戦士と腕輪

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第5章 新たなる旅路

第46話 2人旅

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戦士と腕輪 第46話 2人旅

 少年とシスターは大都市を出発したのち、周辺の村や街を旅しながら、クエストをこなしていた。魔王を征伐した少年であったが、代償として聖女をシスターに転職させたことで教会の大いなる怒りを買い、大都市から追い出される形で出て行っていた。

「よーし。今日もモンスターを退治して、クエストをこなしていくぞ。」

「わ、私も微力ながらサポートします。」

少年は近くの街の斡旋所でモンスター退治のクエストを受注すると意気揚々と
モンスター退治に森へ向かうのであった。同行しているシスターも少年を
サポートすべくがんばるのであるが、シスターには致命的な課題があった。
シスターは職変の腕輪の力で聖女からただのシスターに変わっており、しかも初級レベルの能力しかなかった。事実上、モンスター退治は少年1人で行っており、シスターは回復魔法をかけるくらいであった。

「とどめだ。とりゃー。」

「ウケ。グフ。」

少年は森の中でゴブリンにとどめを刺すと、ゴブリンは息絶えるのであった。
シスターは戦闘が終わるとすぐに後方から少年のそばに駆け寄るのであった。

「大丈夫ですか?すぐに回復魔法をかけます。」

「あっ。まだ、大きなダメージは受けてないので大丈夫ですよ。回復魔法は
あとに取っておいてください。まだ、戦闘は続きそうなので。」

シスターは少年の役に立とうと必死であるが、やはり空回り気味であった。少年はまだ大したダメージを受けていなかったので、回復は後回しにするのであった。そんなやり取りすると、すぐに次のモンスターが出てきた。

「ウケ。ウケ。」

「私も何かお役に立ちたいので手伝わせてください。キャ。」

シスターも意気込みはあり、少年の役に立とうと戦闘に参加しようとするが、初級レベルなので戦闘ではほぼ役に立てず、こうやって、モンスターと対峙しても悲鳴を上げるだけであった。

「あっ。もう、次のゴブリンが現れたか。とりあえず、俺1人でなんとかなりそうなので、後ろに下がっていてください。まとまって来ないから、だいぶ楽
だな。とりゃー。」

次に現れたゴブリンと対峙した少年は悠々と黒鉄剣を振るっていくのであった。少年の強さは魔王征伐後も徐々に増しており、ゴブリン1匹では少年から余裕すら感じさせるのであった。少年の強さが際立っているため、シスターが戦闘に参加できなくても大きな問題ではなかった。

「ウケ。グフ。」

「よし。これで最後かな。あっ。そういえば、これで10匹目のモンスターを倒したことになるのかな。」

少年は悠々と黒鉄剣を振るい、ゴブリンを倒しまくっていたが、気がつくと10匹目のモンスターを倒してしまっていた。シスターも少年の問いに答えるように少し顔を赤らめながらつぶやいた。

「は。はい。今のでちょうど10匹目です。あれが起こりますね。」

少年は10匹目のモンスターを倒しきるのであった。すると、少年の剣士の腕輪に埋め込まれた赤い宝石がピカッと光り、10匹目のモンスターが倒されたことが示されるのであった。少年は光る剣士の腕輪を見ていると光がさらに強くなり、少年の周りが赤い宝石の光で包まれてしまうのであった。

「き、来たぞ。あれが起こっちゃうぞ。」

なんと、少年の体は赤い宝石の光の中で変化を始めるのであった。まずはゴツゴツしていた手が白く細いものへと変化し始めた。そして、脚も細くスラリとしたものに変化していくのであった。さらに変化は進み、肌は白くきめ細かに、腕や脚も伸び始めていくのであった。

「あ、なんだ。体が変わっていっているような気がするぞ。」

少年の体の変化はこれにとどまらず、胴体にも及び始めた。胸の筋肉質な
部分が徐々に柔らかくなると胸が少しずつ膨らみ始めるのであった。
初めは少し隆起する程度あったが服を押し上げていき、みるみるうちに胸が
どんどんと膨らみメロンくらいのサイズにまで膨らみ、ピンク色の乳首や
乳輪が形成されていくのであった。これとは逆に腰の部分はキュッと
くびれて見事なくびれが形成されるのであった。

「む、胸が膨らんでるよ。はあん。」

少年は胸の膨らみの影響で思わず、声を発してしまうのであったが、この声がまるで女性のような高い声に変わってしまっていた。胸の膨らみに呼応するように太ももはムチっと適度に膨らみ、お尻も膨らみ始めて、大きな美尻が
形成されるのであった。

「あん、俺。なんて声を出しているんだ。それになんか、太ももやお尻も
大きくなってるよ。」

体の変化は顔にもおよび、顔の形が卵型の形になると、少年の目は切れ長に
なり、まつ毛も伸びていき、唇もプクッと膨らんでいくのであった。最後に
髪の毛が伸びていくと背中まで達して少しウェーブのかかったピンク色の
髪になるのであった。
少年の体は23歳くらいのセクシーな大人の女性に変貌を遂げるのであった。変化はこれにとどまらずに服にもおよび、少年の服はGカップの巨乳を包むように白色のチューブトップに、ズボンは白色のミニのタイトなスカートになると白色のマントとロングブーツが装着されていった。最後に顔に化粧が
施されていき、ファンデーションが塗られるとアイシャドウと赤い口紅が
塗られていった。

「はあ。はあ。変化が収まったみたいね。」

剣士の腕輪の赤い宝石の光が収まると少年の立っていた場所には
23歳くらいのセクシーな巨乳魔女がたたずんでいたのであった。巨乳魔女は
ある準備を始めていた。

「黒鉄剣が魔法の杖に変わっているわ。じゃあ、あとはこれに着替えてっと。」

巨乳魔女は少年が持ってきていたチェインビスチェを身につけるのであった。変貌を終えた巨乳魔女はシスターの前に立つのであった。
変身する姿を傍らで見ていたシスターは顔を赤らめながら巨乳美女を見つめるのであった。少年との旅で何度か目にする光景であったが、あまりの光景に、女性であるシスターでも良からぬ感情を抱かずにはいられなかった。

「あ、あの。モンスターも退治できたようなので、回復魔法をかけましょう。」

「ええ。そうね。いつものように回復してね。」

そう言うと、巨乳魔女はシスターの回復魔法を受けるのであった。回復魔法をかけている間、シスターは少し緊張した面持ちでいるのであった。自分よりも年上と思われる巨乳魔女のそばにいるとシスターは少し緊張やあこがれを抱いてしまうようであった。

「あの。終わりました。もう、お怪我は治っているはずです。」

「ありがとう。いつも回復してくれて、助かるわ。」

「そ、そんなことはないです。私の方こそ、戦闘ではほとんどお役に
立ててないので、これくらいはがんばらないと。」

シスターは回復魔法をかけ終わると巨乳魔女の感謝にも関わらず、戦闘の役に立ててない自分を謙遜するように答えるのであった。ここ最近、このようなやり取りがクエスト後に行われていた。2人旅であったが、クエストをこなすときは、実質、少年が1人で戦うようになっていた。シスターも戦闘にはほとんど参加できず、回復魔法のレベルは少し上昇したが、戦闘系の技や補助魔法は使えないでいた。元々、シスターの職業では戦闘系の技や魔法をほぼ扱えないのであったが、シスターの性格もあってか、回復魔法のみになっていた。
 数時間後、巨乳魔女は少年の姿に戻り、2人は近くの街に戻って、斡旋所でクエストの報告をすると、報酬を受け取って、夕食をとるのであった。

「はあ。今日もいい戦闘ができたな。最初の頃は2人でやっていけるか。心配だったけどなんとかなりそうですね。」

「はい。おかげさまで、私も最初のころは戦闘が怖くて仕方なかったですけど、
最近はだいぶ慣れてきました。まだ回復魔法しか使えませんけど、次からは戦闘でも役に立つようにがんばります。」

少年が今日のクエストの総括をすると、シスターもこれからがんばっていくと述べるのであった。

「でも、私の職業では回復魔法が主な魔法なので、今のままではお役に立てないかも、戦闘用の技や補助魔法が習得できればいいのですが、教会でも戦闘を想定した修行はほとんどやっていなくて、どこかに戦闘に長けた立派なシスターがいらっしゃればいいのですが。」

シスターの言うとおり、修行をすれば簡単に済むのだが、クエストをこなす者たちの中にシスターの職業はほぼ皆無であり、教会にほとんど所属している状態であった。当然、戦闘経験のある教会の関係者はごくわずかとなり、修行を受けようとするのは非常に困難であった。少年とシスターの喫緊の課題はシスターの戦闘参加であった。

「あっ。そうだ。明日、街の武器屋に行ってみませんか。剣や弓は無理でも扱いが簡単な武器であれば、戦闘で使えるかもしれませんよ。」

「そうですね。私にも扱えそうな武器でもあれば、お役に立てると思います。」

2人は食事を済ませると、宿屋に戻り、部屋のベットでゆっくりと休むので
あった。翌日、2人は朝食をとった後、街の武器屋を訪れるのであった。

「こんにちわ。」

「いらっしゃい。何かお探しですか?」

少年があいさつをすると、武器屋の店主が2人を出迎えてくれるのであった。
少年はシスターのために武器を探すべく、早速、話を切り出し始めた。

「実はこの女性用に武器を探しているのですが、戦闘に長けた職業ではないので、そんな人でも使える武器があれば、買いたいのですが。」

「ああ、なるほど、この女性の職業は身なりからして、教会の方ですかね。
確かに教会の方が武器を持たれるのは珍しいですね。そうなるとこちらに
来てください。」

武器屋の店主に案内されて、2人は店の奥へと進むのであった。店の奥にはいろいろな種類の武器が置かれていたが、2人が案内されたのはナイフなどの軽量な武器が置かれていた場所であった。

「戦闘に不向きな方の武器というとナイフや軽い棍棒ですかね。あとは弩弓とかはどうでしょう?」

「ナ、ナイフですか。私は刃物は苦手でケガをしそうで怖いです。」

「では、こちらの細めの棍棒とかは、戦闘に不慣れな商人の方も護身用に
買われますよ。」

「やっぱり、これで叩くのですよね。相手に接近して戦うのはまだダメそうなので、離れていても攻撃できる武器の方がいいですね。」

武器屋の店主はナイフや棍棒を紹介するが、シスターは近接戦闘武器が苦手そうであり、遠距離戦闘の武器を希望するのであった。武器屋の店主はさらに商品を紹介していくのであった。

「では、この投石紐はどうですか?これなら誰でも使えますよ。石も落ちているものであれば使えますし。お安くしておきますよ。」

「あっ。これなら私でも扱えそうですね。少し訓練すれば、明日からでも実戦で使用できそうです。こちらを1つください。」

「ありがとうございます。値段は銀貨1枚になります。念のため、予備の紐もつけておきます。では、店の裏で投石紐の使い方を教えますよ。」

シスターは武器屋の店主が紹介した投石紐を気にいると、すぐに購入するのであった。シスターは武器屋の店主に案内されて店の裏に行くのであった。

「よかったー。これで俺1人で戦わなくて済むから、戦闘の幅も広がるぞ。
それに彼女の自信にもつながるだろう。」

少年もシスターにあった武器が見つかった一安心するのであった。30分程度すると店の裏から戻ってきたシスターは笑顔で少年に声をかけてきた。

「この投石紐は私にピッタリの道具です。使い方もわかりましたし、明日から
早速使えそうですよ。」

シスターは武器屋の店主から教わった投石紐の使い方を習得したようで上機嫌でいた。その後を歩いて、武器屋の店主が現れた。

「すごく飲み込みの早い方ですね。少し教えただけで、私よりも上手になられましたよ。戦闘でも十分に後方から援護攻撃ができますよ。ははは。」

武器屋の店主もシスターの飲み込みの早さに驚いていたようであった。少年とシスターは店主にお礼をして、武器屋をあとにすると宿屋へ戻るのであった。
翌日、少年とシスターは投石紐の実戦訓練も兼ねて昨日の森へと入っていた。

「よし。じゃあ。早速、モンスターを見つけて、昨日買った投石紐の威力を確認していきましょう。」

「はい。わかりました。では、手頃な石を探しますね。」

少年に促されると、シスターは投石用の石を探し始めて、いくつかの小石を拾っていくのであった。その間に少年は訓練用のモンスターを探していくのであった。しばらくすると少年はモンスターを見つけたようであった。

「ウケ。ウケ。」

「あっ。あれはゴブリンかな。昨日のゴブリンたちの残党かな。よし、じゃあ。投石紐の実戦訓練はあのゴブリンでやるか。」

少年は1匹のゴブリンを見つけると、静かにシスターの所に戻って、ゴブリンの近くに案内するのであった。

「静かに来てください。あそこにゴブリンがいますので、投石紐で攻撃して
みてください。」

「わかりました。少し離れていてください。それでは石を包んで。」

少年に指示されて、シスターはゴブリンを攻撃すべく、小石を投石紐に包むと
紐の両端を持って、振り回していくのであった。

「ブン。ブン。ブン。ヒューン。」

シスターは投石紐を勢いよく何度も回すと紐の片端を離して、小石を
ゴブリンに目掛けて投げるのであった。小石はすごいスピードでゴブリンの
方向へ向かうとゴブリンの額に当たるのであった。

「ヒューン。グサ。」

「ウケ。グフ。」

投石された小石はゴブリンの額に突き刺さる勢いで当たると、ゴブリンは
その場で倒れてしまうのであった。少年はあまりの光景に驚いて、倒れたゴブリンの元に駆け寄るのであった。

「す、すごい。当たりどころが悪かったとは言え、たった一撃でゴブリンを仕留めるなんて、初めてなのにすごすぎますよ。」

「やりました。初めての投石でモンスターを倒せるなんて、これで投石紐を使えば、自信を持ってモンスターとの戦闘に参加できます。これからはあなたを後ろから攻撃と回復の両方でサポートしていきます。」

少年はシスターの投石紐の威力を知ると、驚きと喜びに浸るのであった。シスターも初めての攻撃でモンスターを仕留められたので大変喜び、これからの戦闘に自信を持つのであった。

「しかし、投石紐で投石しても、モンスターを牽制するか少しダメージをあたえる程度だと思っていたのに、まさか倒せるなんて、次からは誤って当たらないようにしないとな。俺もやられてしまうかも。」

「ふふ。そうですね。あなたに当たらないようにしっかりとモンスターに
向けて投石しますね。」

これからの戦闘で後ろから投石が飛んでくるイメージが少年の脳裏を
よぎり、少年は冗談混じりでシスターに当てないように頼むのであった。シスターも笑みを浮かべて、少年に向けて投石しないように言うのであった。
こうして、シスターは回復魔法に加えて新たに投石も会得するのであった。
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