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第4章 魔王軍との戦い
第34話 修行
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戦士と腕輪 第34話 修行
古代洞窟の調査クエストの翌日、少年は落ち込んだ様子で斡旋所に向かって歩いていた。
クエスト自体は問題なく終了しており、少年たちはクエストの依頼者である学者に古代の
遺物を渡して、学者は研究の役に立つととても満足してくれた。ちなみに古代洞窟で手に
入れた職変の腕輪は不要とのことで少年たちが所持することになった。
「おい。どうしたんだ。さっきから、元気がないようだが、昨日のことを引きずっている
のか。魔王に歯が立たなかったのはわかるが、俺たちが、ある程度、魔王軍と戦った
から、魔王は撤退したんだ。あのまま最後まで戦えば、やられていたかもしれない。
生きて帰って来れたことに自信を持たないとな。」
「それはそうなんですが、やはり、魔王に歯が立たなかったのは悔しくて、俺、これまで
戦ってきて、かなり強くなったと思ったんですが、魔王と比べたら足元にも及ばない
とわかるとけっこうこたえてくるんです。」
弓使いは少年の落ち込む姿を心配して、声をかけるのであったが、少年は魔王に歯が立た
なかったことをなかなか吹っ切ることができずにいた。そんなことを話しているうちに
少年たちは斡旋所に到着して、クエストの報告と報酬を受け取る手続きをするのであった。
「おはようございます。昨日受けた古代洞窟の調査クエストを終了したので、報酬を
受け取りに来ました。」
「ありがとうございます。そう言えば、古代洞窟で魔王軍と遭遇して、撃退したって、
お聞きしましたがけど、すごい活躍ですね。」
「はは。あれは、運よく、魔王軍が撤退してくれただけですよ。」
斡旋所の女性の職員は少年たちの活躍を耳にしており、誉めるのであったが、今の少年に
とってはあまりうれしい言葉ではなく、心にズシリと刺さってしまう言葉であった。
少年たちはクエストの報酬を受け取るとすぐに斡旋所をあとにするのであった。
「あっ。そうだ。魔王軍は古代洞窟で洞窟の主を従えるって言ってましたよね。
洞窟の主は大丈夫ですかね。」
「心配するな。あの後、俺が洞窟の主に魔王軍のことを伝えに行ったら、洞窟の入り口を
塞いで、籠城するから心配するなとさ。相当強いモンスターだから問題ないだろう。」
「そうですか。それなら大丈夫ですね。」
少年は古代洞窟の洞窟の主のことを思い出して心配したが、弓使いが連絡済であると言うと
安心するのであった。弓使いの言葉を聞いた少年は何かを決心したようで弓使いと
魔法使いに話を切り出すのであった。
「あの。俺、魔王との戦いのあとからずっと考えていて、このまま新たな街に帰るのは
やめて、どこかで修行をしたいんです。魔王との力の差が歴然としたままではこの
ままクエストを受けたり、モンスター退治に集中できる自信がないんです。」
「うーん。お前の気持ちはわかるが、そんな都合よく強くなれるところなんてないぞ。
地道にクエストを受けたり、モンスターを退治していくのが一番だぞ。」
「地道にやるのはその通りだけど、僕も洞窟の主がくれた成長限界を高める秘薬を
飲んだから修行して強くなりたいんだよね。実は昔修行したところがあるから、
みんなでそこに行って、修行してみないかい。かなりきついけど。修行をつけて
くれる先生もいるしね。」
少年が修行をしたいと言い出すと弓使いが地道にやれとなだめるのであったが、意外にも
魔法使いが修行できる場所を知っているとのことでみんなで修行しようと提案してきた。
「えっ。そんな場所があるんですか。ぜひとも行きたいです。今から行きましょう。」
「うーん。仕方ないな。俺もついて行くよ。」
「じゃあ。決まりだね。さっそく出発しよう。場所はここから歩いて1日くらいかかる
ところでおかしな塔と呼ばれているよ。」
3人は修行することに合意するとさっそく修行場所であるおかしな塔に向けて出発するので
あった。大都市を出発した3人は順調に歩み続けて、次の日の朝にはおかしな塔の近くまで
たどり着くのであった。
「あの。聞きたいことがあるんですけど。いいですか?」
「なんだい。答えられることなら答えるよ。」
「おかしな塔で修行されてたって、昨日おっしゃってましたけど、やはり、魔法の能力の
成長が止まったので修行を途中でやめたんですか?」
「まあ。そんなとこだね。おかしな塔での修行は厳しいからね。自分の魔法の能力の
成長が止まったら、辛いだけだからね。半ば、逃げるようにおかしな塔から去って
行ったのさ。あまり自慢できる話じゃないけどね。」
少年がおかしな塔での昔の修行のことを魔法使いに聞くと、魔法使いは感慨深げに魔法の
能力の成長が止まり、修行をやめたことを語るのであった。しかし、魔法使いはあまり
修行を途中でやめたことを恥じてはいないようであり、今度こそはやり切るという強い
意思も持っているようであった。少年たちが話をしながら歩いていると目の前に高い塔
らしき建造物が見えてきた。
「あっ。見えてきたね。あれがおかしな塔だよ。」
「けっこう、高い塔ですね。あそこで修行ができるんですね。」
「弓使いの俺も修行ができるから、どんな修行ができるか楽しみだな。」
少年たちはおかしな塔が見えてくると修行に期待を膨らませて、歩いて行くのであった。
しばらくして、おかしな塔の前に到着すると魔法使いが3人を代表しておかしな塔へ
あいさつをしに入って行くのであった。
「では、ここで修行を見てくださる塔の主にあいさつをしてくるよ。」
「よろしくお願いします。」
「頼んだぞ。あまり、塔の主の機嫌を損ねないようにな。」
魔法使いはおかしな塔の門を開けると中に入って行くのであった。最初は静かであったが、数分後、中から大きな声が聞こえてくるのであった。
「このバカものがどう言うつもりで戻ってきたのじゃ。きえー。ばし。」
「ぐわー。せ、先生。僕の話を聞く前にいきなり怒ってこないでください。」
門が開いたと同時に魔法使いが吹き飛ばされたように出てくるのであった。どうやら塔の
主を怒らせてしまったようであった。少年は倒れそうになる魔法使いを支えながら、塔の
主に事情を説明しようとした。
「あの。俺たち、魔王と遭遇して戦ったんですけど、全然歯が立たなくて、強くなり
たくて、この塔に来たんです。どうか、俺たちに修行をつけてください。」
「ほほう。いつの間にか、仲間を連れて、ここに戻って来おったか。お主の仲間に免じて
話を聞いてやろう。」
「ありがとうございます。」
少年は塔の主に魔王との戦いのことや自分たちの装備品の副作用のことを話して、各々の
能力向上のため、おかしな塔にやってきたと説明するのであった。塔の主は少年の話を
聞いて納得したようであった。
「なるほど、事情はよくわかったぞ。この塔で修行をしたいのであれば、協力しよう。中に
入りなさい。」
塔の主は少年たちの修行を許可して、少年たちをおかしな塔の中に招き入れるのであった。
少年たちはおかしな塔の中に入るとさっそく各々の訓練を始めるのであった。少年は
とある部屋に入るとその中に人型の上半身の人形が置かれており、訓練用の木剣で打ち
込みの練習をするように言われるのであった。弓使いや魔法使いもそれぞれ部屋に入って
各々の訓練をこなすのであった。
「えい。とりゃー。どりゃー。」
「なるほど、なかなかいい筋をしておる。魔王と戦って生きて帰ってこれただけのことは
ある。もっと鍛えて、斬撃の威力を上げれば、いい線まで行きそうじゃな。人形への
打ち込みは今日はここまでじゃ。次はあのゴーレムと戦って訓練してもらおう。」
塔の主は少年に人形への打ち込みの訓練を切り上げて、ゴーレムと戦う訓練をするように
命じるのであった。ゴーレムとはおかしな塔にある人型の石人形であり、訓練の相手や
塔の守備を担っていた。
「ゴー。ゴー。ガシ。ガシ。」
「あ、あれがゴーレムですか。あれと戦えばいいんですか。壊してしまっても怒らないで
くださいね。」
「ほほほ。あのゴーレムはそんな柔なものではないぞ。多少の斬撃、打撃、魔法攻撃では
びくともせんぞ。それに動きも敏捷なので、修行相手にはピッタリだぞ。」
塔の主の説明を聞くと、少年はさっそくゴーレムとの戦闘訓練を始めるのであった。少年は
ゴーレムの実力確認とばかりに木剣で打ち込んでいくのであった。
「えーい。とりゃー。」
「ゴー。ゴー。カキン。ブン。」
ゴーレムは少年の打ち込みを持っていた木剣で軽々とはじくと、反撃とばかりに木剣で
払い攻撃をしてきた。
「うわ。やるな。カキン。」
「ゴー。シュン。ブン。ブン。」
少年はゴーレムの払い攻撃を受け止めて防ぐのであった。ゴーレムは少年に防御されると
素早く少年の側面に回り込み、高速に打ち込みを2回放つのであった。少年は面食らって、
うまく木剣で受け止めることができず、肩あたりにゴーレムの木剣の攻撃を受けてしまう
のであった。
「うわ。痛た。意外に早いな。このゴーレムは。」
「うむ。初見でゴーレムとここまではりあえるのは大したものじゃ。今日の訓練は
ここまでじゃ。」
「ありがとうございます。初日とは言え、疲れたな。」
塔の主が1日目の修行の終了を告げると、少年はどっと湧いてくる疲れを感じてしまう
のであった。少年はおかしな塔の食事をする部屋に案内されると夕食を食べさせて
もらうのであった。
「明日から外で動物を狩って食料を調達してもらうが、今日はわしからふるまって
やろう。ちなみに料理もゴーレムが手伝ってくれておる。味見はわしがしておるから
心配するな。」
「はい。ありがとうございます。はむ。おいしいです。」
「なかなかいい味だな。俺たちよりも料理が上手だな。」
「ひさしぶりの先生の料理だから、懐かしいよ。」
少年と弓使いと魔法使いは塔の主の振る舞う料理にとても満足して食事をするのであった。
夕食を終えた3人は今日の修行について話していた。
「僕は魔法攻撃の練習だね。もちろんこの腕輪を外してね。大変だったな。途中から
盾を装備したゴーレムが相手になって、ボコボコにされたよ。」
魔法使いの言う通り、魔法使いの顔は少し腫れており、ゴーレムとの激しい訓練の
様子が生々しく語られた。
「俺も最初は的に矢を何発も放ったな。訓練用の弓矢を使用したので大変だったよ。その
あとは、盾を持ったゴーレムと実戦的な戦闘訓練をさせられたな。」
弓使いもゴーレムとの戦闘訓練で攻撃をくらったようで痛いそぶりを見せていた。少年は
2人の話を聞きながら食事をしていると、あることを考えていた。
「確かにこのおかしな塔で訓練を積めば強くなれそうですけど、魔王の強さはすごかった
です。この訓練だけでは足りない気がします。俺、新しい剣技を覚えてみようと思い
ます。」
「あっ。それいいかもしれないね。僕も新しい強力な魔法を覚えようかな。」
「確かにいいかもな。俺も、新しい弓技を編み出すかな。」
少年が現状の訓練だけでは不十分と感じて新しい剣技を習得したいと言い出すと魔法使いと
弓使いも新しい魔法や弓技を習得すると意気込むのであった。3人は打倒魔王のためさら
なる能力向上へ取り組もうとするのであった。翌日、おかしな塔での修行は2日目を迎えて
いたが、少し様子が変わっていた。
「え、この変身した姿でも、修行をするの?」
「まあ。そうじゃ。副作用とやらで変身した姿も戦いに役に立つから、鍛えておいて
損はないじゃろう。2、3日に1日くらいはその姿で訓練しておくのじゃ。」
「お姉さま。仕方ありませんわ。この姿でも強くなれば、いざというときに役立ち
ますわ。」
「私も魔法の修行だけでは物足りなかったのよね。ちょうどいい機会だから、訓練しま
しょう。うふ。」
なんと、塔の主に言われて、少年たちは巨乳魔女や竪琴使いや踊り子に変身して、戦闘訓練を開始するのであった。おかしな塔での2日目の修行はこうして始まるのであった。
古代洞窟の調査クエストの翌日、少年は落ち込んだ様子で斡旋所に向かって歩いていた。
クエスト自体は問題なく終了しており、少年たちはクエストの依頼者である学者に古代の
遺物を渡して、学者は研究の役に立つととても満足してくれた。ちなみに古代洞窟で手に
入れた職変の腕輪は不要とのことで少年たちが所持することになった。
「おい。どうしたんだ。さっきから、元気がないようだが、昨日のことを引きずっている
のか。魔王に歯が立たなかったのはわかるが、俺たちが、ある程度、魔王軍と戦った
から、魔王は撤退したんだ。あのまま最後まで戦えば、やられていたかもしれない。
生きて帰って来れたことに自信を持たないとな。」
「それはそうなんですが、やはり、魔王に歯が立たなかったのは悔しくて、俺、これまで
戦ってきて、かなり強くなったと思ったんですが、魔王と比べたら足元にも及ばない
とわかるとけっこうこたえてくるんです。」
弓使いは少年の落ち込む姿を心配して、声をかけるのであったが、少年は魔王に歯が立た
なかったことをなかなか吹っ切ることができずにいた。そんなことを話しているうちに
少年たちは斡旋所に到着して、クエストの報告と報酬を受け取る手続きをするのであった。
「おはようございます。昨日受けた古代洞窟の調査クエストを終了したので、報酬を
受け取りに来ました。」
「ありがとうございます。そう言えば、古代洞窟で魔王軍と遭遇して、撃退したって、
お聞きしましたがけど、すごい活躍ですね。」
「はは。あれは、運よく、魔王軍が撤退してくれただけですよ。」
斡旋所の女性の職員は少年たちの活躍を耳にしており、誉めるのであったが、今の少年に
とってはあまりうれしい言葉ではなく、心にズシリと刺さってしまう言葉であった。
少年たちはクエストの報酬を受け取るとすぐに斡旋所をあとにするのであった。
「あっ。そうだ。魔王軍は古代洞窟で洞窟の主を従えるって言ってましたよね。
洞窟の主は大丈夫ですかね。」
「心配するな。あの後、俺が洞窟の主に魔王軍のことを伝えに行ったら、洞窟の入り口を
塞いで、籠城するから心配するなとさ。相当強いモンスターだから問題ないだろう。」
「そうですか。それなら大丈夫ですね。」
少年は古代洞窟の洞窟の主のことを思い出して心配したが、弓使いが連絡済であると言うと
安心するのであった。弓使いの言葉を聞いた少年は何かを決心したようで弓使いと
魔法使いに話を切り出すのであった。
「あの。俺、魔王との戦いのあとからずっと考えていて、このまま新たな街に帰るのは
やめて、どこかで修行をしたいんです。魔王との力の差が歴然としたままではこの
ままクエストを受けたり、モンスター退治に集中できる自信がないんです。」
「うーん。お前の気持ちはわかるが、そんな都合よく強くなれるところなんてないぞ。
地道にクエストを受けたり、モンスターを退治していくのが一番だぞ。」
「地道にやるのはその通りだけど、僕も洞窟の主がくれた成長限界を高める秘薬を
飲んだから修行して強くなりたいんだよね。実は昔修行したところがあるから、
みんなでそこに行って、修行してみないかい。かなりきついけど。修行をつけて
くれる先生もいるしね。」
少年が修行をしたいと言い出すと弓使いが地道にやれとなだめるのであったが、意外にも
魔法使いが修行できる場所を知っているとのことでみんなで修行しようと提案してきた。
「えっ。そんな場所があるんですか。ぜひとも行きたいです。今から行きましょう。」
「うーん。仕方ないな。俺もついて行くよ。」
「じゃあ。決まりだね。さっそく出発しよう。場所はここから歩いて1日くらいかかる
ところでおかしな塔と呼ばれているよ。」
3人は修行することに合意するとさっそく修行場所であるおかしな塔に向けて出発するので
あった。大都市を出発した3人は順調に歩み続けて、次の日の朝にはおかしな塔の近くまで
たどり着くのであった。
「あの。聞きたいことがあるんですけど。いいですか?」
「なんだい。答えられることなら答えるよ。」
「おかしな塔で修行されてたって、昨日おっしゃってましたけど、やはり、魔法の能力の
成長が止まったので修行を途中でやめたんですか?」
「まあ。そんなとこだね。おかしな塔での修行は厳しいからね。自分の魔法の能力の
成長が止まったら、辛いだけだからね。半ば、逃げるようにおかしな塔から去って
行ったのさ。あまり自慢できる話じゃないけどね。」
少年がおかしな塔での昔の修行のことを魔法使いに聞くと、魔法使いは感慨深げに魔法の
能力の成長が止まり、修行をやめたことを語るのであった。しかし、魔法使いはあまり
修行を途中でやめたことを恥じてはいないようであり、今度こそはやり切るという強い
意思も持っているようであった。少年たちが話をしながら歩いていると目の前に高い塔
らしき建造物が見えてきた。
「あっ。見えてきたね。あれがおかしな塔だよ。」
「けっこう、高い塔ですね。あそこで修行ができるんですね。」
「弓使いの俺も修行ができるから、どんな修行ができるか楽しみだな。」
少年たちはおかしな塔が見えてくると修行に期待を膨らませて、歩いて行くのであった。
しばらくして、おかしな塔の前に到着すると魔法使いが3人を代表しておかしな塔へ
あいさつをしに入って行くのであった。
「では、ここで修行を見てくださる塔の主にあいさつをしてくるよ。」
「よろしくお願いします。」
「頼んだぞ。あまり、塔の主の機嫌を損ねないようにな。」
魔法使いはおかしな塔の門を開けると中に入って行くのであった。最初は静かであったが、数分後、中から大きな声が聞こえてくるのであった。
「このバカものがどう言うつもりで戻ってきたのじゃ。きえー。ばし。」
「ぐわー。せ、先生。僕の話を聞く前にいきなり怒ってこないでください。」
門が開いたと同時に魔法使いが吹き飛ばされたように出てくるのであった。どうやら塔の
主を怒らせてしまったようであった。少年は倒れそうになる魔法使いを支えながら、塔の
主に事情を説明しようとした。
「あの。俺たち、魔王と遭遇して戦ったんですけど、全然歯が立たなくて、強くなり
たくて、この塔に来たんです。どうか、俺たちに修行をつけてください。」
「ほほう。いつの間にか、仲間を連れて、ここに戻って来おったか。お主の仲間に免じて
話を聞いてやろう。」
「ありがとうございます。」
少年は塔の主に魔王との戦いのことや自分たちの装備品の副作用のことを話して、各々の
能力向上のため、おかしな塔にやってきたと説明するのであった。塔の主は少年の話を
聞いて納得したようであった。
「なるほど、事情はよくわかったぞ。この塔で修行をしたいのであれば、協力しよう。中に
入りなさい。」
塔の主は少年たちの修行を許可して、少年たちをおかしな塔の中に招き入れるのであった。
少年たちはおかしな塔の中に入るとさっそく各々の訓練を始めるのであった。少年は
とある部屋に入るとその中に人型の上半身の人形が置かれており、訓練用の木剣で打ち
込みの練習をするように言われるのであった。弓使いや魔法使いもそれぞれ部屋に入って
各々の訓練をこなすのであった。
「えい。とりゃー。どりゃー。」
「なるほど、なかなかいい筋をしておる。魔王と戦って生きて帰ってこれただけのことは
ある。もっと鍛えて、斬撃の威力を上げれば、いい線まで行きそうじゃな。人形への
打ち込みは今日はここまでじゃ。次はあのゴーレムと戦って訓練してもらおう。」
塔の主は少年に人形への打ち込みの訓練を切り上げて、ゴーレムと戦う訓練をするように
命じるのであった。ゴーレムとはおかしな塔にある人型の石人形であり、訓練の相手や
塔の守備を担っていた。
「ゴー。ゴー。ガシ。ガシ。」
「あ、あれがゴーレムですか。あれと戦えばいいんですか。壊してしまっても怒らないで
くださいね。」
「ほほほ。あのゴーレムはそんな柔なものではないぞ。多少の斬撃、打撃、魔法攻撃では
びくともせんぞ。それに動きも敏捷なので、修行相手にはピッタリだぞ。」
塔の主の説明を聞くと、少年はさっそくゴーレムとの戦闘訓練を始めるのであった。少年は
ゴーレムの実力確認とばかりに木剣で打ち込んでいくのであった。
「えーい。とりゃー。」
「ゴー。ゴー。カキン。ブン。」
ゴーレムは少年の打ち込みを持っていた木剣で軽々とはじくと、反撃とばかりに木剣で
払い攻撃をしてきた。
「うわ。やるな。カキン。」
「ゴー。シュン。ブン。ブン。」
少年はゴーレムの払い攻撃を受け止めて防ぐのであった。ゴーレムは少年に防御されると
素早く少年の側面に回り込み、高速に打ち込みを2回放つのであった。少年は面食らって、
うまく木剣で受け止めることができず、肩あたりにゴーレムの木剣の攻撃を受けてしまう
のであった。
「うわ。痛た。意外に早いな。このゴーレムは。」
「うむ。初見でゴーレムとここまではりあえるのは大したものじゃ。今日の訓練は
ここまでじゃ。」
「ありがとうございます。初日とは言え、疲れたな。」
塔の主が1日目の修行の終了を告げると、少年はどっと湧いてくる疲れを感じてしまう
のであった。少年はおかしな塔の食事をする部屋に案内されると夕食を食べさせて
もらうのであった。
「明日から外で動物を狩って食料を調達してもらうが、今日はわしからふるまって
やろう。ちなみに料理もゴーレムが手伝ってくれておる。味見はわしがしておるから
心配するな。」
「はい。ありがとうございます。はむ。おいしいです。」
「なかなかいい味だな。俺たちよりも料理が上手だな。」
「ひさしぶりの先生の料理だから、懐かしいよ。」
少年と弓使いと魔法使いは塔の主の振る舞う料理にとても満足して食事をするのであった。
夕食を終えた3人は今日の修行について話していた。
「僕は魔法攻撃の練習だね。もちろんこの腕輪を外してね。大変だったな。途中から
盾を装備したゴーレムが相手になって、ボコボコにされたよ。」
魔法使いの言う通り、魔法使いの顔は少し腫れており、ゴーレムとの激しい訓練の
様子が生々しく語られた。
「俺も最初は的に矢を何発も放ったな。訓練用の弓矢を使用したので大変だったよ。その
あとは、盾を持ったゴーレムと実戦的な戦闘訓練をさせられたな。」
弓使いもゴーレムとの戦闘訓練で攻撃をくらったようで痛いそぶりを見せていた。少年は
2人の話を聞きながら食事をしていると、あることを考えていた。
「確かにこのおかしな塔で訓練を積めば強くなれそうですけど、魔王の強さはすごかった
です。この訓練だけでは足りない気がします。俺、新しい剣技を覚えてみようと思い
ます。」
「あっ。それいいかもしれないね。僕も新しい強力な魔法を覚えようかな。」
「確かにいいかもな。俺も、新しい弓技を編み出すかな。」
少年が現状の訓練だけでは不十分と感じて新しい剣技を習得したいと言い出すと魔法使いと
弓使いも新しい魔法や弓技を習得すると意気込むのであった。3人は打倒魔王のためさら
なる能力向上へ取り組もうとするのであった。翌日、おかしな塔での修行は2日目を迎えて
いたが、少し様子が変わっていた。
「え、この変身した姿でも、修行をするの?」
「まあ。そうじゃ。副作用とやらで変身した姿も戦いに役に立つから、鍛えておいて
損はないじゃろう。2、3日に1日くらいはその姿で訓練しておくのじゃ。」
「お姉さま。仕方ありませんわ。この姿でも強くなれば、いざというときに役立ち
ますわ。」
「私も魔法の修行だけでは物足りなかったのよね。ちょうどいい機会だから、訓練しま
しょう。うふ。」
なんと、塔の主に言われて、少年たちは巨乳魔女や竪琴使いや踊り子に変身して、戦闘訓練を開始するのであった。おかしな塔での2日目の修行はこうして始まるのであった。
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