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番外編1
ミサモエス・ラーダ1
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『私が結婚せずに、運命の相手を待ち続けていれば良かったのよね。私が横に立つ未来はすぐ側にあったのに。
私が正妃になれるようにしなさい!居座り続けるなんて、なんて図々しいの! —ミサモエス・ラーダ—』
ミサモエス・ラーダ、現在はジースト伯爵の後妻となり、ミサモエス・ジースト。息子も生まれた。
ジースト伯爵の妻は娘を産んで亡くなっており、周りの力も借りながら、娘を育てていた。何度も再婚をと言われたが、なかなかする気にならなかったが、その娘も病気で亡くなってしまった。そこへ夫を亡くしていたミサモエスを紹介され、同じ傷を持つものならと再婚を決めた。
だが、ミサモエスの家族にとってここまでの道のりは楽なものではなかった。
ミサモエス・ラーダは、ミサモエスはクオス伯爵の三女だった。末っ子ということもあって、甘えん坊で、両親は大変可愛がったが、成長してから姉や兄は両親にきちんとさせないと後悔することになると言ったが、この子は可愛がられて生きていけばいいということを聞かなかった。
姉や兄が苦言を呈しても、ふわふわ夢見がちなまま成長して、学園を卒業しても縁談も決まらなかったが、ラーダ侯爵家の変わり者の嫡男が妹が欲しかったという理由で、ミサモエスを気に入り、結婚することになった。愛されることが務めだからと、家のことは何も出来ず、ただただ甘えるだけの存在。
それでも夫は納得して結婚していたので、不満はなかった。だが、一年が過ぎる頃、事故で夫が亡くなった。弟家族が後継となることになり、ミサモエスは家族からは好かれていなかったが、すぐに追い出すのも世間体が悪いので、療養のために、籍はそのままにクオス伯爵家に戻ることになった。
両親はまた傷付いたミサモエスを甘やかし、部屋に籠っていては良くないと、お茶会やパーティーなどにも元気づけようと参加させた。
ずっと愛されてきたミサモエスは男性に慰められ、誘われればホイホイ付いて行き、誘われない時は自分から寂しいのと誘うようになった。その中にリール殿下も含まれることになる。
年上に甘え続けたミサモエスにとって、五歳も年下のリール殿下にはちょっとお姉さんになったような気分で新鮮だった。もちろん、サリーという婚約者がいることは知っている。
「結婚するまでお寂しいのではないですかか、私も夫を亡くして寂しいの。慰め合いませんか」
「いや、結構だ。他を当たってくれ」
「甘い時間だけ過ごせればいいのです。私は愛に飢えているの」
「ならば愛してくれる人を探せばいいのではないか」
「まだ夫に心を残している私には一刻でいいのです」
カリー・カイサックの誘いに乗って失敗した殿下は警戒していたが、気の強さを感じないミサモエスと関係を持つようになった。その場限りの関係で、未亡人ならばグリズナー・トラスのようなものだろうと、考えていた。
そのグリズナー・トラスも問題があったのだが、当時の殿下は知る由もなかった。
二人は時折、甘い時間だけを過ごしていたが、ミサモエスはこのまま私は王太子妃になれるのではないかと思うようになり、サリーに牽制を始めるようになった。
「殿下は私が責任を持ってお慰めしておりますから、ご心配なさらないで。もし何かお困りでしたら、いつでも相談してくださいね。殿下のお好きなところとか、私にしか叶えられないものもあるけれど」
「可愛いと愛されてしまうの、憎むなら私の可愛さを憎んでね」
ミサモエスは貧相とまでは言わないが、妖艶な身体というわけではない。だが両親から可愛い可愛いと愛されて、男性にも妹ポジションのおかげで、お世辞でも褒めて貰えることから、自分は可愛くて愛されていると思うようになっていた。
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お読みいただきありがとうございます。
ミサモエス・ラーダの回となります。
まだ執筆中ですので、何話になるかは未定です。
よろしくお願いいたします。
私が正妃になれるようにしなさい!居座り続けるなんて、なんて図々しいの! —ミサモエス・ラーダ—』
ミサモエス・ラーダ、現在はジースト伯爵の後妻となり、ミサモエス・ジースト。息子も生まれた。
ジースト伯爵の妻は娘を産んで亡くなっており、周りの力も借りながら、娘を育てていた。何度も再婚をと言われたが、なかなかする気にならなかったが、その娘も病気で亡くなってしまった。そこへ夫を亡くしていたミサモエスを紹介され、同じ傷を持つものならと再婚を決めた。
だが、ミサモエスの家族にとってここまでの道のりは楽なものではなかった。
ミサモエス・ラーダは、ミサモエスはクオス伯爵の三女だった。末っ子ということもあって、甘えん坊で、両親は大変可愛がったが、成長してから姉や兄は両親にきちんとさせないと後悔することになると言ったが、この子は可愛がられて生きていけばいいということを聞かなかった。
姉や兄が苦言を呈しても、ふわふわ夢見がちなまま成長して、学園を卒業しても縁談も決まらなかったが、ラーダ侯爵家の変わり者の嫡男が妹が欲しかったという理由で、ミサモエスを気に入り、結婚することになった。愛されることが務めだからと、家のことは何も出来ず、ただただ甘えるだけの存在。
それでも夫は納得して結婚していたので、不満はなかった。だが、一年が過ぎる頃、事故で夫が亡くなった。弟家族が後継となることになり、ミサモエスは家族からは好かれていなかったが、すぐに追い出すのも世間体が悪いので、療養のために、籍はそのままにクオス伯爵家に戻ることになった。
両親はまた傷付いたミサモエスを甘やかし、部屋に籠っていては良くないと、お茶会やパーティーなどにも元気づけようと参加させた。
ずっと愛されてきたミサモエスは男性に慰められ、誘われればホイホイ付いて行き、誘われない時は自分から寂しいのと誘うようになった。その中にリール殿下も含まれることになる。
年上に甘え続けたミサモエスにとって、五歳も年下のリール殿下にはちょっとお姉さんになったような気分で新鮮だった。もちろん、サリーという婚約者がいることは知っている。
「結婚するまでお寂しいのではないですかか、私も夫を亡くして寂しいの。慰め合いませんか」
「いや、結構だ。他を当たってくれ」
「甘い時間だけ過ごせればいいのです。私は愛に飢えているの」
「ならば愛してくれる人を探せばいいのではないか」
「まだ夫に心を残している私には一刻でいいのです」
カリー・カイサックの誘いに乗って失敗した殿下は警戒していたが、気の強さを感じないミサモエスと関係を持つようになった。その場限りの関係で、未亡人ならばグリズナー・トラスのようなものだろうと、考えていた。
そのグリズナー・トラスも問題があったのだが、当時の殿下は知る由もなかった。
二人は時折、甘い時間だけを過ごしていたが、ミサモエスはこのまま私は王太子妃になれるのではないかと思うようになり、サリーに牽制を始めるようになった。
「殿下は私が責任を持ってお慰めしておりますから、ご心配なさらないで。もし何かお困りでしたら、いつでも相談してくださいね。殿下のお好きなところとか、私にしか叶えられないものもあるけれど」
「可愛いと愛されてしまうの、憎むなら私の可愛さを憎んでね」
ミサモエスは貧相とまでは言わないが、妖艶な身体というわけではない。だが両親から可愛い可愛いと愛されて、男性にも妹ポジションのおかげで、お世辞でも褒めて貰えることから、自分は可愛くて愛されていると思うようになっていた。
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お読みいただきありがとうございます。
ミサモエス・ラーダの回となります。
まだ執筆中ですので、何話になるかは未定です。
よろしくお願いいたします。
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