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第2章 新たなる仲間
第17話 新たな街
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戦士と腕輪 第17話 新たな街
少年は弓使いといっしょに初めてモンスター退治をしたあと、街へ戻る途中、
弓使いにある相談をしていた。
「あ、あの。ちょっといいですか。さっきのモンスター退治の件なんですけど。」
「ああ、どうかしたのか。連携の仕方が合わないなら、もう少し修正しようか。」
「そうじゃないんですよ。戦っていて感じたんですけど、俺、前よりだいぶ強くなった
ようで、この辺のモンスターと戦っても歯応えを感じないんですよ。」
少年はこれまでの幾多の戦いで多くの経験を積んでいたため、能力がだいぶ向上して
いた。そして、ついこの間の緊急クエストでかなり経験を積めたのでさらに強くなって
いたのであった。少年は弓使いといっしょに戦った際に相手のモンスターがとても
弱いと感じてしまっていたのであった。弓使いは少年の言葉の意味を理解するとこう
言うのであった。
「確かに、おまえは最初に出会った頃よりだいぶ強くなってるな。この辺で強そうな
モンスターがいるのはさっきの森だからな。もし、もっと強い敵と戦いたいのなら、
他の地域に行くか。もしくはあの場所だな。」
「あの場所って、なんですか?」
「ああ、今の話は聞かなかったことにしてくれ。俺の趣向に合わない場所だからな。
まあ、他の地域に行けば、強いモンスターと戦えるかもしれないな。」
少年は弓使いの話を聞いて、強いモンスターとの戦いを望み、他の地域のことを意識し
始めるのであった。2人はそんな話をしながら、街へ戻っていくのであった。少年は街に
到着するとモンスターの死骸を持って、道具屋に向かうのであった。
「いらっしゃいませ。おや、あなたですか。モンスターの死骸の買い取りですね。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく頼むよ。」
少年は道具屋に入るとさっそく店主にあいさつをするのであった。当然、同行していた
弓使いも店主にあいさつするのであった。店主は少年と同行している弓使いを見ると
大変驚いた様子になるのであった。
「あ、あんた。ついに仲間を組むようになったのか。こ、これはすごいぞ。あんたほどの
弓の使い手が仲間になれば、百人力くらいの戦力アップだな。」
「誉めてもらって、とてもうれしいです。2人でがんばってやっていきます。」
少年は道具屋の店主に弓使いが仲間になったことを誉められて、かなり上機嫌になるので
あった。少年と弓使いはモンスターの死骸の買い取りが終わると道具屋を出て、次の
場所へ向かうのであった。
「これから、どうする?」
「斡旋所に行こうと思います。新しいクエストが出ていたら、申し込みたいので。」
少年は斡旋所に行こうと弓使いに提案し、弓使いもついていくのであった。少年と
弓使いはしばらく歩くと斡旋所に到着し、中に入っていくのであった。
「こんにちわ。」
「こんにちわ。おや、今日は1人でなくて、仲間の方といっしょですか。あれ、この方。」
少年は斡旋所の中に入って中年の職員にあいさつすると、職員も道具屋の店主と
同じように仲間になった弓使いを見て、とても驚くのであった。
「やっぱり、単独でクエストをこなしたり、モンスター退治するのは大変なんで、
この人に頼んで仲間になってもらいました。」
「そ、そうだったんですか。それにしても、すごい方を仲間にされましたね。この方の
弓の腕は他の地域の斡旋所にも伝わっていますから。」
「え。そんなすごい人だったんですか。」
「ま、まあな。他の地域からこの斡旋所にきたパーティーにも声をかけられたことが
あったからな。」
職員が弓使いを仲間にしたことに大変驚き、弓使いのすごさを説明すると、弓使いも
恐縮した態度を取るのであった。少年は弓使いを仲間にしたことを改めてよかったと再認識するのであった。しかし、当初の目的を思い出した少年はさっそく新しいクエストがない
かを確認しに掲示板へ行くのであった。
「あー。残念だな。新しいクエストはないや。せっかく仲間ができたから、いろんな
クエストを受けようと思ったのに。」
「そうですね。この斡旋所に来るクエストは多くないですから、最近たまたま少し増えた
だけですからね。他の地域の斡旋所ならもっと報酬の高いクエストや難易度の高い
クエストが受けられますよ。例えば、新たな街とか。」
少年が掲示板を見て、新しいクエストがないと残念そうにしていると、職員が報酬や
難易度の高いクエストが受けられる新たな街を口にするのであった。少年は職員の言葉に
とても興味を持つのであった。
「え、そんなところがあるんですか。その新たな街っていうところに行ってみたいな。
ちなみに強いモンスターとかもいますかね。」
「確か、新たな街の周辺には強いモンスターが生息する場所もあったはずなので、
モンスター退治も難易度が上がっていきますよ。」
職員の説明を聞いた少年は新たな街にとても興味を持つのであった。クエストだけでなく
モンスター退治も難易度が上がるとなれば、歯応えのあるモンスターと戦えて、たくさんの
経験を得られ、さらにモンスターの死骸の買い取り額も高くなり、少年にとっては
万々歳であった。
「あ、あの。新たな街って、ここから、どれくらいかかりますか?」
「確か。歩いて2、3日程度かな。結構な距離はあるよ。」
「そ、そうなんですか。ここから通っていくのは難しそうですね。」
少年は新たな街のことを職員から聞くとこの街から出ていく必要があると考えるので
あった。しかし、せっかく馴染んできた街を去ることは少年にとっては悩ましいことで
あった。クエストの確認を終えた少年と弓使いは斡旋所を出て、次にレストランへ
向かうのであった。
「今日は、あなたと初めてモンスター退治をしたし、お金も入ったんで、ごちそうを
食べましょう。」
「そうだな。俺も今日はモンスターをたくさん倒したから、ごちそうをいただくと
しよう。」
少年と弓使いはおいしい料理でも食べようとレストランの前まで来ると中に入っていくので
あった。レストランでは店主が出迎えてくれるのであった。
「いらっしゃい。よく来てくれたね。今日もおいしい肉料理を出せるよ。あれ、今日は
お連れさんがいるのかい。あれ、あんたは。」
「あの。実は今日からこの方には仲間になっていただいたんですよ。」
少年は店主に弓使いが仲間になったことを説明するのであった。当然、店主は目を
見開いて、驚くのであった。
「え、本当かい。それはよかったな。こんなすごい弓の使い手と仲間になれるなんて、
どうやってくどき落としたんだい。」
「ははは。まあ。色々ありまして、お互い通じるところがあって、仲間になってくだ
さったんです。」
「まあ。そういうことだ。話を元に戻すが、うまい肉料理を2人前頼むよ。」
少年は店主にそれとなくお茶を濁す形で弓使いが仲間になった経緯を説明しないように
した。弓使いも2人の隠したい部分に触れられたくなかったので店主に料理の注文を
するのであった。店主は注文をされるとさっそく2人分の肉料理を調理し始めるので
あった。
「はい。お待ちどうさま。肉の丸焼き2人前だよ。今日はいい肉が入ったんで
おいしいよ。」
「いただきます。はむ。うまい。いつ食べてもおいしいな。」
「うん。いい焼き具合だ。さすがは店主だな。」
少年と弓使いの2人は出された肉料理をおいしくほおばるのであった。しばらくの間は、
2人は肉料理を黙々と食べていたが、料理をほぼ食べ終わったところで、少年は店主に
あることを尋ねるのであった。
「あ、あの。新たな街って、ご存知ですか。」
「ああ。知ってるよ。ここにもたまにその街から客が来たりしているからな。
どうしたんだい。」
「実は、新たな街で報酬や難易度の高いクエストが受けられるって聞いたんで、興味が
あってどんなところかなって、思ってたんです。」
少年は店主に新たな街について知っていることを聞くのであった。店主も少年に新たな街に
ついて知っていることをしゃべり出すのであった。
「新たな街はこの街より大きくて、人口も経済もすごいぜ。新たな街には他の街からも
たくさん人が来たりするから、情報も多いよ。それになんてたって、あそこには
闘技場があるからな。戦士や魔法使いの戦いが観戦できるよ。もちろん参加も
できるよ。」
「そ、そうなんですか。闘技場なんてものがあるんですか。やっぱり行ってみたいな。」
「闘技場はやめておけ。見せ物に出るなんて俺はまっぴらごめんだ。俺の趣向に
合わんな。」
店主が新たな街について説明していると闘技場という場所が話にのぼり、少年は闘技場に
興味津々になるのであった。しかし、弓使いは闘技場の言葉を聞くとあまり好きでない
ようで否定的な反応を示すのであった。それでも、少年は店主の説明で新たな街のことが
さらに好きになったようで、次のような言葉を発するのであった。
「やっぱり、新たな街に行ってみたいな。この街から拠点を変えることになるけど、
それでも行ってみる価値は十分にあるな。そこなら歯応えのあるモンスターとの
戦いもできそうだし、闘技場でも戦えそうだしな。あの、どうでしょう。2人で
新たな街に行ってみませんか?」
「な、何を、突然、言い出すんだ。俺はこの街で十分だと思うぞ。」
「いえ。やっぱり、強いモンスターと戦えば、経験が多く積めますし、いろんな情報も
入ってくるんでお互いの問題のことを考えると新たな街を拠点にした方がいいと
思います。」
「うーん。確かにそれも一理あるな。わかった。おまえが行くなら、俺もついていって
やるよ。」
少年の説得で弓使いも新たな街に行くことに同意するのであった。少年と弓使いは
新たな街へ拠点を移すことを決めるのであった。さっそく、少年と弓使いはレストランでの
食事を終えると帰っていくのであった。
「よーし。善は急げだからな。帰って、移動の準備だな。」
「明日は出発する前にあちこち回って、あいさつしてから出発するぞ。」
「わかりました。意外と律儀なんですね。」
少年が旅の準備を考えていると弓使いが世話になったところにあいさつしてから街を
出ようと言うのであった。少年もそのことに賛成するのであった。2人はレストランの前で
別れて、帰っていくのであった。少年は自分の部屋に戻るとあることを思い出した。
「あっ。そうだ。この街を出ていくなら、母さんにも連絡しておかないとな。手紙を
書いて、出しておこうかな。」
少年は母親へ街を去ることを手紙にしたためるのであった。手紙を書き終えた少年は布のカバンに移動の準備のため、着替えなどの荷物を詰め込んでいくのであった。翌日、少年は
朝起きると支度をして、部屋を紹介してくれる店を訪れて、部屋の鍵を返すのであった。
「そうですか。この街から去られるのですか。がんばってください。」
店主は少年にそう言って、送り出すのであった。次に、少年は斡旋所へ向かうのであった。
そこでは弓使いが斡旋所の前で待っており、少年は声をかけるのであった。
「おはようございます。早いですね。」
「いや。俺もついさっき来たばかりだ。じゃあ。さっそく、中に入ろう。」
少年と弓使いはあいさつを終えるとさっそく斡旋所の中に入っていくのであった。中には、
中年の職員がおり、あいさつをしてくるのであった。
「おや。どうされましたか。昨日も来られていたのに、新規のクエストが入ってきて
いるかが気になりましたか?」
「いえ。そうではないんです。実は、俺たちは新たな街に行くつもりなんです。今日は
最後のあいさつに伺ったんです。」
「え。そ、そうなんですか。残念ですね。あなたたちのような若くて有望な戦士が
ここから去られるなんて。でも、そんなことを言っても仕方ないですね。新たな街でも
がんばってください。」
少年と弓使いは職員に新たな街に行くことを告げると、職員が少し残念がるのであったが、
最後は気持ちよく送り出してくれるのであった。こうして、2人は斡旋所でのあいさつを
済ませると武器屋や道具屋やレストランを回って、同様のあいさつをしていくのであった。
「よし、これで街の人にも出発前にあいさつを済ませられたな。では、出発しましょう。」
「ああ、行こうか。」
少年と弓使いは大きな期待とわずかな不安を持ちながら、街をあとにして、新たな街へと
向かって歩み始めていくのであった。
少年は弓使いといっしょに初めてモンスター退治をしたあと、街へ戻る途中、
弓使いにある相談をしていた。
「あ、あの。ちょっといいですか。さっきのモンスター退治の件なんですけど。」
「ああ、どうかしたのか。連携の仕方が合わないなら、もう少し修正しようか。」
「そうじゃないんですよ。戦っていて感じたんですけど、俺、前よりだいぶ強くなった
ようで、この辺のモンスターと戦っても歯応えを感じないんですよ。」
少年はこれまでの幾多の戦いで多くの経験を積んでいたため、能力がだいぶ向上して
いた。そして、ついこの間の緊急クエストでかなり経験を積めたのでさらに強くなって
いたのであった。少年は弓使いといっしょに戦った際に相手のモンスターがとても
弱いと感じてしまっていたのであった。弓使いは少年の言葉の意味を理解するとこう
言うのであった。
「確かに、おまえは最初に出会った頃よりだいぶ強くなってるな。この辺で強そうな
モンスターがいるのはさっきの森だからな。もし、もっと強い敵と戦いたいのなら、
他の地域に行くか。もしくはあの場所だな。」
「あの場所って、なんですか?」
「ああ、今の話は聞かなかったことにしてくれ。俺の趣向に合わない場所だからな。
まあ、他の地域に行けば、強いモンスターと戦えるかもしれないな。」
少年は弓使いの話を聞いて、強いモンスターとの戦いを望み、他の地域のことを意識し
始めるのであった。2人はそんな話をしながら、街へ戻っていくのであった。少年は街に
到着するとモンスターの死骸を持って、道具屋に向かうのであった。
「いらっしゃいませ。おや、あなたですか。モンスターの死骸の買い取りですね。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく頼むよ。」
少年は道具屋に入るとさっそく店主にあいさつをするのであった。当然、同行していた
弓使いも店主にあいさつするのであった。店主は少年と同行している弓使いを見ると
大変驚いた様子になるのであった。
「あ、あんた。ついに仲間を組むようになったのか。こ、これはすごいぞ。あんたほどの
弓の使い手が仲間になれば、百人力くらいの戦力アップだな。」
「誉めてもらって、とてもうれしいです。2人でがんばってやっていきます。」
少年は道具屋の店主に弓使いが仲間になったことを誉められて、かなり上機嫌になるので
あった。少年と弓使いはモンスターの死骸の買い取りが終わると道具屋を出て、次の
場所へ向かうのであった。
「これから、どうする?」
「斡旋所に行こうと思います。新しいクエストが出ていたら、申し込みたいので。」
少年は斡旋所に行こうと弓使いに提案し、弓使いもついていくのであった。少年と
弓使いはしばらく歩くと斡旋所に到着し、中に入っていくのであった。
「こんにちわ。」
「こんにちわ。おや、今日は1人でなくて、仲間の方といっしょですか。あれ、この方。」
少年は斡旋所の中に入って中年の職員にあいさつすると、職員も道具屋の店主と
同じように仲間になった弓使いを見て、とても驚くのであった。
「やっぱり、単独でクエストをこなしたり、モンスター退治するのは大変なんで、
この人に頼んで仲間になってもらいました。」
「そ、そうだったんですか。それにしても、すごい方を仲間にされましたね。この方の
弓の腕は他の地域の斡旋所にも伝わっていますから。」
「え。そんなすごい人だったんですか。」
「ま、まあな。他の地域からこの斡旋所にきたパーティーにも声をかけられたことが
あったからな。」
職員が弓使いを仲間にしたことに大変驚き、弓使いのすごさを説明すると、弓使いも
恐縮した態度を取るのであった。少年は弓使いを仲間にしたことを改めてよかったと再認識するのであった。しかし、当初の目的を思い出した少年はさっそく新しいクエストがない
かを確認しに掲示板へ行くのであった。
「あー。残念だな。新しいクエストはないや。せっかく仲間ができたから、いろんな
クエストを受けようと思ったのに。」
「そうですね。この斡旋所に来るクエストは多くないですから、最近たまたま少し増えた
だけですからね。他の地域の斡旋所ならもっと報酬の高いクエストや難易度の高い
クエストが受けられますよ。例えば、新たな街とか。」
少年が掲示板を見て、新しいクエストがないと残念そうにしていると、職員が報酬や
難易度の高いクエストが受けられる新たな街を口にするのであった。少年は職員の言葉に
とても興味を持つのであった。
「え、そんなところがあるんですか。その新たな街っていうところに行ってみたいな。
ちなみに強いモンスターとかもいますかね。」
「確か、新たな街の周辺には強いモンスターが生息する場所もあったはずなので、
モンスター退治も難易度が上がっていきますよ。」
職員の説明を聞いた少年は新たな街にとても興味を持つのであった。クエストだけでなく
モンスター退治も難易度が上がるとなれば、歯応えのあるモンスターと戦えて、たくさんの
経験を得られ、さらにモンスターの死骸の買い取り額も高くなり、少年にとっては
万々歳であった。
「あ、あの。新たな街って、ここから、どれくらいかかりますか?」
「確か。歩いて2、3日程度かな。結構な距離はあるよ。」
「そ、そうなんですか。ここから通っていくのは難しそうですね。」
少年は新たな街のことを職員から聞くとこの街から出ていく必要があると考えるので
あった。しかし、せっかく馴染んできた街を去ることは少年にとっては悩ましいことで
あった。クエストの確認を終えた少年と弓使いは斡旋所を出て、次にレストランへ
向かうのであった。
「今日は、あなたと初めてモンスター退治をしたし、お金も入ったんで、ごちそうを
食べましょう。」
「そうだな。俺も今日はモンスターをたくさん倒したから、ごちそうをいただくと
しよう。」
少年と弓使いはおいしい料理でも食べようとレストランの前まで来ると中に入っていくので
あった。レストランでは店主が出迎えてくれるのであった。
「いらっしゃい。よく来てくれたね。今日もおいしい肉料理を出せるよ。あれ、今日は
お連れさんがいるのかい。あれ、あんたは。」
「あの。実は今日からこの方には仲間になっていただいたんですよ。」
少年は店主に弓使いが仲間になったことを説明するのであった。当然、店主は目を
見開いて、驚くのであった。
「え、本当かい。それはよかったな。こんなすごい弓の使い手と仲間になれるなんて、
どうやってくどき落としたんだい。」
「ははは。まあ。色々ありまして、お互い通じるところがあって、仲間になってくだ
さったんです。」
「まあ。そういうことだ。話を元に戻すが、うまい肉料理を2人前頼むよ。」
少年は店主にそれとなくお茶を濁す形で弓使いが仲間になった経緯を説明しないように
した。弓使いも2人の隠したい部分に触れられたくなかったので店主に料理の注文を
するのであった。店主は注文をされるとさっそく2人分の肉料理を調理し始めるので
あった。
「はい。お待ちどうさま。肉の丸焼き2人前だよ。今日はいい肉が入ったんで
おいしいよ。」
「いただきます。はむ。うまい。いつ食べてもおいしいな。」
「うん。いい焼き具合だ。さすがは店主だな。」
少年と弓使いの2人は出された肉料理をおいしくほおばるのであった。しばらくの間は、
2人は肉料理を黙々と食べていたが、料理をほぼ食べ終わったところで、少年は店主に
あることを尋ねるのであった。
「あ、あの。新たな街って、ご存知ですか。」
「ああ。知ってるよ。ここにもたまにその街から客が来たりしているからな。
どうしたんだい。」
「実は、新たな街で報酬や難易度の高いクエストが受けられるって聞いたんで、興味が
あってどんなところかなって、思ってたんです。」
少年は店主に新たな街について知っていることを聞くのであった。店主も少年に新たな街に
ついて知っていることをしゃべり出すのであった。
「新たな街はこの街より大きくて、人口も経済もすごいぜ。新たな街には他の街からも
たくさん人が来たりするから、情報も多いよ。それになんてたって、あそこには
闘技場があるからな。戦士や魔法使いの戦いが観戦できるよ。もちろん参加も
できるよ。」
「そ、そうなんですか。闘技場なんてものがあるんですか。やっぱり行ってみたいな。」
「闘技場はやめておけ。見せ物に出るなんて俺はまっぴらごめんだ。俺の趣向に
合わんな。」
店主が新たな街について説明していると闘技場という場所が話にのぼり、少年は闘技場に
興味津々になるのであった。しかし、弓使いは闘技場の言葉を聞くとあまり好きでない
ようで否定的な反応を示すのであった。それでも、少年は店主の説明で新たな街のことが
さらに好きになったようで、次のような言葉を発するのであった。
「やっぱり、新たな街に行ってみたいな。この街から拠点を変えることになるけど、
それでも行ってみる価値は十分にあるな。そこなら歯応えのあるモンスターとの
戦いもできそうだし、闘技場でも戦えそうだしな。あの、どうでしょう。2人で
新たな街に行ってみませんか?」
「な、何を、突然、言い出すんだ。俺はこの街で十分だと思うぞ。」
「いえ。やっぱり、強いモンスターと戦えば、経験が多く積めますし、いろんな情報も
入ってくるんでお互いの問題のことを考えると新たな街を拠点にした方がいいと
思います。」
「うーん。確かにそれも一理あるな。わかった。おまえが行くなら、俺もついていって
やるよ。」
少年の説得で弓使いも新たな街に行くことに同意するのであった。少年と弓使いは
新たな街へ拠点を移すことを決めるのであった。さっそく、少年と弓使いはレストランでの
食事を終えると帰っていくのであった。
「よーし。善は急げだからな。帰って、移動の準備だな。」
「明日は出発する前にあちこち回って、あいさつしてから出発するぞ。」
「わかりました。意外と律儀なんですね。」
少年が旅の準備を考えていると弓使いが世話になったところにあいさつしてから街を
出ようと言うのであった。少年もそのことに賛成するのであった。2人はレストランの前で
別れて、帰っていくのであった。少年は自分の部屋に戻るとあることを思い出した。
「あっ。そうだ。この街を出ていくなら、母さんにも連絡しておかないとな。手紙を
書いて、出しておこうかな。」
少年は母親へ街を去ることを手紙にしたためるのであった。手紙を書き終えた少年は布のカバンに移動の準備のため、着替えなどの荷物を詰め込んでいくのであった。翌日、少年は
朝起きると支度をして、部屋を紹介してくれる店を訪れて、部屋の鍵を返すのであった。
「そうですか。この街から去られるのですか。がんばってください。」
店主は少年にそう言って、送り出すのであった。次に、少年は斡旋所へ向かうのであった。
そこでは弓使いが斡旋所の前で待っており、少年は声をかけるのであった。
「おはようございます。早いですね。」
「いや。俺もついさっき来たばかりだ。じゃあ。さっそく、中に入ろう。」
少年と弓使いはあいさつを終えるとさっそく斡旋所の中に入っていくのであった。中には、
中年の職員がおり、あいさつをしてくるのであった。
「おや。どうされましたか。昨日も来られていたのに、新規のクエストが入ってきて
いるかが気になりましたか?」
「いえ。そうではないんです。実は、俺たちは新たな街に行くつもりなんです。今日は
最後のあいさつに伺ったんです。」
「え。そ、そうなんですか。残念ですね。あなたたちのような若くて有望な戦士が
ここから去られるなんて。でも、そんなことを言っても仕方ないですね。新たな街でも
がんばってください。」
少年と弓使いは職員に新たな街に行くことを告げると、職員が少し残念がるのであったが、
最後は気持ちよく送り出してくれるのであった。こうして、2人は斡旋所でのあいさつを
済ませると武器屋や道具屋やレストランを回って、同様のあいさつをしていくのであった。
「よし、これで街の人にも出発前にあいさつを済ませられたな。では、出発しましょう。」
「ああ、行こうか。」
少年と弓使いは大きな期待とわずかな不安を持ちながら、街をあとにして、新たな街へと
向かって歩み始めていくのであった。
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