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翌日、クリコットから話を聞いた殿下は意味が分からなかった。
「どういうことだ!トラス伯爵夫人に交流会の代理だと?調子が悪いなら、欠席すればいいだけじゃないか」
「分かりませんが、手法はエマ・ネイリーとレベッカ側妃見習いと同じです。発言の責任を取るようにと、そして権限は妃殿下以外に下げられないのも事実です」
昔、王太子が勝手に愛妾を代理にさせたことがあり、王太子妃しか使えない権限となっている。
「トラス夫人がそのようなことを言ったというのか」
「はい、そのようです。殿下とは年齢が合わなかっただけ、本来なら私の方が王家に相応しかったと」
「愚かな…」
「報復が始まったと思った方がよろしいかと思います」
リビアナが言っていた、始まったのだと、そしてサリー妃殿下は何も咎めるようなところはない。代理は正当な権利である。
「私を辱めるためということか?でもサリーだって、代理を任せたものが粗相をすれば、傷が付くだろう」
「それでも妃殿下は構わないと思っているのでしょう。ですが、代理で妃殿下の評判が落ちるとは思えません。そして、妃殿下の代理というのは、とても責が重いことを戒めることも出来ます」
「私はバリミューア島にトラス夫人と行くのか?」
「ええ、現状ではそうなります。そして妃殿下は何か余程の条件がないと、下げないと思います」
「また離縁か…」
殿下が行っても条件をのめないため、クリコットが代理を下げて貰えないかと話に行くことになった。
『あなたは王太子妃なの?(ノワンナ語)』
『いっ、いいえ(ノワンナ語)』
『では、意見するのはおかしいのではないかしら?(ノワンナ語)』
『ですが、国としても、災いです(ノワンナ語)』
『災い?何の話をしているの?(ノワンナ語』
『申し訳ございません、混乱でした(ノワンナ語)』
クリコットはノワンナ語を訳すことはあっても使う機会が最近なかったため、間違えてしまった。
『絶対に取り下げませんから、正当な権利でしょう?あなたはそれすら奪うというのですか?あと、この代理に関して、殿下と話をする気はありませんとお伝えください(ノワンナ語)』
なぜ、ノワンナ語だったのか、分からないままクリコットは戻るしかなかった。
その一方で、サリーはミーラ王子に会いに行くようになっており、殿下に会うことはないが、度々王太子宮にやって来ている。
「妃殿下、王子殿下は元気にお過ごしです」
「そうですか。ミーラ殿下、お健やかにお育ちくださいね」
毎回、抱き上げて、その重さを確かめるようにゆらゆらと揺らし、愛おしそうに微笑む。サリーの微笑みを見ることが出来るのは、ミーラ殿下だけとなっていた。
そして、グリズナー夫人の元へ交流会の招待状と案内が、サリーからよろしくお願いしますという文と共に送られた来た。夫にはまだ話せていない。
そもそも親しくもなければ、交流もない妃殿下から呼び出された時から、おかしいと思っていた。妃殿下は私の印象が良くないはずだ。王太子妃である以上、行かないという選択は出来なかった。
呼び出されたことは夫も知っている。
「何だったんだ?」
「詳しくは話せないのだけど、頼まれごとをしたの。でも私には難しいのではないかと思っているの」
「妃殿下の頼みを断るのか」
「出来ないことは出来ないでしょう?」
そう言いながら、自身の言ったことが全て返って来ているように感じていた。
トラス伯爵とは再婚である。前の夫も伯爵だったが、事故で死別し、子どももおらず、トラス伯爵は息子が一人いたが、妻を亡くしていた。その後、伯爵との間に娘も生まれている。
確かに当時、王太子の婚約者であるサリーに、言われたようなことを言った記憶はある。十以上も年下の子に嫌味を言うなど、大人げなかったと今では思うが、ただ賢いだけで選ばれて、ちやほやされるサリーを傷を付けてやりたかった。まさかこんな形でやり返されるとは思わなかった。
代理で行って評価を下げるのはお互い様なのに、王家は良しとするのか。
一体誰を頼ればいいのか分からなかった。夫に言えば、私がサリーに言ったことが暴かれてしまうだろう。実家は子爵家で意見するような力もない。友人と言っても、王太子妃殿下に相当するような相手もいない。
「どういうことだ!トラス伯爵夫人に交流会の代理だと?調子が悪いなら、欠席すればいいだけじゃないか」
「分かりませんが、手法はエマ・ネイリーとレベッカ側妃見習いと同じです。発言の責任を取るようにと、そして権限は妃殿下以外に下げられないのも事実です」
昔、王太子が勝手に愛妾を代理にさせたことがあり、王太子妃しか使えない権限となっている。
「トラス夫人がそのようなことを言ったというのか」
「はい、そのようです。殿下とは年齢が合わなかっただけ、本来なら私の方が王家に相応しかったと」
「愚かな…」
「報復が始まったと思った方がよろしいかと思います」
リビアナが言っていた、始まったのだと、そしてサリー妃殿下は何も咎めるようなところはない。代理は正当な権利である。
「私を辱めるためということか?でもサリーだって、代理を任せたものが粗相をすれば、傷が付くだろう」
「それでも妃殿下は構わないと思っているのでしょう。ですが、代理で妃殿下の評判が落ちるとは思えません。そして、妃殿下の代理というのは、とても責が重いことを戒めることも出来ます」
「私はバリミューア島にトラス夫人と行くのか?」
「ええ、現状ではそうなります。そして妃殿下は何か余程の条件がないと、下げないと思います」
「また離縁か…」
殿下が行っても条件をのめないため、クリコットが代理を下げて貰えないかと話に行くことになった。
『あなたは王太子妃なの?(ノワンナ語)』
『いっ、いいえ(ノワンナ語)』
『では、意見するのはおかしいのではないかしら?(ノワンナ語)』
『ですが、国としても、災いです(ノワンナ語)』
『災い?何の話をしているの?(ノワンナ語』
『申し訳ございません、混乱でした(ノワンナ語)』
クリコットはノワンナ語を訳すことはあっても使う機会が最近なかったため、間違えてしまった。
『絶対に取り下げませんから、正当な権利でしょう?あなたはそれすら奪うというのですか?あと、この代理に関して、殿下と話をする気はありませんとお伝えください(ノワンナ語)』
なぜ、ノワンナ語だったのか、分からないままクリコットは戻るしかなかった。
その一方で、サリーはミーラ王子に会いに行くようになっており、殿下に会うことはないが、度々王太子宮にやって来ている。
「妃殿下、王子殿下は元気にお過ごしです」
「そうですか。ミーラ殿下、お健やかにお育ちくださいね」
毎回、抱き上げて、その重さを確かめるようにゆらゆらと揺らし、愛おしそうに微笑む。サリーの微笑みを見ることが出来るのは、ミーラ殿下だけとなっていた。
そして、グリズナー夫人の元へ交流会の招待状と案内が、サリーからよろしくお願いしますという文と共に送られた来た。夫にはまだ話せていない。
そもそも親しくもなければ、交流もない妃殿下から呼び出された時から、おかしいと思っていた。妃殿下は私の印象が良くないはずだ。王太子妃である以上、行かないという選択は出来なかった。
呼び出されたことは夫も知っている。
「何だったんだ?」
「詳しくは話せないのだけど、頼まれごとをしたの。でも私には難しいのではないかと思っているの」
「妃殿下の頼みを断るのか」
「出来ないことは出来ないでしょう?」
そう言いながら、自身の言ったことが全て返って来ているように感じていた。
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代理で行って評価を下げるのはお互い様なのに、王家は良しとするのか。
一体誰を頼ればいいのか分からなかった。夫に言えば、私がサリーに言ったことが暴かれてしまうだろう。実家は子爵家で意見するような力もない。友人と言っても、王太子妃殿下に相当するような相手もいない。
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