戦士と腕輪

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第3章 3人目

第23話 モンスターの動向調査

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戦士と腕輪 第23話 モンスターの動向調査
 
 少年が装備を新調して数日が経過したある日、少年と弓使いは斡旋所にいた。
2人はクエストを引き受けるためにいつものように掲示板を見ていた。

「何か。いいクエストはあるかな。報酬の高いやつで。」

「報酬の高いのはすぐに誰かが引き受けるからあまり残ってないぞ。」

少年と弓使いはそんなことを言いながら掲示板を見ていたが、少年の目にあるクエストが
目に止まるのであった。

「あ、このクエストはお手軽でいいんじゃあないですかね。」

「どれどれ、うーん。モンスターの動向調査か。」

少年の見つけたクエストは森林でのモンスターの動向調査であった。最近、新たな街から
少し離れたところにある森林でモンスターが多数目撃されたとのことで、念のために
森林でのモンスターの状況を詳細に調査して欲しいとのことであった。

「これなら、森林に行って、モンスターの様子を見て、斡旋所に報告すれば、報酬が
 すぐにもらえますよ。」

「あのなー。そんな楽に話が進むなら、クエストで依頼なんか出してこないぞ。うーん。
 しかし、モンスターの動向調査だけなら、ついでにモンスターも少し退治すれば、
 お金も稼げるだろうから、やってみるか。」

少年と弓使いはモンスターの動向調査のクエストを引き受けようと考えるのであった。
2人は若い女性の職員にこのクエストを引き受けることを申し出るのであった。

「あの。このモンスターの動向調査のクエストを引き受けたいんですが、可能ですか?」

「おはようございます。このクエストなら、まだ誰も引き受けておられませんので
 大丈夫ですよ。」

職員はまだ誰もこのクエストが引き受けていないと伝えると、少年は安心するので
あったが、弓使いがあることを聞くのであった。

「念のため、確認したいが、何らかの理由で危険になった場合は引き返して、報告する
 だけでいいな。」

「はい。調査だけですので、危険だと感じられた場合は引き返していただいて、
 報告するだけで構いません。」

弓使いは今回のクエストの目的が調査であり、危険な状況になった場合は引き返しても
いいと聞くと安心するのであった。少年と弓使いはクエストの確認を終えると正式に
クエストを引き受けるのであった。

「じゃあ。このクエストを引き受けます。」

「はい。よろしくお願いしますね。」

少年と弓使いは斡旋所でモンスターの動向調査のクエストを引き受けると斡旋所を出て、
森林へ向かうのであった。

「じゃあ。さっそく、モンスターの動向調査に森林へ行きましょうか。」

「あ、すまん。俺は道具屋に寄りたいから、新たな街の入り口で合流しよう。」

少年はすぐに行こうと考えていたが、弓使いは用事があるようで道具屋に行きたいようで
あった。仕方なく、少年は新たな街の入り口で弓使いが来るのを待つことにするので
あった。10分後、新たな街の入り口で待っていた少年の元に弓使いが現れるのであった。

「待たせたな。道具屋でちょっとした買い物があったから、準備万端だ。」

「よかった。じゃあ、さっそく、森林へ向かいましょう。」

少年と弓使いはモンスターの動向調査のため、森林へ向かうのであった。森林は新たな街
から少し離れたところにあり、広大な面積に木々が生い茂り、さまざまな動物や
モンスターも生息していた。2人は30分程度歩くと遠くに森林を見つけるのであった。

「あ、あれですかね。森林というのは、木がたくさんありますよ。そこいらの林や森とは
 全然違いますね。かなり広いですね。」

「ああ、そうだな。あの広大な木々が生い茂る森林には多くの動物やモンスターが
 生息しているそうだ。でも、1日でだいたいは見て回れる距離だから、調査も1日で
 済むだろう。今日中に新たな街には帰れるだろうさ。」

少年は森林の大きさに驚いていたが、弓使いは事前に情報を仕入れていたらしく、調査に
かかる時間も推測していたのであった。2人は森林の前まで来ると調査のために足を踏み
入れるのであった。森林の中を進む少年と弓使いはモンスターを探しながら、警戒して
歩くのであった。

「モンスターって、言っても、なかなか見つからないですね。本当にたくさん目撃
 されたのかな。」

「本当にそうだな。なかなか見つから。ちょっと待て、向こうに何か気配を感じるぞ。
 静かに。」

弓使いは何かの気配を察知したようで、少年に静かにするように言うのであった。少年と
弓使いはゆっくりと静かに歩いていくとその先にモンスターの姿をとらえるのであった。

「ウケ。ウケケ。」

「ウケ。ウケ。ウケケ。」

どうやら、ゴブリンが2匹おり、その場で立って会話でもしているよう様に見えた。
少年と弓使いは相手に見つからないように身を隠して注意しながら、ゴブリンを
観察するのであった。

「あ、ゴブリンだ。やっぱり、本当にいたんだ。でも、よくある光景だな。このまま
 出て行って、退治しますか?」

「うーん。ちょっと待ってくれ。もう少し様子を見よう。このクエストの目的は
 調査だからな。暴れ回って、騒ぎを起こすと他のモンスターが逃げてしまって、調査が
 台無しになるかも。」

少年はさっさとゴブリンを退治しようと提案するが、弓使いは注意深く観察することを
提案してくるのであった。とりあえず、弓使いの言う通りに2人はゴブリンの様子を
伺うのであった。しばらくすると、状況に変化が現れた。森林の奥の方から別のゴブリンが
1匹やってくるのであった。

「ウケ。ウケ。ウケケ。」

「ウケ。ウケ。」

交代するように2匹いたうちの1匹のゴブリンが森林の奥へ向かうのであった。その様子を
見ていた少年は訳が分からず、ゴブリンの行動をとても不思議がるのであった。

「あれ。新しいゴブリンが1匹来たと思ったら、別の1匹が奥に行っちゃったな。
 何してるのかな。」

「うーん。あれはまさか。おい。奥に進んでいったゴブリンを追うぞ。気づかれない
 ように静かに移動しよう。」

弓使いはゴブリンの行動に何かを察したのか、少年に自分といっしょに森林の奥へ進んで
いったゴブリンを尾行するように促すのであった。少年は弓使いのあとを追うように静かに
歩いていくのであった。

「あのゴブリンが気になるんですか。どこにでもいるようなゴブリンですけど。」

「いや。問題は奴らの行動だ。1匹のゴブリンが来て、1匹のゴブリンが戻っていった。
 あの場にいたのは2匹のゴブリンだが、ただ立っているのはどうも変だ。何か意図を
 感じる。きっと、あいつの向かう先に俺の疑問の答えがあるはずだ。」

弓使いはそう言いながら森林の奥へと進んでいったゴブリンを尾行していくのであった。
少年と弓使いは森林の奥へと進むとその先に少し開けた場所にゴブリンが歩いていくのを
確認するのであった。2人は尾行がバレないように少し開けた場所の手前の茂みに潜んで
あたりの様子を伺おうとした。2人はある光景を目撃するのであった。

「うわ。なんだ。あれは。すごい数のゴブリンだ。」

「うー。やはり。俺の予想通り。いや、予想以上だ。こんなにいたとは。それに
 ゴブリンだけじゃあ。なさそうだ。」

少年と弓使いの目の前には多数のゴブリンが列をなしていた。その数は数十匹となり、
弓使いの予想を遥かに超えていた。その中にはリーダーゴブリンや巨大ゴブリンが
複数おり、モンスターの大群が形成されていた。

「俺たちが最初に見た2匹のゴブリンは見張り役だったんですか?」

「おそらくそうだろう。ちょうど、見張りの交代を俺たちは目撃したんだろう。
 奥にゴブリンが多数いるとは思ったが、まさか、こんなにいるとは一体どうなって
 るんだ。」

少年と弓使いはモンスターの大群の様子をさらに調べるため、モンスターたちを観察して
いった。すると、弓使いは1匹のリーダーゴブリンに注目するのであった。

「あのモンスターの大群を統率しているリーダーゴブリンの1匹だな。あいつ、首に
 何かをつけているな。あのネックレス、先端に付いている飾りはまさか魔王軍の
 ものか。」

「え。あ、本当だ。あのネックレスは魔王軍のものだ。前に倒した奴と同じものですね。
 あいつらめ。こんな森林の奥で何をしているんだ。」

なんと弓使いの注目したリーダーゴブリンが魔王軍のネックレスを身につけており、
モンスターの大群は魔王軍の軍団であったのだ。当然、魔王軍が森林の奥で集まるだけで
済むはずがなく、少年と弓使いにはある恐ろしいイメージが頭をよぎるのであった。

「ま、まさか。奴ら、新たな街を襲撃するんじゃあないのか。あの数なら、迎え撃てる
 だろうけど。」

「いや、この森林でモンスターが多数目撃されているのは少し前からだ。あいつら、
 森林の中で待機して、モンスターの数をどんどんためていって、数がそろったら、
 部隊を編成して襲撃を始めるつもりだろう。」

「えっ。じゃあ。もっとモンスターの数が増えちゃうんですか?」

「数だけじゃない。質もだ。リーダーゴブリンや巨大ゴブリンも複数いるんだ。あいつらが
 もっと増えたら、厄介なことになる。モンスターの軍隊が攻めてくるぞ。新たな街が
 奇襲を受けたら、非常にまずいな。」

弓使いは状況が深刻になりつつあると考えるのであった。少年はあまりのことの大きさに
慌てふためくしかなかったが、弓使いはあることに思い至り、実行を開始しようとした。

「よし。とりあえず、新たな街にこの状況を知らせるぞ。斡旋所の戦士や魔法使いたちを
 至急集めて、討伐に戻ってこよう。魔王軍が大勢を整えている今なら、相手の襲撃を
 防げるだろう。」

「そうですね。それなら、魔王軍の目的を未然に防げますね。」

少年と弓使いは新たな街に戻って、魔王軍が森林に集結していることを伝えようと考え
るのであった。しかし、次の瞬間、その目論見はあっけなく崩れ去るのであった。

「ウケ。ウケケ。」

「しまった。ゴブリンに見つかった。あいつら、待機している場所も念のため警戒して
 いたんだな。当然、この茂みの周りも警戒して見回りをしていたのか。」

「俺が仕留めます。とりゃー。」

少年は見回りをしていたゴブリンに自分たちの姿を見つけられると新しく購入した黒鉄剣で
一気に斬りかかるのであった。

「ウケ。ウケケ。グフ。」

「うーん。やっぱり、新調した黒鉄剣は切れ味抜群だな。一撃で倒せたぞ。」

「こんなところで、何を、剣の切れ味を実感してるんだ。はっ。しまった。周りの
 ゴブリンもこちらに気がついたようだな。このまま逃げ切るのは難しそうだな。」

「ウケ。ウケケ。ウケ。」

少年は一撃でゴブリンを倒すのであった。当然、少年の剣士の腕輪の赤い宝石がピカッと
光るのであった。周りにいたゴブリンたちがこの騒ぎに気がついてしまったようで、少年と
弓使いのいた茂みへ集まり始めるのであった。モンスターにこちらの存在が気づかれて
しまい、弓使いは新たな街に戻ることをあきらめて、戦いに専念するしかないと考える
のであった。しかし、弓使いは慌てることなく、ポケットからあるものを取り出すと
準備を始めた。

「とりあえず、街へ戻るのは変更だ。ここで戦うしかないぞ。とりあえず、この信号弾で
 新たな街へ連絡をする。斡旋所の職員には来る前に伝えておいたから、気づいてくれる
 かもしれない。他の誰かもこの信号弾を見れば、察知して来てくれるだろう。
 ブシューン。」

「わかりました。モンスターの数は多いけど、俺の攻撃力は前より数段上がった気が
 します。距離をとりつつ、無茶をしないで戦えば、何とかなるでしょう。任せて
 ください。」

弓使いは信号弾を打ち上げて、新たな街の斡旋所へ連絡を送るのであった。斡旋所からの
増援を期待して、少年と弓使いは森林の中で魔王軍のモンスターの大群と戦い始めるので
あった。
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