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番外編1
ルアンナ・アズラー5
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寄り添ってくれる人は誰もいない。王太子妃教育をしている母に褒められたかったから…殿下に固執したのかもしれない。結婚の準備が始まると、何度も殿下に想いを伝えた、でも婚約者がいる身では、なかなか頷いてはくれなかった。
「殿下、お慕いしております」
「アズラー侯爵令嬢、君は婚約者がいるだろう」
「分かっております。ですが、私はずっと殿下の妃になりたいと願っておりました。サリー様がいる以上、叶わないのは分かっています」
「ならば」
「ですので、思い出をくれませんか。純潔は差し上げることは出来ませんが、愛し合うことは出来ますでしょう?どうか、私の初恋を終わらせてくださいませ」
ようやく、殿下と愛し合うことが出来た。本当なら全てを捧げたいが、それは出来ない。その苦しさが、また身体を火照らせて、三度も愛し合うことが出来た。ルイソードとの初夜も、殿下を思い出していた。
さらに最後にもう一度と思っていたが、殿下は忙しそうで、仕方なく諦めた。だが、殿下はエマ・ネイリーという子爵令嬢と連れ立つようになった。サリーを馬鹿にしたい気持ちと、何でそんな女がという気持ちが戦っていた。
ゆえにサリーにも暴言をまた吐いたが、エマ・ネイリーにも腹が立った。ドレスも酷く似合っておらず、滑稽であることに気付ていないのか。
「良いドレスも着る人がこれだと台無しね」
「でも、殿下は素敵だと言ってくれました」
「お世辞でしょう?それとも肩幅が素敵だと言ったのかしら」
「えっ、肩幅ですか?何をおっしゃっているのでしょうか」
煽り甲斐のない令嬢であった、その後に不正のためだったことを知り、そういうことだったのかと納得した。もちろん、サリーに謝罪なんてしなかった。
軟禁されて数年後、ルイソードは再婚して、両親にシュリアが後妻にいじめられていないかと訴えたが、そんなことはないと言われてしまった。娘は母を求めるものなのに、なぜ分からないのか。そして、後妻との間に男児が生まれたそうだ。男児を産むのは私だったのにとまだそんな風に思っていた。
結局、いくら経っても、王都に戻ることは出来なかった。ルトアスが結婚して、侯爵邸に居場所はない。スーミラ伯母様にも自分で稼いで生きていくなら出て行けばいいと言われたが、そんなことが出来るとも思えなかった。
でもついにルアンナは、十五歳になったシュリアに会えることになった。
父・ルイソードはシュリアが傷付かないようにと思っていたが、シュリアは自身の産みの母が祖父母や、使用人から過ちを犯したことを何となく察していた。後妻との関係は良好だ、何せシュリアにはルアンナの記憶がない。
後妻はシュリアが納得すれば、再婚をしましょうと父に言ったそうだ。弟も可愛くて、とてもいい家族だと思っている。
そして学園に入る前に父から話があった。
「シュリアの産みの母親のことを、産みの母親の両親から聞くといい。事実を包み隠さず、話してくれるはずだ」
「お父様ではなく?」
「ああ、私は私目線になってしまう。だが、アズラー侯爵夫妻なら、きちんと順序だてて話してくれるはずだ。産みの母親は愚かでも、アズラー侯爵夫妻は信用できる方達だ。誕生日のプレゼントも毎年欠かさず贈ってくれていたのだ」
「えっ?」
「ここに目録がある、後で見なさい。シュリアには言わないようにしていた、あちらもそう望んでね。誠実な方たちだ」
ルイソードも告げることも、会わせることもしなかったが、何が贈られて来ていたかだけは、きちんと残していた。
「分かりました」
「それで、もし産みの母親に会ってみたいなら、会うといい」
「会うのですか」
「シュリアに任せる。産みの母親はずっと会いたいと言っているようではあるが、自分の目で事実を見るのが一番いいと思わないか?納得するためだ」
「はい、お父様」
シュリアは時に厳しいところもあるが、優しい父を非常に尊敬している。
「殿下、お慕いしております」
「アズラー侯爵令嬢、君は婚約者がいるだろう」
「分かっております。ですが、私はずっと殿下の妃になりたいと願っておりました。サリー様がいる以上、叶わないのは分かっています」
「ならば」
「ですので、思い出をくれませんか。純潔は差し上げることは出来ませんが、愛し合うことは出来ますでしょう?どうか、私の初恋を終わらせてくださいませ」
ようやく、殿下と愛し合うことが出来た。本当なら全てを捧げたいが、それは出来ない。その苦しさが、また身体を火照らせて、三度も愛し合うことが出来た。ルイソードとの初夜も、殿下を思い出していた。
さらに最後にもう一度と思っていたが、殿下は忙しそうで、仕方なく諦めた。だが、殿下はエマ・ネイリーという子爵令嬢と連れ立つようになった。サリーを馬鹿にしたい気持ちと、何でそんな女がという気持ちが戦っていた。
ゆえにサリーにも暴言をまた吐いたが、エマ・ネイリーにも腹が立った。ドレスも酷く似合っておらず、滑稽であることに気付ていないのか。
「良いドレスも着る人がこれだと台無しね」
「でも、殿下は素敵だと言ってくれました」
「お世辞でしょう?それとも肩幅が素敵だと言ったのかしら」
「えっ、肩幅ですか?何をおっしゃっているのでしょうか」
煽り甲斐のない令嬢であった、その後に不正のためだったことを知り、そういうことだったのかと納得した。もちろん、サリーに謝罪なんてしなかった。
軟禁されて数年後、ルイソードは再婚して、両親にシュリアが後妻にいじめられていないかと訴えたが、そんなことはないと言われてしまった。娘は母を求めるものなのに、なぜ分からないのか。そして、後妻との間に男児が生まれたそうだ。男児を産むのは私だったのにとまだそんな風に思っていた。
結局、いくら経っても、王都に戻ることは出来なかった。ルトアスが結婚して、侯爵邸に居場所はない。スーミラ伯母様にも自分で稼いで生きていくなら出て行けばいいと言われたが、そんなことが出来るとも思えなかった。
でもついにルアンナは、十五歳になったシュリアに会えることになった。
父・ルイソードはシュリアが傷付かないようにと思っていたが、シュリアは自身の産みの母が祖父母や、使用人から過ちを犯したことを何となく察していた。後妻との関係は良好だ、何せシュリアにはルアンナの記憶がない。
後妻はシュリアが納得すれば、再婚をしましょうと父に言ったそうだ。弟も可愛くて、とてもいい家族だと思っている。
そして学園に入る前に父から話があった。
「シュリアの産みの母親のことを、産みの母親の両親から聞くといい。事実を包み隠さず、話してくれるはずだ」
「お父様ではなく?」
「ああ、私は私目線になってしまう。だが、アズラー侯爵夫妻なら、きちんと順序だてて話してくれるはずだ。産みの母親は愚かでも、アズラー侯爵夫妻は信用できる方達だ。誕生日のプレゼントも毎年欠かさず贈ってくれていたのだ」
「えっ?」
「ここに目録がある、後で見なさい。シュリアには言わないようにしていた、あちらもそう望んでね。誠実な方たちだ」
ルイソードも告げることも、会わせることもしなかったが、何が贈られて来ていたかだけは、きちんと残していた。
「分かりました」
「それで、もし産みの母親に会ってみたいなら、会うといい」
「会うのですか」
「シュリアに任せる。産みの母親はずっと会いたいと言っているようではあるが、自分の目で事実を見るのが一番いいと思わないか?納得するためだ」
「はい、お父様」
シュリアは時に厳しいところもあるが、優しい父を非常に尊敬している。
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