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第2章 新たなる仲間
第13話 増援
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戦士と腕輪 第13話 増援
少年は増援部隊を呼びに街へ向かって走っていた。夜までに戻らなければ、モンスターの大群に包囲攻撃を受けて激しい戦闘が続いている街の近くの村は放棄されてしまうので
あった。
「必ず、街に戻って、増援部隊を呼んでくるぞ。村の人たちや他の戦士たちを必ず助ける
からな。全速力で走っていけば、街について増援部隊といっしょに来ても、夜までには
間に合うはずだ。」
少年はそんな事態にならないようにと心に誓いながら、全速力で進むのであるが、
後方から嫌な声が聞こえてきた。
「ウケ。ウケケ。」
「うっ。あの声はゴブリンの声だ。まさか、増援部隊を呼びに行こうとしている俺を
追ってきたのか。」
複数のゴブリンが全速力で走る少年を追ってきているようであった。ゴブリンは小柄で
足もそこそこ早いので追撃者としては十分機能していた。少年は走りながら後方を確認する
ために後ろを振り向くとゴブリンたちが素早い動きで追ってきていることを目にするので
あった。
「うー。なんてこった。ゴブリンが俺を追ってきている。しかも5体くらいはいるな。1体
くらいなら、足を止めて、戦ってもいいけど。あんな数を相手にしていたら、余計な
時間を取られてしまうな。このまま、走り続けるぞ。それにしても、全く、なんて、
連中だ。確かに先鋒部隊のリーダーの言う通り、奴らは統率された動きをしているな。
いったい、どうなっているんだ。」
少年は後方を見て5体程度のゴブリンを確認すると戦って足止めをくらうことを避けるため
そのまま走るのであった。さらに、少年はモンスターたちが統率されていることにも、
不自然さを感じるのであった。普段、モンスターたちは複数で群れをなすくらいで、包囲
攻撃や追撃をしてきたりと統率された動きは全くしないはずであった。少年は得体の知れ
ない何かの意図を感じざるを得なかった。
「よし、俺の足も結構速いから、これなら追いつかれそうにないな。」
「ウケ。ウケケ。ブーン。」
少年はゴブリンたちに追いつかれることなく、街まで走っていけると確信していたが、
追撃してきている1体のゴブリンが棍棒を少年に向かって、勢いよく投げてくるので
あった。棍棒は少年の足元に当たると、少年はバランスを崩して、こけそうになるので
あった。
「う、うわ。あぶない。こけるところだったよ。」
「ウケ。ウケケ。」
「し、しまった。ゴブリンに追いつかれてしまったぞ。こうなったら、戦うしかない。」
少年はなんとかこけずに済んだが、ゴブリンたちに追いつかれて、囲まれてしまうので
あった。少年は戦うことを選択すると鉄剣を構えて、戦闘体勢に入るのであった。
少年は早く戦いを終わらせるために、1体のゴブリンへめがけて、鉄剣を振り下ろすので
あった。
「さっさと戦闘を終わらせるぞ。先手必勝だ。くらえ。とりゃー。」
「ウケ。ウケケ。ガン。」
「ウケ。ウケケ。ガン。」
少年は振り下ろした鉄剣でゴブリンにダメージを与えてやろうと思ったが、なんと、隣に
いたゴブリンがカバーに入って2体で少年の攻撃を防ぐのであった。さらにゴブリン2体が
反撃してくると思われたが、棍棒を構えるだけで反撃してこないのであった。
「くそ。連携して守られたか。しかも、反撃してこないなんて、まさか。ここで時間を
稼ごうとしているのか。ま、まずいぞ。これでは夜までに村に戻れなくなるぞ。」
少年はゴブリンたちの目的が自分の足止めにあると察すると、非常にまずいと考えるので
あった。彼はなんとかこの状況を打破すべく、あの剣技をくらわせることを決めるので
あった。
「こうなったら、いくぞ。連撃。えい。とりゃー。どりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年はゴブリンに連撃をくらわせると、ゴブリンは倒れ込んで、ほぼ動かなくなって
しまった。1匹目のゴブリンをほぼ戦闘不能に追い込んだので、少年はすぐさま次の
ゴブリンに攻撃を仕掛けようとしたが、ゴブリンたちに囲まれていることを忘れていた
少年は背後からの攻撃に気がつくのが遅れるのであった。
「ウケ。ウケケ。ブン。」
「うわ。しまった。背後からやられた。痛。」
少年は背後にいたゴブリンから棍棒で打撃を受けると背中をやられて、その場で膝を
つくのであった。ゴブリンたちは弱って隙のできた少年を見るや一斉に攻撃を仕掛けて
くるのであった。
「や、やばい。やられるぞ。」
「ウケ。ウケケ。ゴン。」
「シュパーン。」
少年がゴブリンに囲まれて一斉攻撃を受ける瞬間、遠くから発射された矢が囲んでいた
ゴブリンの1体の頭部に突き刺さるのであった。少年に攻撃をしようとしたゴブリンたちは
何が起こったかわけがわからず、攻撃を中止して、矢の飛んできた方向を見るのであった。
「ウケ。ウケケ。」
「シュパーン。」
「ウケ。グフ。」
しかし、ゴブリンたちが矢の飛んできた方向を見た瞬間、2射目が高速で飛んできて、
ゴブリンの別の1体の頭部に刺さってしまい、その場で倒れてしまうのであった。
あまりの唐突な展開にゴブリンたちは困惑し始めて、少年から後ずさりしていくので
あった。この場で何が起こったかをいち早く理解できたのは少年であった。彼は立ち
上がって、鉄剣を構えるとさっそく、ゴブリンに攻撃を仕掛けるのであった。
「た、助かった。今のうちだ。くらえ。ため切り。どりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
少年は後退し始めたゴブリンに追撃とばかりに鉄剣によるため切りをお見舞いしてやるので
あった。当然、攻撃を受けたゴブリンはすぐさま倒れてしまい、少年の剣士の腕輪の赤い
宝石がピカッと光るのであった。残ったゴブリンたちはこのまずい状況を理解すると
脱兎のごとく逃げ去るのであった。
「ふぅー。助かった。ありがとうございます。また、あなたに助けられてしまいました。」
「ふっ。毎回、運のいいやつだな。俺が放たなければ、やられていたな。」
少年が弓矢で助けてくれた相手に感謝の言葉を投げかけると、遠くから歩いてくる弓使いが
少年に素っ気なく答えるのであった。少年はさっそく感謝の言葉を言ったあとにあることを
頼むのであった。
「俺、街の近くの村から街に増援部隊を呼びに急いで行く途中だったんです。今、街の
近くの村は、モンスターの大群に包囲攻撃されていて、増援部隊を呼ばないと夜まで
もたないんです。協力してくれませんか。」
少年の必死の訴えにさすがの弓使いもすぐに応じてくれると思われたが、なぜか、弓使いは
素っ気ない感じで少年の願いに応じるふうではなかった。
「ふっ。何を言うかと思えば、俺は、そもそも、その増援部隊に参加して、ここに
いるんだぞ。先行偵察で先にここまで様子を見にきていたんだ。」
「そ、そうなんですか。助かりました。これで、街まで呼びに行く手間が省けたぞ。」
「お前たちの部隊からの報告が、全然、街に来なかったから、斡旋所が心配して、
増援部隊を派遣することにしたんだ。本隊はすぐ後方まで来ているぞ。」
少年は弓使いから増援部隊が近くまで来ていることを聞かされると安堵の表情を浮かべる
のであった。少年は街の近くの村から街への道のりの3割程度のところにいたので、今から
帰れば、20分程度で街の近くの村へ戻れると算段するのであった。少年はすぐに気を
引き締め直すのであった。
「ここから、街の近くの村までは20分程度かかります。すぐに増援部隊といっしょに
行けば、村の劣勢を押し返せるはずです。」
「わかった。増援部隊がここに到着したら、一気に移動速度をあげて、街の近くの村を
救いに行こう。」
数分後、増援部隊が到着すると、少年は増援部隊のリーダーに街の近くの村の厳しい戦況を
説明して、すぐに助けに行くように伝えるのであった。少年と弓使いは増援部隊の先頭に
立って、街の近くの村までの先導役を務めるのであった。
「あともう少しで街の近くの村に到着します。村はモンスターの大群に包囲されています。
気をつけてください。」
「わかった。モンスターたちに気がつかれないように近くまで静かに進んで、一気に
奇襲を仕掛けよう。みんな、頼むぞ。」
少年が目的の村の近くまで来たことを伝えると、増援部隊のリーダーは他の戦士たちに
静かに進んで、包囲攻撃しているモンスターたちの背後を一気に奇襲して、突き崩そうと
伝えるのであった。増援部隊は木々の中を腰を下げてゆっくりと進んでいくのであった。
しばらくすると街の近くの村を囲むように包囲攻撃をしていたモンスターの大群の姿が
増援部隊の目の前に現れるのであった。
「あれが街の近くの村です。や、やばい。防衛してくれている戦士たちがだいぶ
押されている。早く、助けに入らないと。」
「確かにあれはまずいな。俺はすぐそばの木の上に登って、そこから弓矢で狙撃して
いく。」
「わかった。弓矢の狙撃が奇襲の合図だ。みんな、低い姿勢で攻撃準備に入ってくれ。」
少年は当初の目的通りに増援部隊を街の近くの村まで連れてくることを達成したが、
モンスターの大群の包囲攻撃で討伐隊の戦士たちはかなり押されて苦戦を強いられていた。
弓使いが木の上からの狙撃を準備すると、増援部隊の戦士たちは奇襲攻撃をするために
合図となる弓矢の狙撃を今や今かと待ち構えるのであった。
「よし、位置についたぞ。シュパーン。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
「今だ。みんな、突撃だ。」
弓使いの狙撃がゴブリンの頭部に命中して、ゴブリンがその場で倒れると、増援部隊の
リーダーのかけ声で、増援部隊の戦士たちが一斉に奇襲攻撃を開始するのであった。少年も
先頭に立って、ゴブリンの背後に襲いかかるのであった。
「くらえ。とりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年は一気に鉄剣を振り抜いて、ゴブリンをたたき切るのであった。ゴブリンはその場で
倒れてしまうのであった。当然、剣士の腕輪の赤い宝石もピカッと光るのであった。
「あっ。つい調子に乗ってしまった。気をつけないとな。」
少年は次々とゴブリンの後方から攻撃を加えていくが、ゴブリンたちにとどめを
刺さない程度に倒して進んでいくのであった。
「はあ。はあ。お待たせしました。増援部隊を引き連れて来ました。」
「はあ。はあ。よく戻ってきてくれた。予定よりだいぶ早く帰ってきてくれたね。
助かったよ。夜どころか夕方までもたないと思い始めていたんだ。」
少年は村の門の前で防衛していた先鋒部隊のリーダーのところまでたどり着くと無事に
増援部隊を引き連れてきたことを報告し、感謝されるのであった。少年は任された任務の
達成感に浸りたいところであったが、モンスターの退治が優先であったので、再び、戦闘に
戻るのであった。
「えい。やー。とりゃー。ふぅ。だいぶ倒したな。これで村の門の包囲攻撃は
解けそうだな。」
少年は増援部隊と協力して、モンスターたちをどんどん倒していき、あと少しで
モンスターの包囲を解けそうだと感じ始めていた。しかし、村の他の場所を攻撃していた
ゴブリン十数体が補充されるように村の門の前にやって来るのであった。
「あっ。また、ゴブリンがこっちにやって来た。包囲を解かせない気だな。やっぱり、
統率されているな。」
「ウケケー。ウケー。」
少年は補充されてやって来たゴブリンたちを見て、統率されていると苦々しく感じるので
あったが、そのゴブリンたちの中に見慣れない1体がいることに気がつくのであった。
「あ、あのゴブリンだけ、なんか、様子が違うぞ。なんか、他のゴブリンたちに指示を
出しているような素振りだぞ。」
「あれは、リーダーゴブリンじゃないか。奴が統率していたのか。道理で
モンスターたちが包囲攻撃もしてくるわけだ。みんな。奴を最優先で倒してくれ。」
少年が気がついた後、それに促される形で先鋒部隊のリーダーがリーダーゴブリンに
気がつき、これまでの統率されたモンスターの動きの理由を理解した。さらに統率を
なくすためにリーダーゴブリンに攻撃を集中させることを指示するのであった。
「よし、あのリーダーゴブリンを倒せば、モンスターの包囲も解けるぞ。とりゃー。」
少年はリーダーゴブリンを目指して進んでいくのであったが、そんな簡単にうまくはいかな
かった。リーダーゴブリンの周りには多くのゴブリンが守っており、なかなか突き崩せ
なかった。さらに巨大ゴブリンも数体投入されてきてしまい、乱戦の様相を呈してきた。
「くそー。あともうちょっとで包囲が解けそうなのに、これじゃあ。まずいぞ。」
少年はこのままではらちがあかないと感じ、ある決意をするのであった。
「こうなったら、あの姿になって、一気にゴブリンを一掃するしかないな。このまま
じゃあ。包囲攻撃が解けずに夜まで持たなくなるぞ。」
少年は決意を固めると鉄剣を握りしめて、近くにいたゴブリンに斬りかかるのであった。
「どりゃー。えい。とりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年はどんどんとゴブリンを倒していくのであった。それはリーダーゴブリンに近づく
ためでなく、ゴブリンをたくさん倒すためであった。少年の剣士の腕輪はゴブリンが
倒されるたびに埋め込まれた赤い宝石がピカッと光り、点灯するかのようになっていた。
「よーし。これで10匹目だ。どこかに隠れないとこんなところでみんなに見られたら
大変だな。」
少年は剣士の腕輪の副作用を発動させるために必要なモンスター10匹を倒すと隠れるために
一旦戦闘から離脱して、近くの林へ走っていくのであった。
「う、どうしたんだ。あいつは、急に離脱して、ダメージでもおったのか。」
弓使いは少年の動きを気にかけて、モンスターへ攻撃しつつも少年の様子を見るので
あった。一方、少年は近くの林へ入ると木の裏に隠れるのであった。少年は光る
剣士の腕輪を見ていると光がさらに強くなり、少年の周りが赤い宝石の光で包まれて
しまうのであった。
「き、来たぞ。あれが起こっちゃうぞ。」
なんと、少年の体は赤い宝石の光の中で変化を始めるのであった。まずはゴツゴツして
いた手が白く細いものへと変化し始めた。そして、脚も細くスラリとしたものに変化して
いくのであった。さらに変化は進み、肌は白くきめ細かに、腕や脚も伸び始めていくので
あった。
「あ、なんだ。体が変わっていっているような気がするぞ。」
少年の体の変化はこれにとどまらず、胴体にも及び始めた。胸の筋肉質な部分が徐々に
柔らかくなると胸が少しずつ膨らみ始めるのであった。初めは少し隆起する程度あったが
服を押し上げていき、みるみるうちに胸がどんどんと膨らみメロンくらいのサイズにまで
膨らみ、ピンク色の乳首や乳輪が形成されていくのであった。これとは逆に腰の部分は
キュッとくびれて見事なくびれが形成されるのであった。
「む、胸が膨らんでるよ。はあん。」
少年は胸の膨らみの影響で思わず、声を発してしまうのであったが、この声がまるで女性の
ような高い声に変わってしまっていた。胸の膨らみに呼応するように太ももはムチっと
適度に膨らみ、お尻も膨らみ始めて、大きな美尻が形成されるのであった。
「あん、俺。なんて声を出しているんだ。それになんか、太ももやお尻も大きくなって
るよ。」
体の変化は顔にもおよび、顔の形が卵型の形になると、少年の目は切れ長になり、
まつ毛も伸びていき、唇もプクッと膨らんでいくのであった。最後に髪の毛が伸びていくと
背中まで達して少しウェーブのかかったピンク色の髪になるのであった。
少年の体は23歳くらいのセクシーな大人の女性に変貌を遂げるのであった。変化はこれにとどまらずに服にもおよび、少年の服はGカップの巨乳を包むように白色のチューブ
トップに、ズボンは白色のミニのタイトなスカートになると白色のマントとロング
ブーツが装着されていった。最後に顔に化粧が施されていき、ファンデーションが
塗られるとアイシャドウと赤い口紅が塗られていった。
「はあ。はあ。変化が収まったみたいね。」
剣士の腕輪の赤い宝石の光が収まると少年の立っていた場所には23歳くらいの
セクシーな巨乳魔女がたたずんでいたのであった。巨乳魔女は自分の今の状態を確認すべく
体を確認していくのであった。
「やっぱり、胸が大きくなってるわ。とっても大きいわね。しゃべり方も大人の
女性みたいになってるわね。」
巨乳魔女は胸を確認するとしゃべり方まで大人の女性に変わっていることに驚くので
あった。次にお尻の方に手を伸ばすと大きく膨らんだ美尻を触るのであった。
「す、すごいわね。こんなに大きくなるなんて、それに柔らかいかも。あん。」
巨乳魔女は自分のお尻を触って、少し変な感じを覚えたのか、ほほを赤らめるのであった。
そして、気を取り直して、体を確認しているとあることに気がつくのであった。
「それにさっきまで持っていた鉄剣が魔法の杖に変わっているわ。これって、前のより
強そうな魔法の杖になってるわね。魔法の攻撃力もUPしてそうだわ。」
巨乳魔女はセクシーな自分の変貌ぶりを確認していた。一方、木の上で弓矢による攻撃を
していた弓使いは少年のこの変貌を目撃してしまっていた。
「な、なんだと。さっきまで少年の姿だったのに大人の女性に変わってしまった。
あれじゃ。俺と。」
弓使いは少年の変貌ぶりに驚きを禁じ得なかったが、何か、弓使い自身が見知ったような
ことを口にするのであった。
少年は増援部隊を呼びに街へ向かって走っていた。夜までに戻らなければ、モンスターの大群に包囲攻撃を受けて激しい戦闘が続いている街の近くの村は放棄されてしまうので
あった。
「必ず、街に戻って、増援部隊を呼んでくるぞ。村の人たちや他の戦士たちを必ず助ける
からな。全速力で走っていけば、街について増援部隊といっしょに来ても、夜までには
間に合うはずだ。」
少年はそんな事態にならないようにと心に誓いながら、全速力で進むのであるが、
後方から嫌な声が聞こえてきた。
「ウケ。ウケケ。」
「うっ。あの声はゴブリンの声だ。まさか、増援部隊を呼びに行こうとしている俺を
追ってきたのか。」
複数のゴブリンが全速力で走る少年を追ってきているようであった。ゴブリンは小柄で
足もそこそこ早いので追撃者としては十分機能していた。少年は走りながら後方を確認する
ために後ろを振り向くとゴブリンたちが素早い動きで追ってきていることを目にするので
あった。
「うー。なんてこった。ゴブリンが俺を追ってきている。しかも5体くらいはいるな。1体
くらいなら、足を止めて、戦ってもいいけど。あんな数を相手にしていたら、余計な
時間を取られてしまうな。このまま、走り続けるぞ。それにしても、全く、なんて、
連中だ。確かに先鋒部隊のリーダーの言う通り、奴らは統率された動きをしているな。
いったい、どうなっているんだ。」
少年は後方を見て5体程度のゴブリンを確認すると戦って足止めをくらうことを避けるため
そのまま走るのであった。さらに、少年はモンスターたちが統率されていることにも、
不自然さを感じるのであった。普段、モンスターたちは複数で群れをなすくらいで、包囲
攻撃や追撃をしてきたりと統率された動きは全くしないはずであった。少年は得体の知れ
ない何かの意図を感じざるを得なかった。
「よし、俺の足も結構速いから、これなら追いつかれそうにないな。」
「ウケ。ウケケ。ブーン。」
少年はゴブリンたちに追いつかれることなく、街まで走っていけると確信していたが、
追撃してきている1体のゴブリンが棍棒を少年に向かって、勢いよく投げてくるので
あった。棍棒は少年の足元に当たると、少年はバランスを崩して、こけそうになるので
あった。
「う、うわ。あぶない。こけるところだったよ。」
「ウケ。ウケケ。」
「し、しまった。ゴブリンに追いつかれてしまったぞ。こうなったら、戦うしかない。」
少年はなんとかこけずに済んだが、ゴブリンたちに追いつかれて、囲まれてしまうので
あった。少年は戦うことを選択すると鉄剣を構えて、戦闘体勢に入るのであった。
少年は早く戦いを終わらせるために、1体のゴブリンへめがけて、鉄剣を振り下ろすので
あった。
「さっさと戦闘を終わらせるぞ。先手必勝だ。くらえ。とりゃー。」
「ウケ。ウケケ。ガン。」
「ウケ。ウケケ。ガン。」
少年は振り下ろした鉄剣でゴブリンにダメージを与えてやろうと思ったが、なんと、隣に
いたゴブリンがカバーに入って2体で少年の攻撃を防ぐのであった。さらにゴブリン2体が
反撃してくると思われたが、棍棒を構えるだけで反撃してこないのであった。
「くそ。連携して守られたか。しかも、反撃してこないなんて、まさか。ここで時間を
稼ごうとしているのか。ま、まずいぞ。これでは夜までに村に戻れなくなるぞ。」
少年はゴブリンたちの目的が自分の足止めにあると察すると、非常にまずいと考えるので
あった。彼はなんとかこの状況を打破すべく、あの剣技をくらわせることを決めるので
あった。
「こうなったら、いくぞ。連撃。えい。とりゃー。どりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年はゴブリンに連撃をくらわせると、ゴブリンは倒れ込んで、ほぼ動かなくなって
しまった。1匹目のゴブリンをほぼ戦闘不能に追い込んだので、少年はすぐさま次の
ゴブリンに攻撃を仕掛けようとしたが、ゴブリンたちに囲まれていることを忘れていた
少年は背後からの攻撃に気がつくのが遅れるのであった。
「ウケ。ウケケ。ブン。」
「うわ。しまった。背後からやられた。痛。」
少年は背後にいたゴブリンから棍棒で打撃を受けると背中をやられて、その場で膝を
つくのであった。ゴブリンたちは弱って隙のできた少年を見るや一斉に攻撃を仕掛けて
くるのであった。
「や、やばい。やられるぞ。」
「ウケ。ウケケ。ゴン。」
「シュパーン。」
少年がゴブリンに囲まれて一斉攻撃を受ける瞬間、遠くから発射された矢が囲んでいた
ゴブリンの1体の頭部に突き刺さるのであった。少年に攻撃をしようとしたゴブリンたちは
何が起こったかわけがわからず、攻撃を中止して、矢の飛んできた方向を見るのであった。
「ウケ。ウケケ。」
「シュパーン。」
「ウケ。グフ。」
しかし、ゴブリンたちが矢の飛んできた方向を見た瞬間、2射目が高速で飛んできて、
ゴブリンの別の1体の頭部に刺さってしまい、その場で倒れてしまうのであった。
あまりの唐突な展開にゴブリンたちは困惑し始めて、少年から後ずさりしていくので
あった。この場で何が起こったかをいち早く理解できたのは少年であった。彼は立ち
上がって、鉄剣を構えるとさっそく、ゴブリンに攻撃を仕掛けるのであった。
「た、助かった。今のうちだ。くらえ。ため切り。どりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
少年は後退し始めたゴブリンに追撃とばかりに鉄剣によるため切りをお見舞いしてやるので
あった。当然、攻撃を受けたゴブリンはすぐさま倒れてしまい、少年の剣士の腕輪の赤い
宝石がピカッと光るのであった。残ったゴブリンたちはこのまずい状況を理解すると
脱兎のごとく逃げ去るのであった。
「ふぅー。助かった。ありがとうございます。また、あなたに助けられてしまいました。」
「ふっ。毎回、運のいいやつだな。俺が放たなければ、やられていたな。」
少年が弓矢で助けてくれた相手に感謝の言葉を投げかけると、遠くから歩いてくる弓使いが
少年に素っ気なく答えるのであった。少年はさっそく感謝の言葉を言ったあとにあることを
頼むのであった。
「俺、街の近くの村から街に増援部隊を呼びに急いで行く途中だったんです。今、街の
近くの村は、モンスターの大群に包囲攻撃されていて、増援部隊を呼ばないと夜まで
もたないんです。協力してくれませんか。」
少年の必死の訴えにさすがの弓使いもすぐに応じてくれると思われたが、なぜか、弓使いは
素っ気ない感じで少年の願いに応じるふうではなかった。
「ふっ。何を言うかと思えば、俺は、そもそも、その増援部隊に参加して、ここに
いるんだぞ。先行偵察で先にここまで様子を見にきていたんだ。」
「そ、そうなんですか。助かりました。これで、街まで呼びに行く手間が省けたぞ。」
「お前たちの部隊からの報告が、全然、街に来なかったから、斡旋所が心配して、
増援部隊を派遣することにしたんだ。本隊はすぐ後方まで来ているぞ。」
少年は弓使いから増援部隊が近くまで来ていることを聞かされると安堵の表情を浮かべる
のであった。少年は街の近くの村から街への道のりの3割程度のところにいたので、今から
帰れば、20分程度で街の近くの村へ戻れると算段するのであった。少年はすぐに気を
引き締め直すのであった。
「ここから、街の近くの村までは20分程度かかります。すぐに増援部隊といっしょに
行けば、村の劣勢を押し返せるはずです。」
「わかった。増援部隊がここに到着したら、一気に移動速度をあげて、街の近くの村を
救いに行こう。」
数分後、増援部隊が到着すると、少年は増援部隊のリーダーに街の近くの村の厳しい戦況を
説明して、すぐに助けに行くように伝えるのであった。少年と弓使いは増援部隊の先頭に
立って、街の近くの村までの先導役を務めるのであった。
「あともう少しで街の近くの村に到着します。村はモンスターの大群に包囲されています。
気をつけてください。」
「わかった。モンスターたちに気がつかれないように近くまで静かに進んで、一気に
奇襲を仕掛けよう。みんな、頼むぞ。」
少年が目的の村の近くまで来たことを伝えると、増援部隊のリーダーは他の戦士たちに
静かに進んで、包囲攻撃しているモンスターたちの背後を一気に奇襲して、突き崩そうと
伝えるのであった。増援部隊は木々の中を腰を下げてゆっくりと進んでいくのであった。
しばらくすると街の近くの村を囲むように包囲攻撃をしていたモンスターの大群の姿が
増援部隊の目の前に現れるのであった。
「あれが街の近くの村です。や、やばい。防衛してくれている戦士たちがだいぶ
押されている。早く、助けに入らないと。」
「確かにあれはまずいな。俺はすぐそばの木の上に登って、そこから弓矢で狙撃して
いく。」
「わかった。弓矢の狙撃が奇襲の合図だ。みんな、低い姿勢で攻撃準備に入ってくれ。」
少年は当初の目的通りに増援部隊を街の近くの村まで連れてくることを達成したが、
モンスターの大群の包囲攻撃で討伐隊の戦士たちはかなり押されて苦戦を強いられていた。
弓使いが木の上からの狙撃を準備すると、増援部隊の戦士たちは奇襲攻撃をするために
合図となる弓矢の狙撃を今や今かと待ち構えるのであった。
「よし、位置についたぞ。シュパーン。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
「今だ。みんな、突撃だ。」
弓使いの狙撃がゴブリンの頭部に命中して、ゴブリンがその場で倒れると、増援部隊の
リーダーのかけ声で、増援部隊の戦士たちが一斉に奇襲攻撃を開始するのであった。少年も
先頭に立って、ゴブリンの背後に襲いかかるのであった。
「くらえ。とりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年は一気に鉄剣を振り抜いて、ゴブリンをたたき切るのであった。ゴブリンはその場で
倒れてしまうのであった。当然、剣士の腕輪の赤い宝石もピカッと光るのであった。
「あっ。つい調子に乗ってしまった。気をつけないとな。」
少年は次々とゴブリンの後方から攻撃を加えていくが、ゴブリンたちにとどめを
刺さない程度に倒して進んでいくのであった。
「はあ。はあ。お待たせしました。増援部隊を引き連れて来ました。」
「はあ。はあ。よく戻ってきてくれた。予定よりだいぶ早く帰ってきてくれたね。
助かったよ。夜どころか夕方までもたないと思い始めていたんだ。」
少年は村の門の前で防衛していた先鋒部隊のリーダーのところまでたどり着くと無事に
増援部隊を引き連れてきたことを報告し、感謝されるのであった。少年は任された任務の
達成感に浸りたいところであったが、モンスターの退治が優先であったので、再び、戦闘に
戻るのであった。
「えい。やー。とりゃー。ふぅ。だいぶ倒したな。これで村の門の包囲攻撃は
解けそうだな。」
少年は増援部隊と協力して、モンスターたちをどんどん倒していき、あと少しで
モンスターの包囲を解けそうだと感じ始めていた。しかし、村の他の場所を攻撃していた
ゴブリン十数体が補充されるように村の門の前にやって来るのであった。
「あっ。また、ゴブリンがこっちにやって来た。包囲を解かせない気だな。やっぱり、
統率されているな。」
「ウケケー。ウケー。」
少年は補充されてやって来たゴブリンたちを見て、統率されていると苦々しく感じるので
あったが、そのゴブリンたちの中に見慣れない1体がいることに気がつくのであった。
「あ、あのゴブリンだけ、なんか、様子が違うぞ。なんか、他のゴブリンたちに指示を
出しているような素振りだぞ。」
「あれは、リーダーゴブリンじゃないか。奴が統率していたのか。道理で
モンスターたちが包囲攻撃もしてくるわけだ。みんな。奴を最優先で倒してくれ。」
少年が気がついた後、それに促される形で先鋒部隊のリーダーがリーダーゴブリンに
気がつき、これまでの統率されたモンスターの動きの理由を理解した。さらに統率を
なくすためにリーダーゴブリンに攻撃を集中させることを指示するのであった。
「よし、あのリーダーゴブリンを倒せば、モンスターの包囲も解けるぞ。とりゃー。」
少年はリーダーゴブリンを目指して進んでいくのであったが、そんな簡単にうまくはいかな
かった。リーダーゴブリンの周りには多くのゴブリンが守っており、なかなか突き崩せ
なかった。さらに巨大ゴブリンも数体投入されてきてしまい、乱戦の様相を呈してきた。
「くそー。あともうちょっとで包囲が解けそうなのに、これじゃあ。まずいぞ。」
少年はこのままではらちがあかないと感じ、ある決意をするのであった。
「こうなったら、あの姿になって、一気にゴブリンを一掃するしかないな。このまま
じゃあ。包囲攻撃が解けずに夜まで持たなくなるぞ。」
少年は決意を固めると鉄剣を握りしめて、近くにいたゴブリンに斬りかかるのであった。
「どりゃー。えい。とりゃー。」
「ウケ。ウケ。グフ。」
少年はどんどんとゴブリンを倒していくのであった。それはリーダーゴブリンに近づく
ためでなく、ゴブリンをたくさん倒すためであった。少年の剣士の腕輪はゴブリンが
倒されるたびに埋め込まれた赤い宝石がピカッと光り、点灯するかのようになっていた。
「よーし。これで10匹目だ。どこかに隠れないとこんなところでみんなに見られたら
大変だな。」
少年は剣士の腕輪の副作用を発動させるために必要なモンスター10匹を倒すと隠れるために
一旦戦闘から離脱して、近くの林へ走っていくのであった。
「う、どうしたんだ。あいつは、急に離脱して、ダメージでもおったのか。」
弓使いは少年の動きを気にかけて、モンスターへ攻撃しつつも少年の様子を見るので
あった。一方、少年は近くの林へ入ると木の裏に隠れるのであった。少年は光る
剣士の腕輪を見ていると光がさらに強くなり、少年の周りが赤い宝石の光で包まれて
しまうのであった。
「き、来たぞ。あれが起こっちゃうぞ。」
なんと、少年の体は赤い宝石の光の中で変化を始めるのであった。まずはゴツゴツして
いた手が白く細いものへと変化し始めた。そして、脚も細くスラリとしたものに変化して
いくのであった。さらに変化は進み、肌は白くきめ細かに、腕や脚も伸び始めていくので
あった。
「あ、なんだ。体が変わっていっているような気がするぞ。」
少年の体の変化はこれにとどまらず、胴体にも及び始めた。胸の筋肉質な部分が徐々に
柔らかくなると胸が少しずつ膨らみ始めるのであった。初めは少し隆起する程度あったが
服を押し上げていき、みるみるうちに胸がどんどんと膨らみメロンくらいのサイズにまで
膨らみ、ピンク色の乳首や乳輪が形成されていくのであった。これとは逆に腰の部分は
キュッとくびれて見事なくびれが形成されるのであった。
「む、胸が膨らんでるよ。はあん。」
少年は胸の膨らみの影響で思わず、声を発してしまうのであったが、この声がまるで女性の
ような高い声に変わってしまっていた。胸の膨らみに呼応するように太ももはムチっと
適度に膨らみ、お尻も膨らみ始めて、大きな美尻が形成されるのであった。
「あん、俺。なんて声を出しているんだ。それになんか、太ももやお尻も大きくなって
るよ。」
体の変化は顔にもおよび、顔の形が卵型の形になると、少年の目は切れ長になり、
まつ毛も伸びていき、唇もプクッと膨らんでいくのであった。最後に髪の毛が伸びていくと
背中まで達して少しウェーブのかかったピンク色の髪になるのであった。
少年の体は23歳くらいのセクシーな大人の女性に変貌を遂げるのであった。変化はこれにとどまらずに服にもおよび、少年の服はGカップの巨乳を包むように白色のチューブ
トップに、ズボンは白色のミニのタイトなスカートになると白色のマントとロング
ブーツが装着されていった。最後に顔に化粧が施されていき、ファンデーションが
塗られるとアイシャドウと赤い口紅が塗られていった。
「はあ。はあ。変化が収まったみたいね。」
剣士の腕輪の赤い宝石の光が収まると少年の立っていた場所には23歳くらいの
セクシーな巨乳魔女がたたずんでいたのであった。巨乳魔女は自分の今の状態を確認すべく
体を確認していくのであった。
「やっぱり、胸が大きくなってるわ。とっても大きいわね。しゃべり方も大人の
女性みたいになってるわね。」
巨乳魔女は胸を確認するとしゃべり方まで大人の女性に変わっていることに驚くので
あった。次にお尻の方に手を伸ばすと大きく膨らんだ美尻を触るのであった。
「す、すごいわね。こんなに大きくなるなんて、それに柔らかいかも。あん。」
巨乳魔女は自分のお尻を触って、少し変な感じを覚えたのか、ほほを赤らめるのであった。
そして、気を取り直して、体を確認しているとあることに気がつくのであった。
「それにさっきまで持っていた鉄剣が魔法の杖に変わっているわ。これって、前のより
強そうな魔法の杖になってるわね。魔法の攻撃力もUPしてそうだわ。」
巨乳魔女はセクシーな自分の変貌ぶりを確認していた。一方、木の上で弓矢による攻撃を
していた弓使いは少年のこの変貌を目撃してしまっていた。
「な、なんだと。さっきまで少年の姿だったのに大人の女性に変わってしまった。
あれじゃ。俺と。」
弓使いは少年の変貌ぶりに驚きを禁じ得なかったが、何か、弓使い自身が見知ったような
ことを口にするのであった。
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