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第2章 新たなる仲間
第11話 緊急クエスト
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戦士と腕輪 第11話 緊急クエスト
仲間の勧誘に苦労した日の翌日、少年は朝日と馬車の車輪の音でいつものように
目を覚ますのであった。馬車の音はいつもより忙しく感じられたが、少年はあまり気に
しなかった。
「ふあーん。よく寝たな。もう朝かな。昨日は仲間の勧誘がうまくいかなかったし、
最後にあの弓使いの方にも声をかけたけど、ダメだったな。とりあえず、朝食でも
食べようかな。」
少年は顔を洗った後に、昨日のことを思い出して、朝からゆううつな気持ちで朝食の
パンを食べ始めるのであった。パンを食べながら、少年は今後のことを考え始めるので
あった。
「うーん。とりあえず、仲間の勧誘は後回しにして、いつも通りにクエストを引き
受けるか、それとも、森にでも行って、モンスター退治でもしようかな。経験を
積んで、強くなれば、俺のことを見直して、仲間になってくれる人が出てくるかも
しれないしな。」
少年は仲間の勧誘を、一旦、後回しにして、クエストや森でのモンスター退治に時間を
割こうとするのであった。そうと決めると、少年は革の胸当てを着用し、鉄剣を腰に携えて
自分の部屋を出るのであった。少年が自分の部屋のある建物を出て、道を歩き始めると
街の様子がいつもと違うことに気がつくのであった。
「あれ、なんだか。いつもと様子が違うような。騒がしい感じがするな。何かあったの
かな。」
少年の口にした通り、街の中は馬車が急いで走っていたり、人々が早足で移動したり、
心配そうに話をしたりしていた。いつもと違う様子であることを感じ取った少年では
あるが、原因等の情報が全く自分のところに入ってきていない状態であったので、少年は
ただその光景を眺めながら、斡旋所へ歩くしかなかった。
「まあ、とりあえず、斡旋所へ行って、クエスト探しからかな。街の様子も、ある程度、
聞けるだろう。」
少年はそう言いながら、斡旋所へ向かうのであった。そろそろ少年が斡旋所に着こうと
する頃に、今度は、また違う光景を少年は目の当たりにするのであった。なんと、いつも
そんなにいない斡旋所の周りに人だかりができていたのであった。
「あれ、斡旋所の前に人がたくさん集まってるぞ。何かあったのかな。」
少年は斡旋所の前まで来ると人だかりをぬって、斡旋所の入り口まで来るのであった。
さすがに何かがあったと思った少年は近くの人に尋ねてみた。
「あの。朝から何かあったんですか?」
「詳しくはわからないけど、緊急クエストが出されるみたいなんだよ。それで、多くの
戦士とかが斡旋所に集まっているらしいよ。」
少年は言葉の意味があまりよくわからなかったが、やばい状況であると認識し始めると、
斡旋所の中へ入っていくのであった。斡旋所の中にも多くの戦士などがおり、珍しいことに
魔法使いも数名いたのであった。少年は近くでバタバタしていた中年の職員に声を
かけるのであった。
「おはようございます。何かあったんですか?」
「おはよう。おや。あなたですか。ちょうどよかった。実はこれから緊急クエストが
依頼されるので、1人でも多くの方に参加して欲しいんですよ。」
少年は職員からも緊急クエストの話が出たので、尋ねようとしたが、職員も忙しいようで
すぐに離れていくのであった。とりあえず、緊急クエストなる依頼が発表されるのを待つ
ことにした少年は斡旋所の隅で待つのであった。数分後、職員から緊急クエストの依頼
内容が発表されるのであった。
「みなさん。朝早くから集まっていただいて感謝します。斡旋所から緊急クエストの
依頼を発表します。依頼元は街の近くの村です。昨日から多数のモンスターが村の
周りに出現して、村人が対応に苦慮しております。この村は街に食料を供給してくれる
重要な拠点になりますので、至急、討伐隊を編成して、救援してほしいとのことです。
報酬は1人あたり銀貨15枚です。」
職員から緊急クエストの依頼内容が発表されるや否や、多くの戦士からどよめきが
起こるのであった。そして、緊急クエストに対して問い合わせがなされるのであった。
まずは、ある戦士が手を挙げて質問した。
「モンスターの種類や数は?」
「今朝の時点で入ってきている情報ではゴブリンが多数出現しているようです。
未確認ですが、巨大ゴブリンもいたとの報告です。」
少年は緊急クエストの内容を理解し始めると自分のこれまでの力量が試されると思い、
がぜんと緊急クエストを受けたくなるのであった。
「よーし。報酬もそこそこ出るみたいだし、今までの経験で向上した実力を発揮できる
絶好のチャンスだぞ。それに大勢の戦士とかが参加してくれれば、全てのモンスターを
倒す必要はないから、とどめは他の戦士たちに刺してもらえるから、俺にとっては
いいな。」
少年はこの緊急クエストに参加したいと考えるのは自分の実力を発揮できるだけではなく、
剣士の腕輪の副作用のこともあった。1人では多くのモンスターを倒すと副作用が発動して
しまう恐れがあったが、今回は討伐隊に加われるのでとどめを他の戦士に刺してもらえれば
副作用のことをあまり気にせずに戦えるからであった。多くの戦士などが緊急クエストに
参加する旨を職員に伝える中で、少年も職員に参加することを伝えようとした。
「あ、あの、俺も緊急クエストに参加させてください。」
「助かります。では、あなたは今回初めての討伐隊の参加ですので後方部隊に
参加してください。先鋒部隊が街の近くの村へ乗り込みますので、そのあとに
入っていってください。」
「わ、わかりました。」
少年は職員から後方部隊に入るように言われるとさっそく準備をして、部隊に入って
斡旋所を出ていくのであった。少年が入った後方部隊には戦士が10名と魔法使いが
2名いた。少年はリーダーらしき戦士にとりあえずあいさつをするのであった。
「よろしく、お願いします。」
「よろしく、若いな。まあ、先鋒部隊がモンスターどもをけちらしてくれるから、
戦闘は多くはないが、モンスターとの戦闘はあるだろうから、気を引き締めてくれよ。」
「はい。わかりました。」
リーダーらしき戦士は少年に軽く助言をすると、少年はその助言を心に刻むのであった。
少年が後方部隊に加わると、さっそく、先鋒部隊を追う形で街の近くの村へ向かうので
あった。少年のいる後方部隊が街から出発して1時間程度が過ぎた頃、少年は遠くに塀で
囲まれた村らしきものを視界にとらえるのであった。どうやら、街の近くの村にたどり
着いたようであった。
「あ、あれが緊急クエストの村かな。先鋒部隊はすでにモンスターと交戦中かな。」
「よし、みんな気をつけて、進むぞ。先鋒部隊からはまだ連絡もないから、交戦中の
可能性が高いぞ。」
後方部隊のリーダーらしき戦士が注意を促すと、少年を含めた全員が警戒し始めるので
あった。少年はそのまま街の近くの村まで近づいていくとある光景が目に入ってきた。
「あ、あれは先鋒部隊だな。やっぱり、村の周りにいるモンスターと交戦中だ。」
「よし、みんな、攻撃体制に入るんだ。一気に攻めていくぞ。」
先鋒部隊が村の周りにいるモンスターと激しく戦っていた。しかし、先鋒部隊の方が
優勢であり、あともう少しで、押し切れそうであった。少年も走っていって、攻撃に
加わるのであった。
「応援に来ました。とりゃー。」
「ウケ。ウケケ。ブン。」
少年は鉄剣を振り下ろして、ゴブリンに攻撃を仕掛けるのであった。対峙していた戦士は
応援が来て、勢いづくとゴブリンに一気に攻撃をかけるのであった。
「後方部隊か。ありがとう。もうちょっとで押し切れそうだよ。おりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
戦士がゴブリンにとどめを刺すとゴブリンはその場で倒れてしまうのであった。周りでも
後方部隊の戦士や魔法使いが攻撃をしており、一気に押し切るのであった。
「ウケ。ウケケ。グフ。」
「よーし。この辺のゴブリンたちは退治できたぞ。後方部隊のみんな、加勢してくれて
助かったぞ。一旦、村の中に入って、休憩と村の状況確認をしておこう。」
戦闘が一旦終了すると、先鋒部隊のリーダーらしき戦士が村の中に入るように全員に伝える
のであった。少年にとっては、あまり活躍ができなかったが、リーダーの命令に従って
村の中に入るのであった。塀をたどっていくと村に入れる門があり、少年を含めた全員が
門を通って、村の中に入っていくのであった。
「よく来てくださいました。わしはこの村の村長を務めるものですじゃ。今回は救援に
来てくださり、感謝いたします。こちらに飲み物とパンを準備しております。休憩して
くだされ。」
少年は村長の案内に従って、飲み物とパンをいただくのであった。他の戦士や魔法使い
たちも、各々、食事や休憩をするのであった。
「うーん。このパンはなかなかおいしいな。焼きたてかな。さすが、街に食料を供給して
いるだけはあるな。」
「おほめいただき、光栄ですじゃ。この村は街にとっては大事な食料を供給する村です
じゃ。モンスターに攻撃されては、街にも甚大な影響がおよびます。」
少年がパンのおいしさをほめると、村長が、さっそく、この村のことを説明した。
さらに先鋒部隊のリーダーらしき戦士が村長に村の状況を聞き始めるのであった。
「村長。私は先鋒部隊のリーダーを務めるものですが、この村の状況をお聞かせ
ください。先ほど、ゴブリンたちを倒してきましたが、この村で何があったんですか?」
「実は昨日のことですじゃ。村のものが農作業を終えて、家に帰ろうとすると村の外に
ゴブリンたちが多数現れましての、村のものが武器を携えて、追い払おうとがんばっ
たのですが、数がどんどん増えていきまして、村の外のあちこちに現れてしまい、
今朝の早朝に村のものを街に向かわせたのですじゃ。」
そう言って、村長は村の昨日からの状況を説明するのであった。先鋒部隊のリーダーは
さらに村長にあることを聞くのであった。
「そうでしたか。何か、ゴブリンたちがこの村を狙う理由に心あたりはありますか?」
「いや。それが全く心当たりがございませんじゃ。この村の食料はゴブリンたちには全く
興味はありませんし、そもそも、今までモンスターが村の周りに出たことなどあり
ませんでの。塀も泥棒よけに念のために準備してあるだけですじゃ。」
村長がなぜモンスターが現れたのかわからないと説明していると、村のものが荒い呼吸で
急いで村長の元へ駆けつけてくるのであった。
「た、たいへんです。村長。村の周りにさらにモンスターたちが現れて、包囲されて
ます。それに、一部のモンスターたちが塀を攻撃し始めました。」
「ま、まずいですじゃ。多少は時間稼ぎできますが、村の塀は1時間もしないうちに
突破されてしまうかもしれませんぞ。」
村長はモンスターの攻撃を聞くとかなり焦ってしまうのであった。しかし、先鋒部隊の
リーダーが村長を落ち着かせようとこう言うのであった。
「村長。大丈夫です。我々はモンスター退治のためにここに来ました。安心して
ください。全員、集合してくれ。部隊を再編成するぞ。」
先鋒部隊のリーダーが部隊全員を集めると村の4方向にそれぞれ部隊を配置するように
編成し直すのであった。少年も村の門を守る部隊に編入されるのであった。
「では、魔法使いは村の塀の上から支援攻撃を頼む。他は4方向に分かれて、それぞれ
守備に着くようにしてくれ。あと、村長、村人も弓矢で塀の上から攻撃に参加して
ください。」
「わ、わかりましたじゃ。村のものたちをかき集めて、塀の上から攻撃しますじゃ。」
先鋒部隊のリーダーが部隊を編成し直し、村長も村人を弓矢で迎撃の手伝いをさせるように
するのであった。少年が村の門の前に到着するとモンスターが攻めてくるのであった。
「来たな。今度はたくさん倒してやるぞ。とりゃー。」
「ウケ、ウケケ。ドン。」
「私に任せろ。とどめだ。」
「ウケ。グフ。」
少年は先ほどの戦闘ではほとんど戦えていなかったので、今回は張り切って全力で戦うので
あった。少年の一撃をくらったゴブリンは後方に吹っ飛んで、意識を失ったようであった。
少年もモンスターを仕留めずにダメージを与えるように心がけるのであった。当然、
とどめはいっしょに戦っている他の戦士に刺してもらうのであった。こうして、村の門の
前でゴブリンとの激しい戦闘が繰り広げられるのであった。
「あと、3匹くらいだ。連撃。えい。とりゃー。どりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
少年の連撃が想像以上にゴブリンにダメージを与えたようで、ひるむどころか、その場で
倒れてしまうのであった。少年は1匹目のモンスターを倒してしまうと剣士の腕輪に埋め
込まれた赤い宝石がピカッと光るのであった。
「あと、少しだったから、つい力が入っちゃったかな。まあいいや。まだ今日は
1匹目だから、この分だと、問題ないだろう。」
少年がそう言っている間にも残りのゴブリンも他の戦士たちに倒されるのであった。
村の門を守っていた部隊は無事にモンスターを撃退したようであった。
「ふぅー。これで全部倒せたな。結構、モンスターがたくさんいたから、疲れたな。
でも、これで村は安全になるだろうし、一件落着かな。」
「ありがとうございますじゃ。これで、この村も明日から普通の暮らしに戻れそう
ですじゃ。」
戦闘が終わり、少年が一息ついていると村長が労いの言葉をかけてくるのであった。
そんなとき、見張りを担当していた村人が大声で何かを叫んでいるのが聞こえてきた。
「そ、村長。た、大変です。大勢のモンスターがまたやって来ました。それも、
さっきより数が相当多いです。」
「な、なんじゃと。」
「え、えー。まだ、来るのか。」
村長と少年は新手のモンスターの襲来に驚嘆するのであった。
仲間の勧誘に苦労した日の翌日、少年は朝日と馬車の車輪の音でいつものように
目を覚ますのであった。馬車の音はいつもより忙しく感じられたが、少年はあまり気に
しなかった。
「ふあーん。よく寝たな。もう朝かな。昨日は仲間の勧誘がうまくいかなかったし、
最後にあの弓使いの方にも声をかけたけど、ダメだったな。とりあえず、朝食でも
食べようかな。」
少年は顔を洗った後に、昨日のことを思い出して、朝からゆううつな気持ちで朝食の
パンを食べ始めるのであった。パンを食べながら、少年は今後のことを考え始めるので
あった。
「うーん。とりあえず、仲間の勧誘は後回しにして、いつも通りにクエストを引き
受けるか、それとも、森にでも行って、モンスター退治でもしようかな。経験を
積んで、強くなれば、俺のことを見直して、仲間になってくれる人が出てくるかも
しれないしな。」
少年は仲間の勧誘を、一旦、後回しにして、クエストや森でのモンスター退治に時間を
割こうとするのであった。そうと決めると、少年は革の胸当てを着用し、鉄剣を腰に携えて
自分の部屋を出るのであった。少年が自分の部屋のある建物を出て、道を歩き始めると
街の様子がいつもと違うことに気がつくのであった。
「あれ、なんだか。いつもと様子が違うような。騒がしい感じがするな。何かあったの
かな。」
少年の口にした通り、街の中は馬車が急いで走っていたり、人々が早足で移動したり、
心配そうに話をしたりしていた。いつもと違う様子であることを感じ取った少年では
あるが、原因等の情報が全く自分のところに入ってきていない状態であったので、少年は
ただその光景を眺めながら、斡旋所へ歩くしかなかった。
「まあ、とりあえず、斡旋所へ行って、クエスト探しからかな。街の様子も、ある程度、
聞けるだろう。」
少年はそう言いながら、斡旋所へ向かうのであった。そろそろ少年が斡旋所に着こうと
する頃に、今度は、また違う光景を少年は目の当たりにするのであった。なんと、いつも
そんなにいない斡旋所の周りに人だかりができていたのであった。
「あれ、斡旋所の前に人がたくさん集まってるぞ。何かあったのかな。」
少年は斡旋所の前まで来ると人だかりをぬって、斡旋所の入り口まで来るのであった。
さすがに何かがあったと思った少年は近くの人に尋ねてみた。
「あの。朝から何かあったんですか?」
「詳しくはわからないけど、緊急クエストが出されるみたいなんだよ。それで、多くの
戦士とかが斡旋所に集まっているらしいよ。」
少年は言葉の意味があまりよくわからなかったが、やばい状況であると認識し始めると、
斡旋所の中へ入っていくのであった。斡旋所の中にも多くの戦士などがおり、珍しいことに
魔法使いも数名いたのであった。少年は近くでバタバタしていた中年の職員に声を
かけるのであった。
「おはようございます。何かあったんですか?」
「おはよう。おや。あなたですか。ちょうどよかった。実はこれから緊急クエストが
依頼されるので、1人でも多くの方に参加して欲しいんですよ。」
少年は職員からも緊急クエストの話が出たので、尋ねようとしたが、職員も忙しいようで
すぐに離れていくのであった。とりあえず、緊急クエストなる依頼が発表されるのを待つ
ことにした少年は斡旋所の隅で待つのであった。数分後、職員から緊急クエストの依頼
内容が発表されるのであった。
「みなさん。朝早くから集まっていただいて感謝します。斡旋所から緊急クエストの
依頼を発表します。依頼元は街の近くの村です。昨日から多数のモンスターが村の
周りに出現して、村人が対応に苦慮しております。この村は街に食料を供給してくれる
重要な拠点になりますので、至急、討伐隊を編成して、救援してほしいとのことです。
報酬は1人あたり銀貨15枚です。」
職員から緊急クエストの依頼内容が発表されるや否や、多くの戦士からどよめきが
起こるのであった。そして、緊急クエストに対して問い合わせがなされるのであった。
まずは、ある戦士が手を挙げて質問した。
「モンスターの種類や数は?」
「今朝の時点で入ってきている情報ではゴブリンが多数出現しているようです。
未確認ですが、巨大ゴブリンもいたとの報告です。」
少年は緊急クエストの内容を理解し始めると自分のこれまでの力量が試されると思い、
がぜんと緊急クエストを受けたくなるのであった。
「よーし。報酬もそこそこ出るみたいだし、今までの経験で向上した実力を発揮できる
絶好のチャンスだぞ。それに大勢の戦士とかが参加してくれれば、全てのモンスターを
倒す必要はないから、とどめは他の戦士たちに刺してもらえるから、俺にとっては
いいな。」
少年はこの緊急クエストに参加したいと考えるのは自分の実力を発揮できるだけではなく、
剣士の腕輪の副作用のこともあった。1人では多くのモンスターを倒すと副作用が発動して
しまう恐れがあったが、今回は討伐隊に加われるのでとどめを他の戦士に刺してもらえれば
副作用のことをあまり気にせずに戦えるからであった。多くの戦士などが緊急クエストに
参加する旨を職員に伝える中で、少年も職員に参加することを伝えようとした。
「あ、あの、俺も緊急クエストに参加させてください。」
「助かります。では、あなたは今回初めての討伐隊の参加ですので後方部隊に
参加してください。先鋒部隊が街の近くの村へ乗り込みますので、そのあとに
入っていってください。」
「わ、わかりました。」
少年は職員から後方部隊に入るように言われるとさっそく準備をして、部隊に入って
斡旋所を出ていくのであった。少年が入った後方部隊には戦士が10名と魔法使いが
2名いた。少年はリーダーらしき戦士にとりあえずあいさつをするのであった。
「よろしく、お願いします。」
「よろしく、若いな。まあ、先鋒部隊がモンスターどもをけちらしてくれるから、
戦闘は多くはないが、モンスターとの戦闘はあるだろうから、気を引き締めてくれよ。」
「はい。わかりました。」
リーダーらしき戦士は少年に軽く助言をすると、少年はその助言を心に刻むのであった。
少年が後方部隊に加わると、さっそく、先鋒部隊を追う形で街の近くの村へ向かうので
あった。少年のいる後方部隊が街から出発して1時間程度が過ぎた頃、少年は遠くに塀で
囲まれた村らしきものを視界にとらえるのであった。どうやら、街の近くの村にたどり
着いたようであった。
「あ、あれが緊急クエストの村かな。先鋒部隊はすでにモンスターと交戦中かな。」
「よし、みんな気をつけて、進むぞ。先鋒部隊からはまだ連絡もないから、交戦中の
可能性が高いぞ。」
後方部隊のリーダーらしき戦士が注意を促すと、少年を含めた全員が警戒し始めるので
あった。少年はそのまま街の近くの村まで近づいていくとある光景が目に入ってきた。
「あ、あれは先鋒部隊だな。やっぱり、村の周りにいるモンスターと交戦中だ。」
「よし、みんな、攻撃体制に入るんだ。一気に攻めていくぞ。」
先鋒部隊が村の周りにいるモンスターと激しく戦っていた。しかし、先鋒部隊の方が
優勢であり、あともう少しで、押し切れそうであった。少年も走っていって、攻撃に
加わるのであった。
「応援に来ました。とりゃー。」
「ウケ。ウケケ。ブン。」
少年は鉄剣を振り下ろして、ゴブリンに攻撃を仕掛けるのであった。対峙していた戦士は
応援が来て、勢いづくとゴブリンに一気に攻撃をかけるのであった。
「後方部隊か。ありがとう。もうちょっとで押し切れそうだよ。おりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
戦士がゴブリンにとどめを刺すとゴブリンはその場で倒れてしまうのであった。周りでも
後方部隊の戦士や魔法使いが攻撃をしており、一気に押し切るのであった。
「ウケ。ウケケ。グフ。」
「よーし。この辺のゴブリンたちは退治できたぞ。後方部隊のみんな、加勢してくれて
助かったぞ。一旦、村の中に入って、休憩と村の状況確認をしておこう。」
戦闘が一旦終了すると、先鋒部隊のリーダーらしき戦士が村の中に入るように全員に伝える
のであった。少年にとっては、あまり活躍ができなかったが、リーダーの命令に従って
村の中に入るのであった。塀をたどっていくと村に入れる門があり、少年を含めた全員が
門を通って、村の中に入っていくのであった。
「よく来てくださいました。わしはこの村の村長を務めるものですじゃ。今回は救援に
来てくださり、感謝いたします。こちらに飲み物とパンを準備しております。休憩して
くだされ。」
少年は村長の案内に従って、飲み物とパンをいただくのであった。他の戦士や魔法使い
たちも、各々、食事や休憩をするのであった。
「うーん。このパンはなかなかおいしいな。焼きたてかな。さすが、街に食料を供給して
いるだけはあるな。」
「おほめいただき、光栄ですじゃ。この村は街にとっては大事な食料を供給する村です
じゃ。モンスターに攻撃されては、街にも甚大な影響がおよびます。」
少年がパンのおいしさをほめると、村長が、さっそく、この村のことを説明した。
さらに先鋒部隊のリーダーらしき戦士が村長に村の状況を聞き始めるのであった。
「村長。私は先鋒部隊のリーダーを務めるものですが、この村の状況をお聞かせ
ください。先ほど、ゴブリンたちを倒してきましたが、この村で何があったんですか?」
「実は昨日のことですじゃ。村のものが農作業を終えて、家に帰ろうとすると村の外に
ゴブリンたちが多数現れましての、村のものが武器を携えて、追い払おうとがんばっ
たのですが、数がどんどん増えていきまして、村の外のあちこちに現れてしまい、
今朝の早朝に村のものを街に向かわせたのですじゃ。」
そう言って、村長は村の昨日からの状況を説明するのであった。先鋒部隊のリーダーは
さらに村長にあることを聞くのであった。
「そうでしたか。何か、ゴブリンたちがこの村を狙う理由に心あたりはありますか?」
「いや。それが全く心当たりがございませんじゃ。この村の食料はゴブリンたちには全く
興味はありませんし、そもそも、今までモンスターが村の周りに出たことなどあり
ませんでの。塀も泥棒よけに念のために準備してあるだけですじゃ。」
村長がなぜモンスターが現れたのかわからないと説明していると、村のものが荒い呼吸で
急いで村長の元へ駆けつけてくるのであった。
「た、たいへんです。村長。村の周りにさらにモンスターたちが現れて、包囲されて
ます。それに、一部のモンスターたちが塀を攻撃し始めました。」
「ま、まずいですじゃ。多少は時間稼ぎできますが、村の塀は1時間もしないうちに
突破されてしまうかもしれませんぞ。」
村長はモンスターの攻撃を聞くとかなり焦ってしまうのであった。しかし、先鋒部隊の
リーダーが村長を落ち着かせようとこう言うのであった。
「村長。大丈夫です。我々はモンスター退治のためにここに来ました。安心して
ください。全員、集合してくれ。部隊を再編成するぞ。」
先鋒部隊のリーダーが部隊全員を集めると村の4方向にそれぞれ部隊を配置するように
編成し直すのであった。少年も村の門を守る部隊に編入されるのであった。
「では、魔法使いは村の塀の上から支援攻撃を頼む。他は4方向に分かれて、それぞれ
守備に着くようにしてくれ。あと、村長、村人も弓矢で塀の上から攻撃に参加して
ください。」
「わ、わかりましたじゃ。村のものたちをかき集めて、塀の上から攻撃しますじゃ。」
先鋒部隊のリーダーが部隊を編成し直し、村長も村人を弓矢で迎撃の手伝いをさせるように
するのであった。少年が村の門の前に到着するとモンスターが攻めてくるのであった。
「来たな。今度はたくさん倒してやるぞ。とりゃー。」
「ウケ、ウケケ。ドン。」
「私に任せろ。とどめだ。」
「ウケ。グフ。」
少年は先ほどの戦闘ではほとんど戦えていなかったので、今回は張り切って全力で戦うので
あった。少年の一撃をくらったゴブリンは後方に吹っ飛んで、意識を失ったようであった。
少年もモンスターを仕留めずにダメージを与えるように心がけるのであった。当然、
とどめはいっしょに戦っている他の戦士に刺してもらうのであった。こうして、村の門の
前でゴブリンとの激しい戦闘が繰り広げられるのであった。
「あと、3匹くらいだ。連撃。えい。とりゃー。どりゃー。」
「ウケ。ウケケ。グフ。」
少年の連撃が想像以上にゴブリンにダメージを与えたようで、ひるむどころか、その場で
倒れてしまうのであった。少年は1匹目のモンスターを倒してしまうと剣士の腕輪に埋め
込まれた赤い宝石がピカッと光るのであった。
「あと、少しだったから、つい力が入っちゃったかな。まあいいや。まだ今日は
1匹目だから、この分だと、問題ないだろう。」
少年がそう言っている間にも残りのゴブリンも他の戦士たちに倒されるのであった。
村の門を守っていた部隊は無事にモンスターを撃退したようであった。
「ふぅー。これで全部倒せたな。結構、モンスターがたくさんいたから、疲れたな。
でも、これで村は安全になるだろうし、一件落着かな。」
「ありがとうございますじゃ。これで、この村も明日から普通の暮らしに戻れそう
ですじゃ。」
戦闘が終わり、少年が一息ついていると村長が労いの言葉をかけてくるのであった。
そんなとき、見張りを担当していた村人が大声で何かを叫んでいるのが聞こえてきた。
「そ、村長。た、大変です。大勢のモンスターがまたやって来ました。それも、
さっきより数が相当多いです。」
「な、なんじゃと。」
「え、えー。まだ、来るのか。」
村長と少年は新手のモンスターの襲来に驚嘆するのであった。
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