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不遜
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ルイソードは怒りが冷めて、ルアンナに呆れた気持ちになっていった。演技だったとまでは言わないが、あまりに考えが厚かましく、図々しい。
「私は婚約破棄したとしても、君は殿下の正妃はおろか、側妃にもなれなかった。今頃、何をしていたんだろうな」
「な、にって…」
「最後までしなかったからと言いわけをして、不貞を犯した阿婆擦れとして有名になれたかもしれませんね」
両親は口にしたくもなかった例えをしても、受け止めない娘に諦め、無言になっていたため、ルトアスの冷えた発言は部屋に響き渡った。
「酷い!そんなはずないわ。ルトは知らないだろうけど、私は憧れられて、理想とされる令嬢だったのよ!」
「そこだよ、何なんだ、その己惚れは。ずっと思っていたよ。姉さんは確かに勉強が出来ないとは言わないが、平均的な貴族令嬢だ。私は何度も妃殿下と比べることすら、烏滸がましいと何度も言ったよね?」
「ずっと比べられて来たからよ!」
私は直接言われたことはないが、ずっと比べられていた。母親にも、同級生にも。サリーが優れているのは語学力でもあるが、記憶力だということは分かっていた。勿論、レベッカ側妃見習いと違って、正妃も側妃の条件も理解している。
だからこそサリーを攻撃した、いなくなれば、当時の学園の生徒で三ヶ国語が話せるという生徒は聞いたことがなく、爵位も合わせれば、私は最有力候補になる。王太子が相手がいないからと、結婚しないことはないだろうから、正妃は難しくとも、何か条件も変わるのではないかと思っていた。
「妃殿下は別格として、思っているなら分かるよ。姉さんは並んでいると思っているよね?だから不貞も出来たの?」
「並んでいるじゃない!」
「どこがだよ、ノワンナ語は出来ても、アペル語とカベリ語は読み書きですら、出来るとは言えないと聞いている。成績だって、おそらく妃殿下を超えたこともないだろう?かろうじて並んでいると言えるのは爵位だけ」
「妃殿下は記憶力がいいだけじゃない!」
「だから、何だ?妃殿下は記憶力がいいことで驕ったりしたか?頭が悪いと馬鹿にされたとでも言うのか?」
ルアンナは一方的に話すだけで、サリーと会話という会話をしたことはない。そもそもサリーには同級生に親しい相手はいなかった。親しく話しているのは、世代の違う者や他国の者が主であった。
「比べたことなんてないわ…ルトアスの言う通り、違い過ぎるもの」
ティファナは下を向いたまま、落ち着いた声で反論した。
「嘘よ!直接言わないだけで、ずっと比べていたくせに!」
「所作、ダンス、確かにこの辺りなら、あなたも妃殿下も平均的だったでしょう。でもその他は、比べられるところがないの…」
「あるでしょう!沢山!」
ルアンナはここぞとばかりに噛みついたが、ティファナは顔を上げる気はなく、そのまま続けた。
「あなた、百頁以上ある本を丸々一冊暗記できる?出来ないでしょう?」
「っな、それは、頑張れば」
「無理よ、一年以上前に一度読んだ本なのに、何頁に書いてありますって、平気で言うのよ。普通はタイトルを覚えているだけで、記憶力がいい方よ。あなたは良くて、その程度」
「っな!自分が優秀だからって、馬鹿にするような言い方しないで!」
ルアンナは息を荒げて、怒鳴りつけている。皆も母親へ、妃殿下への劣等感は感じていただろうことは分かっていた。ローサムとルトアスが知る限り、ティファナがこのような言い方をしたの初めてである。
「地図だって、現在と過去のものと頭の中で比べられるの。凄いでしょう?文字、図、音、全て記憶できるの。だからと言って、憶えるだけではない、理解して、組み合わせて、活かすことも出来る。だからあんなに言語が操れるの。おそらく、文字を憶えて、正しい音に乗せて、発音する。私には絶対無理だわ。あなたに出来る?あなたも無理でしょう?」
「頑張れば、出来たかもしれないじゃない…」
「愚かね…」
身を持って感じることが出来たティファナだからこその言葉であった。そして、ルアンナには敢えて言わずにいたことであった。
「私は婚約破棄したとしても、君は殿下の正妃はおろか、側妃にもなれなかった。今頃、何をしていたんだろうな」
「な、にって…」
「最後までしなかったからと言いわけをして、不貞を犯した阿婆擦れとして有名になれたかもしれませんね」
両親は口にしたくもなかった例えをしても、受け止めない娘に諦め、無言になっていたため、ルトアスの冷えた発言は部屋に響き渡った。
「酷い!そんなはずないわ。ルトは知らないだろうけど、私は憧れられて、理想とされる令嬢だったのよ!」
「そこだよ、何なんだ、その己惚れは。ずっと思っていたよ。姉さんは確かに勉強が出来ないとは言わないが、平均的な貴族令嬢だ。私は何度も妃殿下と比べることすら、烏滸がましいと何度も言ったよね?」
「ずっと比べられて来たからよ!」
私は直接言われたことはないが、ずっと比べられていた。母親にも、同級生にも。サリーが優れているのは語学力でもあるが、記憶力だということは分かっていた。勿論、レベッカ側妃見習いと違って、正妃も側妃の条件も理解している。
だからこそサリーを攻撃した、いなくなれば、当時の学園の生徒で三ヶ国語が話せるという生徒は聞いたことがなく、爵位も合わせれば、私は最有力候補になる。王太子が相手がいないからと、結婚しないことはないだろうから、正妃は難しくとも、何か条件も変わるのではないかと思っていた。
「妃殿下は別格として、思っているなら分かるよ。姉さんは並んでいると思っているよね?だから不貞も出来たの?」
「並んでいるじゃない!」
「どこがだよ、ノワンナ語は出来ても、アペル語とカベリ語は読み書きですら、出来るとは言えないと聞いている。成績だって、おそらく妃殿下を超えたこともないだろう?かろうじて並んでいると言えるのは爵位だけ」
「妃殿下は記憶力がいいだけじゃない!」
「だから、何だ?妃殿下は記憶力がいいことで驕ったりしたか?頭が悪いと馬鹿にされたとでも言うのか?」
ルアンナは一方的に話すだけで、サリーと会話という会話をしたことはない。そもそもサリーには同級生に親しい相手はいなかった。親しく話しているのは、世代の違う者や他国の者が主であった。
「比べたことなんてないわ…ルトアスの言う通り、違い過ぎるもの」
ティファナは下を向いたまま、落ち着いた声で反論した。
「嘘よ!直接言わないだけで、ずっと比べていたくせに!」
「所作、ダンス、確かにこの辺りなら、あなたも妃殿下も平均的だったでしょう。でもその他は、比べられるところがないの…」
「あるでしょう!沢山!」
ルアンナはここぞとばかりに噛みついたが、ティファナは顔を上げる気はなく、そのまま続けた。
「あなた、百頁以上ある本を丸々一冊暗記できる?出来ないでしょう?」
「っな、それは、頑張れば」
「無理よ、一年以上前に一度読んだ本なのに、何頁に書いてありますって、平気で言うのよ。普通はタイトルを覚えているだけで、記憶力がいい方よ。あなたは良くて、その程度」
「っな!自分が優秀だからって、馬鹿にするような言い方しないで!」
ルアンナは息を荒げて、怒鳴りつけている。皆も母親へ、妃殿下への劣等感は感じていただろうことは分かっていた。ローサムとルトアスが知る限り、ティファナがこのような言い方をしたの初めてである。
「地図だって、現在と過去のものと頭の中で比べられるの。凄いでしょう?文字、図、音、全て記憶できるの。だからと言って、憶えるだけではない、理解して、組み合わせて、活かすことも出来る。だからあんなに言語が操れるの。おそらく、文字を憶えて、正しい音に乗せて、発音する。私には絶対無理だわ。あなたに出来る?あなたも無理でしょう?」
「頑張れば、出来たかもしれないじゃない…」
「愚かね…」
身を持って感じることが出来たティファナだからこその言葉であった。そして、ルアンナには敢えて言わずにいたことであった。
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