戦士と腕輪

GGG_123

文字の大きさ
上 下
32 / 66
第3章 3人目

第32話 洞窟のモンスター

しおりを挟む
戦士と腕輪 第32話 洞窟のモンスター

 古代洞窟の調査クエストで洞窟を探検していた少年たちは途中で古代の遺物らしきものを
見つけると再び、古代洞窟の奥へと進んでいくのであった。

「この先にも強いモンスターがいるかもしれないから、気をつけろよ。」

「はい。注意して進みます。」

弓使いが警戒するようにと少年に指示すると、少年も気をつけて歩いていくのであった。
しばらくすると、少年はある気配を感じ取り、弓使いにも教えようとした。

「何か、前に強そうな気配を感じます。さっきのスパイダーとは桁違いのモンスターの
 ような気がします。」

「ああ、もうわかっている。相当強そうな感じがするな。それに相手もこちらの存在に
 すでに気がついていて、ずっとこちらを見てきているぞ。やばい相手だな。」

「えっ。前方にやばそうなモンスターがいるのかい。いざとなったら、僕の大規模魔法で
 瞬殺してあげるよ。」

弓使いは少年に教えられる前からすでに相手のモンスターに気がついており、その強さを
警戒していたのであった。弓使いと少年が各々の武器を構えて、ゆっくりと前へ進んで
いくのであった。すると、たいまつの灯りの先に何かが現れるのであった。

「シャー。シャー。」

「な、なんだ。あの大きな蛇は。あんな大きなのは見たことないぞ。」

「あれは大蛇ってモンスターだな。まずいな。相当でかいぞ。」

「相当でかいってことは、相当強そうだね。」

大蛇がたいまつの灯りの先に現れると威嚇と言わんばかりに鋭い鳴き声を発するので
あった。少年たちは大蛇を警戒しながら、戦いの準備をすると攻撃の機会を伺うので
あった。

「さっきから、大蛇はこちらを警戒して、にらみを効かせて見てくるだけだな。
 どうしましょうか。」

「先制攻撃をかけてもいいが、うかつに近づくと毒でも吐いてきそうだな。」

「僕の魔法か。君の弓で遠くから攻撃をしてみた方が良さそうだね。」

大蛇が攻撃してこないので、魔法使いは弓使いといっしょに距離を取って先制攻撃を
仕掛けようとするのであった。

「炎よ。とおー。ヴォー。」

「くらえ。シュパーン。」

「シャー。シャー。バーン。」

魔法使いと弓使いは一斉に大蛇に炎の魔法と弓矢の攻撃を放ったが、大蛇はその攻撃を
大きな尻尾で振り払うのであった。さらにそのあと少年たちの元へ高速に移動すると、
またもや、大きな尻尾で払い攻撃をしてきた。

「シャー。バーン。」

「うわー。危ないです。ガシャーン。」

前方にいた少年が大蛇の払い攻撃を黒鉄剣で受けると後方に飛ばされるのであった。
しかし、弓使いが少年を体で受け止めて、洞窟の壁に当たるのを防ぐのであった。

「助かったぞ。大丈夫か。」

「ええ。受け止めていただいたので、大丈夫です。でも、あの大蛇、2人の攻撃をあんな
 簡単にはねのけるなんて、やばいです。今度は俺から仕掛けます。2人はサポートを
 お願いします。」

少年は黒鉄剣を構えると大蛇に向かって走っていき、攻撃を仕掛けるのであった。

「くらえ。連撃。えい。とりゃー。どりゃー。」

「シャー。シャー。カキン。」

少年は連撃を大蛇に放つが、硬い皮膚に阻まれて、あまりダメージを与えられなかった。
大蛇は反撃の素振りを見せたので、少年を攻撃させまいと弓使いが援護射撃をするので
あった。

「させるか。シュパーン。」

「シャー。シャー。」

「今だ。連撃でダメなら、力のある技だ。ため切り。どりゃー。」

弓使いの攻撃で大蛇の頭のあたりに矢が当たり、大蛇が一瞬怯んでしまうと、少年はその
隙を見逃さずにため切りをくらわすのであった。大蛇の胴体部に重い一撃が直撃すると
硬い皮膚で切り傷こそあまりないようであったが、衝撃が胴体内に伝わり、大蛇は
ダメージを負うのであった。

「シャー。シャー。ギシャー。」

「よし。ため切りは効いたみたいだ。みんなで一斉攻撃だ。」

ため切りで大蛇がダメージを負って大きな鳴き声を出すと、少年は一斉にたたみかけようと
再度の攻撃をしようとした。しかし、大蛇は鳴き声を放ったあと、逃げるように古代洞窟の
奥へと高速に移動していくのであった。

「あれ。まただよ。せっかくとどめをさせると思ったのに、劣勢になるとあの大蛇も
 逃げちゃったな。」

「なかなか、賢いやつだな。劣勢と判断するや。撤退するとはな。この洞窟の
 モンスターは他の場所のと少し違う気がするな。」

「確かにね。賢い奴ばっかりだね。洞窟の中だから、成長過程が他と違っているのかな。」

少年と弓使いと魔法使いは逃げ去った大蛇を見て、古代洞窟のモンスターが他とは少し
違うことを体感するのであった。3人は戦いを終えると大蛇の逃げていった奥へと再び
歩いていくのであった。

「あ、また。開けた場所に出ましたね。ここがこの古代洞窟の最奥ですかね。」

「どうやら、そのようだな。あ、気をつけろよ。さっきの大蛇が奥にいるぞ。」

3人は古代洞窟の最奥へとたどり着くのであったが、先ほど逃げ去った大蛇が待ち構えて
いるのであった。しかし、大蛇は攻撃する素振りを見せず、平伏している様子であった。

「どうしたんだ。あの大蛇。なんか、攻撃してくる様子がないな。あれ、大蛇の隣にある
 岩の上にも何かいるな。」

少年は攻撃してこない大蛇を不思議に見ていると隣の岩に小さな白い蛇が鎮座している
ことに気がつくのであった。大蛇はその小さな白い蛇に平伏しているように見えた。

「隣の小さな白い蛇が応援か何かかな?」

「キシャー。違うぞ。人間よ。我はこの洞窟の主であるぞ。」

「あんな小さな蛇がしゃべっただと。」

「す、すごいよ。大発見だね。」

少年たちは小さな白い蛇の言葉に大変驚くのであった。小さな白い蛇は自分のことを
洞窟の主と名乗るのであった。

「キシャー。よくも我が部下を攻撃してくれたな。お返しだ。大いなる炎よ。我が前の
 敵を燃やし尽くせ。ヴォ。ヴォ。ヴォー。」

「うわー。やばい。回避できないぞ。」

「僕に任せて、大いなる風よ。我を守りたまえ。ギュル、ギュル、ギュルルー。」

魔法使いは自分の前に風魔法を発動させると発生した風が渦を巻くようにその場で
とどまるのであった。これにより、少年たちに向かって飛んできていた強力な炎の魔法
攻撃が止められてしまい、防御されるのであった。

「あぶなかった。もうちょっとで丸焦げだったね。それにしてもあんな小さい蛇がこんな
 強力な魔法を使えるなんて、すごいね。」

「キシャー。なかなかやるな人間よ。だが、次はさらに強力な魔法で仕留めるぞ。
 死にたくなければ、この洞窟から去るがよいニョロ。」

「え、ニョロって。お、おもしろい。じゃなかった。俺たちはこの古代洞窟の調査で
 来たんです。調査が終わったら、早々に立ち去ります。」

少年は洞窟の主に調査が終われば、すぐに帰ると伝えると、洞窟の主も少し落ち着きを
取り戻すのであった。

「キシャー。そうか。ならば、調査を終えたら、とっとと帰るニョロよ。」

「わかりました。ありがとうございます。ところでこの洞窟のモンスターは他のところの
 モンスターと様子が違うみたいですが、魔王軍とも関わっていないのですか?」

「キシャー。この洞窟のモンスターは我の部下ニョロ。いつも戦いで敗れそうになったら
 逃げるように指導してるニョロよ。あと、我やこの洞窟のモンスターは魔王軍とは
 関係ないニョロよ。あんなぽっと出の奴の下につくなんてありえないニョロよ。」

洞窟の主は少年たちに古代洞窟の調査を許可し、さらに魔王軍とは関係ないと自信を持って
宣言しており、魔王の支配すらはね退けていた。少年は洞窟の主の風格から長い年月を
生きながらえていると感じ取ると、古代洞窟に来た詳細な理由を話し出した。

「あなたから偉大な風格を感じたので、尋ねたいことがあります。じ、実は、俺たちは
 この洞窟の調査も兼ねて、あることを探しています。俺のつけている腕輪や弓や
 他の仲間がつけている腕輪のことです。これらには副作用があって、俺たちはその
 副作用を解決する方法を探しているんです。何かご存知ありませんか?」

「キシャー。その弓と魔法使いのつけている腕輪は知っているニョロ。静穏の弓と幸運の
 腕輪ニョロね。」

「知っているのか。副作用の解決方法は何かあるのか。」

洞窟の主が少年の問いに知っていると答えると弓使いは食いつくようにしゃべるので
あった。

「キシャー。懐かしいニョロね。昔、その2つを装備した人間たちと戦ったりして、大変
 だったニョロね。衝撃波をくらったり、双短刀でつつかれたり。元々、その2つの
 装備品は副作用で姿や攻撃方法が変わったわけではなく、強力なモンスターと戦う
 ための機能みたいなものニョロ。だから、使用しなければ、副作用と言ってることは
 発動しないニョロよ。」

「やはり、副作用を解決する方法は静穏の弓を手放すしかないのか。しかし、これを
 手放すと狙撃の能力が落ちてしまうからな。くそ。」

「僕もこの幸運の腕輪を手放すと魔法の能力が低下してしまうからね。どうしたもの
 かな。」

弓使いと魔法使いは洞窟の主からそれぞれの装備品のことを聞くと副作用は元々の機能で
手放すしかないと言われ、悩むのであった。そんな2人に洞窟の主はこんなことを言って
くるのであった。

「キシャー。何を悩むニョロ。副作用が嫌なら、手放して、自分の実力を上げればいい
 ニョロ。人間は修行して強くなれるニョロ。」

「うーん。それができれば、簡単な話だが、いくら修行しても狙撃の能力は向上しない
 んだ。」

「僕も成長が頭打ちになって、いくら修行しても魔法の能力が上昇しないんだ。」

弓使いと魔法使いは洞窟の主から修行して強くなれと言われたが、成長が頭打ちになって
いるので難しいと打ち明けた。そんな2人を見かねた洞窟の主はあることを言った。

「キシャー。なるほど、ならば、これをお前たちにあげよう。成長限界を高める秘薬だ
 ニョロ。これを飲んで、修行すれば、頭打ちになっていても、多少は強くなれる
 ニョロ。」

「そ、そんな薬が、でも、怪しいな。」

「キシャー。まあ。信じないなら、飲まなくていいニョロよ。副作用と向き合って
 いくのもよしニョロ。」

「うーん。僕はそんな秘薬があるなら飲んでみようかな。長年、この幸運の腕輪の
 副作用をなんとかしたいと思って、いろいろ調査していたからね。」

洞窟の主は成長限界を高める秘薬を提供しようとした。弓使いは怪しいと疑っていたが、
魔法使いは秘薬を試してみたいと思っていた。洞窟の主は成長限界を高める秘薬を岩の
陰から取り出すと魔法使いに渡すのであった。

「キシャー。さあ。これがその秘薬ニョロ。」

「では、いただきます。ゴクゴク。苦いな。これで成長限界が高まったのかな。」

「キシャー。そんなすぐに効果は出ないニョロ。これから修行してその効果を確認して
 いくしかないニョロ。」

魔法使いは成長限界を高める秘薬を飲み干すと体の変化を調べるが、特に何も起こって
おらず、洞窟の主も修行して効果を確認していくように言うのであった。弓使いは秘薬が
怪しいと思い、飲まずにいた。洞窟の主と2人がやり取りを終えると、少年が話を切り
出すのであった。

「あの。俺の剣士の腕輪なんですけど、何かご存知ありませんか?」

「キシャー。お前のつけている腕輪は見たことがないニョロ。きっと、他の2つの装備品
 よりあとに製作されたニョロよ。ここ100年近く、我はこの洞窟に引きこもっていた
 ニョロよ。おそらくそのときに製作されたニョロよ。」

「そうですか。今回も収穫はなしか。」

「キシャー。ただ、その腕輪は邪悪な感じが一切しないから、多分、つけていても
 大丈夫ニョロよ。」

少年は洞窟の主から剣士の腕輪の情報を得ることはできなかったが、洞窟の主が言うには
剣士の腕輪からは邪悪な感じがしないのでそのままつけていても大丈夫と言われた。
少年は少し安心するのであった。

「ありがとうございました。あの。この古代洞窟で見つけた古代の遺物ですが、
 持ち帰ってもいいでしょうか?」

「キシャー。我のものではないから、好きにするニョロ。ここまでたどり着いた
 褒美だニョロ。」

「ありがとうございます。あ、この金属製の腕輪って、ご存知ですか。途中で拾ったの
 ですが。」

「キシャー。あ、それは職変の腕輪と言って、装備して、なりたい職業に変われる
 腕輪だニョロ。ただし、変更後の職業になると初級レベルの能力に落ちるし、
 1度使うと粉々に砕けて使用できなくなるニョロ。だから、誰も使わないから
 捨ててあったニョロよ。」

「あ、あぶない。はめなくてよかったな。」

少年たちは洞窟の主から古代の遺物を持ち帰っていいと許しを得ると古代洞窟の最奥の中を調査して、古代洞窟の入り口へと戻っていくのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

変身シートマスク

廣瀬純一
ファンタジー
変身するシートマスクで女性に変身する男の話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

令和の俺と昭和の私

廣瀬純一
ファンタジー
令和の男子と昭和の女子の体が入れ替わる話

入れ替わりリング

廣瀬純一
ファンタジー
体か入れ替わるリングの話

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...