戦士と腕輪

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第2章 新たなる仲間

第10話 反省

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戦士と腕輪 第10話 反省

 森でのモンスター退治の翌日、少年は前日の戦いでの緊張やダメージでかなり疲れて
いたようで、長時間の間、爆睡していた。太陽がだいぶ昇り、朝がだいぶ過ぎた頃、
少年はやっと目を覚ますのであった。

「ふわー。よく寝た。あれ、太陽がだいぶ昇っているな。もうそろそろ、朝からお昼に
 なるな。昨日は色々あったから疲れてこんなに寝たんだな。お腹も空いたし、とり
 あえず、朝食でも食べようかな。」

少年はベットから起きると顔を洗って、朝食のパンを食べ始めるのであった。食べながら、
少年は前日の森でのあの出来事を思い出すのであった。

「ふぅー。昨日の森でのイーグルとの戦闘は危なかったな。今まで無茶をしてきたけど、
 自分でなんとか切り抜けてきたからよかったけど、今回の場合は弓使いの支援が
 なかったら、完全にやられていたな。」

少年はイーグルとの戦闘で単独での戦闘に限界を感じ始めるのであった。そして、ある
ことを考え始めるのであった。

「やっぱり、仲間を持ったり、パーティーを組んだ方がいいかな。昨日の戦闘も複数なら
 難なく、乗り切れていただろうしな。それにクエストもいろんなものを受けられる
 ようになるからな。」

少年は仲間を持つことやパーティーを組むことの利点を考えると仲間探しやパーティーの
編成を考え始めるのであるが、ある問題を思い出すのであった。

「あ、この腕輪の副作用のことがあったんだ。仲間やパーティーといっしょに
 モンスターをたくさん倒して、あの姿になるところを目撃されたら、まずいな。
 うーん、どうしようかな。」

少年は剣士の腕輪の副作用のことを思い出すと仲間やパーティーに消極的になるので
あった。しかし、前日のイーグルとの戦闘での危機を考えてしまうと、今後、強力な
モンスターと対峙するときに、毎回、危険な目にあってしまい、命の危機にさらされて
しまうことは必然であった。少年はある決断をするのであった。

「うー。やっぱり、母さんとも約束したし、命を優先しないとな。まあ、とりあえず、
 仲間を1人くらい勧誘してみよう。腕輪の副作用の件がバレても事情を説明して、
 理解してもらえればいいさ。」

少年は仲間を探すことを決めると朝食を終えて、支度をして、部屋を出るのであった。
仲間探しために、少年の向かった先は斡旋所であった。やはり、多くの戦士がいるので
そこに行けば、仲間を見つけられるだろうと少年は思ったのであった。

「よーし。とりあえず、かたっぱしから声をかけていこうかな。」

少年は斡旋所に入るとさっそく戦士たちに声をかけていくのであった。

「あ、あの。ちょっとよろしいでしょうか?」

「うん。どうしたんだい。あんちゃん。」

「俺の仲間になってもらえませんか?」

少年は1人の戦士に仲間になるように声をかけてみた。しかし、その戦士の回答は
あっけなかった。

「はは。あんちゃんはまだひよっこだろ。それに、俺はもうパーティーを組んでるから
 だめだよ。他をあたりな。」

「そうですか。失礼しました。」

少年はさっそく仲間の勧誘に失敗するが、あきらめず、斡旋所にいる戦士たちに声を
かけて回るのであった。30分後、少年は斡旋所にいた全ての戦士などに声をかけたが
全員から仲間になることを断られるのであった。

「うーん。やっぱり、仲間になってくれって言っても、そんな簡単に仲間にはなって
 もらえそうにないな。」

「どうかしましたか?」

仲間の勧誘に失敗して落ち込んでいた少年に斡旋所の中年の職員が声をかけてくるので
あった。少年は職員にも事情を話すのであった。

「実は、単独でモンスターと戦うより、仲間がいた方がいいと考えて、勧誘して
 いたんですけど。仲間になってくれる人がいなくて。」

「ここの斡旋所に来る人たちは多くはないですし、ほとんどはすでに仲間がいたり、
 パーティーを組んでいたりするので、すぐに仲間の勧誘をするのは難しいですよ。
 気長に待つしかないですね。」

「そうなんですか。地道に仲間になってもらえるように声をかけていくしかないな。」

少年は職員からの助言を聞くと、一旦、その日の仲間の勧誘をあきらめるのであった。

「ふぅ。もう、お昼だし、昼食でも取ろうかな。仲間のことはそのあとだな。」

斡旋所に来て、時間は昼を過ぎており、少年は昼食でも取ろうと考え始めると斡旋所を
出ていくのであった。

「じゃあ。いつものレストランに行こうかな。今日もおいしい料理を食べさせて
 もらおうっと。」

少年は昼食の料理のことを考えながら、レストランに向かうのであった。数分後、少年は
レストランに到着するとドアを開けて、中に入っていくのであった。

「こんにちわ。昼食に来ました。おすすめの料理があれば作ってください。」

「いらっしゃい。あんたかい。ちょうどいいタイミングだね。今日は新鮮ないい肉が
 入ったから、焼いてあげるよ。」

店主は少年にあいさつをして、すぐに調理を始めた。少年はカウンターの席に座ると
出されたコップの水を飲もうとしたが、近くの席に座っていたある人物に目を奪われる
のであった。

「あ、あなたは、昨日、森でやられそうになってたときに助けてくださった弓使いの
 方じゃないですか。」

なんと、少年の席の近くには森でイーグルにとどめを刺されそうになったときに弓矢で
助けてくれた弓使いの青年が座っていた。少年は前日にレストランの店主から弓使いの
情報を得ていたのでお礼を言いに行こうと考えていたが、弓使いがすぐそばにいるので
さっそく感謝の意を伝えようとした。

「あ、あの、失礼します。昨日はイーグルに襲われたときに弓矢で助けていただいて
 ありがとうございます。」

「うん。ああ。昨日の森にいたやつか。気をつけろよ。森には強いモンスターが
 いるからな。」

「は、はい。あの、それで。昨日のイーグルの死骸を買い取ってもらって、結構なお金が
 手に入ったので、少ないですけど、受け取ってください。」

少年が感謝の意を弓使いに伝えるが、弓使いはそっけなく答えるだけであった。少年は
さらに感謝の印としてイーグルの死骸を買い取ってもらって得られた銀貨を渡そうと
するのであった。しかし、弓使いはそんなことには興味を示さず、こんなことを言って
くるのであった。

「いらないな。別に金が欲しくて、助けたわけじゃないからな。それより、もう少し
 経験を積んで、剣の腕をあげた方がいいぞ。」

「は、はい。わかりました。」

弓使いはお金を受け取ることを拒み、兄貴風を吹かせて、少年にもっと経験を積むように
諭すのであった。少年は弓使いの言葉を聞いて、納得すると席に座って、料理を待つので
あった。

「お待たせ。新鮮ないい肉のあぶり焼きだよ。野菜もたくさん添えてあるから残さず
 食べてくれよ。」

「うー。おいしそうだ。いただきます。」

少年は出された料理をガツガツと食べ始めるのであった。料理を作り終わった店主は
カウンターに来て、少年に語りかけるのであった。

「どうだい。今日の料理は。実は、この新鮮ないい肉はそこの弓使いのあんちゃんがとって
 きてくれたんだよ。」

「え、そうなんですか?」

「店主さん。別に自慢するほどのことじゃないよ。」

店主が新鮮ないい肉のことで弓使いを自慢してあげるが、当の本人は謙遜するのであった。
食事をしながら、少年はあることを考えていた。弓使いはかなりの弓の達人で、人柄も
良さそうであった。弓使いが少年の仲間に加われば、今後の戦いにとても有利になることは
間違いなかった。少年は食事を終えると、さっそく弓使いにしゃべりかけるのであった。

「あ、あの。今よろしいですか?」

「うん。どうかしたのか?」

「実は、俺、単独でクエストを受けたりしているんですけど、新しい仲間を探してます。
 もしよければ、俺の仲間になってもらえませんか?」

少年は意を決して、弓使いに仲間になるように勧誘してみるのであった。弓使いは少し
考えるとこう返答してくるのであった。

「その誘いは丁重に断らせてもらおう。俺は単独行動の方が性に合ってるからな。他を
 あたってくれ。」

少年は弓使いの断りの返答に勧誘をあきらめず、さらに説得を試みた。

「実は斡旋所の人たちにも声をかけてみたんですが、全員から断られて、俺、どうしても
 仲間が必要なんです。単独行動では限界を感じているんです。あなたのような、すごい
 弓の使い手が仲間になってくれたら、心強いんです。モンスターを倒した分け前は
 そちらが多めにとってもらって結構です。」

「うーん。ダメなものはだめだ。あきらめてくれ。」

少年の再度の説得でも、弓使いの意志は揺るがず、少年の勧誘は失敗に終わるのであった。
勧誘を断られてしまった少年は仕方なく、会計を済ませて、レストランを出るのであった。
レストランを出る間際、店主がこう言って、少年を慰めるのであった。

「まあ、気にすることはないよ。前にもあの人を勧誘しようとしたパーティーがいたけど
 結局断られていたからね。単独行動が好きみたいでね。」

店主の慰めの言葉も少年にはあまり届いておらず、少年はレストランの外を歩いていくので
あった。

「はあ。参ったな。これで街中の戦士とかに仲間にならないかを聞いたことになるけど
 誰も仲間になってくれなかったな。こうなったら、気長に待つしかないのかな。」

少年はレストランから自分の部屋のある建物に戻る途中、そんなため息まじりの言葉を
つぶやくと重い足取りで歩いていくのであった。
 ところ変わって、ここは街の近くの村、ある村人が農作業を終えて、家に帰ろうと
していた。

「ふぅー。今日も疲れた。早く帰って、飯だな。今日は何かな。」

村人は夕食のおかずを想像しながら、帰ろうとしていたが、村の外に何かの気配を感じて
何気なくそちらを見てみた。

「うん。なんだ。あれは。」

「ウケ、ウケケ。」

「ウゴ、ウゴゴ。」

村人が見たのは村の外にゴブリンなどの何体ものモンスターが現れた光景であった。村人は
腰を抜かすくらいの衝撃を受けて、家の中に逃げ込んでいくのであった。
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