戦士と腕輪

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第1章 駆け出しの戦士

第5話 クエスト受注

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戦士と腕輪 第5話 クエスト受注

 辺境の村を出発して半日が経過した頃、少年は目的の街の近くまで来ていた。街に
到着してからあれこれ生活の準備をすることを考えて朝早く家を出たが、時間は昼を
過ぎていた。

「あー。お腹が空いたな。こんなことなら、母さんに弁当でも作ってもらえば
 よかったな。もうそろそろ街に着く頃だけどな。まだかな。」

少年は街でおいしい料理を食べようとしていたので昼食の準備なしに歩いており、
空腹はピークに達しようとしていた。そんなお腹を空かせた少年の目の前にある光景が
入ってくるのであった。

「うわー。大きな建物がいっぱいだ。しかも、石造りの建物もたくさんあるぞ。あれが、
 街だな。うちの村なんかよりとても大きいや。」

少年の視界には今まで見たことない街の光景が入ってくるのであった。彼の足は街の景色を
見たことでさらに早くなり、彼は街の入り口付近まで来るのであった。

「うわー。やっぱり、近くで見るとさらに大きいや。それに人がたくさんいるな。」

少年が街の中をのぞいてみると、そこにはいろいろな店や多くの人が行き交っているので
あった。彼は街の様子や人の多さに目を奪われてしまい、立ち止まってしまうのであった。

「すごいな。うちの村なんか目じゃないな。あっと、行けない。早く、昼食を
 食べて、いろいろと準備しないとな。」

少年はさっそく街の中に入ると食事を取れる店を探すのであった。しばらくして、少年は
いい匂いのする店の前に立ち止まるのであった。

「ここから、いい匂いがするな。よし、ここにしようっと。こんにちわ。」

「はい。いらっしゃい。1人かい。カウンターに座ってちょうだい。」

少年がレストランらしき店に入ると店主がカウンターに座るように案内するのであった。
少年は空腹だったのでさっそく料理を注文していくのであった。

「この肉料理とパンとスープをください。」

「はい。わかりました。」

少年が注文を終えると店主がさっそく調理を始めていき、10分後に少年の目の前に料理が
並ぶのであった。

「いただきます。うわー。この肉料理の味付けはとってもいいな。どんな香辛料を使って
 いるのかな。」

「お客さん。目の付け所がいいね。ここの香辛料は旅の商人が持ってくる西方の国のもの
 なんだよ。」

少年が料理の味付けをほめると店主が上機嫌になってしゃべりかけてくるのであった。
少年も街の情報を知りたく、さらに話を続けるのであった。

「実は、今日、この街に初めて来たんですけど、住む場所をまず確保したいので部屋を
 紹介してくれるお店って知ってますか?」

「へぇ。そうなのかい。じゃあ。ここを出て、右に進んだところに部屋を紹介してくれる
 店があるから行ってみな。」

店主は少年に親切に部屋を紹介してくれる店を教えるのであった。さらに店主は少年の
木剣を見て、こんなことを言ってくるのであった。

「もしかして、あんた。戦士か何かかい。」

「はい。実は騎士を目指しているんです。」

「じゃあ。斡旋所に行けば、いろいろな仕事を引き受けて、報酬を得られるよ。戦士なら
 モンスター退治もできるだろう。」

店主は少年に斡旋所のことを説明すると仕事で報酬がもらえると言うのであった。
この情報は少年にとっては予想外の価値のあるものであった。旅立つ前に資金として、
銀貨を3枚程度持ってきたが、それではすぐに生活できないと少年は考えており、仕事を
しなければいけないと考えていた。

「え、そうなんですか。実はここに来る前にけっこうモンスターを退治していたんで、
 斡旋所の情報は本当に助かります。教えていただいてありがとうございます。」

「はは。いいよ。モンスター退治して、報酬が入ったら、うちに食べに来てよ。ここは
 そういう人たちも夜に飲みに来ているから。」

店主は少年の感謝の言葉を聞くと、商売のためにまた食べに来るように言うのであった。
少年は食事が終わると店主に代金を支払って、店を出ていくのであった。

「ごちそうさまでした。よーし。じゃあ。この街で部屋を借りて、とりあえずは剣技の
 訓練やモンスター退治をしてお金を稼ぐぞ。」

さっそく少年は店主に教えてもらった部屋を紹介してくれる店に行くのであった。彼が
店の前に来るといろんな部屋の間取りや家賃が書かれた紙が店の外側の外壁にたくさん
貼ってあるのであった。

「うわー。けっこうたくさん部屋があるんだな。狭くていいから、安いのがいいかな。」

少年はたくさんの部屋の貼り紙があり、迷い出したので、店主に聞こうと店の中に入るので
あった。

「こんにちわ。部屋を探しに来たんですけど。」

「いらっしゃい。おや、ずいぶん若い方だね。まずはこちらに座ってください。」

部屋を紹介してくれる店の店主が尋ねてきた少年を店の中に招き入れるのであった。少年は
イスに座って、店主と部屋の相談を始めるのであった。

「実は部屋を探していて、1人で暮らすので狭くてもいいので安い部屋を探して
 いるんです。」

「そうですか。予算はどれくらいを考えてますか?」

店主と少年は部屋探しの相談を始めるのであるが、少年はまだお金をほとんど持って
いないため、なるべく安い部屋を求めるのであった。

「実はお金もあまりないので銅貨10枚程度で借りられる部屋はないですか?」

「はは。かなり安いですね。この辺だと普通は銅貨20枚以上は必要ですよ。」

「え、そうなんですか。参ったな。」

店主の答えに少年は驚いて、少し困ってしまうのであった。店主も少年の提示した額では
無理そうであると考えていた。しかし、少年はあきらめずに話すのであった。

「短期間だけでもいいので銅貨10枚程度で借りられる部屋はないですか?」

「うーん。困ったな。あ、そういえば、近くの建物がそろそろ取り壊されるから、
 狭まくてぼろいけど、建物が取り壊される前までなら借りられるかもしれないよ。」

店主は少年に銅貨10枚程度で借りられる部屋を紹介するのであった。店主はさっそく大家に
話してみると言ってくれるのであった。数十分後、店の中で待っていた少年は店主が帰って
来るのをみると部屋が借りられるかを尋ねてみるのであった。

「ど、どうでした。」

「大家さんに聞いたら、建物を取り壊す前までなら銅貨12枚で貸してあげるって
 言ってくれたよ。但し、期間は3週間だけだよ。」

「それで構いません。あ、ありがとうございました。」

少年は部屋が借りられることになって店主に感謝するのであった。店主はさっそく
契約書を作成して、少年は契約をすると家賃と手数料の銅貨14枚を渡すのであった。

「契約ありがとうございます。これが部屋の鍵です。また、新しい部屋を探すときは
 うちに来てくださいよ。」

「はい。ありがとうございます。」

少年は一時的にではあるが住まいを借りるのであった。しかし、手持ちのお金を半分近く
使用したので、お金を稼ぐ必要があった。彼はさっそく昼食を食べているときに教えて
もらった斡旋所に向かうのであった。

「よーし。住まいは確保したから、次は仕事を探して、お金を稼ぐぞ。確か、斡旋所は
 この近くだったよな。」

少年は斡旋所を探して歩いていると人の出入りが多い建物を見つけるのであった。

「あ、あれが斡旋所かな。人の出入りが多いな。仕事を求めて、たくさんの人が来て
 いるんだな。俺も中に入って、仕事を探そうっと。」

少年は斡旋所を見つけるとさっそく入り口から入っていくのであった。中には多くの人が
おり、掲示板に貼られた仕事案内の紙を見たり、職員と仕事の相談をしたりしていた。

「まずは掲示板の方におもしろそうな仕事はないかな。」

掲示板には工事現場の仕事や荷物の運搬の仕事などが掲載されていたが、少年は別の仕事に
興味を惹かれるのであった。

「やっぱり、剣技の訓練も兼ねてモンスター退治の仕事を引き受けたいよな。えーっと、
 モンスター退治の仕事はここかな。」

少年はモンスター退治の仕事を見始めたが、商人の輸送の護衛やパーティーを組んでの
仕事であったため、単独での仕事があまりなかった。

「あれ。1人でできるモンスター退治がなさそうだな。それにあまり、仕事自体も
 多くないな。うーん、どうしようかな。ちょっと、職員に聞いてみようかな。」

少年は掲示板にやりたい仕事がなかったので職員に聞こうとカウンターに行くのであった。
そこには中年の職員がおり、少年は声をかけるのであった。

「こんにちわ。あの。モンスター退治の仕事を探していたんですけど、単独で
 できそうな仕事ってありますか?」

「ちょっと待ってね。ちなみにここではモンスター関係の仕事はクエストと呼んでる
 からね。最近はあまりモンスター退治のクエストは入ってなかったからね。
 ここより大きな街ならもう少しあるんだけど。あ、さっき入ってきたばかりの
 モンスター退治のクエストがあったんだ。これだよ。」

職員は先ほど入ってきたモンスター退治のクエストを紹介するのであった。クエストの
内容はこの街につながる街道のモンスター退治であった。

「へぇー。街道のモンスター退治ですか。1人でもできそうですね。」

「すでに何名かは単独でこの街道のあちこちに行ってるから、もしやるなら、街道の
 この辺りだよ。引き受けるかい?」

職員は少年にクエストを引き受けるかどうかを尋ねてくるのであった。もちろん、少年は
首を縦に振ってすぐに応じるのであった。

「はい。引き受けます。いつからやればいいですか?」

「明日の朝からでいいよ。じゃあ。この紙に名前を書いてください。そういえば、
 見慣れない顔出し、若そうだけど。モンスター退治の経験はあるのかい。」

「あ、はい。この街に来る前に洞窟探検で強いモンスターを単独で倒してます。」

「そうなのかい。じゃあ、大丈夫そうだね。まあ、危なければ、辞退してくれて
 大丈夫だよ。」

少年は書類にサインすると街道のモンスター退治のクエストを引き受けるのであった。
斡旋所でクエストを引き受けた少年は意気揚々と斡旋所を出ると今日借りた部屋に
向かうのであった。

「確か。借りた部屋のある建物って、この辺だったような。」

少年は借りた部屋のある建物の近くまで来るとそれらしい建物を探すのであった。
しばらくすると目の前に今にも壊れそうな建物が見えてくるのであった。少年は教え
られた住所を再度確認すると間違いないことを確認した。

「うー。や、やっぱり。この建物だな。それにしても、取り壊すってだけあって、相当
 ぼろい建物だな。まあ。せっかく借りられたんだから文句を言っても仕方ないな。」

少年は建物に入ると借りた部屋に行くのであった。部屋の中にはトイレとベットと
炊事場があり、最低限の生活はできそうであった。彼は置いてあった小さなテーブルに
布のカバンを置くとベットに横たわって休むのであった。

「はあ。とりあえず、住む場所を見つけて、お金が稼げそうなクエストを引き受けた
 から、明日からがんばるぞ。」

少年は明日からの街での生活に期待を膨らませながら眠りにつくのであった。
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