー侯爵家、エモンド公爵家、トラス伯爵家などがいい例である。
「でも、あなたはここにいるじゃない」
「私は、飾りでいるだけです。夫の愛人は平民で、子どもが平民の母親では可哀想だからと、私が産んだことにされて、ここにいるんです」
「っえ」
「でもそれもバレたそうなので、この家ももう終わりでしょう。修道院に行こうと思っています」
カトレアも子どもがおらず、あの後で夫との関係は悪くなって、ミンアのように離縁を覚悟していたが、待っていたのはお飾り夫人であった。実家にも妃殿下への罪が夫から告げられて、離縁なり閉じ込めるなり好きにしたらいいと言われたようで、離れに追いやられて、夫と愛人と子どもを憎らしく思っていた。だが、カトレアの子ではないことが分かり、罪に問われている。
「修道院!?」
「ルアンナ様が離縁されてから、我が家も含めて、社交界で居場所がありませんでした。三人でいることしか出来ず、夫たちに徐々に見切りを付けられたのです」
カトレアも所詮、ルアンナの友人だけあって、社交界の中心に居場所はなかったという意味である。有力なパーティーや茶会などに一切呼ばれなくなった。
「でも公にはなっていない、咎もなかったと聞いているわ」
「そうだとしても、知っている者は王家、公爵家です。誰が私たちと親しくするものですか」
「公爵家…どうして」
「ノーラ公爵家には妃殿下の義姉の生家です、クリンピア公爵家はレベッカ様の母親の生家、スワン公爵家は王妃様の生家です。そしてクリジアン公爵家も親しくしています」
「クリジアン公爵家も…でもクリンピア公爵家はどうして?」
「レベッカ様とサリー王太子妃殿下の関係はとても良かったのです」
「そんな、側妃、いえ側妃見習いなんかと」
「レベッカ様は側妃見習いを辞められました、聞いていないのですか?」
「じゃあ、王太子妃は空席ってこと?」
「現状はそうなりますね」
カトレアはその言葉で表情の明るくなったルアンナが、まだ王太子妃の座を狙っているのだろうと思ったが、口にはしなかった。
ようやく何十年振りかに王都に辿り着いたルアンナは、まず友人を訪ねることにした。身綺麗にして、シュリアとルイソードに会いたかったからである。
だがステファ―に会おうと侯爵家を訪ねたが、ステファ―はいないと言われてしまった。次に伯爵家にミンアを訪ねるも同じであった。
次にカトレアに会いに子爵家に行くと、ようやく会うことが出来た。だが、案内されたのは離れにある小さな邸の方であった。子爵家だから仕方ないわねと思いながらも、友人との再会に心を躍らせた。
「久し振りね、会いたかったわ。手紙も書けなくて」
「私は後悔していますわ」
「もしかしてサリーのこと?もう大丈夫よ」
「え?」
「死んだんだから、もう終わりでしょう。私も王都に戻って来たの」
「そうなのですか」
「ええ、それで娘に会いに行くところで、メイドを貸して欲しいのだけど」
辺りを見渡しても、メイドの姿はない。お菓子はおろか、お茶すら出て来ず、カトレア自身が淹れてくれていた。
「私では難しいです」
「そう…でもステファ―もミンアも留守だったの」
「え?ご存知ないのですか?ステファ―は離縁はされていませんが、療養所にいます。ミンアは離縁されて、生家に戻っています」
「そうだったの…」
「何も知らないんですね、ステファ―は夫が愛人を作って、息子は義両親に奪われて、精神がおかしくなって療養所にいるそうです」
「そ、そうなの…」
「ミンアは子どもが出来ないことで離縁されたと言われていますけど、そう仕向けられたのだと思います」
ミンアはあの時点で、まだ子どもがいなかった。夫は結婚を継続するより、離縁してしまえばいいと思ったのだろう。再婚して、もう関係ないと示したかったのだろうが、状況は変わらない。
これは周りがそう仕向けているのであって、サリーが意図したものではない。いくらルアンナが反省していなくとも、監視している家の者の方が、待遇はいい方であり、アズラー侯爵家、エモンド公爵家、トラス伯爵家などがいい例である。
「でも、あなたはここにいるじゃない」
「私は、飾りでいるだけです。夫の愛人は平民で、子どもが平民の母親では可哀想だからと、私が産んだことにされて、ここにいるんです」
「っえ」
「でもそれもバレたそうなので、この家ももう終わりでしょう。修道院に行こうと思っています」
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「修道院!?」
「ルアンナ様が離縁されてから、我が家も含めて、社交界で居場所がありませんでした。三人でいることしか出来ず、夫たちに徐々に見切りを付けられたのです」
カトレアも所詮、ルアンナの友人だけあって、社交界の中心に居場所はなかったという意味である。有力なパーティーや茶会などに一切呼ばれなくなった。
「でも公にはなっていない、咎もなかったと聞いているわ」
「そうだとしても、知っている者は王家、公爵家です。誰が私たちと親しくするものですか」
「公爵家…どうして」
「ノーラ公爵家には妃殿下の義姉の生家です、クリンピア公爵家はレベッカ様の母親の生家、スワン公爵家は王妃様の生家です。そしてクリジアン公爵家も親しくしています」
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「レベッカ様とサリー王太子妃殿下の関係はとても良かったのです」
「そんな、側妃、いえ側妃見習いなんかと」
「レベッカ様は側妃見習いを辞められました、聞いていないのですか?」
「じゃあ、王太子妃は空席ってこと?」
「現状はそうなりますね」
カトレアはその言葉で表情の明るくなったルアンナが、まだ王太子妃の座を狙っているのだろうと思ったが、口にはしなかった。
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