戦士と腕輪

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第3章 3人目

第31話 洞窟調査

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戦士と腕輪 第31話 洞窟調査
 
 砦防衛のクエストを終えた翌日、少年たちは次なるクエストを大都市で受けるべく
斡旋所へ向かうのであった。大都市での1つ目のクエストがすんなりと終わったので
少年たちは気を良くして、次のクエストを受けようと意気揚々と歩いていた。

「さあ。次はどんなクエストを受けましょうか。やっぱり、モンスターの退治とか
 ですかね?」

「うーん。それもいいが、難易度もあって、報酬の高いクエストを受けたいな。」

「確かに、蓄えも増やしておきたいからね。」

少年と弓使いと魔法使いは斡旋所に到着するまでにどんなクエストを引き受けるかを
相談するのであった。しばらくすると3人は斡旋所にたどり着くとドアを開けて中に
入っていくのであった。

「今日はどんなクエストが出ているかな。おー。報酬の高そうなクエストがたくさん
 出ているな。」

「確かに難易度も高いし報酬も高いクエストがいくつも募集されているな。ひさしぶりに
 歯応えのあるクエストにありつけそうだ。」

「あれ。このクエストはもしかして。こ、これにしよう。僕は絶対にこのクエストを
 受けたいよ。」

少年と弓使いが報酬の高そうなクエストを選定している途中で、魔法使いがあるクエストに
気がついて、何がなんでも受けたいと言い始めるのであった。少年は魔法使いの受けたい
クエストを見るのであった。

「どうしてこのクエストを受けたいんですか。何か、報酬が高いクエストだったり
 するんですか?」

「報酬は高くないんだけど、クエストの内容だよ。僕が前にパーティーを組んだら
 行きたい洞窟があるって言っただろ。その洞窟がこのクエストの目的の場所なんだよ。
 ほら、ここをよく見てよ。」

魔法使いはクエストの内容を指し示して、目的の場所が副作用の解決の手がかりになるかもしれないのでパーティを組んだら行ってみたいと言っていた洞窟であった。その洞窟は
古代洞窟と呼ばれており、とても広く、入り組んでおり、モンスターもたくさんいて
危険な場所であった。

「もしかするとこの古代洞窟に行けば、剣士の腕輪とかの副作用を解決する方法が
 見つかるかもしれないってことですね。」

「そうだよ。ここには貴重な道具が眠ってるかもしれないからね。でも、1人では危険
 だから行けなかったんだよ。」

少年は魔法使いから古代洞窟に行けば剣士の腕輪の副作用を解決できるかもしれないと
教えられると期待するのであったが、クエストの内容をよく見るとあることに気が
つくのであった。

「あれ、このクエストの依頼者って、学者の方なんだ。あれ、確か、新たな街の武器屋で
 店主に剣士の腕輪のことを聞いたときに大都市の学者に聞いてみればって、言われた
 ような。」

「なるほど、まずはこのクエストを引き受けて、古代洞窟に行く前に学者に会って、話を
 聞いてみるか。」

「じゃ。このクエストを引き受けることで決まりだね。さっそく僕が手続きをして
 来るよ。」

いつもは少年がクエストの手続きをやっていたが、今回は魔法使いが古代洞窟に行きたい
こともあって、魔法使いがクエストを受ける手続きをしてくるのであった。少年たちは
斡旋所で古代洞窟の調査クエストを引き受けると依頼者の学者のところへ行くのであった。

「えーっと。確か、学者の方がこの辺りに住んでいるって聞いたんだけどな。たぶん、
 あれかな。」

少年たちはクエストの依頼者である学者の住所を教えてもらって、なんとかたどり着くので
あった。少年はドアを軽く叩いて、あいさつをするのであった。

「こんにちわ。斡旋所のクエストを引き受けたものですが、お話を伺いに来ました。」

「ほおー。あのクエストを引き受けてくれた方がいたとはありがとうございます。
 さあ、部屋の中へ入ってくだされ。」

少年があいさつをすると中から初老の男性が出迎えるのであった。どうやら、この男性が
古代洞窟の調査クエストの依頼者である学者のようであった。少年たちは部屋の中に
招かれるとイスに腰掛けるのであった。学者も座るとクエストの件でしゃべり始めるので
あった。

「まずは古代洞窟の調査クエストを引き受けてくださり、ありがとうございます。私は
 古い道具や古い遺跡を調査する考古学を専門としております。実は今回の古代洞窟には
 古代の遺物があるかもしれないと考えておりまして、調査を考えておりました。」

学者は古代洞窟の調査の目的が古代の遺物調査であると話すのであった。学者は続けて
話していった。

「しかし、古代洞窟はご存知のとおり、モンスターがたくさんおりますので私が行くのは
 到底不可能でございます。どなたかが私の代わりに古代洞窟に行って、中を調査して
 いただこうと思いまして、今回のクエストを依頼したのです。」

「そうだったんですか。俺たちも古代洞窟の調査をしたいと思っていたのでこのクエストは
 願ったり叶ったりです。必ず、調査を完遂してみせます。ちなみにあなたは古代の
 遺物に詳しそうですが、俺のこの腕輪や仲間の装備している弓や腕輪に関して、知って
 いることはありませんか?」

少年は学者から古代洞窟の調査目的を聞いて理解すると、さっそく、剣士の腕輪や
静穏の弓や幸運の腕輪に関して聞いてみるのであった。学者は3人のそれぞれの装備品を
見ると答え始めた。

「あまり、こういった装備品は鑑定したりする機会が少ないので詳しくないのですが、
 この弓と魔法使いの方がつけておいでの腕輪は古代の遺物くらい古いものですね。
 ただ、あなたの装備されている赤い宝石のついた腕輪はあまり古いものではない
 ですね。100年程度くらい前のものですね。これ以上は私もわかりませんね。」

「そうですか。ありがとうございます。あとは古代洞窟に行ってみて、手がかりを探して
 きます。」

学者は剣士の腕輪や静穏の弓や幸運の腕輪に関してあまり有益な情報をもたらして
くれることはなかった。少年は学者からクエストや剣士の腕輪などに関する情報を聞き
終えると学者の部屋をあとにするのであった。次の日の早朝、少年たちは大都市を
出発して、古代洞窟へと向かうのであった。

「はあ。はあ。けっこう歩きますね。早朝に出発して4、5時間くらいは経ってるように
 思えますけど。」

「学者に古代洞窟の場所を教えてもらったが、そろそろ、着くんじゃあないか。」

「確か。この近くにあるって言ってたよね。あの茂みの先にあるのが、古代洞窟じゃ
 ないかな。」

少年が歩き疲れていたところ、魔法使いが古代洞窟の入り口を見つけてくれて、無事に
少年たちは今回のクエストの目的地である古代洞窟へたどり着くのであった。3人は
たいまつに火をつけるとさっそく古代洞窟の中へと入っていくのであった。

「中は、やはり、聞いていたようにけっこう広いですね。」

「2人とも、ここから先はモンスターが出るから、気をつけろよ。」

「僕は後ろからサポートするよ。2人とも前方を頼んだよ。」

少年と弓使いの2人が前方で前を警戒しながら進み、魔法使いは2人の後方を歩くように
していた。洞窟の暗闇の中を歩いて、5分程度が経過すると、弓使いが何かの気配を感じ
とったようで警戒し始めるのであった。

「う。なんだ。前の方に何かがいるな。モンスターのようだぞ。気をつけろよ。」

「あれって、もしかして、スパイダーじゃないか。俺が相手します。」

「ピギャー。ブシュー。」

少年がモンスターを見て、スパイダーと認識すると、クモのモンスターであるスパイダーも
少年たちの存在に気がついて、すぐに少年たちへ向けて糸をはき出してくるのであった。
少年は糸を回避しながら、攻撃を加えようと黒鉄剣をかまえて、走って、スパイダーに
接近するのであった。

「これでもくらえ。とりゃー。」

「ピギャー。ピギャー。」

少年の斬撃がスパイダーへ見事に直撃すると、スパイダーは相手の強さを感じ取ったのか、
すぐに退散していくのであった。あまりの呆気なさに少年は少し肩透かしをくらったようで
あった。

「あれ。あのスパイダー、一撃入れただけで、すぐに逃げていったよ。けっこう強いから
 反撃してくるかと思ったのにな。」

「レベルの高いモンスターほど、警戒心が高いのだろう。おまえにかなわないとわかって
 逃げたんだろう。」

「そ、そうですか。なんか。そう言われるとうれしいですね。」

少年は弓使いにスパイダーが逃げた理由が自分の強さであると言われて、喜ぶのであった。
気を取り直して、少年たちは洞窟を進むと少し開けた空間に出るのであった。まだ、奥へと
続く道があったが、クエストの目的である古代洞窟の調査のため、少年たちは周りを見て
いくのであった。

「たいまつで照らしているけど、洞窟の中は暗いから見づらいな。何かあるかな。」

「何か。道具の破片みたいなのが落ちているな。学者の言っていた古代のものかも
 しれないな。少し持ち帰るとするか。」

「あ、これ。古文書の切れ端かな。学者さんが喜ぶかもしれないから、持って行こう。」

弓使いと魔法使いがそれぞれ道具の破片や古文書の切れ端を発見すると持ち帰って、学者に
渡そうと考えるのであった。少年も何か見つからないかと探していたが、慣れない洞窟での
調査とあって、苦戦している様子であった。

「うーん。何かないかな。カラン。コロン。」

少年は何かないかと探していると足元で何かを蹴ってしまった音を聞くのであった。音の
する方へたいまつをかざすと何か金属製のものが落ちていた。少年は落ちていた金属製の
ものを確認するために近づくのであった。

「なんだろう。この金属製のものは腕輪のように見えなくもないな。もしかして、古代の
 道具かな。俺の装備している剣士の腕輪のようなものかな。」

少年は落ちていた金属製の腕輪を拾い上げると、それを観察し始めるのであった。金属製の腕輪のデザインは剣士の腕輪や幸運の腕輪とも違っており、簡素なものであった。少年は
弓使いと魔法使いの元へ行くと、拾った金属製の腕輪を見せるのであった。

「あの。こんな金属製の腕輪が落ちていたので拾ったんですが、これも古代のもの
 ですかね。俺にはよく分からなくて、見てもらっていいですか?」

「あ、本当だ。僕の幸運の腕輪とはデザインが違うから、何なのかはわからないけど、
 古代のものなら、装備すると何か効果があるかも。」

「やめておけ。装備して、これ以上の副作用が増えたら、面倒だぞ。学者に見せて、
 何なのかを鑑定してもらったほうがいいぞ。」

弓使いは金属製の腕輪の副作用を懸念して、あとで学者に見てもらおうと言うのであった。

「そうですね。とりあえず、この金属製の腕輪は持ち帰ってあとで見てもらいましょう。
 これで、この辺の調査はひと通り終わったようなので先へ進みましょう。」

「そうだな。まだ奥への道はありそうだしな。」

「途中の場所でこんなに古代の遺物らしいのが見つかるなら、奥にはもっとありそうな
 気がするな。楽しみだよ。」

周辺の調査を終えた少年と弓使いと魔法使いはさらなる発見を期待して、奥へと続く道を
再び歩き始めるのであった。
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