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第4章 魔王軍との戦い
第35話 成果
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戦士と腕輪 第35話 成果
少年たちがおかしな塔へ修行に来て1週間程度が経過した。2、3日に1日は変身した姿で
訓練を行いながら、日々、修行に明け暮れていた。少年たちは程度の差はあれ、各々の
能力を向上させていた。
「僕はちょっぴりだけど魔法の能力が成長したみたいだよ。やっぱり、あの秘薬は効いて
いるんだね。」
「本当ですか。それはよかったですね。俺も戦闘訓練をしながら、新しい剣技を日々試して
いますよ。」
「俺はここのところ戦闘訓練をしているが、少し向上しているかもしれないが、あまり
成長を実感できないな。新しい弓技も考えないとな。はあー。」
程度差はあれ、3人は各々の能力の成長を感じているのであった。数日後、塔の主が3人の
修行の進捗具合を確認して行くのであった。塔の主が最初に見に来たのは魔法使いの
ところであった。
「どうじゃ。修行の方はうまくいっておるかの。」
「先生。今、新しい魔法の練習をしていたところです。見て行かれますか?」
「うむ。では、放ってみなさい。」
塔の主に言われて、魔法使いは習得中の新しい魔法を発動するのであった。
「ドッカーン。しまった。暴発してしまった。」
「ゲホ。ゲホ。まだまだ、詰めが甘いの。もう少し、練習が必要じゃな。ただ魔法の
能力自体は少し向上しておるようじゃな。がんばるのじゃ。」
魔法使いの新しい魔法は暴発してしまい、見せ場が全くなかったが、修行の成果は出て
きているようで、塔の主も魔法使いを誉めるのであった。次に塔の主が向かったのは
弓使いのところであった。
「どうじゃな。修行は進んでおるかの。」
「あんたか。うーん。やはり、いくら練習しても、狙撃だけはあまり向上してないな。
矢をより高速にたくさん放ったり、力が上がったから強烈な一撃を放ったりはできる
ようになったんだが、狙撃の能力が下手では全然ダメだな。」
「ほう。では、わしの前で放ってみなさい。」
弓使いは塔の主に言われるがまま、弓を構えると矢を的に放ってみるのであった。
「シュパーン。シュパーン。シュパーン。こんな感じだが、どうだ。」
「今度はあっちの的に放ってみなさい。」
塔の主は弓使いの矢の放ち方を確認していくのであった。塔の主は弓使いの弓矢の
使い方をひと通り確認し終えると何かを考え込んだ後に訓練を続けるようにと言って、
部屋をあとにするのであった。最後に塔の主が向かったのは、少年のところであった。
「あ。修行の様子を見に来られたんですね。俺の新しい剣技を披露させてください。」
「その意気込みじゃと、力や俊敏性も訓練やゴーレムとの戦闘で向上しているよう
じゃな。よかろう。見せてみるがよい。」
塔の主は少年に修行の成果が現れ出しているとみるとさっそく少年の新しい剣技を見て
みるのであった。
「グシャーン。どうですか。まだ、あともうちょっと訓練が必要ですが、かなりものに
なってきていると思います。」
「ほっ。ほっ。ほっ。若いものの成長はいつ見ても驚かされるの。よかろう。お前たちの
修行はそろそろ切り上げじゃ。」
塔の主は少年の新しい剣技を見ると少年の成長を肌で感じて、修行の終わりを告げるので
あった。塔の主は少年と弓使いと魔法使いをおかしな塔の中で一番広い訓練用の部屋へ
呼ぶのであった。
「皆、ここでよく修行を積んでくれたな。程度差はあれ、お前たちの成長を見れたことを
誇りに思うぞ。しかし、修行はまだ全てが終わってはおらん。これから最終試練を
課すぞ。」
「えっ。最終試練て、何が課されるんですか?」
「まずは、ゴーレムとお主たちが戦ってもらう。それに勝てば、このおかしな塔の
最終試練の最後の相手となる塔の守護神と戦ってもらうぞ。」
塔の主は少年たちに最終試練を課し、ゴーレムとそのあとに出てくる塔の守護神との戦いに
勝利すれば、修行が終了すると伝えるのであった。少年たちは戦いの準備を整えると
最終試練に臨むのであった。
「3人でいっしょに戦えるんですね。ひさしぶりだな。互いの修行の成果も見れるので
楽しみですよ。」
「ああ。俺も弓の修行の成果が発揮できそうだな。」
「僕も新しい魔法をお披露目できるから楽しみだよ。」
「ゴー。ゴー。ブン。」
少年たちはひさしぶりにいっしょに戦えるので喜んでいたが、喜びも束の間に、ゴーレムが
いきなり攻撃してきた。少年たちが3人ということでゴーレムの数も3体であった。
しかも、ゴーレムの動きがさらに俊敏になっているように見えた。
「カキン。は、早い。訓練のときより1段階早くなっているような。」
「そうじゃ。最終試練じゃから、ゴーレムのリミットは外れておる。全力で襲って
くるぞ。」
「ゴー。ゴー。シュン。ブン。ブン。」
「ふん。この程度のスピードアップなら対応可能だ。シュパーン。」
「ゴー。ゴー。ブン。ブン。」
「カキン。僕もいつもゴーレムに叩かれていたから、防御くらいはできるさ。」
少年たちは襲ってくるゴーレムの木剣による攻撃を受け止めたり、かわして弓で反撃したり
していた。しかし、ゴーレムが今までより強くなっており、押され気味であった。
「この後も塔の守護神との戦いがあるから、新しい剣技で一気に決めてやるぞ。」
少年はゴーレムとの戦いを終わらせるために木剣を構えて、力を溜め込む姿勢をとると
ダッシュしてゴーレムに迫るのであった。
「うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
少年の新しい剣技であるクラッシュは走ることによる勢いと力をためて振るう斬撃が
合わさっており、ゴーレムに強烈な斬撃ダメージを与えた。ゴーレムは機能を停止して
その場で止まってしまうのであった。
「よし。うまく決まったぞ。今のが俺の新しい剣技であるクラッシュです。」
「やるな。ならば、俺も新しい弓技を見せよう。」
弓使いはバックステップで後ろに飛ぶとゴーレムとの距離を取り、弓の弦を強く大きく
引くのであった。ゴーレムも好きにさせまいと弓使いに攻撃を仕掛けるが、弓使いは
軽やかに避けるのであった。弓使いはさらに弓の弦を引くと今度はねじりを加えるので
あった。
「これが新しい弓技だ。強矢改。ブシャーン。グルグルグル。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
弓使いの新しい弓技である強矢改は強矢の強烈な貫通攻撃にさらに回転を加えており
貫通性が増していた。ゴーレムも木剣で受け止めようとしたが、矢は木剣を貫き、
硬いゴーレムの胸の奥深くまで突き刺さっており、ゴーレムは機能停止してしまって
いた。残るは魔法使いのみであった。
「最後は僕だね。大いなる烈風よ。我が前の敵を切り裂け。ブシュ。ブシュ。
ブシューン。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
魔法使いは強力な風魔法を発動させると強烈な風や多数の真空の刃を発生させ、最後に
大きな真空の刃を発生させてゴーレムに放つのであった。ゴーレムの体は真空の刃で
切り裂かれ、最後に大きな真空の刃をくらって、木剣が切断され、ゴーレムの硬い体にも
深く大きな切創痕が刻まれるのであった。
「ほほう。3人とも素晴らしい技を披露してくれたの。修行の成果が現れておるな。では
塔の守護神と戦ってもらうかの。出てこい。」
「フゴー。ブシュー。」
塔の主は少年たちの修行の成果を確認すると最終試練の最後の相手となる塔の守護神を
呼び出すのであった。塔の守護神はゴーレムの強化版であり、ゴーレムより2回り大き
かった。
「で、でかいな。強そうだ。」
「ほう。最終試練にふさわしい相手だな。」
「相手に不足なしと言ったところだね。3人でならいけそうだね。」
「フゴー。シュン。シュン。ドガン。」
3人は塔の守護神を見て、なんとか勝てると期待したが、その直後、塔の守護神が
高速で移動してきて、その大きな拳で殴りかかって来るのであった。3人はなんとか
避けたが、空を切った塔の守護神の拳が床に突き刺さっているのであった。
「は、早い。それになんて攻撃力だ。あぶなかった。あんなの木剣で受けてたら、
確実にやられていたな。」
「やばい。何か仕掛けてくるぞ。」
「フゴー。キン。ズシャーン。」
塔の守護神は突き刺さった拳を抜く前に少年たちの方を見ると目を光らせて、目から
強烈な光線を発射するのであった。弓使いが声をかけてくれたおかげで少年と魔法使いは
とっさに回避できた。光線は奥の壁をなぞるようにあたり、深い溝が彫られており、
焼け焦げていた。光線を出し終えた塔の守護神は拳を床から引き抜いて、少年たちの方へ
歩いて行くのであった。
「や、やばすぎる。攻撃力もすごいのに目から光線を出すなんて、反則だ。やられる。
こうなったら、新しい剣技で仕留めてやる。うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ガキン。フゴー。フゴー。ブン。」
「何。受け止められた。」
少年は塔の守護神の強さに焦りを感じて、新しく覚えた剣技のクラッシュを発動させて、
強烈な斬撃を塔の守護神にくらわせるのであった。しかし、塔の守護神は両腕で少年の
斬撃を受け止めると態勢を崩しつつも、踏ん張るのであった。すかさず、魔法使いが
炎の魔法を放つのであった。
「そいつから離れてくれ。炎よ。とおー。ヴォー。」
「フゴー。炎。発動。ヴォー。」
なんと、塔の守護神は斬撃を受け止めていた片方の手を魔法使いの方へ向けて、炎の魔法を
発動させて大きな火炎を放つと魔法使いの放った大きな火炎と相殺させるのであった。
「ま、魔法も発動できるなんて、すごすぎるよ。僕の魔法が相殺されちゃったよ。」
「このままでは、塔の守護神にやられてしまいます。何か方法は?」
「おそらく、俺の新しい弓技も受け止められてしまうだろう。魔王のときにやってみた
3人一斉に攻撃するのはどうだ。」
「ほほう。一斉では塔の守護神はやれんぞ。同時にお主たちの新しい技で攻撃せねば
止まってくれんぞ。」
少年たちは塔の守護神の強さに圧倒されるが、前にやったことのある一斉攻撃を考えるので
あったが、一斉では不十分であり、同時に攻撃しなければいけないと塔の主は言い放つので
あった。しかも、新しい技による同時攻撃であった。
「フゴー。シュン。ブン。ブン。」
「くそー。強い。やるなら、早くやりましょう。このままでは持ちませんよ。」
「ならば、俺の新しい弓技と新しい魔法を先に放つから、お前の新しい剣技を
それらに合わせて、塔の守護神にぶつけてくれ。」
「わかりました。」
「わかったよ。任せて。」
塔の守護神の激しい攻撃をなんとか回避しながら、3人は新しい技を同時に発動しようと
するのであった。弓使いは弓の弦を強く大きく引くと、さらに弓の弦を引いて今度は
ねじりを加えるのであった。
「くらえ。強矢改。ブシャーン。グルグルグル。」
「いくよ。大いなる烈風よ。我が前の敵を切り裂け。ブシュ。ブシュ。ブシューン。」
弓使いと魔法使いがそれぞれ新しい技を発動させると、少年も木剣を構えて、力を溜め込む姿勢をとるとダッシュしてゴーレムに迫るのであった。
「うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ボ、ボ、ボカーン。フゴー。フゴー。ガ、ガ、ガクン。」
3人同時の新しい技が塔の守護神に炸裂すると大きな衝撃が走り、少年は後方に飛ば
されるのであった。当然、塔の守護神はあまりの衝撃に硬い体がボロボロになり、
機能停止するのであった。
「はあ。はあ。すごい衝撃だ。3人同時に技を発動させるとここまでのダメージを
与えられるんだな。もう合体技みたいだな。」
「大丈夫か。しかし、塔の守護神は倒せたようだな。」
「やったね。僕たちはこれで最終試練を達成できたよね。」
「見事じゃ。塔の守護神を機能停止に追い込むとは大したものじゃ。お主たちのここでの
修行は終了じゃ。よくがんばった。」
塔の主が塔の守護神が倒されたことを確認すると少年たちの修行の終了を宣言し、
3人の苦労を労うのであった。3人は最終試練を終えると疲れたようで、その日は修行の
終了を祝って、塔の主から豪華な料理を振る舞われて、体を休めるのであった。
次の日の朝、少年たちは旅の支度をしておかしな塔の入り口の扉の前で塔の主にあいさつを
していた。
「お世話になりました。ここでの修行でだいぶ強くなれた気がします。新しい剣技も
覚えられたので、これで魔王と戦えそうな気がします。」
「ほっ。ほっ。ほっ。慢心せずに、修行自体は続けるようにな。あと、お主、狙撃の
能力はあまり上達していないようじゃったの。」
「ああ。そうなんだ。まあ。気長にやっていくさ。」
「では。これを付けてみなさい。ほれ。」
塔の主は狙撃の能力が上達していなかった弓使いにあるものを授けるのであった。
あるものとはガラスのついたゴーグルであった。弓使いは受け取るとわけがわからず、混乱するのであった。
「これはなんだ。ゴーグルのようだが、これをつけろと。」
「そうじゃ。お主の狙撃の能力の悪さはおそらく視力じゃろう。そのゴーグルは眼鏡と
同じなのじゃ。眼鏡と違って頑丈に作ってある。そのゴーグルを使えば遠くのものも
見やすくなるじゃろう。」
「俺はそんなに視力は悪い気が。あれ、つけたら、遠くのものがよりしっかりと見えて、
試しに訓練用の弓で打ってみるぞ。シュパーン。シュパーン。」
弓使いはゴーグルをつけた状態で訓練用の弓で矢を放つと的の中心にどんどんと当てて
いくのであった。
「す、すごい。このゴーグルをつけていれば、狙撃の能力が高いままだぞ。やった、
ゴン。」
弓使いはゴーグルをつけて視力を補正していれば、狙撃の能力が高いまま維持できると
わかり大変喜ぶのであったが、ゴーグルをつけており、慣れない視野に近くの少年に
ぶつかってしまうのであった。
「このゴーグルは使えそうだが、慣れないと実戦や生活にも苦労しそうだな。」
「まあ、いきなり改善するわけではないからのう。そのゴーグルに少しずつ慣れて
いきなさい。そのうち、そのゴーグルをつけて実戦でも戦えるようになるじゃろう。」
「わかった。塔の主よ。本当に助かった。心から感謝する。」
塔の主からゴーグルに少しずつ慣れていくようにと言われた弓使いは塔の主に心から感謝を
するのであった。少年たちは塔の主にあいさつをしておかしな塔を出発するのであった。
「本当にありがとうございました。必ず、魔王を倒してきます。」
「まあ。がんばりなさい。無理はしないようにな。」
少年と弓使いと魔法使いはおかしな塔をあとにして再び大都市へと歩いていくのであった。
3人の背中は以前よりたくましく見えており、修行の成果が少し垣間見えるのであった。
少年たちがおかしな塔へ修行に来て1週間程度が経過した。2、3日に1日は変身した姿で
訓練を行いながら、日々、修行に明け暮れていた。少年たちは程度の差はあれ、各々の
能力を向上させていた。
「僕はちょっぴりだけど魔法の能力が成長したみたいだよ。やっぱり、あの秘薬は効いて
いるんだね。」
「本当ですか。それはよかったですね。俺も戦闘訓練をしながら、新しい剣技を日々試して
いますよ。」
「俺はここのところ戦闘訓練をしているが、少し向上しているかもしれないが、あまり
成長を実感できないな。新しい弓技も考えないとな。はあー。」
程度差はあれ、3人は各々の能力の成長を感じているのであった。数日後、塔の主が3人の
修行の進捗具合を確認して行くのであった。塔の主が最初に見に来たのは魔法使いの
ところであった。
「どうじゃ。修行の方はうまくいっておるかの。」
「先生。今、新しい魔法の練習をしていたところです。見て行かれますか?」
「うむ。では、放ってみなさい。」
塔の主に言われて、魔法使いは習得中の新しい魔法を発動するのであった。
「ドッカーン。しまった。暴発してしまった。」
「ゲホ。ゲホ。まだまだ、詰めが甘いの。もう少し、練習が必要じゃな。ただ魔法の
能力自体は少し向上しておるようじゃな。がんばるのじゃ。」
魔法使いの新しい魔法は暴発してしまい、見せ場が全くなかったが、修行の成果は出て
きているようで、塔の主も魔法使いを誉めるのであった。次に塔の主が向かったのは
弓使いのところであった。
「どうじゃな。修行は進んでおるかの。」
「あんたか。うーん。やはり、いくら練習しても、狙撃だけはあまり向上してないな。
矢をより高速にたくさん放ったり、力が上がったから強烈な一撃を放ったりはできる
ようになったんだが、狙撃の能力が下手では全然ダメだな。」
「ほう。では、わしの前で放ってみなさい。」
弓使いは塔の主に言われるがまま、弓を構えると矢を的に放ってみるのであった。
「シュパーン。シュパーン。シュパーン。こんな感じだが、どうだ。」
「今度はあっちの的に放ってみなさい。」
塔の主は弓使いの矢の放ち方を確認していくのであった。塔の主は弓使いの弓矢の
使い方をひと通り確認し終えると何かを考え込んだ後に訓練を続けるようにと言って、
部屋をあとにするのであった。最後に塔の主が向かったのは、少年のところであった。
「あ。修行の様子を見に来られたんですね。俺の新しい剣技を披露させてください。」
「その意気込みじゃと、力や俊敏性も訓練やゴーレムとの戦闘で向上しているよう
じゃな。よかろう。見せてみるがよい。」
塔の主は少年に修行の成果が現れ出しているとみるとさっそく少年の新しい剣技を見て
みるのであった。
「グシャーン。どうですか。まだ、あともうちょっと訓練が必要ですが、かなりものに
なってきていると思います。」
「ほっ。ほっ。ほっ。若いものの成長はいつ見ても驚かされるの。よかろう。お前たちの
修行はそろそろ切り上げじゃ。」
塔の主は少年の新しい剣技を見ると少年の成長を肌で感じて、修行の終わりを告げるので
あった。塔の主は少年と弓使いと魔法使いをおかしな塔の中で一番広い訓練用の部屋へ
呼ぶのであった。
「皆、ここでよく修行を積んでくれたな。程度差はあれ、お前たちの成長を見れたことを
誇りに思うぞ。しかし、修行はまだ全てが終わってはおらん。これから最終試練を
課すぞ。」
「えっ。最終試練て、何が課されるんですか?」
「まずは、ゴーレムとお主たちが戦ってもらう。それに勝てば、このおかしな塔の
最終試練の最後の相手となる塔の守護神と戦ってもらうぞ。」
塔の主は少年たちに最終試練を課し、ゴーレムとそのあとに出てくる塔の守護神との戦いに
勝利すれば、修行が終了すると伝えるのであった。少年たちは戦いの準備を整えると
最終試練に臨むのであった。
「3人でいっしょに戦えるんですね。ひさしぶりだな。互いの修行の成果も見れるので
楽しみですよ。」
「ああ。俺も弓の修行の成果が発揮できそうだな。」
「僕も新しい魔法をお披露目できるから楽しみだよ。」
「ゴー。ゴー。ブン。」
少年たちはひさしぶりにいっしょに戦えるので喜んでいたが、喜びも束の間に、ゴーレムが
いきなり攻撃してきた。少年たちが3人ということでゴーレムの数も3体であった。
しかも、ゴーレムの動きがさらに俊敏になっているように見えた。
「カキン。は、早い。訓練のときより1段階早くなっているような。」
「そうじゃ。最終試練じゃから、ゴーレムのリミットは外れておる。全力で襲って
くるぞ。」
「ゴー。ゴー。シュン。ブン。ブン。」
「ふん。この程度のスピードアップなら対応可能だ。シュパーン。」
「ゴー。ゴー。ブン。ブン。」
「カキン。僕もいつもゴーレムに叩かれていたから、防御くらいはできるさ。」
少年たちは襲ってくるゴーレムの木剣による攻撃を受け止めたり、かわして弓で反撃したり
していた。しかし、ゴーレムが今までより強くなっており、押され気味であった。
「この後も塔の守護神との戦いがあるから、新しい剣技で一気に決めてやるぞ。」
少年はゴーレムとの戦いを終わらせるために木剣を構えて、力を溜め込む姿勢をとると
ダッシュしてゴーレムに迫るのであった。
「うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
少年の新しい剣技であるクラッシュは走ることによる勢いと力をためて振るう斬撃が
合わさっており、ゴーレムに強烈な斬撃ダメージを与えた。ゴーレムは機能を停止して
その場で止まってしまうのであった。
「よし。うまく決まったぞ。今のが俺の新しい剣技であるクラッシュです。」
「やるな。ならば、俺も新しい弓技を見せよう。」
弓使いはバックステップで後ろに飛ぶとゴーレムとの距離を取り、弓の弦を強く大きく
引くのであった。ゴーレムも好きにさせまいと弓使いに攻撃を仕掛けるが、弓使いは
軽やかに避けるのであった。弓使いはさらに弓の弦を引くと今度はねじりを加えるので
あった。
「これが新しい弓技だ。強矢改。ブシャーン。グルグルグル。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
弓使いの新しい弓技である強矢改は強矢の強烈な貫通攻撃にさらに回転を加えており
貫通性が増していた。ゴーレムも木剣で受け止めようとしたが、矢は木剣を貫き、
硬いゴーレムの胸の奥深くまで突き刺さっており、ゴーレムは機能停止してしまって
いた。残るは魔法使いのみであった。
「最後は僕だね。大いなる烈風よ。我が前の敵を切り裂け。ブシュ。ブシュ。
ブシューン。」
「ゴー。ゴー。ガクン。」
魔法使いは強力な風魔法を発動させると強烈な風や多数の真空の刃を発生させ、最後に
大きな真空の刃を発生させてゴーレムに放つのであった。ゴーレムの体は真空の刃で
切り裂かれ、最後に大きな真空の刃をくらって、木剣が切断され、ゴーレムの硬い体にも
深く大きな切創痕が刻まれるのであった。
「ほほう。3人とも素晴らしい技を披露してくれたの。修行の成果が現れておるな。では
塔の守護神と戦ってもらうかの。出てこい。」
「フゴー。ブシュー。」
塔の主は少年たちの修行の成果を確認すると最終試練の最後の相手となる塔の守護神を
呼び出すのであった。塔の守護神はゴーレムの強化版であり、ゴーレムより2回り大き
かった。
「で、でかいな。強そうだ。」
「ほう。最終試練にふさわしい相手だな。」
「相手に不足なしと言ったところだね。3人でならいけそうだね。」
「フゴー。シュン。シュン。ドガン。」
3人は塔の守護神を見て、なんとか勝てると期待したが、その直後、塔の守護神が
高速で移動してきて、その大きな拳で殴りかかって来るのであった。3人はなんとか
避けたが、空を切った塔の守護神の拳が床に突き刺さっているのであった。
「は、早い。それになんて攻撃力だ。あぶなかった。あんなの木剣で受けてたら、
確実にやられていたな。」
「やばい。何か仕掛けてくるぞ。」
「フゴー。キン。ズシャーン。」
塔の守護神は突き刺さった拳を抜く前に少年たちの方を見ると目を光らせて、目から
強烈な光線を発射するのであった。弓使いが声をかけてくれたおかげで少年と魔法使いは
とっさに回避できた。光線は奥の壁をなぞるようにあたり、深い溝が彫られており、
焼け焦げていた。光線を出し終えた塔の守護神は拳を床から引き抜いて、少年たちの方へ
歩いて行くのであった。
「や、やばすぎる。攻撃力もすごいのに目から光線を出すなんて、反則だ。やられる。
こうなったら、新しい剣技で仕留めてやる。うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ガキン。フゴー。フゴー。ブン。」
「何。受け止められた。」
少年は塔の守護神の強さに焦りを感じて、新しく覚えた剣技のクラッシュを発動させて、
強烈な斬撃を塔の守護神にくらわせるのであった。しかし、塔の守護神は両腕で少年の
斬撃を受け止めると態勢を崩しつつも、踏ん張るのであった。すかさず、魔法使いが
炎の魔法を放つのであった。
「そいつから離れてくれ。炎よ。とおー。ヴォー。」
「フゴー。炎。発動。ヴォー。」
なんと、塔の守護神は斬撃を受け止めていた片方の手を魔法使いの方へ向けて、炎の魔法を
発動させて大きな火炎を放つと魔法使いの放った大きな火炎と相殺させるのであった。
「ま、魔法も発動できるなんて、すごすぎるよ。僕の魔法が相殺されちゃったよ。」
「このままでは、塔の守護神にやられてしまいます。何か方法は?」
「おそらく、俺の新しい弓技も受け止められてしまうだろう。魔王のときにやってみた
3人一斉に攻撃するのはどうだ。」
「ほほう。一斉では塔の守護神はやれんぞ。同時にお主たちの新しい技で攻撃せねば
止まってくれんぞ。」
少年たちは塔の守護神の強さに圧倒されるが、前にやったことのある一斉攻撃を考えるので
あったが、一斉では不十分であり、同時に攻撃しなければいけないと塔の主は言い放つので
あった。しかも、新しい技による同時攻撃であった。
「フゴー。シュン。ブン。ブン。」
「くそー。強い。やるなら、早くやりましょう。このままでは持ちませんよ。」
「ならば、俺の新しい弓技と新しい魔法を先に放つから、お前の新しい剣技を
それらに合わせて、塔の守護神にぶつけてくれ。」
「わかりました。」
「わかったよ。任せて。」
塔の守護神の激しい攻撃をなんとか回避しながら、3人は新しい技を同時に発動しようと
するのであった。弓使いは弓の弦を強く大きく引くと、さらに弓の弦を引いて今度は
ねじりを加えるのであった。
「くらえ。強矢改。ブシャーン。グルグルグル。」
「いくよ。大いなる烈風よ。我が前の敵を切り裂け。ブシュ。ブシュ。ブシューン。」
弓使いと魔法使いがそれぞれ新しい技を発動させると、少年も木剣を構えて、力を溜め込む姿勢をとるとダッシュしてゴーレムに迫るのであった。
「うおー。クラッシュ。グシャーン。」
「ボ、ボ、ボカーン。フゴー。フゴー。ガ、ガ、ガクン。」
3人同時の新しい技が塔の守護神に炸裂すると大きな衝撃が走り、少年は後方に飛ば
されるのであった。当然、塔の守護神はあまりの衝撃に硬い体がボロボロになり、
機能停止するのであった。
「はあ。はあ。すごい衝撃だ。3人同時に技を発動させるとここまでのダメージを
与えられるんだな。もう合体技みたいだな。」
「大丈夫か。しかし、塔の守護神は倒せたようだな。」
「やったね。僕たちはこれで最終試練を達成できたよね。」
「見事じゃ。塔の守護神を機能停止に追い込むとは大したものじゃ。お主たちのここでの
修行は終了じゃ。よくがんばった。」
塔の主が塔の守護神が倒されたことを確認すると少年たちの修行の終了を宣言し、
3人の苦労を労うのであった。3人は最終試練を終えると疲れたようで、その日は修行の
終了を祝って、塔の主から豪華な料理を振る舞われて、体を休めるのであった。
次の日の朝、少年たちは旅の支度をしておかしな塔の入り口の扉の前で塔の主にあいさつを
していた。
「お世話になりました。ここでの修行でだいぶ強くなれた気がします。新しい剣技も
覚えられたので、これで魔王と戦えそうな気がします。」
「ほっ。ほっ。ほっ。慢心せずに、修行自体は続けるようにな。あと、お主、狙撃の
能力はあまり上達していないようじゃったの。」
「ああ。そうなんだ。まあ。気長にやっていくさ。」
「では。これを付けてみなさい。ほれ。」
塔の主は狙撃の能力が上達していなかった弓使いにあるものを授けるのであった。
あるものとはガラスのついたゴーグルであった。弓使いは受け取るとわけがわからず、混乱するのであった。
「これはなんだ。ゴーグルのようだが、これをつけろと。」
「そうじゃ。お主の狙撃の能力の悪さはおそらく視力じゃろう。そのゴーグルは眼鏡と
同じなのじゃ。眼鏡と違って頑丈に作ってある。そのゴーグルを使えば遠くのものも
見やすくなるじゃろう。」
「俺はそんなに視力は悪い気が。あれ、つけたら、遠くのものがよりしっかりと見えて、
試しに訓練用の弓で打ってみるぞ。シュパーン。シュパーン。」
弓使いはゴーグルをつけた状態で訓練用の弓で矢を放つと的の中心にどんどんと当てて
いくのであった。
「す、すごい。このゴーグルをつけていれば、狙撃の能力が高いままだぞ。やった、
ゴン。」
弓使いはゴーグルをつけて視力を補正していれば、狙撃の能力が高いまま維持できると
わかり大変喜ぶのであったが、ゴーグルをつけており、慣れない視野に近くの少年に
ぶつかってしまうのであった。
「このゴーグルは使えそうだが、慣れないと実戦や生活にも苦労しそうだな。」
「まあ、いきなり改善するわけではないからのう。そのゴーグルに少しずつ慣れて
いきなさい。そのうち、そのゴーグルをつけて実戦でも戦えるようになるじゃろう。」
「わかった。塔の主よ。本当に助かった。心から感謝する。」
塔の主からゴーグルに少しずつ慣れていくようにと言われた弓使いは塔の主に心から感謝を
するのであった。少年たちは塔の主にあいさつをしておかしな塔を出発するのであった。
「本当にありがとうございました。必ず、魔王を倒してきます。」
「まあ。がんばりなさい。無理はしないようにな。」
少年と弓使いと魔法使いはおかしな塔をあとにして再び大都市へと歩いていくのであった。
3人の背中は以前よりたくましく見えており、修行の成果が少し垣間見えるのであった。
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