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第1章『恋心の宝石』
新しい依頼
しおりを挟むある街にいるある組織が依頼を承っていた。
迷い猫探しから、暗殺、組織の護衛といった依頼を何でもこなしてくれるというな組織。
『Jeweral』
便利屋を営む事務所の場所を知るものは殆どいないが、その名を知らない者は居ないほどの有名な組織だった。
……………………
…………
……
キャリアケースを両腕で抱えて、何かに追われる男が路地を走り抜ける。
服はボロボロに破け、銃弾を掠めた皮膚がヂリヂリと熱い。
血も沢山流れた、喉も乾いた、だからと言ってこの足を止めると奴に殺られてしまうかもしれない
男「はぁっ!はぁっ!な、なんでっ、っ!
なんでお前がっ!…仲間じゃないかっ!!」
少し静かになった気がする。目を凝らすと人影が見える。撃ってこないということは許して貰えたのだろうか…?
男「な、なぁ…俺、知らなかったんだよ…..。本当にすまなかった…。お前もあの人のことが…」
気を抜いたその時
ピチューンッ!!
男「がっ!!?あ、脚がっ!ク、ソっ!!」
いつの間にかこちらに銃口を向けていた。
被弾した太腿が燃えるように熱い。
許されたと思って油断してしまった…..
足音が近づいて来る、嫌だ、殺される、……
せめて、これをあの人の元まで送りたかった…
パンッ!!
乾いた音が路地に響くそして一人の男の命が散っていった。
キャリアケースを拾い上げた男が虫を見るような眼で死体を見下ろすと鼻で笑う。
男「最初っから渡しちまえば良かったのによォ。馬鹿な野郎だ…」
そして男は、くるりと踵を返し暗い夜道に消えていった。
………………
……
輝く朝日が窓から差し込み橙色の髪に反射する。
トントンと軽やかな音を立てながら朝食の準備をするフュールはどこか機嫌良さげだ。
リビングにはビルがスマホを弄っている。
ビル「なぁ、今日って俺なんか依頼あったっけか?」
フュール「うん?いや、ないよぉ」
スマホで依頼表を眺めるビルが独り言のように呟くとキッチンに立つフュールが上の方に視線を向けて予定を思い出しながら答える。
ビル「フュールは?」
フュール「今日はねぇ、なんにもなかった気がするよぉ?今のところはね~」
良かった、何も無いようならとコーヒーを一口啜ってから要件を伝える。
ちょっとした買い物だ、愛銃のメンテナンス用の綿棒とオイルが切れたとピルが言っていたから買い足しをしたかったのだ。
ビル「なら俺とちょっと付き合って」
フュール「ん~?どこ行くの?」
ビル「ザベド街に行きたくてさ」
フュール「あ~そっち方面ね。ジョサヒ街もその付近だったよね?なら僕も行こっかな」
ここから決して近いわけでは無いが、フュールの脳内には俺の行きたい場所がわかったのだろう。
ピル「おっはよー!!なになに?ビルゥ、俺を置いてどこに行こうとしているのかなぁ?」
ビル「おわっ!お、おはよー。」
唐突に現れた白い髪の双子の兄が後ろから飛びつかれ、多少驚いたがとりあえず挨拶を交わす。首を捻ってピルの方を向くと少し拗ねたように眉を寄せて頬をつついくる。
ピル「なんで相棒である俺を差し置いてフュールとザベド街に行くのかなぁ?」
うん。他人様に見せては行けない顔してるな。
別にピルを連れていかない理由はないから、誘ってみるか?でも、ピルの予定把握してないな…
ビル「後で誘うつもりだったよ。」
ピル「さっすがビル!俺の相棒~🎶」
パッと顔に笑顔が浮かび、目に見えて機嫌が良くなるピル。しかし、その笑顔はフュールの言葉によって瞬く間に拗ね顔に戻っていく。
フュール「待って、ピルは今日依頼あったでしょ?ちゃんと仕事してきて」
ピル「でもよぉ、俺の仕事場所ザベド街方面じゃなかったか?」
フュール「真反対だよ…。ほら、ビルから離れて席ついてて」
ピル「ちぇ…」
フュールに言われた通り大人しく席に着くピル、ピルの方が年上なのにこれじゃどっちが年上か分からない。
ジリリリリ…ッ!!
呆れ顔で朝食の準備を再開したフュール、しばらくすると、電話がかかってくる。新しい依頼のようだ。
フュール「あ、電話が…二人ともちょっと待っててね」
タオルで手を拭いて、パタパタとスリッパを鳴らしながら小走りで向かって電話をとる。
フュール「はい、もしもし『Jeweral』事務所です。御依頼ですかぁ?」
肩で電話を支えながらまだ濡れている部分をタオルで拭いている。
フュール「はい、…はい、、」
フュール「場所は…?、分かりました。2時間程でそちらに伺えますので暫くお待ちください。」
近くのメモ帳にサッとメモをとると電話を置いた
ピル「なんだって?」
ビル「仕事だよな?」
フュール「うん、せっかく僕今日休みだったのになぁ~」
少し残念そうな顔をして頬に手をついている。
フュールに仕事が入ったなら、俺とザベド街に行くのは難しくなったな。
ビル「場所はどこだ?」
フュール「ザベド街東区の13-2ビルの4階だってさ」
なんだ、目的地に近いじゃないか。それなら俺も一緒に行っても大丈夫だな。
ビル「!…そうか」
ピル「なぁ、俺もついていって…」
フュール「ダメ、」
被せながら拒否られて少し不貞腐れた顔してる。
36歳のオッサンがそんなことしてもイタイだけだ
フュール「ピル、そっちの仕事が終わってからなら、こっちに来ること考えてあげるから。
終わりしだい報告して。わかったぁ?」
ピル「……わかった…」
しぶしぶといった感じだ。どんだけ皆と行動したいんだよ…。
フュール「よしっと、じゃぁチャチャッとご飯食べちゃってお仕事済ませちゃお」
━━━━━━━━━━━━━━━
朝食を食べ終えて仕事着に着替える。皆も起きてきてそれぞれのやる事の準備をしているようだ。
1階にあるバーの当番、今日はアルとクラウドか…
ちょっと心配なメンツだがまぁ、今日は家にミランダもいるから大丈夫だろ。
脳裏に紅と紫の人物が過ぎるが、すぐに大丈夫だろうと判断し、未だ拗ね顔の相棒に声を掛ける。
ビル「俺らもう行くから、お前もそろそろ行けよ?」
ピル「わかっとる、すぐにビルのとこ行くからな!ちゃんと待っとけよ!」
ビシィッ!っと効果音が着きそうなほどの指差しが決まると着替えるために部屋に戻って行った。
それと行き違いになるようにフュールがやって来る。
フュール「お待たせぇ。それじゃぁ出発するよ」
ビル「おん」
裏の駐車場まで向かい俺が運転で車に乗り込む。
そういや、ザベド街の東区…西区か?
ビル「場所どこだったっけか?」
フュール「ザベド街東区の13-2ビルの4階だよぉ」
片道1時半ってとこか?
サッと携帯で地図を確認して発進する。
窓を開け涼しい空気が車内を循環している。今はもう秋だからちょうどいい気温が続いてくれてありがたい。仕事もしやすいしな。
さ、今日の依頼は一体どんなのなんだろうな…
━━━━━━━━━━━━━━━
目的地が近づき適当な場所に車を止める。
この辺りは治安がいいから街中に人がいっぱい居る。ピルはこういう雰囲気の場所が好きだからな、相当着いて来たかったに違いない。
少し歩くとなかなか立派な建物の前に着いた。
13-2ビル、ここに今回の依頼人が居るんだな。
ビル「ここか」
フュール「そうだよぉ。4階だって言ってたねぇ、時間もちょうどいいくらいだし。ササッと終わらせちゃお」
ドアノブを、回してすぐ右手にある階段を登っていく。立派な建物ではあるが、どこか表街にある感じではなくひっそりとした雰囲気があるのは気のせいだろうか?
フュールの後に続いていると、不意にある部屋の前で止まった。着いたようだな。
フュール「この部屋だよ」
フュールがコンコンッと軽くドアをノックすると中から返事が返ってきた。
「どうぞ」
フュール「お待たせしました。テキワさんでお間違いないですか?」
テキワ「はい」
テキワという男…華奢な身体に少し赤毛で癖のある短髪だ。不安そうな顔をしてそこに座ってる。
まぁ、180cmぐらいの大男が2人も部屋に来たら驚きもするか。
対面式のソファで真ん中に机が置いてあり、部屋の隅にはコーヒーメーカーがある。ひとつしかない窓から明かりが入ってて少し眩しい。
フュールがテキワの正面に座りメモを出すのを見届けて、俺はフュールの座ったソファの背もたれの上に腰を掛ける。
フュール「では、早速ですが本題の方に移させていただきまぁす。どういった御依頼ですかぁ?」
まったりとした口調で質問すると男はおずおずと話し出す。
テキワ「あ、あの。お願いしたいのは…ある宝石を取り返して欲しいんです。」
フュール「宝石…?」
テキワ「はい…。」
フュール「どのような見た目の宝石ですか?」
テキワ「薄いピンクで雫のような形をしています。光をかざすとハート型の光が反射されるので、分かると思います。」
フュール「分かりましたぁ。あと、“取り返して欲しい“と言ってましたが誰に取られたかは知っているのですか?」
カバンの中を漁り、1つの封筒を取り出した。
テキワ「確定は出来ませんが…僕はこの人たちの中の誰かだと予想してます…。」
テキワは4枚の写真を取り出して机の上に置く。
“少し大柄の柔らかい雰囲気のある者“
“眼鏡にヘアセットバッチリの堅そうな者“
“金髪で顔に刺青のあるチャラい者“
“筋肉質なガタイのいい者“
全員の共通点は男…他に何が…?
フュール「彼らの共通点などは分かりますか?」
俺が思ってたことがわかったみたいで代わりに聞いてくれた。流石、エスパーだなやっぱ。
テキワ「全員僕と同じ組織に所属している人達で、僕の知る限りではありますがその宝石の話をしたことがある人達です。
宝石の石言葉があるんですけど。なんでも、渡すとその相手と結ばれるとかなんとか…」
プロポーズみたいな感じにその宝石を渡すってことか、その宝石じゃないといけないのはなんだ?
フュール「なんかプロポーズみたいですね」
テキワ「そうなんです。相手が自分を嫌っていても渡すと恋が成立するんだと、友人が言っておりまして…」
フュール「友人…?その方はこと4人の中に居ますか?」
テキワ「いいえ、どこで手に入れたかは分からないですが、友人がその宝石を持っていて彼らに話しているのを見たことあるだけです。ですが、彼は昨晩…こ、殺されてしまって…。肌身離さずもっていたはずの宝石が無くなっていて…」
フュール「そうだったのですね。」
テキワ「僕は彼の想いを代わりに伝えてあげたいんです。彼はあなたのことが好きで、慕っていたのだと…、彼の存在を彼女に覚えて置いてほしくて…。」
手を強く握り締めてくやしそうな表情をしている。友人だと言っていたが親友に近い関係だったのだろう。その瞳には強い意志が感じられた。
フュール「分かりました、最善を尽くします。
また何かあったら連絡してくださぁい。こちらもわかり次第お知らせしますので」
テキワ「はい…よろしくお願いします。」
早めに終わったのではないかと思う。
建物から出て車に戻るとフュールが口を開く。
フュール「なんかぁ、悲しいね。せっかく思いを伝えようと意気込んでたら殺されるのって、しかも同じ組織の人間でしょ?」
ビル「まぁ、絶対そうだって訳では無いと思うから家に戻ってからまた調べるか」
フュール「うん、そうだねぇ」
ザベド街の銃の整備品店とジョサヒ街の商店での買い物を済ませ。アジトに戻る途中写真にいた4人の内の一人、“筋肉質なガタイのいい者“が丁度街中を歩いていた。
ビ、フ「「あ…」」
ほぼ同時に発見して車のブレーキを踏むと驚いた男は立ち止まった。
車を降りると男は逃げる準備でもするかのように後退りをしながら聞いてくる。
男「だ、誰だよ…アンタら、」
フュール「もぅ、"スピネル"が急に真横でブレーキ掛けるからあの人驚いちゃってるでしょぉ?」
ビル「悪ぃ、咄嗟に踏んじまった。」
仕事中に本名を言うのはNGだ。俺を"コードネーム"で呼びながら軽く注意してくる"サンストーン"。
特に悪びれる様子はなく、ほぼ棒読みで言うフュールにとりあえず謝罪して男の元まで歩く。
たまたま見つけたんだ。知りたい情報は沢山ある。まっすぐ家に帰りたいところだが、仕事だからな。
フュール「すいませぇん。僕達ちょっと調べたいことがあるんです。ある事件を追っていて、協力してくれませんかぁ?」
フュールは男と距離を詰めて軽い調子で話し掛ける。俺は車の近くで待っているが会話は聞こえる範囲だ。男が何かしてきても対処できるだろう。
男「……」
怪訝そうな表情をしているが、かまわず話を続けるフュール。
フュール「昨晩、貴方と同じ組織に所属している方が亡くなったそうですね。その方から何か噂話を耳にしませんでしたか?」
男「なんのことだ?ソイツからは結構色んな話を聞かされている。どれのことかわからんな」
フュール「宝石です。結構綺麗みたいですねぇ。見たことありますかぁ?」
男「あぁ、それか…。残念ながら俺は見たことがない。それに想いを伝える相手も居なくてな。」
宝石と聴いてから何故か口を開いてくれた。
隠す必要も無いからだろうからその方がこちらもありがたいが。
フュール「そうですか。貴方は見たことがないというのは見たことかある人がいたってことですか?」
男「本人が言ってたんだよ。“友達に見せたら欲しがられた、お前も欲しがるだろうから見せない“ってな。誰に見せたかは知らねぇ」
フュール「なるほど。お時間頂きありがとうございました。」
挨拶は済ませたが何やらじっと男を見つめるフュールにたじろぐ。
フュール「……」
男「な、なんだよ…」
フュール「いえ、それではまた…」
ニコッと笑うとそのまま踵を返して戻ってくる。
ビル「どうしたんだ?」
フュール「いやねぇ、嘘言ってないかちょっと眼を見てただけだよぉ」
ビル「それで、どうだった」
フュール「嘘は言ってなさそうだねぇ。宝石って聴いても動揺しなかったし、」
ビル「じゃぁ、アイツの可能性は低いのか…」
フュール「かもねぇ」
車に乗り込み、家に帰るため発進する。助っ席に座っているフュールは何やら携帯調べものをしてるみたいだ。
もう少しで家に着く、しばらく静かになっていたからか突然大きなフュールの声に必要以上に驚いてしまった。
フュール「あぁっ!!!」
ビル「うぉおっ、!なに?!」
フュール「卵買ってない!!」
ビル「そんなことかよ!」
思わず突っ込んでしまった…。
なんでさっき買って来なかったんだよ。
卵安く売ってたトコあっただろ。今日ぐらい卵無くたって…
フュール「そんなことってなに、もう!今日の夕飯オムライスにしようと思ってたのにぃ!」
なに?オムライスだと?それは食べたい。スプーンを差し込むとトロリとしたフワフワの卵と程よく胡椒の効いたケチャップライスが絡み合っててすげぇ美味いんだよなぁ
ビル「近くの市場どこだっけ。」
フュール「わぁ、ビル切り替え早いねぇ」
家から一番近い、いつもの食品店に方向転換して車を走らせた。
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